展望なき防衛装備庁の装甲車開発その2 将来水陸両用装甲車は画餅


我が国の装甲車開発を踏まえた
次世代水陸両用技術の成果と今後の展望

防衛装備庁 プロジェクト管理部
事業監理官(情報・武器・車両担当)付 事業計画調整官
1等陸佐 井上 義宏
https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2019/doc/inoue.pdf

さて後半は現在進められている水陸両用装甲車の開発の自画自賛です。
これまた世界に冠たる日本の技術が~ みたいな話です。


そもそも論ですが、防衛省、陸幕に水陸両用装甲車の開発調達能力はありません。

だって、2年掛けて調達するかしないかを決めるという話を、「アメリカ様から言われました」と半年に端折ったわけです。
自分で決めるつもりはなく米帝のいいなりに装備調達を決めた。
その上既に発注した指揮通信車型と回収車型の到着を待たずに、APCだけでトライアルやったフリでした、おおすみ級からの発進テストも瀬戸内海で一回やったりき。想定戦場である南西諸島でのリーフや護岸での登攀テストもしていない。

しかも、米海兵隊からは俺達の中古買えばいいじゃない。安いし、俺たちも助かるからさあ、と言われたのとに単に陸幕がおニューが好きなのか、新品買って米帝様に媚をうるためか知りませんが新品買っちゃったわけです。

現場では整備も大変だとかで、どれだけ稼働率が維持できているんでしょうか。はじめからこの手の装甲車は塩水につけるんだから整備が大変だという認識があったかも疑わしい。

武装のMk19グレネードランチャーも訓練弾は無理やり、規格違いの96式自動擲弾銃の訓練弾を改造して使おうとして駄目だったとか、あんたら軍隊ですか?一体どこのお嬢様だ、といわれても仕方ないぐらい残念な経緯があります。

更に申せば、経験が無いのですから、英海兵隊のバイキングのような二連結ATVや通常のAMVのような水陸装甲車を揚陸艇と組み合わせ運用するというリサーチや、トライアルもやるべきでしたが、やりませんでした。

「だってUSMCが使っているんだもん」というなら陸幕も装備要らないでしょう。

そういう人たちがまともな水陸両用装甲車装甲車を開発できると信じるは随分とナイーブです。いつも下品で恐縮ですが、フランス書院の官能小説やらAVみて3D女性を口説こうとするようなものです。

2-3-b. 3,000馬力級エンジンの概要
(日本のエンジン開発の傾向)(P16)
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• コンパクト、軽量かつ高出力の水陸両用車エンジンを開発中 (今年度中に納入予定)
• このエンジンは、民生技術を活用し現有エンジンをアップグレードし、高性能かつ高い
信頼性を確保

3-1. 3,000馬力級エンジンの必要性
(将来水陸両用技術)(P18)
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• 我が国における水陸両用技術は3,000馬力級エンジンの実現により進展
• 3,000馬力級エンジンはサンゴ礁(礁池・礁嶺)の克服に必要

>40トンの車両において、履帯とウォータージェットを同時に
使用しサンゴ礁を克服するために3,000馬力が必要

3-2. サンゴ礁克服の必要性
(将来水陸両用技術)(P19)
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これは裏返せば、リーフ登攀能力のない、AAV7をどうして無審査で買ったの?、という話になります。ビーチでしか揚陸できないAAV7は無駄だったと告白しているようなものです。

3-3. 将来水陸両用技術の概要(P20)
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これもテクノナショナリズムを煽るだけの話です。
まず、例によって陸自で一体輌の水陸両用装甲車が必要で、それはどの程度のタームで調達し、開発費含めたプロジェクトの総額はいくらか、ということを提示していません。
調達数が30輌か200輌かでは1輌あたりの開発費は何倍も違ってくるし、そもそも開発するかしないか、という問題になります。

それをやらずに新しいおもちゃ作らせてくださいというのは随分と虫のいい話です。

また軽量履帯に関しては装備庁もMHIにも金属製を採用するそうです。ゴム製履帯には十分な強度が無いという話ですが、バイキングなどのATVはゴム製履帯を採用しています。ジェーンズのIDRの10月号ではゴム製履帯の強度に関する記事が掲載されています。
果たして装備庁やMHIは実際に実験したのでしょうか。このクラスの車体であればゴム製履帯を採用すれば1トン以上の軽量化が可能です。当然ながらサビにも強い。世界的な有力メーカーであるソーシー社の製品でも使って試験をするべきかと思います。まさか、装備庁が試作させたゴム製履帯だけを基準にしているのでしょうか?



3-4. 日米共同研究 (FY2017-2022)(P21)
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このプロジェクトは日米共同ですが、アメリカはどの程度本気なのか、調達数はどの程度を計画しているのか、その点のコミットメントは全く取れていません。

そして米海兵隊はAAV7を退役させる予定です。果たして本当に彼らが新しい水陸両用装甲車を欲しているのか。大変疑問だと思います。
【水機団涙目】米海兵隊AAV7を退役に。
https://kiyotani.at.webry.info/202112/article_9.html

高性能な新型ならば欲するはずだという意見もあるでしょうが、ぼくは否定的です。仮に海上速度が13キロのAAV7より早くともせいぜい50~60キロ程度でしょう。40キロを超える沖合から延々と航行してもいい的になるだけです。

そして上陸後はAAV7並に大きいので、愚鈍で地上戦闘ではこれまたいい的になります。
普通に考えれば、空輸可能な装甲車や、バイキングやACVのような装甲車を揚陸艇で上陸手前まで運搬するほうがリーズナブルと考えるでしょう。
それに重たい30ミリ機関砲を搭載した砲塔を装備するよりも、それは無人車輌に搭載するほうがいいのではないか、という発想も出てくるでしょう。

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4.結 言 (P22)
○ 我が国の島嶼侵攻事態時に、水陸両用車を用いて、島嶼防衛を効率的・効果的に行うために、水際機動性や海上航行速度の向上を実現することが有用
○ 本研究においては、装甲車の研究開発にて得られた国産技術のノウハウを活用するとともに、日米共同研究により、内容を充実
○ これら取り組みで、「諸外国との防衛装備・技術協力の強化」を推進

これらの主張は既に上記で述べたような疑問があり、自己正当化をするための官僚作文に過ぎません。決して潤沢ではない防衛省の開発費をこのような将来性の低いプロジェクトで浪費するのは避けるべきです。

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