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zoom RSS 機動戦闘車が陸自を弱体化させる。

<<   作成日時 : 2016/09/04 14:53   >>

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 機動戦闘車は16式機動戦闘車と命名され、本年度の36輌の調達に続き、来年度概算要求でも33車輌という大量の要求がなされています。


 ですが、機動戦闘車は無用の長物です。無用どころか有害であり、予算と人間を喰って自衛隊を弱体化させます。

 本来現防衛大綱では戦車を300車輌まで減らし、浮いた予算や人員を他に振り向けるとの趣旨のはずでした。

ところがゲリコマ対処や島嶼防衛に必要だということで、10式戦車に続いて16式機動戦闘車まで導入されました。本来戦車を減らしたカネや人を他の分野に突っ込むことができたのが、それができません。陸自は国防よりも各兵科の組織防衛と天下り先の確保を優先しました。


それでいて、オスプレイは導入するAAV7も入れる、兵站も強化する、無人機やネットワーク、情報化も強化するといいます。どこにそのような予算と人員がいるのでしょうか。しかも兵隊さんの充足率は今も低いままです。

陸自は、機動戦闘車は戦車ではないといいます
なのに過大な105ミリ砲を搭載しています。人口の7割が都市部に集中する「我が国固有の環境」を鑑みれば76ミリあるいは90ミリ砲など、より小さな砲が望ましい。そうであれば、もっと軽い車体、例えばC−130輸送機で空輸可能なにまったはずです。28トンではC-2でもギリギリか危ない重量であり、離島への空輸は殆ど不可能です。

しかもゲリコマ用としては防御が弱い。ゲリコマ用に必要なのは敵の攻撃に耐えられる動くトーチカです。既存の戦車を強化してIEDやタンデム弾頭の対戦車ロケットなどに対処できるようにしたものが適しています。

ところが機動戦闘車では携行型の対戦車兵器で簡単に撃破されます。

他国では市街戦用のドーザーや増加装甲キットを装備した車輌もありますが、機動戦闘車にはありません。

しかも市街戦で必要とされる多目的榴弾も開発されておりません。
実際問題として機動戦闘車は装甲がペラペラな戦車に過ぎません。つまり機動戦闘車は早く走れるだけの、劣化した旧式戦車にすぎません。74式を近代化した方がはるかにマシでした。

とどのつまり、陸自には戦車の運用能力がありません。また戦闘組織として何が必要で、何を諦めるかの決断もできません。

大変失礼かと思いますが、陸自に戦車を与えるのはサルにPCや自動車を与えるようなものです。戦車というバナナさえあればハッピーなおサルさんです。

昔から戦車だけを偏愛し、他の装甲車両や弾薬の調達、兵站には無関心で、北海道にしか敵は上陸してこないなどといって戦車を北海道に集めていました。
それは願望でしかなく、前の戦争もその願望を元に作戦を立ててボロ負けしました。のみならず多くの「陛下の赤子」が敵弾ではなく、飢餓や病気で命を落としました。

その戦訓をまったく理解しないおサルさんに、戦車という火の出る玩具を税金で買ってあげる必要はありません。適切に機甲戦力を保持できないのであれば、陸自の機甲科は潰したほうが宜しい。戦車という玩具を取り上げれば悪さはしないでしょう。
ぼくは基本的に小規模でも適正な機甲戦力、戦車は維持するべきとの意見ですが、何しろおサルさんにそれを要求するのは無理というものです。
おサルさんを追放し、歩兵用装甲車両、C4ISR、衛生、兵站などにアセットを分配するほうがよほど陸自の能力は強化されるはずです。いや、おさるさんの方がまだましです。おサルさんが食べるのはバナナであって、税金を貪り食ったりしませんから。戦車や戦車もどきにカネをすてるならば、奨学金や片親家庭の支援に税金を使うべきです。




span style=font-size:larger>週刊朝日のゴジラ記事に寄稿したのですが、石破茂氏へのインタビューとぼくのコラムのサマリーがそれぞれネットに掲載されています。


石破茂・元防衛相「シン・ゴジラ」“防衛出動”苦言の真相を語る
https://dot.asahi.com/wa/2016083100229.html
軍事ジャーナリスト「シン・ゴジラ」の“自衛隊装備の弱点”を指摘
https://dot.asahi.com/wa/2016083100233.html


Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
記事「もしゴジラが上陸したら?」にモノ申す

http://japan-indepth.jp/?p=29895


東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました
「シン・ゴジラ」で戦う自衛隊はリアルなのか
白熱の戦いに登場する兵器を分析してみた

http://toyokeizai.net/articles/-/133280

Japan in depth に以下の記事を寄稿しました。
オリンピックでドーピング、何が悪い?

http://japan-indepth.jp/?p=29562
IRONNAにいかの記事を寄稿しました。
安倍総理よ、憲法改正は「魔法の杖」ではない

http://ironna.jp/article/3795




















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コメント(19件)

内 容 ニックネーム/日時
動くトーチカにするのであれば、まだ10式の方がマシですね…
物の見事に予算の使い方が下手な防衛省。
並行予算配分で、国民からの批判を受けないと踏んでいる。
のっけから機動戦闘車など金の無駄遣いと分かっていたのに。
頭悪い者が省内に多いんですかね…
通りすがり
2016/09/04 17:01
清谷様へ

学習能力皆無の業界で働いていた者です。
組織防衛しか考えない〜、だって顧客がいないし、評価されないし、精強だ! とオナニーしていればいい業界でしょう。自閉隊だから仕方ないでしょう!組織自体目標がないんだから。例えばシェア拡大、顧客獲得、事業拡大、メガヒットの商品開発とかがないんだもん。
荒れたボンクラ底辺高校と同じでしょ!大部分の隊員はその出身の集まりか! 自衛隊の内部でも社会保険庁や原子力保安院をバカにしている輩もいますが、同じ穴のムジナですよ!自分のこと棚に上げて。
でも、中にはまともな頭を持つ人もいますが、報われない。カルト集団ですよ!全く!
元キャプテン
2016/09/04 18:42
清谷様へ

次期衆院選挙に工藤さんが出馬されます。元2陸佐で八戸出身、偵察隊長〜統幕 運用部〜幹部学校教官を歴任し、昨年民主党の公募、退官後 八戸で田名部候補の選挙参謀を務め、当選。次期衆院選挙は議長の大島代議士と対決。
関係ない話題ですが、野党民進党にも 防衛政策のブレーンの人材を獲得しました。安保法制廃案の論客でしょう。
野党にも防衛政策に精通している政治家が生まれるのは防衛省にも緊張を与え、抑止力にもなるのではないでしょうか。
元キャプテン
2016/09/04 18:53
お邪魔します。

 『丸』に九七式中戦車について「目の前の中国大陸での戦闘のために"とりあえず"採用されたが、旧陸軍は『如何に戦車を使うか』を決めきれず、後継の戦車開発は迷走し、"とりあえず"採用”され、味方の歩兵のために敵機関銃網を突破するための戦車で、対戦車戦闘はあまり考えられていなかった?九七式中戦車で最後まで戦わざるを得なかった」といった事が書かれていました。陸自も「どう戦うか、如何に戦車を使うか」など無く、”とりあえず”で戦車や機動戦闘車を作っているのではないかと思われます。兵器の有用性はその使い方に負うところも多いはずなのですが。

 それとレイセオン社がM1戦車の前のM60戦車120ミリ滑孔砲を乗せた戦車を作ろうとしていると聞きました。装甲については特に触れていないそうなので、M1戦車(第三世代戦車)とはやり合えなくても「歩兵の盾」として一定の役割は果たせるのか、それとも「走る棺桶」になるのかと思います。それと機動戦闘車のような車両は「地続きで相手戦闘車両が直接入っている国が、味方戦車の到着までの時間稼ぎに使う」のが適当と思われます(イタリアのチェンタウロがそう?)。
ブロガー(志望)
2016/09/04 19:10
機動戦闘車といえば、例のMAVでしたか、自走迫撃砲や装甲救急車といったバリエーションの開発はどうなったのでしょうね?機動戦闘車よりも、そうした装輪装甲車のほうが最優先な気がしたので。もしかしてコマツが受注した装輪装甲車(改)に集約されたのでしょうか?
KU
2016/09/04 20:03
ぶっちゃけた話、10式戦車だの16式機動戦闘車だのを買うカネとヒトの枠があるならイスラエルからメルカバMk4を買ってくれば良かったんじゃないんですか?
ヘロンTPの絡みで協力体制が出来るならゲリコマ対策として微妙な10式戦車や16式機動戦闘車を揃えるより現実的だと思いますけど。
で、キヨタニさんも記事に書いていますが、16式は小口径砲や口径の大きい機関砲を装備オプションにすべきでしたね。
105oで中国やロシアのMBTと派手に撃ち合うつもりなら退役予定の74式を徹底改修すれば十分な物ができるでしょう。
それこそイスラエルに必要な機能とかをオーダーしてお任せで改修してもらえば現場にとっても良い物が出来そうです。
八王子の白豚
2016/09/04 20:24
10式も必要かどうか悩むところですが、これはそれ以上に不要な装備ですね

日本の防衛力強化という観点からではなく、特定の人々の要求に沿った形のように私には思われます
大卒無職
2016/09/04 20:55
機動戦闘車って、敵にしてみれば倒す必要すらない目標になりかねませんね。
タイヤは、ちょっと道路破壊されるとどこにも行けませんから。
災害の影響と比較すれば、日本国内がどれだけ道路の破壊活動に弱いかが分かるはず。
敵に道路破壊されて、じゃあ91式戦車橋を派遣して通すとなったら、
結局74式戦車でいいじゃんって事に・・。
陸自が新しい運用と戦術を発想できないと、足手まといになりかねません。
張り子の虎にウンザリ
2016/09/04 21:05
機動戦闘車は島嶼戦に使うのは筋が悪すぎますよ。
なまじ重量が28トンもあるからC2以外で空輸出来ない。
C2の数が揃うの何時になるか判らないし、揃ったところで機動戦闘車の輸送にばかりかまけていられない。
C2の降りられない島もあるし、普通科その他の部隊もいっぱい運ぶ必要がある。
結局フネで運ぶしか無い。ていうかフネで充分ですよ。離島と言っても国内なんだから九州から2〜3日で着く。
C2やC130だって一回で運ぶ量はたかが知れている。結局ピストン空輸するからフネと似たような日数になるでしょう。
フネで運ぶのだったらペラ装甲のタイヤ車なんかじゃなく、
90式でも10式でも本格的な主力戦車のほうがよほど頼りになる。
だいたいトータル何千億円もの費用をかけた90式を何百両と北海道で腐らせたままでしょう。
ロシアに対する抑止力と言う人もいるが、抑止力だったらなんで改良しない。
広い演習場が北海道しかないという意見もあります。
では日出生台がせいぜいの8戦車に配備された10式はチキンかい?

ホントみなさんのおっしゃるとおり。陸自は戦車をどうしたいんでしょうね。
きらきら星
2016/09/05 21:58
再びお邪魔します。

 あれから思ったのですが、戦前戦中ぱっとした戦車が作れなかったから、陸自が戦車に執着するようになったのかもと。尤も「ぱっとした戦車が作れなかったのはお金や技術のせい」ぐらいにしか考えておらず、戦車の使い方等は未だ決めきれず、今も迷走を続けているのかも知れません。

 攻撃力・防御力・機動力をバランス良く持った今の戦車は既に「最終進化形」で、どれかを多く望めば他を犠牲にするしかなく、それは「劣化」でしかないように思われます。全体としては大きく重くなり続け、それとは反対方向に突っ走ったのが機動戦闘車ではないかと。よほど画期的な技術革新が起こらない限り今の状態は続くでしょう。往年の戦艦は「劣化」する前に退場しましたが、今後我々は戦車他の兵器の「劣化」を見るのではないかと思われます。
ブロガー(志望)
2016/09/05 23:30
まともなドクトリンや装備体系がないんでしょう。組織内政治や現状維持が優先しますから。
一体何やりたいのかさっぱりわかりません。96式装輪装甲車にミサイルやバルカン砲搭載したらいいじゃん。その方がコストダウンなるし、ある程度火力アップなるし。機甲科のポストや部隊なくなったって身分保障で仕事あるじゃん。何を甘いこと抜かしてやがる。会社倒産したり、経営難で職を失っている方いっぱいいるし、戦車なくなったって歩兵でもやれるでしょう。浪花節なんか納税者に関係ない話です。
元キャプテン
2016/09/05 23:34
清谷様へ

清谷さん、機動戦闘車の事業や設備投資の件ですが、民間企業だったら大損こいて、株主代表訴訟とか社長解任とか起きますよね?
やはり、株主総会=国会の機能が果たしていないのでしょう。これでシビリアン=コントロールて言えますか?
先輩である工藤元2佐が野党の代議士になればきつい追求ができ、まともな政策ができます。
野党の国会議員や軍事ジャーナリストに 元自衛官になることはシビリアンコントロールとしてふさわしいと私は思います。清谷さんはどう思いますか?
元キャプテン
2016/09/06 20:38
旧式のRPG7一発で大破。乗員全員死亡…。
NetrightHunter
2016/09/06 20:52
機動戦闘車が、機甲科のリストラ対策に過ぎない事は、ブログ主様が以前に指摘されておりますね。チェンタウロやストライカーの様な増加装甲キットも造ってくれないでしょうね。
マリンロイヤル
2016/09/07 07:06
機甲科出身の偉い人はともかく、現場の人間で戦車の代用品としての機動戦闘車に乗りたい隊員なんているんでしょうか?
実戦では絶対「お前ら戦車やろ!なんとかしろよお!」とか言われて引くに引けない状況が出てくるはずw
きらきら星
2016/09/07 15:52
三度お邪魔します。

 「日本は島国なのだから、かつてのように大陸にちょっかいを出さないのであれば、陸兵など不要」といった主張があります。しかし島国・海洋国家であっても(大陸国家ほどではなくても)一定の陸兵は必要ですし(奇襲上陸されたとか大規模テロとか他に備えて)、取り得る手段を「自ら」捨てる理由はありません。「島国・海洋国家における陸兵の役割」を考える事無く、「どうせ出番なんか無い」と「大陸国家のように、陸兵が国防の主役であらねばならぬ」でてきたのが今の陸自ではないかと思われます(装備が目立つ海空に対抗してか高額装備に執着他)。また「島(日本列島)の防衛よりも、中国大陸での"国盗り"に存在意義を見出した」のが戦前の陸軍かも知れません。
ブロガー(志望)
2016/09/12 23:17
日本本土には上陸作戦できる海岸もないし、上陸作戦を行える国もない。唯一できる国は米国で日本国内に基地があるのでそんな必要も無い。横田からヘリを飛ばせばOK.よって、国内は対テロ用の部隊を警察と合同で用意すべき。そこに戦車など不要で、重武装の装甲車を装備すべき。あとは昔から情報を軽視する傾向が現在も続いており、情報収集及び分析の組織を万単位の数で用意する必要がある。東京都じゃあるまいし、予算を無駄に使うことは2等国となった今の日本では贅沢すぎる。
バットマン80
2016/09/13 19:45
機動戦闘車の他にも、私見では装輪155mmりゅう弾砲の開発、調達は何か不穏な空気を感じます。PzH2000のような「重自走砲」を持ちながら、CAESARやARCHERのような「軽自走砲」を別枠で持つメリットってコストに比較してあるのかな、と。一時期のソ連軍のように大量の砲兵を擁するつもりならまだしも、既存のFH70の更新として別枠で用意する程のものなのでしょうか。

それと、陸自の対戦車火器がMMPSと軽MATへと更新されつつあるわけですが、MMPSは副次的に敵火点への精密誘導兵器としても使えるようで、そうなると機動戦闘車の(売りとしている)火力のメリットもさしたるものではないのではなかろうかと感じます。
ふきのとう
2016/09/21 20:15
ロンメル将軍が、英軍の歩兵戦車は歩兵戦車といいながら、榴弾を発射できないのはなぜなんだ、と言ったのを思い出しました。
ひゃっはー
2016/09/22 06:49

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