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zoom RSS 産経新聞・杉本記者が礼賛する「国産NBC偵察車」の中身は外国製。

<<   作成日時 : 2015/04/09 18:58   >>

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例によって産経新聞の杉本康士記者の国産防衛装備礼賛記事です。

【防衛最前線】(20)NBC偵察車 1台で核兵器、生物兵器、化学兵器に対応…テロに備えるマルチプレーヤー
産経ニュース 2015.3.13 06:00
http://www.sankei.com/premium/news/150313/prm1503130007-n1.html


 この記事に関しては元海自幹部で、軍事ライターの文谷数重氏が批判をブログに掲載しています。


「生物兵器の感知器剤は、ない」
隅田金属日誌 2015.04.08
http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-1406.html



付け加えるならば以下の点も奇妙です。

>NBC偵察車や化学防護車の車内は清浄な空気を保っているが、隊員は車外に出て汚染物質を採取する任務に備えて防護服を着用する必要がある。
 だが、従来装備にはクーラーは取り付けられず、夏の暑い時期は30分間の作業が限界とされていた。
 「隊員が快適に過ごすための予算は認められない」(陸自関係者)というのが理由だったが、NBC偵察車では機器が過熱することを防ぐことを目的としてクーラーが備え付けられた。


 「隊員が快適に過ごすための予算は認められない」であれば、なんで1/2トントラックや軽装甲機動車などに「隊員が快適に過ごすため」のクーラーがつているのでしょうか。

 つまり夏場、NBC車輌はクーラーが無いと事実上使えないということです。陸自の化学偵察車はクーラーが付いていませんでした。防衛省が国産兵器を無理やり開発するときに使う常套句である「夏はシンガポール並みに暑くなる我が国固有の環境」を鑑みれば、夏場は使えない「欠陥兵器」だったということになります。

 かつて石破茂氏が防衛庁長官だったころ、現在のNBC偵察車が完成するまで、つなぎで外国製のNBC偵察車を少数導入しようと言ったとき、防衛庁幹部と陸幕は「大臣、我が国の道路法では外国製の横幅2.5メートルを上回る車輌は使用できません!」、と大臣を騙して諦めさせました。

 ぼくは件の道路法の規制に関しては国交省の担当者に取材をしましたが、その時に防衛庁幹部と陸幕言ったことはやはり嘘でした。それが何より証拠に防衛省は横幅3メートルに近い機動戦闘車を現在開発しております。その間道路法に変更はありません。
 
 東日本大震災でも化学防護車は原子炉の偵察に使用されましたが、あの震災が真夏に起こっていたらどうなっていたんでしょうね?夏場だったら石破氏の言うとおり、フォックスあたりのクーラーを備えたNBC車輌がまさに必要だったでしょう。国内産業利権の確保のために、つなぎのNBC車輌を導入しなかった防衛省の危機管理意識が如何に低かったが分かるでしょう。

 そして、陸自の装甲車輌は最新鋭10式戦車も含めて、殆どにクーラーが装備されておらず、夏場の環境下では作戦行動がとれません。「我が国固有の環境を鑑みれば」陸自の装甲車輌は欠陥兵器だらけです。

 まして我が国はオウム真理教による化学テロを受けた国です。その「国軍」がまともにNBC環境下での対策を考えていないわけです。観念左翼と同じ「お花畑」な「平和ボケ」 じゃないでしょうか。ところが一部の奇特な人たちは「防衛省、自衛隊は常に正しい」と仰います。こういうことは「愛国者」とか「国士」な方々にとっては些細な事で、つまらない「揚げ足をとるな」と仰るのでしょう。

 それとも日本は神の国だから「外敵がNBC兵器を使うのは夏を避けてくれる」という確信でもあるのでしょうか。あるいは自分に都合の良い願望でしょうか。
 根拠の無いものを信じるのは宗教です。「国軍」が宗教をあてにしてどうするんしょうかね。

  そもそも論で言えば、国産のNBC偵察車は必要ありません。国産といっても中身は殆ど外国製です。道路法の規制があったから国産が必要だった云々いうならば、機動戦闘車はどうなのだ、ということになります。
 にもかかわらず、新たにわざわざ少数の調達のためにNATO規格のレベル1程度の8×8装甲車を開発し、ドンガラに恐らくは3億円、即ち諸外国の何倍もの高いカネをかけて調達することに、どれほどのメリットがあるでしょうか。メリットどころか少ない予算を無駄に食いつぶしているだけではないでしょうか。

 こういうことを報道しないで、ひたすら「無敵皇軍」的な記事を書くのが「愛国新聞」の努めなのでしょう。こういう新聞の記事を鵜呑みにするような「国防意識の高い読者」の民意がどれだけ国防に役立っているのでしょうか?むしろ自衛隊の弱体化を招いているだけではないでしょうか。



Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました
【お粗末な自衛隊の「衛生」装備】〜チュニジアでテロにあった女性医官は「特別」なのか?〜
http://japan-indepth.jp/?p=17323
【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 1】〜陸幕広報は取材拒否〜
http://japan-indepth.jp/?p=17056
【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 2】〜中谷防衛大臣の答弁に違和感〜
http://japan-indepth.jp/?p=17059

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

文民統制の放棄!なぜ「空母」が生まれたか
護衛艦「いずも」は、護衛能力のない被護衛艦
http://toyokeizai.net/articles/-/64841
自衛官の「命の値段」は、米軍用犬以下なのか
実戦の備えがないため派兵どころではない
http://toyokeizai.net/articles/-/63496


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コメント(17件)

内 容 ニックネーム/日時
国防予算はとてもおいしい獲物なのでしょうね。どう食しているのか知りませんがw
これも宗主国様のまねなのか、、いえいえ、戦前からの道のようで♪
馬鹿殿をいいように操縦していた江戸時代に培った「官僚技」でしょうかww

社会経験や苦労を知らない者を役人や政治家にすること自体が、「異常」だと思わないこと自体が、イカレているんですね。
(さて、この一節の主体は誰?w)
unimaro
2015/04/09 19:57
まあ、ヨーグルトが食べたくなった時に、スーパーに行かずに乳牛を連れて来て、乳を搾るところから始めるバカはいませんわな。
ところが陸自は「我が国固有の環境」だの道交法がどうのこうのと適当な事を言って「乳牛」を連れてきた、といったところですか。
ひゃっはー
2015/04/09 21:05
清谷様へ

私は元化学科職種の中堅幹部でした。NBC偵察車の中身は外国製!分析機器はFMSアメリカの軍事供与です。アメリカが主導権を握られています。つまり、アメリカがへそ曲げると製造・組立はできません。対米依存の体質です。必要性は仰る通りないでしょう。化学防護車のバージョンアップで十分!習熟 つまり運用と整備に時間・金がかかります。不稼働になればアメリカ当たりの工場に外注整備になり、不稼働の期間が長くなるリスクがあります。部品・整備というランニングコストが発生し、他の主要装備品購入や整備費用に割りを食うことになるでしょう。導入しなければならない情勢や理論武装は乏しいでしょう。
爆弾発言しますが化学科職種は地下鉄サリン事件までは、廃止する寸前で、財務省から無用な存在と目を付けられ、自衛隊でもマイナーで冷遇されてた分野でしたから。オウム真理教という神風で救われましたから。ハードとソフト面で拡充されました。化学科は脅威を煽り、自己増殖する体質です。原子力ムラと似た体質です。化学科の役割は地下鉄サリン事件で終わりました。警察や消防にもNBC器材も充実し、化学科部隊以外の職種部隊にも個人用防護品や検知器材が充足しています。化学科部隊の人員や装備を拡大する理由は見当たりません。
軍事的見地からNBC攻撃の公算は低いでしょう。兵士は防護装備品を支給され、一定の検知能力があります。攻撃しても思った効果は得られないでしょう。また、国際世論から顰蹙を買い、割りに合わない赤字になるでしょう。テロは公算は否定できません。しかし、それは公安が第一義的に対処しますし、専権事項ですのでコメントは差し控えます。
退役将校
2015/04/09 22:10
清谷様へ

続き

NBC偵察について、偵察小隊長を経験した者としてコメントさせていただきます。
1 車両ー化学防護車やNBC偵察車
利点は銃弾や砲弾の破片からある程度防護力がある。長距離の偵察に有利
2不利点は行動は路上に限定される。精密な汚染地域の判定は困難、防護力に欠ける。
化学防護車があっても下車・徒歩偵察で汚染地域を特定していました。精密さを求めるには人間による判断にならざるを得ません。NBC偵察車の開発・調達よりNBC検知器・センサーが重要です。野戦に精密な分析は不要です。あるかないか、それを知ればいいです。省力化とネットワークで人員の損耗をある程度防げます。無人機にNBCセンサーを取り付けるのも選択肢でしょう。化学剤監視装置のバージョンアップが理想的ですが調達はわずか数量。日本のNBC装備品の開発・調達はダボハゼで一貫性はありません。装備はシンプル・イズ・ザ・ベストでその方が習熟が早いし、コストがかかりません。
読者から現役時代、改善するために努力したのか!とお叱りを受けると思います。開発や調達に口を出せるまたは影響力を発揮する政治力はありませんでした。清谷さんのブログを読み、いかに自分が現役時代に問題意識や危機感が欠如していたことを思い知らされました。軍事の専門家として恥ずかしい限りです。もっと批判や問題提起をすべきでしょう。退官した自衛官も世間に情報発信すべきでしょう。応援と支持をします。
退役将校
2015/04/09 22:47
清谷様へ

化学科隊員にとって最大の敵は化学物質、放射線、ウイルスではなく、熱射病です。夏場の訓練で倒れたことは何度もありました。
防護マスクや防護衣の完全防護は視界、音、熱ストレスで戦闘効率を大幅に低下させます。野戦でのNBC攻撃のねらいのひとつでもあります。 20年前の地下鉄サリン事件は春の寒くもない暑くもない時期でした。夏場だったら、倒れた者も出たでしょう。生理現象なので精神論で解決できる問題ではないでしょう。人間には体力や精神力には限界がありますから。アイスノーや風だけでは気休め程度でしょう。冷却機能を持った防護衣の開発が急がれるでしょう。技本だけでなく、例えば航空宇宙研究開発機構とか大学と共同研究・開発というオプションもあるのではないかと思います。
退役将校
2015/04/09 23:08
産経の例の記者は大本営発表をそのまま鵜呑みにしているのは、ジャーナリストとして資質を疑いますし、慶応の大学院を出た割りに教養が足りないのではないかと思います。会社の方針なのか?自分の信念なのか? 提灯記事書いて産経新聞社に何か利益あるのでしょうか?
あと清谷さんと同年代の某軍事評論家、自衛隊を褒め殺し しています。現役時代からその某軍事評論家を好きになれませんでした。
批判することは確かに嫌でしょう。しかし、生死に関わり、国家の安全に関わる問題であるので、ガキの遊びでは済まないでしょう!怠慢は血であがなうことになるでしょう。例の記者や評論家はそのことを認識していないのでは?
元キャプテン
2015/04/09 23:27
もう日本は駄目ですね
最新の10式戦車にエアコンが無いとはお粗末すぎますね
Googleで検索すると、この戦車に関する清谷先生の過去のブログが見つかりましたが、その記事によると、敵弾に装甲が耐えても500Gもの衝撃により搭乗員はミンチになるそうですね。
どうしてこんな戦車を造るのか全く意味が分かりません。
一事が万事、自衛隊は…否、日本はこんなのばかりなんだって、先生のブログを読むと気付かされます。
私はもうこの国に愛想がつきましたので、そのうちオーストラリアに移住しますが、清谷先生は頑張ってくださいね。
納税者
2015/04/10 00:11
退役将校様

貴重な知見をありがとうございます。自衛隊の化学科は他の兵科との共同作戦を殆ど意識していないように思えます。偉い人にそのことを質問したことも多々あるのですが、キョトンとしておりました。NBC対処は化学科が対処するもので他の兵科は関係ないという意識が強いように思えます。ですが実際は普通科、航空科、施設科など他の兵器との共同作戦になりますが、その用意が殆ど無いようにおもえます。だから他の兵科もNBCに興味が無い。3・11後、元方面隊の航空隊司令に航空用のNBCスーツの話をした時に、彼はその存在を知りませんでした。彼は幹部でもかなり開明的な人物だったのですが彼ですらNBCにはその程度の知識しかなかったことに驚きました。
キヨタニ
2015/04/10 10:34
清谷様へ

こちらこそ、お役に立てず申し訳けございません。仰る通り他の職種はNBC ?そんなの関係ねぇ!というのが実態です。化学科職種も唯我独尊、閉鎖的体質、セクト主義で原子力ムラならぬ化学ムラ、オウム真理教ならぬ化学教の体質です。化学学校が総本山、事務局は陸幕化学室。化学科部隊は支部というある意味宗教団体です。法王はヒゲ隊長こと佐藤正久自民党国防部会長です。私は佐藤代議士の政治力で化学科に予算・人員が増えたのではないかと察します。
あと暴露本を出版しようかと考えています。入隊から退官まで不満、矛盾、葛藤、問題提起等現場サイドから防衛問題にもの申すというアプローチです。中間管理職はトップとボトムの間で実態を熟知し、客観的に組織を分析でき、偏りが少ないと私は思います。 森将補が色々 ボケたこと抜かしましたが、退官した自衛官にも情報発信や説明責任を怠っていたことはあると思います。
そのことが、防衛政策の改革や後輩の利益になれば幸いです。清谷さん、出版する方法をご教示ください。
退役将校
2015/04/10 19:21
>退役将校様
出版に関してはご相談に乗りますので、その気になったらメールにてご連絡ください。
キヨタニ
2015/04/10 19:28
清谷様へ
NBC偵察車を毎年細々と生産してる最中に、欧米の会社が搭載品の供給を断ってきて、生産がOH−1のように中止になることは起こり得るのでしょうか?
ひゃっはー
2015/04/10 19:32
清谷様へ

ありがとうございます。再就職したばかりで仕事に慣れるのが精一杯の現状です。今すぐの話ではございません。自分も退官後は軍事ジャーナリストを志しましたが、その器でないと悟りました。フリーでは食べていける方は僅かと聞いています。 時間を掛けて考えます。元将官クラスの出版物は自己満足で抽象的でわかりにくい。士クラスだと面白くてわかりやすいが品と教養が足りない。古賀さんのパクリではありませんが、防衛中枢の崩壊、裏防衛白書とかタイトルが目を引くものもいいですね。
現役の者でも清谷さんを支持する方もいます。向上心と志がある者ですが
清谷さんの指摘通り、昭和の旧軍に先祖帰りしている傾向にあります。官僚化、保身、事流れ主義が蔓延しています。問題意識や向上心を持っている方は冷遇されています。まぁお役所ですから。
退役将校
2015/04/10 22:54
NBC偵察車というと、元々は化学防護車と何かと言われた生物偵察車とを一元化した装備だと認識しておりますが、ドンガラは国産でも、たしか中身は外国製を当分、運用するような話でしたが、まさか、退役将校様が書かれたような有り様とは思いもしませんでした。しかも、各職種間の連携も無いどころか同じ陸自内で予算の分取り合戦とは・・・・。こんな有り様でこの先も大丈夫なのでしょうか(そういえばNBC偵察車は、たしか将来装輪装甲車両の一環として開発されたわけですよね。その他のタイプはどうなっているのでしょうか。以前、対空車両を優先的に開発するような話を見た記憶がありますので)
KU
2015/04/11 00:10
訂正

「将来装輪装甲車両」ではなく、「将来装輪戦闘車両」でした。
KU
2015/04/11 00:13
>生産がOH−1のように中止
それはありえない話ではないです。だたそれを言うと、コンポーネント一つ一つに言える話です。そのような事態をどうマネジメントするかが現在の調達の肝要なところです。

>退役将校様
二足のわらじも手です。実際ぼくもそうですし。喰うための仕事があれば、別に防衛省にゴマをする必要もないし、強気で対処できます。また意にそぐわない仕事も断れます。少しづつ書いてみてはどうでしょうか。ぼくの主催しているTOKYO-DARでも専門的な書き手を募集しております。
キヨタニ
2015/04/11 11:28
毎度毎度のことではありますが、陸自は諸外国で実績のある大物装備を買うのを嫌がりますね。
AAV7みたいな「火の出る」装備は役立つかの検証をろくにしないくせに買うのになぁ・・・
NBC車両は正面装備と違って大量に揃える事も無いから英独仏辺りから良い物を買えば今後の参考にも出来るだろうに。
技本の開発能力とやらも信用ならないから昔みたいに「見取り」でいいと思うんですけどね〜
八王子の白豚
2015/04/12 02:04
元キャプテンさんは退役将校に名前を変えたんですね
774RR
2015/04/12 05:34

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