自衛隊大型ヘリをライセンス国産する意義はありや
CH-47チヌーク、MCH-101など大型ヘリが輸入の2~数倍の価格で自衛隊用にライセンス生産されています。ライセンス生産しないとサポートが受けられない、というのがその理由です。
ですが、オリジナルの2~数倍も払ってライセンス生産する必要があるのでしょうか。ライセンス生産と称しても、実は国産化率は高くない、むしろアッセンブリー生産に近いのが実態です。
国内で組み立てすると何故サポート体制が万全になるのでしょうか。
しかも国内で生産しているパーツは武器禁輸規制で輸出できない。
自衛隊がヘリにつかえる予算総額は限られております。それは今後削減されることが予想されます。現状毎年少数の調達を続けるならば、自衛隊の保有するヘリの総数は減少を続けるでしょう。
むしろ、大型ヘリは輸入に切替て調達コストを下げるべきです。浮いた予算の一部で予備の機体や予備のパーツを確保したりすれば稼働率はある程度確保できるでしょう。
それと米国のFMS(対外有償軍事援助)の場合高コストになりがちです。米国側とFMSではなく、メーカーとの直という流れに変更すべく交渉を行うべきでしょう。
更に浮いた予算を小型、中型ヘリの調達に充てるべきです。例えばブラックホーク・シリーズの調達を年に現在の2倍程度に引き上げれば調達単価は劇的に下がるはずです。
このようにすれば空自のUH-X(次期救難ヘリ)にしても一機あたり25億円ぐらいで調達ができるのではないでしょうか。
仮にブラックホークのライン維持が国防上、あるいは防衛産業基盤の維持のため必要不可欠だというのであれば、結論ありきで初めから形ばかりの入札などやらずに、このような手法を使ってでもコストを下げる努力をすべきです。現在のUHーXの調達価格ではLCCを大きく越える公算が高いです。また既に案内したように、概算要求における初度費、調達単価も非常識に高いなど不明瞭な点が多々あります。
何でもかんでも競争入札というのは馬鹿げています。
10式ですら競争入札です。三菱重工以外の誰が応札するのでしょうか。防衛省はまさか、タミヤや東京マルイが応札するとでもおもっているのでしょうか。
形ばかりのコストがかかるだけです。
ライセンス生産品の調達コストが高い一因は低レートの調達にあります。
ですから、あれもこれもライセンス生産にするのではなく、機体を絞って行うべきです。そうすればライセンス生産にしても調達コストは大幅に下がります。3軍共通のブラックホークがあの値段というのは異常です。
将来大型ヘリを開発するのだ、という野望でもあれば大型ヘリのライセンス生産を続けるメリットもあるでしょうが、そのような計画はありません。
仮に計画しても無理です。そのような予算は捻出できません。ボーイングとユーロコプターは共同で将来の大型ヘリを開発する予定です。それもCH-47がベースになる予定です。業界大手ですらこのような状態です。日本のヘリ産業にそのような実力はありません。
限りあるリソースを有効に使う必要があるのではないでしょうか。
国内外の市場に背を向けて、縮小の一途を辿る防衛省需要にしがみついていて、地方の公共事業依存体質の土建屋のような商売をしていては日本のヘリ産業に将来はありません。
民間市場での苛烈な生存競争からは隔離されて、生産性や信頼性の向上は望めないし、まともな額のR&D費用も捻出できません。シコルスキーはX2、ベルやアグスタ・ウエストランドはチルトローター、ユーロコプターはX3、ディーゼル、ハイブリッドベリ、ロシアにしても新しい技術に挑戦してます。
既存利権の維持を目的化しているようでは10年後に日本にヘリメーカーは存在していないかもしれません。
WEBRONZAに「中国の「ステルス戦闘機」に過剰反応する必要はない 」を寄稿しております。
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2011011400023.html
ですが、オリジナルの2~数倍も払ってライセンス生産する必要があるのでしょうか。ライセンス生産と称しても、実は国産化率は高くない、むしろアッセンブリー生産に近いのが実態です。
国内で組み立てすると何故サポート体制が万全になるのでしょうか。
しかも国内で生産しているパーツは武器禁輸規制で輸出できない。
自衛隊がヘリにつかえる予算総額は限られております。それは今後削減されることが予想されます。現状毎年少数の調達を続けるならば、自衛隊の保有するヘリの総数は減少を続けるでしょう。
むしろ、大型ヘリは輸入に切替て調達コストを下げるべきです。浮いた予算の一部で予備の機体や予備のパーツを確保したりすれば稼働率はある程度確保できるでしょう。
それと米国のFMS(対外有償軍事援助)の場合高コストになりがちです。米国側とFMSではなく、メーカーとの直という流れに変更すべく交渉を行うべきでしょう。
更に浮いた予算を小型、中型ヘリの調達に充てるべきです。例えばブラックホーク・シリーズの調達を年に現在の2倍程度に引き上げれば調達単価は劇的に下がるはずです。
このようにすれば空自のUH-X(次期救難ヘリ)にしても一機あたり25億円ぐらいで調達ができるのではないでしょうか。
仮にブラックホークのライン維持が国防上、あるいは防衛産業基盤の維持のため必要不可欠だというのであれば、結論ありきで初めから形ばかりの入札などやらずに、このような手法を使ってでもコストを下げる努力をすべきです。現在のUHーXの調達価格ではLCCを大きく越える公算が高いです。また既に案内したように、概算要求における初度費、調達単価も非常識に高いなど不明瞭な点が多々あります。
何でもかんでも競争入札というのは馬鹿げています。
10式ですら競争入札です。三菱重工以外の誰が応札するのでしょうか。防衛省はまさか、タミヤや東京マルイが応札するとでもおもっているのでしょうか。
形ばかりのコストがかかるだけです。
ライセンス生産品の調達コストが高い一因は低レートの調達にあります。
ですから、あれもこれもライセンス生産にするのではなく、機体を絞って行うべきです。そうすればライセンス生産にしても調達コストは大幅に下がります。3軍共通のブラックホークがあの値段というのは異常です。
将来大型ヘリを開発するのだ、という野望でもあれば大型ヘリのライセンス生産を続けるメリットもあるでしょうが、そのような計画はありません。
仮に計画しても無理です。そのような予算は捻出できません。ボーイングとユーロコプターは共同で将来の大型ヘリを開発する予定です。それもCH-47がベースになる予定です。業界大手ですらこのような状態です。日本のヘリ産業にそのような実力はありません。
限りあるリソースを有効に使う必要があるのではないでしょうか。
国内外の市場に背を向けて、縮小の一途を辿る防衛省需要にしがみついていて、地方の公共事業依存体質の土建屋のような商売をしていては日本のヘリ産業に将来はありません。
民間市場での苛烈な生存競争からは隔離されて、生産性や信頼性の向上は望めないし、まともな額のR&D費用も捻出できません。シコルスキーはX2、ベルやアグスタ・ウエストランドはチルトローター、ユーロコプターはX3、ディーゼル、ハイブリッドベリ、ロシアにしても新しい技術に挑戦してます。
既存利権の維持を目的化しているようでは10年後に日本にヘリメーカーは存在していないかもしれません。
WEBRONZAに「中国の「ステルス戦闘機」に過剰反応する必要はない 」を寄稿しております。
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2011011400023.html
この記事へのコメント
ヘリを海外から輸入。
サービスも海外企業。
10年後、日本国内のヘリ産業は衰退しますた。
になりそうなんですが。
国内ヘリ産業を生き残らせる手段ではなく、海外企業を活性化させるだけのようなんですが?税金は全て海外行きで、国内に落ちないですしね。清谷氏の言われる内容では国内ヘリ関連企業は海外のヘリ産業大手に吸収合併されるしか生き残れないような気がします。
まあ私は経済とか企業経営とかは素人ですからただの勘違いかもしれませんが。
氏はライセンス生産は金がかかりすぎて規制もあるから、ある機種は輸入(適正価格)で資金抜かせて、浮かせた分をニッチな国内ヘリ関連へ投資して独自技術開発した方が国内へり産業活性化になるんでは。
と言う事じゃ?
ん~防衛産業は政治がらみで通常の経済常識は
効かないからな~。
今の政権が純粋な動機で変更するとは思えないし興味もないかと・・・。
>今の政権は興味がない
それを言っちゃオシマイのような・・・。
興味とかあるなら仕分けの対象になりますからね。
仕分けられたのは服。
凄い上から目線ですねw
>数字も挙げずに我論ばかりを垂れ流されても
>防衛省は予算関係の情報をバラバラにかなり 詳しく開示しています。それらを丹念に拾い上げて付き合わせれば、かなりのことが具体的にわかります。
ならご自分がやってみてはいかがですか。誰でもできるんでしょう。まっています。
まあ、やるとしたらかなり時間がかかるでしょう。
気長に待つといいかと。
氏はジャーナリストがしない理由は何だと思いますか?私は都合の良い資料が存在しないからだと思います。
別に国産のブラックホークが高いのはよく知られた話でしょう。どうしても当局が発表した資料が欲しいなら、ほれ。
平成22年度「日本の財政と防衛力整備」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shin-ampobouei2010/dai6/siryou2.pdf
清谷氏が何度も引用している財務省に資料に国産と米軍調達のブラックホークの比較が載っています。
さすが財務省が作った資料ですね。比較の意味が全くありません。彼らは頭がイイので人を騙す資料を作るのが本当に上手ですね。
なぜなら、アメリカ製の兵器で米軍に納めているものと同じものを、米軍納品価格と同価格以下で購入できている国はありますか?私は聞いたことがありません。
比較するのであれば、他の同盟諸国の輸入価格と比較すべきだと思います。
例えば、お隣りの韓国が輸入したF-15Kは1億3000万ドル(当時のレートで約126億円)です。当然ライセンス生産などしていません。しかし、ライセンス生産した日本のF-15Jのほうが安価です。この比較に意味があるとお考えですか?
F-15JとF-15Kの違いがわからない人が見たらどう考えるでしょうか?つまり財務省の資料では比較の意味がないのです。
これは戦闘機に置いてだけでなく、自動車でも同じようなことは当然あります。
三菱自動車のランエボなどの一部スポーツカーを例に取ります。国内では300~400万円前後で販売されていますが、イギリスでは700~800万円で販売されています。他のヨーロッパ諸国も同様です。
製品は製造された国での販売価格が一番安い。これは普通のことなのです。(そうでなければダンピングと非難されます。)
では、なぜ高くなるのでしょうか?それは現地にサービス拠点を設けているからです。現地のサービス拠点の維持費用がコストとして上乗せされているのです。
同様にライセンス生産しなかった場合、
①どの程度の価格で購入できるのか?
②その場合の稼働率はどうなるのか?
③その稼働率の場合、必要な機数はどうなるのか?
を想定でも結構ですので挙げて頂かない限り、兵器のライフサイクルコストが下がるか?などという問題提起はできないと思います。
防衛省ですら、現状の調達では将来やっていけないと認めてるんですけどね。
1995年(平成7年)は円が過去最高値79円75銭を記録した年です。このレートをもとに購入したときの価格をドルに直すと1機あたりの購入価格(ドルベース)は5,000万ドル程度になります。
ドルベースでの購入価格が不変の場合、1998年は逆に円安が進んだ年です。この時の1ドル118円でもし同じものを購入した場合、60億円程度となります。つまり、財務省が提示している価格よりも高くなります。(円安が進んでいるのですから当然です。)
正確には米国の輸出記録に記載された価格で調べるべきだと思いますが、ざっくりと書くとこんな感じですよ。
ドルベースの~の箇所は以下のように読み替えてください。
→
1998年は逆に円安が進んだ年です。120円近くまで円安が進みました。ドルベースでの購入価格が不変と想定して計算すると、
5000万ドル×118円≒60億円程度
となります。
民間市場で淘汰されないためには、技術力の向上やコスト低下が必須。
それをやれば現在の調達価格をもっと適正化できるはず。
清谷氏は市場原理の必要性を経営者として理解し、成功をおさめていらっしゃるからこそ、本記事のような多角的な視点から論評をされることができるのだと思います。
このような視点の無い軍事評論家は多いですからねえ。
うーん…どの国内メーカーですか、それは?
三菱:MH2000で勝負しようとしたことがある
川崎:BK117の共同開発
富士:RPH2の販売
正確には「やってはいる、やろうとはしているが、うまくいっている例が少ない」じゃないですか?あと、清谷氏の発言だと「任せておけない」でなくて「このままだとヤバい」ですよね。
う~ん、なんかメリットがゴリゴリ相殺されていく気が…
それだったら金が国内に落ちるライセンス生産のほうがいい気がしますねえ。
※航空機のメーカー修理の期間に関しては詳しいわけではないので、何か資料をお持ちの方がいれば是非見たいです
少し古いレポートですが。
http://www.helijapan.org/general/sjac053.pdf
このレポートによれば、ロールスロイス社は市場規模2003~2012年の10年間で2兆円。しかも、そのうち(金額ベースで)78%が軍用と予測しています。日本のように軍用品の輸出が規制されている国で魅力のある市場だと思われますか?
リスクを犯してまで新規投資をする価値のある市場でしょうか?国内のゲーム市場(約6,000億円/年)よりも規模が小さいですよ?
そのような状況の場合、国策として技術開発を行うことは可能だとおもいます。そのための投資として、民間企業のリスクが小さくなるように、防衛装備品の開発の一環として進めたり、経済産業省のプロジェクトとして進めたりということはあると思います。
しかし、経済産業省のプロジェクトでは、プロジェクト終了後の販売面ではあまり貢献できません。(そもそも民間需要が小さいのですから。)
そこで、一定数量の販売が見込める防衛予算でやろうというのは、国策としては間違っていないと思います。
問題なのは防衛費の伸びが見込めないことでしょうか。産業育成として予算を別途付けてくれれば良いのですが。
>清谷氏は市場原理の必要性を経営者として理解し、成功をおさめていらっしゃるからこそ、本記事のような多角的な視点から論評をされることができるのだと思います。
この下りは清谷氏への嫌がらせかい?
全く……人の心を傷付けて何とも思わない奴が今の時代多すぎる。
そこに出ている財務省の資料は「悪意」すら感じますね
取得年度が違うと、同タイプの兵器でも価格が全く異なります
電子機器などを改修すればかなりの費用がかさむし
ブラックホークの価格は2008年には1,400万ドル
ルーマニアが2008年に買おうとしたF-16は1機1.5億ドル(これは諸費用も含まれると思いますが、ラ国しなければ日本だって同条件)
防衛省であれ財務省であれ、自分に都合のよい資料を出す傾向にあるので
この辺の資料は最初から疑って見たほうがいいのでは?
いや、清谷氏も本ブログ記事で御自身が経営される会社について度々言及されていますが・・・?
昨今の景気低迷の中で中小企業(失礼ならばごめんなさい)を経営され続けているだけでもご立派では?
まぁどこぞの天下り企業より、よほど健全でしょう。
ラ生では技術の習得は出来るけどあくまで
下請の範疇だし。
国内投資で民間に独自技術が蓄積されれば先々輸出も視野に入れられるだろうし。
ま、大型ヘリ産業育成を国がどう捉えてるかですね。
ニッチ産業は経済的見方でみるようなものではないんじゃ~?
>80.72.95.165
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あなたのやっていることは単なる犯罪行為です。繰り返すならば警視庁に告発し、同時に
民事訴訟を起こします。
逆に、たいへんな問題になったのが海自のMH-53だという話があるのですが、このあたり、輸入機の稼働状態についてキヨタニさまはご存じですか。
いうのはおかしな話です。
E-2Cは承知していませんが、KCおよびE767は稼働率が高いと聞いております。この手の情報は幕があまり公開したがらないのですが、せめて国会では明らかにすべきだと思います。
陸幕広報は否定していますが、実際陸幕装備部は各装備の充足率、耐用年数などをまとめがグラフを作成していますが、政治家がこの手の署るを見ているのか非常に気になります。
それにしても上の機体はなんで稼働率が悪いんですかね。