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zoom RSS イノウエ上院議員、F−22輸出解禁支持の思惑

<<   作成日時 : 2009/06/09 12:14   >>

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F22輸出解禁支持 イノウエ議員 売却価格は247億円http://sankei.jp.msn.com/world/america/090606/amr0906061126005-n1.htm


>輸出価格は1機約2億5000万ドル(約247億円)

 これはどうだか、という値段ですね。

 本当にこの値段になるかというと、ぼくは疑わしいと思います。実はこの値段実は今年初めに永田町に影響力の強い情報通の某氏に聞いた値段とほぼ一致しています。

「米軍は1機約1億4000万ドルで調達している。日本に輸出する場合、輸出仕様にするための設計・改造費などを含め約1億ドルを上乗せした格好だ。7−9年で納入可能という」

 米空軍調達価格の平均は1億4000万ドルですが、開発費を頭割りすると一機あたり3億ドル、約300億円程度になります。何故か日本のメディアは知ってか、知らずかこの数字をあまり報道しませんが。

 この報道が正しいならば、事実上ダウン・グレードのための改修以外の開発費の一部負担、FMSのコストが乗らないことになりますから、大バーゲンプライスです。


 米国の場合売買が決まった後で、議会が「何で我が国の納税者が300億円も出している機体を、改造までしてたった240億円で売るなんてケシカラン」と、反対して値段をつり上げる、ということだってあり得ます。
 
 F−2の時には同じような経験があったじゃないですか。

 それから売値は安くしておいて、メンテでごっそりという可能性もあります。F−22の整備に関しては空自や国内メーカーはタッチさせてもらえないでしょうから、言い値で払うしかありません。
 日本の場合、機数に例えば20年分の予備部品、メンテをパッケージで契約することをしませんから、やりたい放題でしょう。
 
 仮にアメリカの友人の同盟国に対する「善意」を信じるとしても、この値段は米空軍の平均的な調達価格を元にしたものでしょう。

 空自のように年に1〜数機程度の様なペースだと、とてもじゃないとこの値段にはなりません。米空軍だって調達数が少ないときの単価は極めて高くなっています。
 しかも米空軍向けの調達が終わり、空自向けだけの生産となれば尚更です。

 因みにイスラエルはF−35の調達を決定していますが、アビオやシステムを自国用に替えたために、一機当たりの調達価格は約200億円ほどと見込まれております。もっともF−35は依然開発中であり、いまだ価格は決まっておりません。


 最近米国政府および関係者が、F−22、F−35関連の情報をリークしているのはロッキード・マーチンの利益の確保というのもあるでしょう。
 が、一番の狙いは我が国の戦闘機の開発及び生産能力を潰すことです。
 F−2の生産はあと二年ほどで終わります。生産ラインを潰せばあとは好きな値段で売りつけることができます。

 何しろ我が政府と防衛省は思考停止で何も考えずに、盲目的に米空軍主力戦闘機が欲しがる、しかもオフセットも要求しない「鴨」な客です。

  戦闘機の開発能力を潰しておけば、あとはF−22だろうとF−35だろうと、自動的に米国メーカーから半永久的に戦闘機を丸ごと買ってくれるわけです。つまり「鴨」が「鴨ネギ」になるわけです。

 これが米国の狙いでしょう。


防衛省、次期戦闘機の来年度予算計上見送りへhttp://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090607-OYT1T00126.htm

>防衛省は2010年度予算の概算要求で、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の調達経費の計上を見送る方針を固めた。

 空自も防衛省も当事者能力が無くなっているとしか思えません。
 結局防衛省はF−22(しかも先方が売らないといっている)を購入を前提にしてきたわけで、それならばコンペなど必要ないわけです。
 初めから買う気がないのに「出来レース」コンペをすると海外メーカーの信用を失います。
 どこのメーカーだって金も人もつぎ込んでいるわけですから、そりゃ怒りますよ。初めからFXに興味を示さなかったダッソーが利口だったということになります。

 加えて、アパッチの調達中止もありますから防衛省の国際的な信用性は大きく毀損しています。これは防衛省だけではなく、政府としての信用を落とす行為です。
 本人達にその自覚はないのでしょうが。

 これだけ長い期間FXの選定が延びるのならば、そもそもFXって必要だったの?という話になります。
 ましてまだF−4を近代化して使い続けている国もあるわけですから、財務省がFX調達を認めない、F−4を使い続ければ、という話にまで発展する可能性もあるでしょう。

 浜田大臣は鼎の軽重が問われていると思います。

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
私自身は元来が親米派なのですが...F-2問題から一連のFX問題をずっと注視していて、今回ばかりは徹底的に値切り倒した上でSU-27系列(艦上機型)のライセンス生産を敢行し、航空母艦だって装備してしまうぞ、という強い意思表示をするのも、一つの選択肢なのではないかと思います。
F/A-18でも良いのですが、その場合は、中古でもいいかもしれません。
自虐的に書けば、海賊退治もろくに出来ない法制度の二流国家には、それなりにふさわしい装備で充分でしょう。
現実にA-4の近代化版も現役で空母運用している国もありますし、イスラエル製の電子装備で能力向上したF-4再生版でもF-4再生産(艦上機型)でもいいのでは?
あまりにも馬鹿馬鹿しいFX問題を見ていると、馬鹿馬鹿しい考えが次々と頭に浮かんできてしまいます。
M14
2009/06/09 17:26
米国は、財政赤字が深刻ですからね。いろいろと儲けるための兵器ビジネスを展開しそうですね。
長田ドーム
2009/06/09 22:04
幾ら何でもF−4は、限界でしょう。そういえば、先日NHKでFXの特集をしており、タイフーンの製造現場を映し出していました。向こうの方が、売る機があるみたいです。
まあ、アメリカにしろ欧州にしろ、アジアがきな臭くなってくれれば自分達の儲けがあると算盤をはじいているのでしょうが。
そういえば、シナ事変が起こったとき我が国と防共協定を結びながら蒋介石の国民党軍に兵器を供給して大儲けしていたナチスドイツの二股外交を思い出しました。
シロ
2009/06/10 00:14
高い玩具を欲しがるのもいいが法整備が先でしょう。北は未だに骨董品で頑張っているのに。
安物で十分
2009/06/10 07:21
中国の牽制する意味を含めての発言とも思えますが、狭い日本でレーダーに映りにくいのでOKなのか?
民間機と共用している空港もあるけど・・
「改修後レーダーにくっきり映るF22の雄姿が!」という事になるの?
オオタ
2009/06/10 22:32
F15サイレントイーグルか
ユーロファイターでよいです
F22はコスト高くて、国内ライセンス不可
しかも廉価版F22なんていらねぇ
n
2009/06/13 01:37
実戦投入されたわけではないので、難しいと思いますが、F-22の評価とはどんなものなのでしょうか。国防総省の背広組の方々は金食い虫と思っているのでしょうか?
調達機数を減らしたのも、実戦で活躍できる場所が少なくなったからではないかと思います。対地攻撃での費用対効果を考えると、F-35に軍配が上がるのでは?
F-22の評判
2009/07/03 11:36

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