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zoom RSS 陸自が海上輸送力の整備検討

<<   作成日時 : 2018/05/10 13:18   >>

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陸自が海上輸送力の整備検討、南西諸島で機動展開=関係者
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180508-00000074-reut-cn


>5月8日、陸上自衛隊が、独自の海上輸送力の整備を検討していることが分かった。中国の海洋進出をにらんで発足した水陸機動団などを南西諸島で機動的に展開するため、離島の小さな港に接岸したり、海岸から人員や車両を揚陸できる輸送艇の取得を計画している。


>複数の関係者によると、陸自は全長30メートル程度から100メートル程度まで、数種類の大きさの船を候補に調達の検討を進めている。南西諸島の離島間を行き来するには小さめの船が適する一方、日本本土から大量の物資や部隊を運ぶ場合は大きめの船が向いている。

>陸自にはこれまで船を運用した経験がなく、ノウハウの取得には海自のほか、自前で船を持つ米国、英国の海兵隊から支援を受ける必要がある。「船の建造は3年程度でできるが、人員の養成には7、8年かかるだろう」と、関係者の1人は話す。


この話は実は商社筋から3年以上前から聞いておりました。
ですからL−CATにしろ、ケイマンにしろ陸自にも提案してきていました。
ぶっちゃけ、海自が当てにならないという話です。
自民党は空母保有と併せて提案している揚陸艇とはこれをさしているものと思われます。
これは原則揚陸艦に収納するのではなく、独航をするものと認識されております。

業界筋によれば調達は輸入ではなく、ライセンス国産も検討されており、その場合輸出もあり得るとのことです。

ゆ同じもの、あるいはその派生型が選ばれる可能性がありますが、おおすみ級のウェルデッキは注水できないので、現状2隻が搭載できず、1隻だが搭載できるようです。

そもそも論でいえば、海自は揚陸艇を軽視してきおり、ビーチングができるLSTなどの類いを殆どもっておらず、LCACにたよるといういびつな装備体系になっております。
LCACの問題はリーフで運用するとゴム製のスカートが破ける、後進ができない、旋回に大きなビーチが必要であり、南西諸島には向いておらず、しかも運用コストが馬鹿高い。であればL-CATのような高速な輸送艇を選択すべきでしょう。

これまたそもそも論ですが、陸自は水陸両用機動団の編成にあたって、事前にろくな研究をしておりません。英海兵隊ですら調査をしていない。陸自が調査をしたのは、ぼくが5年前に英海兵隊の取材をした翌年、つまり4年前です。その頃には既に水陸両用機動団の編成の骨子は決まっていました。
既に概要が決まってからでした。

事前に英海兵隊を調査していれば、AAV7を調達するなどという胡乱なことにはならなかったでしょう。
英海兵隊は既に揚陸の主力をヘリに移しています。このためAW101が多数導入されています。

また主力の装甲車は汎地形対応の2連結装甲車、バイキングです。これはヘリによる空輸も可能です。
AAV7はビーチでしか運用できず、リーフや護岸工事された南西諸島には適しておりません。
AAV7を使うのであれば、沖縄本島や宮古島あたりでしか使い道がありません。これらの人口が多い島々が占領されて、民間人を巻き込んだ強襲上陸作戦をやるとしかおもえず、それでは想定している島嶼作戦とは違う話です。

AAV7を導入するよりもビーチングができる揚陸艇とバイキングを組み合わせた方が余程宜しいとぼくはこれまでもなんども申し上げてきました。そのような揚陸艇が導入されるのであればAAV7の有用性は更に低下するでしょう。

英海兵隊は陸上戦闘でも多用されます。装備や訓練がよく、隊員の質も高いからです。ですから、アフガン派遣部隊の主力も海兵隊でした。水陸両用機動団も恐らくはPKOなどにも派遣されるでしょう。その場合AAV7は持って行くことはできないでしょう。持っていっても図体がでかいばかりで役に立たないでしょう。


つまり、島嶼から揚陸艇の採用を前提であれば水陸両用機動団の編成は大きく変わっていたでしょう。
陸幕の当事者意識と能力が極めて低いと言わざるを得ません。
部隊を編成すれば莫大なカネが必要となります。そうであれば、事前の調査は十全に行うべきです。ところが実態は米海兵隊を横目でみて、ろくな調査もせずに、妄想だけで水陸両用部隊の編制を決めてしまったわけです。

一両惜しみの百両損というやつです。

水陸両用機動団は本年度から実際に活動するわけですが、今後いろいろな不備が浮上するでしょう。
メディアはこれを擁護するのではなく、どんどん指摘していくべきです。


■本日の市ヶ谷の噂■
陸幕は派遣後に自殺者多数が出たイラク派遣隊員の当時のカルテを、個人情報保護を名目に証拠隠滅のために廃棄したとの噂。

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コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
「ゆ同じもの、あるいはその派生型が選ばれる可能性があります」
ゆは消し忘れですかね?
上陸用舟艇と言えるのは海自がLCUを2隻しか持って無いんですよね。後はLCAC。昨年館山のヘリフェスタを見に行った時に公開していたんですが、聞いたら戦車は多分載せられない、今まで大きな物はトラック位しか積んだこと無いって言ってました。何の為にに使うのか聞いたらちょっとしたものの輸送位で決まった任務が無いような事を言ってました。しかも2隻...数だけ見ても何となくそれっぽいものを用意しましたって感じで陸自を載せての作戦は想定してないようでした。無駄なんじゃね?って感想です。そりゃ陸自が自前で揚陸艇を買いたい気持ちも分かります。本当に連携して任務を行うことを想定していませんよね。おおすみ型とかも陸自の人がイマイチ使い勝手が悪いと言ってました。確かに実際の構造を見ても甲板を使うと勝手が悪そうです。基本甲板はヘリしか念頭に考えて無かったのでは?陸自が主なユーザーという訳ではないのでしょうかね。

>個人情報保護を名目に証拠隠滅のために廃棄したとの噂。
廃棄しちゃ駄目でしょう。恐らく隠しているだけかと思いますが、この分だと「戦死者」は隠蔽されて出ないかも知れませんね...
やれやれ
2018/05/10 14:55
たしか、機動団本部庁舎前での記念写真には、エゲレスの軍人さんも写っていましたよね。エゲレスと繋がりを持つならケイマンの、あんな揚陸艇を大人買いし、そんな揚陸艇をたくさん積めて且つ、固定翼機やら回転翼機やらも飛び立てる甲板を持つ専用船も作らないと!(>_<)。あとエゲレス海兵隊というと、退役したウォートホグは、どうなったのでしょうか?



>「九五式軽戦車」里帰りなるか 1億円目指し資金調達スタート

http://trafficnews.jp/post/80413

1口1万円だったら寄付しようかな、なんて思いながら読み進めたら、1口10万円orz。何だか体の良いボッタクリに思えてきました。
KU
2018/05/10 19:07
 空自は「移動可能海上滑走路」とかを検討しなければ予算の分捕り競争から脱落するのではないかいな。

 適当な沖合に建設しておいて、地震に合わせて陸地から分離すれば「攻撃型空母の保有を目的としたものではない」と国民に言い訳できるかもしんない。
 通常固定翼機を運用するとして、全長は3.5kmくらいになるだろうか。

 技術的に可能であるなら、海上移動都市国家もありえる。

 名称は勿論「ひょっこりひょうたん島」である。


 
 
はて?
2018/05/10 21:15
清谷様

装軌式関節連結型トレーラー「バイキング」は、大量に生産され、各国で採用されえいるようですが、装甲は大丈夫なのでしょうか。

イギリス海兵隊では、装甲に関しては、問題になっていないのでしょうか。
ブリンデン
2018/05/11 07:14
英海兵隊では増加装甲を使用しております。
防御、機動力、火力、水上航行性能すべてを満たすことは物理的に不可能なわけで、何を諦めるか、でしょうね。
キヨタニ
2018/05/11 10:57
はて?さん
既にそれはメガフロートの実験で行われています。
小型機が離着陸できるレベルですが1000m程あったかと。
横須賀の港に浮かんでいましたが薄っぺらい板みたいな感じですね。
実証実験で使えることは分かったらしいのですが、
本格的な滑走路を作ると、とにかく構造物が大きくなりすぎて
複数の造船所で何年も掛けて作らいないといけないとか
金額的にもの凄く高くなりすぎるとかの大人の事情で
実用化はされていません。
滑走路だけじゃ無くエプロンも必要ですよね。
あと係留はできても移動はどうするのか、太平洋や日本海の荒れた海を移動できるのか、敷設できるのか、
分割して移動する案はあったかと思いますが、
再組立も大変でしょうね。
辺野古の代替にはできるかも知れませんが、
物がでかいだけに埋め立てより大変過ぎるのでは?
折衷案みたいな物が羽田のD滑走路で杭を打って
その上に滑走路を載せていますよね。
やれやれ
2018/05/11 12:28
そう言えば旧陸軍も潜水艦まで建造しましたね。やはり自衛隊は日本軍の末裔ですね(悪い意味で)
室の悪い軍事オタク
2018/05/11 16:59
>やれやれ=サン

 ジュール・ベルヌのスクリュー島(移動人工島)が理想なんですが(結末じゃないですよ)、アレが経済的に出来ないようではスペースコロニーなんてのは渚の夢のまた夢ですな。

 でも中国あたりが無理くり制作して、米国西海岸あたりに領空・領海権を保有する「島」として主張するかもしんない。 現在絶賛制作中の埋め立て基地は、実は浮体構造で、地震をきっかけに環礁から分離してしまい海流に乗って米国西海岸あたりで座礁するとかさ。
はて?
2018/05/11 18:24
> そう言えば旧陸軍も潜水艦まで建造しましたね。やはり自衛隊は日本軍の末裔ですね(悪い意味で)

室の悪い軍事オタクさん、いっそのこと、空自を廃止して陸自航空隊を、海自を廃止して陸自船舶司令部を創設し、陸自をベースとした統合軍を作って不毛な縄張り争いを解消しましょう。カナダ軍やベルギー軍のマネですw

海自をベースにするなら、空自→海自航空隊、陸自→海自陸戦隊でOK!
被本塁打大王
2018/05/12 07:47
軍研最新号に、三井物産エアロスペースの広告があったのですが、そこに掲載されていた製品が↓

http://www.borg.media/black-hornet-nano-is-smallest-military-drone/

これわ、いよいよ陸自もナノUAVを大量採用する日が近いのでしょうか?
KU
2018/05/13 10:47
イギリス海兵隊はヘリ揚陸を重視
とのことですが船がありませんが
いまどうしてるんでしょうか?
マルサ
2018/05/13 23:32
恒常的に業務があるなら、ラニーミード級みたいな揚陸艇を建造したらいいですね。くだらんミサイル艇は無くしてもいいだろうし、本来は海自に陸戦隊を作るべきでしょうね。
マリンロイヤル
2018/05/14 05:47
英軍はアルビオンもあるし、クイーン・エリザベス級も使えます。それと海兵隊や特殊部隊を収容し、運用できる水上戦闘艦もあります。
キヨタニ
2018/05/14 11:54
清谷様

陸軍=陸自に水陸両用部隊は果たして適切か?という命題ですが、結論から不適。旧日本軍では海軍陸戦隊、旧ソ連軍では海軍歩兵、中国でも海軍陸戦隊と海軍の隷属。アメリカ、韓国、台湾、イギリス、オランダは 独立軍種。陸軍が海兵隊を運用している例はありません。私の知っている限り。 つまり、海兵隊を管理・運用するには海軍の隷下か独立した軍種でないと機能しないという現実があります。陸軍では海上輸送力や揚陸艦を自前では確保できない、運用できないから。また海兵隊のルーツは水兵の取締りつまり艦内の憲兵の役割もあります。海外の軍人は陸自に水陸両用部隊を創設することに困惑と疑問を持っているに違いないと思います。
元キャプテン
2018/05/15 07:44
なぜオスプレイ等でヘリで空中襲撃するのか?自分なりに考察しました。
硫黄島、ペリリュー島、ノルマンディーでは第一派の上陸部隊の損耗が大。数字は不明ですが、私の認識では戦闘不能 ・部隊交代したと思います。揚陸艇から上陸した場合、敵の火力から集中攻撃を受け、隠蔽・掩蔽する地形地物が乏しい。敵の火力に脆弱だから。上陸作戦する前に航空優勢を確保しついる前提であるので 対空火力はほぼ破壊されているのでヘリで敵の守備部隊の後背に降着し、敵を孤立化して橋頭堡を確保する戦術ではないでしょうか? 少ない犠牲で戦果を得ることでしょう。
漫画空母いぶきでは特殊作戦群が与那国島に潜入し、対空ミサイルや対鑑ミサイル陣地を捜索・破壊し、第1空挺団が降下する作戦になっています。つまり空から殴り込みで十分、特殊部隊と空挺部隊で離島奪還の目的は果たせます。平成11年に硫黄島で陸海空の統合演習で第1空挺団が硫黄島に実証済み。まず日本では専守防衛が国是となり、外国の領土に上陸は想定されていないし、能力はありません。離島奪還では海兵隊を創設する必要がなく、特殊部隊と空挺部隊の能力強化で事足ります。費用対効果の観点からナンセンス。以上過去、軍事の分野で飯を食ってた者からの発言です。
元キャプテン
2018/05/15 08:28
お邪魔します。
 かつての日本で上陸作戦が旧陸軍下にあったのは、「当時の日本でまとまった陸上兵力を運用できるのは旧陸軍だけ」というのもあったと聞いた事があります。また旧海軍が専ら「押し寄せる"黒船"の撃退」を目指し、海上交通及び輸送にそれ程関心が無かった事も関係しているのかも知れません。つまり日本は「国防及び安全保障に於ける渡洋兵力の位置付けが未だできていない」という事なのでしょう。
 かつての軍艦は横腹に多くの大砲を並べていましたが、その後砲塔に変わりました。TVでフリーダムシップ構想を見て自分は「日本は島国なのだから、フリーダムシップのような超巨大船に陸上兵力を乗せて回らせた方が効率的なのではないか」と思いました。無論全部をそうしろとは言いませんし、魚雷やミサイルで一網打尽にされてもかなわないので、あくまで「後方基地」としての運用ですが。後大規模災害で交通網が寸断されても、沿岸部なら迅速に近づけるのではないかとも。
ブロガー(志望)
2018/05/15 22:55

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