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zoom RSS 次期戦闘機、F22主体に開発提案を歓迎していいか? 

<<   作成日時 : 2018/05/05 16:47   >>

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次期戦闘機、F22主体 ロッキード・マーチンが日本に打診
貿易赤字を問題視するトランプ氏の意向か
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30122900T00C18A5SHA000/


連休中にでる目を引くニュースは大抵、そのタイミングを見はからって出された観測気球であることを疑うべきです。
新聞社はニュースが枯れる時期なので、この時期に人目を引くネタは歓迎されるわけです。
そしてネタに関して批判的に裏を取ったり、分析りしないこともこれまた多いわけです。
ですから、この記事もそういう視点で眺めるべきものだと思います。


>FXは30年ごろから退役するF2の後継機だ。戦闘機の開発は10年超を要する。日本政
府は19年度からの中期防衛力整備計画(中期防)に向け、年内にも方針を決める。
>FXは総額6兆円規模の計画になるとの政府試算がある。整備や廃棄などのコストのほ
か、開発費と100機程度の取得費にそれぞれ1.5兆円かかるという内容だ。


まず、F−2の後継機と断言して宜しいものか。F−15Jの未改修機のほうが早めに能力と、耐用年数の問題がでてきます。仮にF−2とF−15J未改修機を1:1で調達するならば約200機のビックビジネスです。
陸自でも10式が74式の後継といいつつ、90式まで退役させる予定です。
どうも自衛隊の調達に関しては腰が定まらないことが少なく無いようです。

そしてコストもこれ楽観的です。確かに既存機の改良ですから、一から開発よりはコストが掛かりませんが、共同開発では揉めることもあり、F−2でもかなり開発費は高騰しました。
しかもF22よりもF−35はソフトウェアの開発にはより桁違いのコストが掛かっています。
新型機のソフトウェアのコストも相応にかかるでしょう。

また調達単価は150億円ということになりますが、F−22の調達単価はざっくり180億円程度でした(最大は260億円)。果たして自衛隊の例の調子の五月雨式の調達で、その値段が実現するわけはないでしょう。更に開発費を按分すれば予定通りでも一機300億円です。現実的にみれば、最低限に開発費を抑えても調達単価は1機200億円を割ることはないでしょう。果たしてそのような余裕があるかどか。

おそらくはF−22の機体にF−35のシステムを移植することをベースと考えているのでしょう。

> ロッキードは今夏にもF22とF35の混合型の開発計画の詳細をまとめる。ロッキードは
日本経済新聞の取材に「日米両政府とF2後継機の選択肢を検討することを期待している。
日本の安全保障に資する、革新的で費用対効果の高い技術を提供できる」と答えた。


さらに現状では米空軍もプログラムに参加するかどうか分かりません。仮に米空軍が参加して、日米で開発費を割り、また生産単価が下がるならばまだ実現の可能性はあるでしょう。
それにしても毎度の五月雨式の調達方式を変えないことには劇的な調達コスト削減は適いません。


更に申せば、戦闘機の技術移転に消極的な米国が気前よく技術移転をしてくれることは期待すべきではありません。特にソフトウェアやシステム統合については尚更です。

結局はアメリカの軍需産業に貢ぐだけ、という結果になりそうです。
しかも開発費や調達単価が高騰すれば必要な機数を揃えられない可能性も高いでしょう。

以前から申し上げているように、国内での戦闘機開発の基盤を残すとのであれば、ユーロファイターのライセンス国産の1択しかありませんでした。足が短いのはコンフォーマルタンクを日本用には搭載すれば宜しかった。独自の改良を加えることも可能でした。また欧州製機体を採用することで米国に対する交渉のカードも手にはいりました。
42機は中途半端なので、3個飛行隊、せめて60機以上にすべきでした。
ユーロファイターは基本制空用の戦闘機であり、兵装も多い。制空戦闘において数の不利を多少なりも補えます。

これまた提案しておりましたが、時間をずらして実用化されたF−35Bを導入する。この二機種を導入しながら、2030年以降を目指して、次期戦闘機を共同開発する。これが現実的な路線だったと今でも思っております。


現在の空戦は総合戦です。戦闘機に質と数だけではありません。
AWACS、早期警戒機、電子戦機、空中給油機、海自の護衛艦などとの連携が必要であり、その中でどの程度の資源を戦闘機に割くのかということが問題です。
前に書いたように、戦闘機の予算を低減するためにアラート専用の安い戦闘機の導入も一手でしょうし、機数を増やすよりも、搭乗員を増やして、常に全力の機体が出撃できることを重視するも手だし、沖縄に予備の航空基地をつくったり、空母を運用することも検討手段でしょう。
また戦闘機は制空に特化して、空自には対艦攻撃や対地攻撃を原則求めない、というのも一つの考え型でしょう。

つまり、戦闘機の調達は戦闘機だけの問題ではないということです。
更に申せば、過度の軍事面でのアメリカ依存が果たして国益に沿うのかどうかも検討する必要があります。

■本日の市ヶ谷の噂■
陸自のAAV7は40ミリのMk19ランチャーはFMSで調達されたが、12.7ミリ機銃はFMSで調達されず、多くのAAV7の12.7ミリ機銃は装着されていないとの噂。

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コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
トランプ大統領の意向を汲んで身の丈に合わない装備品を購入しても軍事技術を与えてくれる訳でも貿易で手心を加えてくれる事も有りません。

F-15jの未改修機の一部とF-2の後継機は、グリペンE/Fをベースとして塩害対策と長航続距離(戦闘行動半径1900KM程度)の能力を併せ持つ共同開発機か、F-16の塩害対策済み機しかないでしょう。

これからF-35の追加やらP-1、E2Dも購入しなければなりません。誰かさんのおかげでオスプレイやらプレミアム価格の型落ちグローバルホーク、鈍足水陸両用車の導入と予算を遣り繰りする限界を越えつつあります。これ以外の選択は余り多くは無いでしょう。
思いつくままに
2018/05/05 21:19
「調達単価は1機200億円を割ることはにないでしょう。」
ちょっと語尾が変ですね。削除し忘れでしょうか。

現行のF22をそのまま輸入したとしても200億は切れないでしょうね。
しかも武器は空自で使っているものは
使えないのでミサイルも輸入かライセンス生産か新規開発するしかありません。
機体もライセンスさせて貰えるか分かりませんが、
させて貰えても兆単位の金額を要求されるかも
知れません。
普通に考えたらLMから完成機を購入しか
許されない気がします。その方が米の雇用が増えてトランプの好む所でしょう。
いずれにしろ米空軍がこの話に乗ってこない
事には実現しそうに無い気がします。
日本に売りつける為だけに再生産し、
あまつさえ上位モデルになる戦闘機を
売ってくれるとは思えません。
さてどうなる事やら。

AAV7の機関銃、M2ではダメなんでしょうか。
それよりいつになったらリモコン式の機関銃を装備するのでしょうね。
海から上陸する時は危険な状況なのでは?
しかも車体が上を向くので機関銃を下に向けるには
車体から立ち上がって撃つ位でないと難しいと思うのですが。
まあドンパチの最中に上陸できる程頑丈な
車体には見えないので
そもそも杞憂かも知れませんが。
やれやれ
2018/05/06 13:09
> 以前から申し上げているように、国内での戦闘機開発の基盤を残すとのであれば、ユーロファイターのライセンス国産の1択しかありませんでした。足が短いのはコンフォーマルタンクを日本用には搭載すれば宜しかった。

ただ、ユーロファイターもいろいろ悪い話が耳に入っております。
https://dic.pixiv.net/a/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC

個人的には、同じ欧州機ならラファールを選定したかったです。ただ、製造元たるダッソー社が「どうせ米国機が選ばれるんでしょ?当て馬は御免蒙る」って空自F-Xに背を向けたのは非常に痛かった…orz

> これまた提案しておりましたが、時間をずらして実用化されたF−35Bを導入する。

> 前に書いたように、戦闘機の予算を低減するためにアラート専用の安い戦闘機の導入も一手でしょうし、機数を増やすよりも、搭乗員を増やして、常に全力の機体が出撃できることを重視するも手だし、沖縄に予備の航空基地をつくったり、空母を運用することも検討手段でしょう。

これらの提案については激しく同意します。
被本塁打大王
2018/05/06 18:31
やれやれさんが触れられている、某国内メーカー謹製のRWSも気になりますが、陸のあんなヘリのモックアップの納入ってどうなっているのでしょうか?装備庁のサイトを覗いてみても、未だに何も触れていないし・・・。




>防衛省、日本版「グローバルホーク」研究

http://newswitch.jp/p/12871

いざ装備化に向けて開発に移行します、なんてなったら、あんな国の大統領から、また横槍が入りそうですけど。
KU
2018/05/07 12:46
F-2後継機、無人子機搭載でなにをさせる? 「より高度な管制下で無人機の運用」とは
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180507-00010000-norimono-bus_all
防衛省は一体なにをやりたいのでしょうか?無人機を使いたいとは聞いていましたがその無人機はどこから調達してどの様に運営するつもりなんでしょう?記事にも書かれていますがTACOMと言う無人偵察機の試験をしていましたが何年か前にお蔵入りしました。1機は墜落していますしどうもあまり良い噂を聞きません。それに新しく無人機の実証機を作る話も聞きませんし他所から購入するのでしょうかね?UAVだってそれなりに信頼性の高いものを開発しようと思ったらそれなりの飛行機を開発するくらいの時間は必要ですし、偵察以外の目的なら爆弾なり電子機材なりを入れないといけないはずで開発も結構大変で更に金も時間も掛かると思います。

被本塁打大王さん、
実は私もラファール押しでまた当て馬にされてはかなわんと相手にもされないことが一番心配です。
本気で採用を考えているから岐阜からテストパイロットを派遣して同乗したり操縦したいとか本気度を見せれば少しは態度も変わってくれるかも知れませんけどね...
やれやれ
2018/05/07 13:50
連投ですいません。
防衛省、日本版「グローバルホーク」研究
https://newswitch.jp/p/12871
「コンピューター画面上で機体を設計するデジタルモックアップ技術を活用し、偵察機や戦闘機などさまざまな機種を念頭に複数の機体をシミュレーションし、飛行特性の違いや性能上の効果などを探る。」
内容もお花畑で苦笑するのみです。
シミュレーションに甘い夢を見ていますが、それは下地になるデータが十分揃っていて実用モデルを検証するに足りるシミュレーションのモデリングができている場合の話で、不十分ならトンデモな結果が得られます。そしてへんてこな機体が出来て飛ばしたら落っこちた、性能大幅未達とかになりがちです。
例え模型でも検証機を飛ばして下地を作っているのでしょうか?
そして今頃何を考えているのでしょうかね。
10年前には研究していてもおかしくない事ですよね。日本が買ったQR-4は触らせても貰えない様ですし当然中身を見たり参考にもできません。超長時間飛び続ける機体開発もさることながら中に入れるレーダーだのカメラだのあれやこれやはどうするんでしょう?民生品レベルならまだしもQR-4を超える物が詰めるのでしょうか?BAEだのTHALESだのとの共同開発でしょうか?
予算も数千億円単位で掛かると思うのですがどうするのでしょう?

ぶっちゃけラジコン大国だった日本なら早くからUAVに目を向けてても良いと20年以上前から思っていたのですが、実際には最後発ですよね...
中国などプレデターのパクリみたいな翼龍とか既に飛ばしてますし他にもUAVを沢山作っています。今年の珠海航天ではまた増えているでしょうね。日本はそんな動きすら無く突然今頃ぶち上げても間に合わないと思うのですが。
やれやれ
2018/05/07 13:52
東京防衛航空宇宙時評の記事を拝見しましたが、新戦闘ヘリ取得に向けて動き出したようですね。これでやっぱり、多用途ヘリにドアガンを積めば良くね?なんてオチになりました、なんてことにならなきゃ良いですけど。
KU
2018/05/08 08:08
やれやれさん

> 実は私もラファール押しでまた当て馬にされてはかなわんと相手にもされないことが一番心配です。

( ´∀`)人(´∀` )ナカーマ

ただ、ラファール導入で危惧されるのは、台湾のミラージュみたく高温や湿気にやられて稼働率が低下すること、米国同様部品交換等が遅延&高騰することが危惧されます。

【台湾の反応】台湾空軍のミラージュ戦闘機、訓練中に台湾北部の新竹県近くの海上に墜落。乗員2人は無事。
http://blog.livedoor.jp/v_w/archives/27249106.html

2017年11月09日
台湾空軍ミラージュ機の稼働率低迷が長期化、フランス製部品が遅配
http://taiwan-inoue.com/archives/4980261.html

本気度を見せるのも結構ですが、あんまり下手に出ると足元見られて高く吹っ掛けられそうなので、注意しましょう。防湿対策も万全にするよう要求しましょう。台湾と同じ轍は踏まない。

まあ、フランスは米と違い日本に軍隊を万単位で駐留させてないからその分強気に交渉できそうですが。
被本塁打大王
2018/05/08 08:20
被本塁打大王さん、
昨年も台湾のミラージュ2000が1機墜落してお亡くなりになっていますね。夜間と言うか時間的に夕方頃の様ですが。
実は昨年も新竹で行われた基地公開に潜入(笑)して祭りを満喫しておりました。生憎の雨でずぶ濡れになりましたが...それでも半ば強引に各種戦闘機の機動飛行とミッシングマンフォーメーションのミラージュ2000の編隊飛行がありました。意外と元気だなと思っていたのですが部品の入手は良くないのですか。現地で写真や資料を見る限りフランスとは良好な印象を受けましたが。あとラファールの大きな模型を展示していたので台湾側かフランス側か分かりませんが次期戦闘機候補として押しているのでしょうね。
ミラージュ2000は空軍型しか無いようなので塩害処理は弱いのかも知れません。ラファールは海軍型もあるので同じ対策ができればそれで良いのかも知れません。
ダッソーには冷たくあたっていたので海保向けファルコンをもうちょっと買うから機嫌直してって位でも良いのかも?
アルファジェットの攻撃型もCOIN機で導入検討します、
パトルイユ・ド・おフランスも呼んで日本でデモして下さい!お金出しますでも良いです。
後者なら欧州まで大金かけて遠征しなくて良いので
個人的には大喜びですが。最近見てないな...おフランス。
やれやれ
2018/05/08 15:41
>あとラファールの大きな模型を展示していたので台湾側かフランス側か分かりませんが次期戦闘機候補として押しているのでしょうね。

>ミラージュ2000は空軍型しか無いようなので塩害処理は弱いのかも知れません。ラファールは海軍型もあるので同じ対策ができればそれで良いのかも知れません。

台湾空軍がラファール導入したら、ラファールファンにとっては朗報ですわ!

ただ、尖閣防衛等我が国の国防から見ると手放しでは喜べない…orz
被本塁打大王
2018/05/08 17:17
お邪魔します。
 ある時グラマーな女性が知識人に「あなたの優れた頭脳と私の優れた体を持った子供が生まれたら幸せね。」と言ったら、その知識人はその女性に対し「自分の貧弱な体とあなたの貧弱な頭脳を持った子供が生まれたら不幸だ。」と言い返したという話を聞いた事があります。今回の件も「F22とF35の良い所取りの無双の戦闘機」を夢見ているのでしょうが、実際に作ったら「F22とF35の悪い所取りの残念な戦闘機」になるのではないかと思われます。戦闘機はあくまで「道具」なので「どういった状況で何をするか」でかなりの部分が決まってしまうものと思われますので。
米の兵器開発は「己が優勢または攻勢の状況下での戦い」を想定していると思われますので、日本もそういう状況を想定するのか否かも考えなければいけないでしょう。想定しないのであればスウェーデンのS戦車やグリペンのような「己が劣勢または守勢の状況でどれだけ粘るか」の兵器開発も参考にすべきでは。
ブロガー(志望)
2018/05/10 23:00

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