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zoom RSS 日本の中期防衛計画、最大の敵は財政上の制約、では無く政治の無知

<<   作成日時 : 2017/07/05 15:13   >>

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現在取引先のセミナー参加のためドイツに来ております。

日本の中期防衛計画、最大の敵は財政上の制約か
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-7902_1.php

<防衛能力の目標を達成するためにはGDPの2%に増やしてもまだ足りない>

>自民党の安全保障調査会(会長・今津寛元防衛庁副長官)は6月、次期中期防衛力整備計画(中期防、19〜23年度)に向けた提言の中間報告を決定した。最終報告は18年春までにまとめる予定だ。

中間報告の主な注目点は2つある。まず、3月に自民党が政府に提言した「敵基地反撃能力」の保有に関する検討開始を改めて求めたこと。NATO諸国が防衛支出の目安をGDPの2%としている例を「参考に」、防衛予算の適切な水準を決めるべきだとも提言している。その他の優先課題として、早期警戒衛星の独自開発、自衛隊のサイバー攻撃能力にも触れている。

>13年6月に出した提言は、現行の防衛大綱と中期防(13年12月決定)だけでなく、安倍政権の国家安全保障政策の方向性にも大きな影響を与えた。
>13年の提言は国家安全保障会議の設立、安全保障基本法の制定、防衛政策の基礎となる「国防の基本方針」に代わる「国家安全保障戦略」の策定など、安全保障政策に焦点を当てたもので、多くは既に実現している。垂直離着陸機オスプレイや強襲上陸用車両(AAV)の導入など、装備面の提言の多くは現行の中期防に組み入れられた。


>6月の中間報告は、具体的な参考例としてNATO諸国のGDP比2%という数字に触れた点で、過去の提言とは明らかに違う。だが日本の厳しい財政状況で、防衛費の大幅な予算増をどうやって実現するかは不透明なままだ。既に導入または導入を予定しているF35Aステルス戦闘機、無人偵察機グローバル・ホーク、オスプレイ、AAVなどの装備を考えれば、たとえ防衛費がGDPの2%に増えてもまだ足りないかもしれ

こういう動きに対して著者は以下のように述べています。

>今の日本に「欲しいものリスト」を膨らませ続ける余裕はない。防衛能力の目標達成を図る上で、新たな装備調達と既存の装備の近代化・更新のどちらの方が費用対効果が高いのか、真剣な議論が求められている。目標を達成できていない研究開発プログラムがあれば、中止の検討も必要になる。
>日本の防衛計画に予算の制約がある以上、競合する装備調達計画の間で「ゼロサム」方式の意思決定、つまり総量規制に基づく計画の取捨選択を迫られることは避けられそうにない。
>中間報告をまとめた議員たちは「欲しいものリスト」に新たな装備を追加するよりも、将来の防衛計画のために困難な、だが必要な議論を始めたほうが賢明かもしれない。


 率直に申しあげて、自民党のセンセイ方の見識は2ちゃんねるあたりに巣くっている程度の低い軍オタ程度であることが国防上最大の弱点です。問題は当事者にその自覚がないことです。

 第一に自衛隊と軍隊の違いを知らない。自衛隊=軍隊と思い込んで景気のいいことをいっているわけです。ところが、自衛隊には軍隊にはない法的な規制が多々あり、これらがあるために軍隊と同様の行動はとれません。ところがそれができる前提でセンセイ方は議論されている。これは砂上の楼閣であります。

 そもそも軍隊と同じ活動ができるならば、憲法改正なんぞ必要ないでしょう。ところがその反面、現状では不味い、だから憲法を変えるのだと仰ります。
 これは完全な自己矛盾です。そして憲法を変えれば、すべてが魔法のように上手くいくという幻想すらお持ちです。それって、社民党やら共産党の平和主義と同じぐらい蒙昧で、いわゆる「お花畑」なのですが、当人たちには自覚がなく、自分たちは現実主義者であると思い込んでいるから病が深いわけです。

 小泉内閣ではこのような自衛隊を縛る法的な問題の解消に取り組み、いわゆる有事法、国民保護法が制定されました。これは栗栖統幕長の超法規発言以来、初めての取り組みでした
 この法改正で多くが変わりましたが、依然自衛隊を縛る法的な規制は少なくありません。ですが小泉内閣以降、民主党政権、二回の安倍内閣においても、それ以上の法改正がなされていません。


 例えば有事法によって、それまで使用ができなった野戦病院が戦時に使用できるようになりました。それまで演習でしか使用できず、有事に使用すればモグリの病院となり、不法行為を行うことになったわけです。
 戦時に持っている野戦病院が使用できない、このようなブラックジョーク的な問題が一つ改正されたわけです。ですが未だに個々の隊員がモルヒネなどの痛み止めやらを携行できず、衛生兵は医官の指示がなければ投薬、注射でもできません。
 多くの医師法やら薬事法の制限があって、自衛隊のメデックは軍隊の戦傷医療としてはお子様レベル、お医者さんごっこレベルです。途上国から見ても遙かに劣ったレベルです。

 つまり自衛隊では戦時に戦傷で隊員が死傷をすることを前提としていません。
 その前提で開発、調達される装備が果たして実戦的であるはずがありません。少なくもともそのような前提で調達された装備の実効性を議員は疑うべきですが、多くの議員がそれをしません。
 ぼくはこのことを繰り返して述べてきました。

 ですが、センセイ方の多くはこのような現実を知りません。自衛隊は軍隊と同じレベルで活動できると思い込んでいるわけです。
 ですが、実戦で被害が出た場合、自衛隊は多国の軍隊の何倍も損害をだし、負傷した隊員は苦しみにのたうち回りながら、死んだり手足を失うことになります。
 この状態で駆けつけ警護を命じるのは、まるで無責任にインパール作戦を命じた大本営みたいなものです。

 このような異常な自体を与党は長年にわたって放置してきました。はっきり申し上げて無責任です。


 そして、アメリカ様の新しい兵器やら国産の新しい兵器を入れれば国防が強化されると思い込んでいます。これまたそこらの軍オタレベルです。
 それは「予算」とか「貨幣経済」という概念がない「土人」だから言われても仕方ないでしょう。

 防衛予算には上限があります。ですから同じ予算レベルでより高度で高価な装備、あるいはそれまで存在しなかったネットワーク化などを導入すれば予算が足りなくなります。

 多国では部隊や人員を削減して対応してきます。これは先進国だけではなく,毎年予算を大きく増やしている人民解放軍でもやっていることです。
 ところが国家防衛よりも組織防衛を第一に考える自衛隊では部隊縮小することを殆どしませんでした。人員削減にしても今世紀に入ってやったことは、部隊の定数を削り、また「契約社員」である任期制自衛官を危険な暗い減らしていることです。 このため部隊は10倍に薄めたカルピス状態で実戦能力はかなり低くなっております。

 しかも人件費の高い「正社員」たる曹以上将官に至る人員は逆に増えています。
 更に申せば、いったん「正社員」になれば定年まで身分が保障されています。このため平均年齢が高くなっており、人件費も圧迫されています。
 対して将校の予備役は殆どおらず、パイロットの予備役などはほぼゼロです。



 そしてたいした考えもなく、アメリカ様のご機嫌を取り結ぶためか、ろくに調査も研究もしないでオスプレイ、グローバル・ホーク、F-35A、AAV7などのアメリカ様の新兵器を調達したことによって、既存の部隊から人員を引き抜き、しかも極めて高い維持費を払うことになります。それらの費用が既存装備の整備予算を削ることに也、自衛隊の装備の稼働率を大きく下げることになっています。

 ところが実は各幕僚監部では実は、装備の稼働率を把握していません。各部隊で把握しているが、それを吸い上げておりません。
 以前内局でちらっと調べた程度で、防衛省全体として装備の稼働率は把握されておりません。
 だから防衛省、自衛隊は装備の稼働率に無関心です。

 永田町のセンセイ方はこういうお寒い現状を知った上で、勇ましい発言をされているか、大変気になることです。

 もう一つの問題が装備調達のコスト高です。
 性能がオリジナルより劣って値段は10倍もする機銃を調達することに何か利益があるのでしょうか。
 良く稼働率の高さや有事の増産がメリットだと言いますが、本当でしょうか。
 平時の現在でも陸自のヘリの稼働率は5割程度です。そして国産兵器といえども輸入コンポーネントは少なくない。平時からこれらを備蓄しているわけではありません。しかも下請け企業も含めて、有事に熟練工を増員して、何倍も生産力を上げる体制はありません。
 整備だけならば国内に整備拠点があれば問題は無いはずです。

 戦後直後の国産兵器の推進がその後、なんら現実を見直すことなく、単なるスローガンとなり、形骸化しております。率直に申し上げて国産装備の調達自体が目的化しているだけです。

 別に国産を否定するつもりはありません。特にコアな技術に関しては開発生産基盤の維持は重要です。ところが現状は優先順位をつけられず全部大事、しかも国産の錦の御旗にして、効率性が全く無視されています。これでは予算がいくらあっても足りません。
  
 そして輸入も実はコストが高いのが現状です。これはダラダラと調達を行うためです。毎年単年度予算で翌年のオーダーがあるかどうかも分からない、しかも調達数も期間もわからない。これでは事業計画の立てようがない。近年では自衛隊との取引をやめる外国企業もでています。


諸外国のように始めにサプライヤーと調達契約を結びません。諸外国では調達数、調達期間、総予算が議会でオーソライズされて調達が始まりますが、我が国では国会が調達数も調達期間も、予算額も知らされずに、調達や開発の決定をして初年度の予算が下りて調達が決定してしまいます。
 これは民間は、勿論、諸外国の軍隊からみても極めて異常ですこれを無責任だと永田町のセンセイ方は思わないのでしょうか。

 そしてこの件とリンクしているが秘密会議が開けないことです。国会では秘密会議が開けないために防衛・外交委員会でも役所がまともな資料をださない。出すとすれがあっという間に外部にもれるからです。
 換言すれば役人が政治家を蚊帳の外において仕事をする言い訳となっています。
 これでは外国から信用されません。

 これで文民統制が効いているといえるでしょうか。そう思っているのであれば随分とおめでたいとしかいいようがありません。

 
 こういう秘密会議が開けないという間抜けな状態が今も放置されているわけですが、共謀罪よりも議員、官僚の守秘義務の強化を行い、秘密会議ができるようすべきです。

  繰り返しますが、予算を増やす前に自衛隊を縛る諸法律の改正、そして国会で秘密会議を開けるようにして、国会銀が予算をキチンと精査する体制をとることが先です。アメリカの10倍も高い機銃を平然と買っているという頭がおかしいレベルの金の使い方を是正するべきです。



Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。

海自ヘリ選定巡る下克上と内局 その1
http://japan-indepth.jp/?p=34774
海自ヘリ選定巡る下克上と内局 その2
http://japan-indepth.jp/?p=34784
海自ヘリ選定巡る下克上と内局 その3
http://japan-indepth.jp/?p=34792





『キノコホテル創業10周年記念大実演会<サロン・ド・キノコ〜飼い慣らされない女たち>』
2017年6月24日 at 赤坂BLITZ

https://okmusic.jp/news/186265








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内 容 ニックネーム/日時
軍隊=公務員
自衛隊=暴力団

ところが、この話をすると怒り出す自衛隊のエライ人達がいるのには困ったものです。なんで、みんな現実を見ようとしないんでしょうか。
ひゃっはー
2017/07/05 21:44
今晩はチャイカです。
主様のご指摘なのですが、些か気になる処があり、
投稿させて頂きました。

>2ちゃんねるあたりに巣くっている程度の低い軍オタ程度、以下、略。

以前にも言及しましたが、アソコは玉石混交です。なぜなら、過去、海外での実弾射撃スレで、定番のグアムなどだけでなく、96年に統一された銃規制法が制定された中国や崩壊直後の混乱期を脱しつつあった旧ソ連圏で、軍用小火器、それもRPG-7の様な代物すら、民間の邦人旅行者が現地で実射した投稿等もありましたから。

>第一に自衛隊と軍隊の違いを知らない
中米の軍隊廃止国コスタリカは、ある意味、日本に近いです。しかし、その彼らも日本の自衛隊同様、公安部隊(Fuerza P&uacute;blica)や諜報機関のDISなどが存在しています。しかし、諜報機関のDISですら、同国の警察法13条では、国家安全保障上のコスタリカ大統領の情報機関として機能する警察力としており、他国軍と異なる法的規制下にあります。

しかしながら、彼らはドミニカやニカラグア内戦に介入していましたし、今も中米で有力なソ連式自動車化歩兵部隊を有するニカラグアとの国境問題で、相手側に一歩も引いてはいません。また、下手なテロ、ゲリラ組織よりも、残虐非道で、極悪な麻薬組織相手に勇敢に闘ってもいますが。

此処まで、非武装国家コスタリカにおける警察の武装 ぱらみり(準軍事組織研究) @paramilipic https://togetter.com/li/824374 参照。

ですから、日本もその気になれば、それなりの事ができるのでは?



チャイカ
2017/07/05 21:54
続きます。
>自衛隊では戦時に戦傷で隊員が死傷をすることを前提としていません。その前提で開発、調達される装備が果たして実戦的であるはずがありません。

確かにモルヒネなどについては、麻薬及び向精神薬取締法で厳重に規制されています。医師や歯科医師、獣医師等だけでは駄目で、同法に於ける麻薬施用者の資格が必要です。麻薬は、付け焼刃かつ、生半可に取り扱えるモノではありませんから。しかし、その反面、日本は防空レーダーシステムなど、極めて高度の技術の塊を国内で開発〜運用まで行う能力を持っています。また、J/FPS-3〜4等はデコイを装備しており、対レーダーミサイルを妨害する電子戦にも対応しています。是は相手側の攻撃に対し、チャンと配慮していませんか?それに防空任務は常時、実践的な能力を要求されますが、我が空自は少なくとも24時間営業を辞めたスイス空軍と異なり、今も尚、5分待機が維持もされています。

如何でしょうか?
チャイカ
2017/07/05 21:54
チャイカさん
レーダーの性能が良くても、日本は島国でレーダーを縦深に配置出来ないので、死角が生まれてダメなんです。
マリンロイヤル
2017/07/06 21:52
とりあえず・・・

不幸行為を行う→不法行為
極めて高い威肘→維持費

今回の誤字はこんなところでしょうか。
訪独お疲れ様です。
まあ、それはさておき、現状で国防予算を倍に増やしたところで、正直なところしょーもないモノを「国産の超兵器でございます」とばかりに調達しようとするのは目に見えていますね。
比較的まともな装備を持っているのは特殊作戦群ばかりなり、という事態はちょっと笑えません。
前にカールグスタフの更新が話題になりましたが、一度あちこちで開かれている見本市に出せるだけ人員を派遣して最新の兵器事情をしっかり情報収集させるべきですね。(これって昔からキヨタニさんが指摘してましたね、未だに退官前のお偉いさんのお疲れ旅行なんでしょうか?)
拳銃・小銃・機関銃・狙撃銃・医療品・軍装・携行食糧と特に陸自が学ぶべきものは山ほどあります。
どれも改良・更新が進んでいませんし、軍用散弾銃も一般部隊に配備されていないのは相変わらずのようです。
海自や空自も海外の武官と交流して己の実情がどうなのかをもっと学ぶ機会があるはずです。
中国軍より不勉強な事でどうして国防を全うできると思えるのか不思議です。
八王子の白豚
2017/07/06 23:10
>レーダーの性能が良くても、日本は島国でレーダーを縦深に配置出来ないので、死角が生まれてダメなんです。

チャイカですが、マリンロイヤル様からのレスありがとうございます。唯、広大な国土を有する米露中3大超大国は その辺境等に、縦深と数量のある整った防空網を構築するのは難しく、その網には穴がないとは言えません。一方、僅少な面積のシンガポールは、E-2Cが配備されるまで、地上のレーダーサイトで、国籍不明機を探知し、その迎撃に当たるまで、僅かな時間しかなかったと言います。それに比べるならば、まだ日本の防空網は…。ですから、この問題については、AEWやAWACSの配置などで緩和できませんか?

>現状で国防予算を倍に増やしたところで、正直なところしょーもないモノを「国産の超兵器でございます」とばかりに調達しようとするのは目に見えていますね。

八王子の白豚様のこのご指摘なのですが、現在、日本の歳出の多くは社会保障関連費が占めています。ここに手を入れない限り、防衛費倍増は困難です。
しかし、その是非は於いても、その実現が出来れば、BMD関連に多くのお金が掛かっている現状の緩和ができるでしょう。

それに、先にも述べましたが、日本は防空レーダーシステムなど、極めて高度の技術の塊を国内で開発〜運用まで行う能力を持っています。そして、国産のJ/FPS-5や7などの性能は優れています。仮にこのようなシステムの導入や維持について、輸入に頼ろうものなら、現状よりも目も当てられない結果に終わるのは確実です。尤も、まだ小火器や医療分野などに問題がないとは言えませんが。





チャイカ
2017/07/07 08:47
後、最新の兵器事情や海外の武官との交流による情報収集は重要ですが、その反面、日本は、日米安保体制下にあり、在日米軍が存在しています。彼らは実践的で、そこから学ぶべきものは多いし、既に日本側もその情報収集を行ってはいます。古い話ですが、イージスシステムが導入されだした頃、米側はその運用情報の提供に制約を加えていました。しかし、日本側は彼らのやり方をそばで観察し、自己学習することで、その穴を埋めていきましたから。

ですから、我が方もそれなりの努力を行っていますし、是をより推進すれば良いかと。
チャイカ
2017/07/07 08:48
高性能なイージスシステムを持っていても、そのイージス艦に軍医がのっていない。米軍から真面目に学んでいたらそんな胡乱な状態を放置していませんよ。
キヨタニ
2017/07/07 14:38
おや、こちらでもチャイカさんにお目に(?)かかる、同じ投稿者とお見受けしますが、どうぞよろしく。

さて、またぞろ古い話で恐縮ですが。
三木内閣の防衛庁長官だった坂田道太の指示で、我が国の防衛力の長期的な整備目標を策定したのは、防衛次官の久保卓也であったが。

そこでの状況想定は、「限定侵攻」に対抗するための、「基盤的防衛力整備」であり。一貫して「平和時の防衛力整備」を目指すものでありました。

なぜなら、周辺国のあらゆる軍事的脅威に対抗しうる、「全脅威対応型の所要防衛力」を希求するならば、防衛費は天井知らずになるからである。

ならば、自分で「キャップ」を頭にはめるがごとく、「専守防衛のその先」は米軍の来援と爾後の正面対処を前提にする、防衛力整備の限界設定であった。

この「限定的侵攻」と「基盤的防衛力」と言う方針に従って編まれた、昭和51年『防衛白書』にいういわゆる「51大綱」は、「状況認識が甘い」「国際情勢と符節が合わぬ」等と散々な批判を浴びた。

現在から思い起こすと、意外なほどに当時の世論は硬派であった。(つづく)
yakozen888
2017/07/07 15:35
「51大綱」で示された防衛力の上限は、
陸自は定数18万人、海自は4個護衛艦隊(護衛艦60隻、潜水艦16隻から成る)、空自は作戦航空機430機と言うものであり。

併せて示されたのが、相当する防衛関係経費がすりあうGNP(ないしGDP)の1%を超えないとする「1%ルール」で、これらが正式に閣議決定された。

ところが「51大綱」を策定した際、野党に国会答弁として「自衛隊の仮想敵は存在しない」と言質を取られてしまったため、これが政府見解として固定化し。

当時の極東ソ連軍に対抗する防衛正面であった、北海道への陸自の重点配備が政治的に説明できず。

米海軍隷下の補完戦力として潜水艦掃討に重点を置いた海自、列島周辺の全方位的防空警戒を主眼とする空自との、協調が取れない仕儀となってしまった。

坂田道太の手記などを読むと、1国の防衛力構想がこんなことでよいのかと、驚きと疑念を抱くのだが。

要するに、「51大綱」では保有する防衛力のトータルとしての意味は問わない(!)こととし、陸海空の個別ごとに戦闘能力の達成目標を設定しながら、装備の整備・維持及び隊員の教育・訓練を行うものとしたために。

あたかも陸海空自衛隊が、ばらばらの防衛戦略を擁するがごとく、となってしまったのである。(つづく)
yakozen888
2017/07/08 14:06
お邪魔します。
 久しぶりに山本七平の本を買ったら「社会は個人の算術的合計ではないというのは社会学の基本であるが、それを認めないのが戦後の日本である」といった事が書いてありました。この「算術的合計」というのがキーワードでないかと思われます。兵力を「算術的合計」でしか考えられないから、「強力そうな兵器を買い集めさえすれば兵力がアップする」としか考えられないのでしょうし、「個々の隊員の頑張りの算術的合計=組織としての自衛隊の強さ」ぐらいにしか考えられないから、「医療の拡充=生命身体を惜しんでいる=頑張りが足りない」としか考えられず、「医療の拡充=戦争をやりたがっている=そんな連中がいるから平和にならない」と考える連中とのダブル攻撃で自衛隊の医療が劣悪なままになっているのではと思われます。無論大部分の人間はきちんと説明されればそれを理解できるのでしょうが、日本が「目先の摩擦の回避が全て」という社会であるため、理解できる多数の人間ではなく、理解の無さが突き抜けている少数の人間によって動かされ続けるのでは(突き抜ける程ではない無理解な人間は除け者にされるか)。
ブロガー(志望)
2017/07/08 22:54
チャイカですが、yakozen888様からのご挨拶ありがとうございます。此方こそ宜しくお願い致します。

>高性能なイージスシステムを持っていても、そのイージス艦に軍医がのっていない。米軍から真面目に学んでいたらそんな胡乱な状態を放置していませんよ。

確かに是は問題でしょう。
もう無くなったのですが、神戸〜天津間を運航していた国際貨客船の燕京号。それに蘇州號、新鑑真と言った民間船ですら、船医が搭乗していますから。
因みにこれらの船に乗った方によると、海が時化た
時、中国人の船医(これらの船は中国籍)が酷い船酔いの乗客にずっと付ききりでしたし、船医からも船に乗ると決めた時から死ぬ覚悟はできていると。

唯、日本の場合、自前で、医官や看護要員を養成し、予備自衛官補などで外部からも招聘しています。しかし、看護師不足が言われて久しく、医師の場合でも、公立病院では、臨床医制度の実施などにより、その確保がむずかしくなっています。事実、大阪の松原市民病院等では、医師不足で、その後…。

この現状を緩和するには、関連法の改正だけでなく、法改正に至らなくても、現行の予備自衛官補の制度などだけでなく、民間の医大生や看護学生への奨学金給付他で、人員確保をより図る事も出来るかと思います。

しかし、防衛省の研究費助成ですら、非難される現状では・・・。
チャイカ
2017/07/09 07:58
道交法なんかも何とかならないものですかねと思います。装甲車両の開発において、いわゆる「非関税障壁」のような働きをしているようにも感じられます。「諸外国には日本の道交法に適合する車両ってないよね、じゃあ国産するしかないなぁ」ではなく、例えばそこは法改正をして自衛隊の車両が平時でも道路を通行できるような制度を作る可能性をなぜ検討しないのか、と。
ふきのとう
2017/07/14 15:36
道路法の政令などでも在日米軍は除く、と書いているところもあります。これに自衛隊と加えるだけでいいのに、不思議な話です。
キヨタニ
2017/07/14 16:18

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