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zoom RSS 武器輸出緩和はすべてを癒す魔法の杖か

<<   作成日時 : 2009/06/11 15:29   >>

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 ゲーツ長官が我が国にF−35を薦めているのは、オランダがパートナーから抜けるF−35の共同開発の穴を日本に埋めさせようという魂胆ではないでしょうか。
 
 そのためには武器禁輸の緩和が必要です。
 最近武器輸出緩和の話題がでていますが、これは米国側からの唆しじゃないかと、ぼくは疑っています。

 つまり日本がF−35を買うことが米国の国益にかなうということです。
 それが日本の国益にかなうとは、ぼくは思いませんが。
 

 どうもメディアの記者達は知ってか、知らずかアメリカの弾く三味線で踊っているように思えます。

武器輸出 3原則の緩和に踏み出す時だ(6月10日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090609-OYT1T01174.htm?from=y10

 自民党防衛政策検討小委員会も、社説の認識もズレています。

 「武器」の定義を見直し、ガスマスクや、一部を改造した四輪駆動車など汎用品の輸出を可能にすることも提言している。

「一部を改造した四輪駆動車」どころか、既にランクルはそのまま軍用車に使用されいますし、装甲車や防弾車のベースとして人気です。
 ソニーのCCD素子はFLIRや各種監視装置のキーデバイスですが、イスラエル、中国、ロシアなどでも使用されいます。
 帝人のアラミド繊維、トワロンはデュポンのケブラーに次いで世界市場で第二位の生産数です。
 我が国が共同開発に参加したボーイング767をベースにした空中給油機、KC−767は第三国のイタリアに既に輸出されています。こうしてみると穴だらけです。

 F35は、米国製ステルス戦闘機F22などとともに、日本の次期主力戦闘機(FX)の候補だ。だが、共同開発に参加していないため、仮に導入する場合、導入時期は遅れ、費用も割高となろう。

 これもおかしな話です。イスラエルはF−35の共同開発には参加しておりませんが、2014年からの導入予定です。我が国が導入を決定した場合、共同開発に参加してないからではなく、意思決定が遅いのと、ライセンス生産をさせろとか、色々いっているからです。

 誤った認識で事実を誤認して議論すると間違った結論がでます。

 武器輸出緩和はバラ色の特効薬ではありません。国営企業的な我が国の防衛産業が世界の競争に出て行くとなると経営効率が求められ、業界再編は必至です。
 また「我が国の誇る最新兵器」も市場でその実力が問われます。随分と恥をかくメーカーさんも多いと思います。

 日本企業が出て行くということは、外国の企業も日本に入って来やすくなるということです。ですから、外資によるM&Aも増えるでしょう。ぼくは規制緩和をする前に、国内で自主的に業界再編成をした方が痛みが少ないと思うのですが、どうも業界には進んで汗と涙を流す決意がなく、現状維持に汲々としているようです。

  
 まあ、あたしゃ業界の皆さんも少し痛い目をみた方が目が醒めていいのかなとも思いますが。

 
 先日、バーミンガムのセキュリティ・ショーに行ってきたのですが、日本のビデオカメラやレンズのメーカーさん達は大変に困っていました。ハイエンドの製品は経産省がエンドユーザーを教えろとか、色々うるさいことをいうので、客も面倒くさいし、時間もかかるので中々仕事にならない。

 かといって、ローエンドの製品は韓国、台湾、中国辺りが猛烈の追い上げてきているので、彼らに市場が喰われている。このショーでもこれら国々からの出展は凄い勢いで増えています。しかも国が支援してでかいパビリオンまで出しています。出展の手続きから出展費用の補助まであります。対して日本は何の支援もありません。

 中東ではイランが結構大きなマーケットなのですが、銀行の監視カメラ様なローエンドの製品でもあれこれ経産省に報告しなければならず、結局欧州やアジアの競合相手にビジネスをさらわれているそうです。経産省が足を引っ張っています。

 イランに対する輸出規制は単に経産省はアメリカさまのご機嫌をとっているだけではないでしょうか。

 その内この手のビジネスから日本は脱落するかも知れません。経産省にはそのような危機感はないようです。

 まずは防衛産業よりも、世界の市場で武器輸出規制の割りを喰って、手足を縛って戦っている企業を支援することが先だと思います。

 こういう所にこそ規制の緩和は必要です。自民党の先生方や大手メディアの記者方々も少しは現場を回ったら如何でしょうか。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
 E-767は日本以外の採用国はないと思いますが・・・。KC-767とゴッチャにしてません? しかもKC-767はボーイングが自社開発してイタリアと日本が採用したものですから、開発それ自体に日本は関わってません。
KWAT
2009/06/11 16:28
済みません、KC−767です。
KC−767の開発自体にには日本は関わっていませんが、KC−767は旅客機とはまた別の機体であり、その一部を日本の企業が製造し
ているため間接的には開発に関わっているといえます。事実、昔経産省はこれの第三国への輸出はNGといっていましたが、いつの間にか見解がかわっています。つまり何が武器が武器でないかというのは経産省のさじ加減や気分でかわるわけです。
キヨタニ
2009/06/11 21:56
>我が国が共同開発に参加したボーイング767をベースにした空中給油機、KC−767は第三国のイタリアに既に輸出されています。こうしてみると穴だらけです。

それなら、イタリアもB−767の開発に関わっているけど。
巫女の竜
2009/06/11 23:50
 朝雲の最新号によると、防衛産業のすそ野を占める中小企業には、最近廃業や倒産で脱落していくところが少なくないそうです。
 武器輸出を解禁した時には、既に防衛産業自体が屍の山と化しているかも知れません。痛い目を見るだけで済めば、オンの字のような気がします。
土門見人
2009/06/12 21:48

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