UAVとCOIN機どちらが有利か

UAVとCOIN機どちらが有利か

Jane’s International Defence Review 3月号には「Mannes or Unmanned:Light aircraft face competition from UAVs」という記事があります。

いわゆるターボプロップのCOIN機(Light Combat Aircraft: CA)と、それに匹敵するグループ5に属するMQ-9リーパーなどのMALEの無人機との比較です。

記事ではまずF-16などのジェット戦闘機と比較をしています。時間あたりの運用コストはF-16クラスが1万ドル、LCAが2千ドルとほぼ五分の一です。またLCA調達コストは13万ドル程度、これまた数分の一です。テキストロンのジェットLCAであるスコーピオンの時間あたりの運用コストは3千ドル程度、調達単価は20万ドル程度です。

LCAは近接支援(CAS)、武装偵察など多様な任務が可能です。ペイロードは2トン近くで、F-16の8割程度です。速度は時速500キロ弱で、小直径誘導爆弾や対戦車ミサイル、12.7ミリ機銃、誘導ロケット弾などが使用できます。
搭載燃料はF-16の二割程度ですが、滞空時間はF-16の約3倍の5~6時間です。

対してグループ3~4のUAVは24時間とより長い対空時間があります。ただしグループ5よりは小さく、ペイロードは20キロ強にしかすぎません。グループ5のリーパーの時間あたりの運用コストは3~4千ドルでLCAとほぼ同等以上で必要な要員はほぼ同等です。
ハドソン研究所のブライアン・クラークはLCAの運用コストはUAVよりも高いと述べています。

記事では空域防御の任務ではUAVにまさるとしています。迎撃やアラート任務で敵は、無人機ならば無視、あるいは撃墜します。有人機であればうかつに撃墜はできません。そうすれば戦闘が容易にエスカレーションするからです。事実2019年にイランは米海軍のグローバルホークを躊躇なく撃墜しましたが米国は報復をしていません。

またLCAは有人機であるがゆえに、パイロットがその場で決断ができること、更に小規模な部隊ではUAVに対する電子妨害やサイバー攻撃に対して有用な手立てが打てない、と指摘しています。

これは大きなポイントです。UAVはこれらの妨害で飛べなくなったり、偽情報で味方を攻撃する場合もあるでしょう。

CASの場合、地上の指揮官が現場でLCAのパイロットとやり取りできるのは大きなメリットです。しかしながらLCAが上空に留まれるは1~2時間程度ですが、対してUAVは6~12時間は留まれます。これはUAVの大きなメリットです。
またUAVは敵の対空システムが充実しているエリアでは有人機より有利です。
それから記事ではLCAの延長線でジェットの練習機ベースの軽攻撃機、例えばM-346FAやホークといった機体です。これらの機体はLCAとF-16のようなジェット戦闘機の中間的な存在と言えるでしょう。

これらは練習機と併せて採用すれば調達、運用コストは大幅に低減できます。またこの手の機体は空自のアラート任務にも使えるでしょう。

記事では触れていませんが、UAVの欠点はビデオカメラの視野が狭いことです。それを補うのであれば有人機並の視界をもったカメラを装備することが必要です。
またUAVは一般的に長時間を巡航するための機体です。ですから急降下などの空中機動は苦手です。
このためキメの細かい対地支援や、UAVの迎撃などの任務は苦手です。


本来対地支援やISRなどの任務は攻撃ヘリ、武装ヘリ、LCA、UAV、そしてジェットの軽攻撃機などの得手不得手を勘案して、自軍の戦術にあうポートフォリオを組むべきですし、またそれは時代の変化に併せて変えていくべきです。
LCAは攻撃ヘリの代用にはならないという人がいますが、それは匍匐飛行で装甲車両を対戦車ミサイルで攻撃することを未だに「当然」だと思っているわけです。ところが今やRWSや携行対空ミサイルなどの発達で匍匐飛行などできません。攻撃ヘリの任務は相応の高度からの対地支援やISRなどが主たる任務になっています。その考え方からすれば、より滞空時間が長く、誘導滑空爆弾も使用でき、射出座席などもあるLCAのほうが有利といえます。
大事なのはそれぞれのプラットホームに得手不得手があり、時代によって任務も変わってきます。例えばUAVの迎撃などという任務は20世紀には想定されていませんでした。
装備体系の構築と調達は先を読みながら、迅速に行い、また想定が変わった場合には速やかに変更するような柔軟さが必要です。

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