特殊部隊を軽視する自衛隊の後進性

 米軍では特殊部隊を陸海空軍海兵隊に続く、第5の軍種と位置づけるほど、特殊部隊に力を入れています。米軍や先進国に限らず、途上国ですら特殊部隊に力をいれる傾向が強くなってきています。

 ところが自衛隊では特殊部隊は冷遇されています。そもそも陸自の特殊作戦群が創設されたのは10年ぐらい前に過ぎません。しかも人員は300名、専用の航空部隊などの「足」すら持っていません(彼らはそれでよし、としているふうに思えますが)。
 海自の特警隊にしても基本臨検部隊で、規模も小さい。現状はお寒い限りです。

 次期防衛大綱でも中期防でも特殊部隊に関する記述がありません。島嶼防衛にしろ、海外任務にしろ本来真っ先に投入され、情報を収集するのは特殊部隊の役割です。

 特殊部隊は一般に海外の同業者とギルド的なつながりがあり、その線からの情報の収集が可能です。海外では軍の特殊部隊と情報機関の人事交流は極めて盛んです。特殊部隊を上手く使えば、上質な情報の入手も可能です。

 そのような形で特殊部隊を活用していれば昨年起きたアルジェリアの人質殺害事件の対応も随分様相が変わっていた可能性があります。そのあたりの話は以下を参照ください。


自衛隊の情報感度と特殊部隊(上)――練度の維持と中東の情報収集は大丈夫か?
 http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012061200005.html?iref=webronza

自衛隊の情報感度と特殊部隊(下)――情報収集と分析に金と人を投入せよ

http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012061500015.html?iref=webronza

 しかしながら防衛省は特殊部隊の予算も人員も増やしません。しかも陸自では特殊部隊が必要ない装備を、天下ったOBが無理やり押しこむことが増えているようです。

 これらは特殊部隊には将官OBという応援団がいないためでしょう。ですから自衛隊の組織内での政治力がないわけです。
 ですが政治力があろうとなかろうと、必要なものは必要です。
 特殊部隊軽視の自衛隊を見ていると、軍事的な必要性よりも組織内政治に終始しているように思えます。

 またこのような現状を憂う大臣以下の政治家もいないのでしょう。政治家がオーダーすれば方針が変わるのですがそれも期待できそうにありません。
 外国では特殊部隊は首相や大統領から直接命令を受けることもあります。それは逆に言えば大統領や首相は特殊部隊を使いこなす能力や知識、見識が求められるということです。

 チャック・ノリスやスタローンなどのマッチョが銃を乱射するのが特殊部隊ではありません。情報収集こそが最大の任務です。鉄砲を撃つはめになれば作戦は失敗、というような活動が主です。


 空自戦術団 装備体系の構築急務http://news.livedoor.com/article/detail/8399358/
  
 このようなこともやっと始まるようですが、これにも特殊部隊が大きな役割を果たします。既存の特殊部隊の拡充とともに空自にも特殊部隊も必要です。
 ですが空自にはそのような認識は極めて薄いのではないでしょうか。JDAMを導入するも、自前の前線航空統制官の部隊は編成していませんし。

 島嶼防衛を真剣に考えているのであれば、特殊部隊の強化は必要不可欠です。


 それからこのブログを転用しているブロゴスの担当者にお願いです。
 ブログを転用するなら全てか、あるいは本文だけにしてもらえないでしょうか。
 最近のウエッブなどで書いた記事の紹介をカットし、本文と記者会見の引用だけを載せると、奇異な感じを受けます。
 なにかリンクが入っていると不都合でもあるのでしょうか。


新しいウェブニュースサイト、NEXT MADIA Japan In-Depthに寄稿しております
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか①
http://japan-indepth.jp/?p=2220
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか②
http://japan-indepth.jp/?p=2220
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか③

http://japan-indepth.jp/?p=2234
安倍政権の安全保障軽視が露呈!やっつけ仕事の国防計画?〜安倍首相はまともに安全保障を考えていない
http://japan-indepth.jp/?p=1956
これではまるで中国政府の記者会見だ!」〜情報発信強化を謳いながら、安全保障報道で外国メディアを差別する安倍政権
http://japan-indepth.jp/?p=1939
低性能でも価格は数倍から10倍の国産小火器〜住友重機が防衛省に納入していた機関銃データの改竄も露呈
http://japan-indepth.jp/?p=1930

夢想的な平和主義者ではなかったネルソン・マンデラ〜武装組織への上手な処遇が生んだ安定政権
http://japan-indepth.jp/?p=1900
「軍事産業は国の財産」と演説した現実的政治家ネルソン・マンデラの死と「最後の未開拓巨大市場」南アフリカの現在
http://japan-indepth.jp/?p=1919


朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
陸自の水陸両用装甲車、AAV7導入は裏口入学だ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013122500002.html?iref=webronza


日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(上)――トルコの狙いは何か?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013112500006.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(下)――日本がパートナーを組むべき国はどこか?

アベノミクスで食材偽装が増える?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013111100009.html
機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(中)――脆弱な防御力
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110100004.html?iref=webronza
以下は12月24日の防衛大臣記者会見のぼくの質問です。
http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2013/12/24.html

Q:韓国からの弾薬の要求ということは、5.56mm以外の要求というのはあったのでしょうか。それとも、5.56mm弾だけだったのでしょうか。
A:今回、私どもが現地から報告を受けているのは5.56mm弾のみの要請というふうに承知をしております。

Q:中期防で水陸両用車とオスプレイと思われるティルトローター機の調達が明記されているのですが、両方ともまだ十分な評価をしていない段階だと思います。AAV-7に関しては先日報道官の方から平成26年度中に評価を行うという回答があったのですけれども、平成26年度中ですとAAV-7指揮通信型、回収型が到着していないということで、APC型のみで判断をすると。そうすると、そもそもなぜ指揮通信型と回収型は評価目的で購入しているのかということになりますし、オスプレイに至ってはそういう評価を全くしていない段階で既にもう中期防で調達を決めるということで、すごく拙速な感じを受ける。何か政治的な導入をしなければ行けないという理由が両方ともあるのでしょうか。
A:私どもは、部隊から様々なヒアリングをする中でこのような装備についての検討を行っております。今日具体的な予算についてのレクチャーがあるというように聞いておりますので、そこでしっかり聞いていただければありがたいと思います。

Q:住友重工の指名停止の件なのですけれども、機関銃関係で非常にデータなんかに一貫して不備があったということで、これに関して5ヶ月というのは非常に軽いのではないかと思うのです。74式機銃を調達された時期ではじめから全てデータが偽装されていると。これに関して例えばもう少し重たい処置はないのか、あとは例えばM2であるとかMINIMIに関しては外国からの輸入に切り替えるということは考えていないのか、あとは過去の損害賠償などは考えていらっしゃるのでしょうか。

A:この問題については、担当部局から私の方に報告があった時点から、ある程度時間をかけての対応について協議させていただき、内部でかなり検討して、最終的には報告も受けております。いずれにしても、今日終わった後細かく説明させますので、そこでお話をしていただければと思います。



真・大東亜戦争 1
アドレナライズ
2013-02-01
林 信吾

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 真・大東亜戦争 1 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


林信吾との共著、真・大東亜戦争キンドル版1巻が現在49円とお得になっております。全17巻です


"特殊部隊を軽視する自衛隊の後進性" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント