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zoom RSS 陸自カール・グスタフM3採用の怪 何でM4を待たなかったのか。

<<   作成日時 : 2014/11/10 15:59   >>

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 東洋経済オンラインに寄稿した、
『なぜ自衛隊は「暴発する機銃」を使うのか』
http://toyokeizai.net/articles/-/52889

 でも書いているのですが、陸自のカール・グスタフM3の採用は大きな疑念が残ります。

 これまでM2を豊和工業がライセンス生産しており、M3は2012年から輸入で調達が始まっています。
 で、M4は今年10月に発表され、2016年からデリバリーが開始となります。そうであれば時間差は4年です。M4はM3よりも軽量で使い勝手も良くなっています。ただその分価格は上昇することになります。新型採用はM3とM4を比較してから行うべきだったでしょう。

 陸幕長は今後M4への調達変更も有り得ると発言しましたが、仮にM4が調達されることになれば、現場では3種類のカール・グスタフが存在することになります。
 タイムラグが5年程度であれば、M2を継続すれよかったのではないでしょうか。

 M4開発の話は、ぼくは5、6年前からサーブ・ダイナミックスの連中から聞いておりました。常識的に考えれば陸幕装備部が知らないわけはありません。もっともウィキペディアあたりを参照して内部資料を作るような組織ですから、その可能性も否定できません。
 しかしながらサーブや代理店である住友商事がインフォームしなかったとは考え難いでしょう。
 M2をM3に更新しなければならない喫緊の問題があるわけでもないでしょう。

 そこで、これは豊和工業へライセンス生産の仕事を回すための方便ではないだろうか、という疑念が生まれます。
 
 現用のM2も昭和54(1979)年度からの導入当時は輸入で、6年後の昭和59(1984)年度から豊和工業のライセンス生産に切り替わっています。

 M4はチタン合金やカーボンファイバーを多用しており、豊和工業が社内で生産するならば、新たな生産設備が必要となるでしょう。そのためには、かなりの設備投資が必要となるでしょう。かといって外部に発注すると、これまた毎年少量生産なのでコストがあがる。
 そもそもM4はM3よりも単価が高いわけですから、ライセンス生産するとコストが跳ね上がります。対してM3であればそれほどの設備投資が必要なく、元の値段も安いのでライセンス国産しても価格が抑えられます。

 M4が登場する前に「急いで」M3の導入を決定した可能性は疑われて然るべきでしょう。


 
 Defense News の以下の記事にコメントしております。
Japan To Emphasize Military Mobility With MCV
http://www.defensenews.com/apps/pbcs.dll/article?AID=2014310120023

軍事・航空宇宙の専門サイト始めました。
「東京防衛航空宇宙時評・Tokyo Defence & Aerospace Review」

http://www.tokyo-dar.com/

最新記事
岩田陸幕長、カール・グスタフM4導入の可能性を示唆
http://www.tokyo-dar.com/news/990/
日本航空電子工業、航空機搭載用カメラスタビライザをSEECATに展示
http://www.tokyo-dar.com/news/974/
レスポンダー・プロダクツ・ジャパン、危機管理産業展に車輪付ストレッチャーを展示
http://www.tokyo-dar.com/news/966/
アメリカのポラリスATV、日本での販売を開始へ
http://www.tokyo-dar.com/news/962/
MRJの飛行試験初号機がロールアウト
http://www.tokyo-dar.com/news/956/
防衛省、データ改ざんされた機銃の調達を見送りへ
http://www.tokyo-dar.com/news/945/
防衛省、米海兵隊のMV-22の整備に木更津駐屯地のハンガーを提供
http://www.tokyo-dar.com/news/939/



Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。
【防衛駐在官の質の向上を図れ】〜外務省出向システムでは機密情報が防衛省や内閣府に届かない?〜
2014/10/12
http://japan-indepth.jp/?s=%E6%B8%85%E8%B0%B7%E4%BF%A1%E4%B8%80



東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

『なぜ自衛隊は「暴発する機銃」を使うのか』
http://toyokeizai.net/articles/-/52889
アパッチ攻撃ヘリの調達、なぜ頓挫?
問われる陸自の当事者能力
http://toyokeizai.net/articles/-/51971
オスプレイ選定の不透明、対抗馬は商用機?防衛省は「複数候補から選んでいる」と強弁
http://toyokeizai.net/articles/-/51614
御嶽山への自衛隊派遣、口を挟むとサヨク?必要なのは事実に基づく冷静な議論
http://toyokeizai.net/articles/-/49744
戦傷者は「想定外」という、自衛隊の平和ボケ
「国内では銃創や火傷は負わない」との前提
2014年09月17日
http://toyokeizai.net/articles/-/47994
結論ありき」で高額な兵器を調達する怪
防衛省概算要求に隠された問題<前編>
http://toyokeizai.net/preview/dd9c698dc49dbfafe1fdddad129294461604ead0


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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
カール・グスタフM2といえば、
15年ほど前に小銃小隊から7.62mm機関銃と一緒にカール・グスタフM2を廃止して、5.56mm機関銃と携帯対戦車弾を導入したのは人員削減が目的だったんですね。だって、携帯対戦車弾はカール・グスタフと違って副砲手がいらなくて、一人で操作できますもん。なんで、あんなに重たくて一発しか撃てない物を導入したのかが、清谷様のおかげで解りました。その発端は下の者ばかりを切る、インチキなリストラにあったんですね。弱い者ばっかりをいじめるアベノミクスと同じだ。
ひゃっはー
2014/11/10 17:55
薬剤エイズや薬害肝炎の構造に似ています。患者の安全や利益よりミドリ十字の利益が優先!まさに大人の事情ですな。 軽量のタイプの導入を急いだ理由として、普通科=歩兵隊員の高齢化が背景にあるのではないでしょうか?ひゃっはーさんの陸士の充足を下げた後遺症とも解釈できるでしょう。無反動は若い体力のある者でないと携行は難しいですから。
元キャプテン
2014/11/10 21:26
こんなベーシックな兵器なんか、RPG7でいいじゃないか、としか思えませんが(笑)
マリンロイヤル
2014/11/10 21:38
やはり、陸幕のダボハゼな目先の利益だけしか考えない調達しかできない体質なんでしょうか?例えば生物偵察車 メーカーは英グランソ・スミス社 代理店が日本製鋼所、NBC偵察車導入までのリリーフですが
生物偵察車はどうするのでしょうか?まだ使えるのに不用決定する? ん〜経済的合理性の観点から不経済で、会計検査院は一体何を見ているのでしょうか?清谷さんに質問です。Q1ムダで非効率の調達の要因として会計検査院の検査官の軍事的知識の欠如、資質が問題なのでしょうか?Q2 ダボハゼな無計画の調達の理由として、大人の事情まぁ天下りのための既得権益なのでしょうか?
御教授お願いします。
元キャプテン
2014/11/10 21:45
陸自は「M3とM4はどっちが有用か」ではなく「どっちが豊和工業で作れるか」という観点で旧式のM3を採用した可能性が高い、ということですか。そのツケは現場が払うことになるのですね。私も豊和工業製のM3よりも、スウェーデン製のを使いたいですね。肝心な所で弾詰まりでも起こされたらたまらん。
いずれにせよ、陸自はあと30年は旧式のM3を使い続けることが決定したわけだ。陸幕長だって、どうせM4の導入なんか真剣に考えていないんでしょ。
ひゃっはー
2014/11/11 18:40
そもそも84ミリ無反動砲と110ミリ個人携帯対戦車弾の両者を更新する目的で01式軽MATを導入したと解釈しておりますが、軽量化されているとはいえ、また無反動砲の調達を開始するというニュースに接した際、違和感を感じたことを思いだしました。ライセンス生産の途中で切り替えるわけでもなし(それはそれで、また煩雑な手続きが必要なのでしょうが)、それは汎用性やコスト面でも誘導弾よりは優れているでしょう。しかし、あまりに唐突すぎ、不思議に思っていましたが、今回の清谷さんの説明で納得がいきました。結局はムダを減らすことよりも自分たちの再就職先の確保が大事・・・・・。だけど、いつまでも続けられるわけでもないでしょうに。
KU
2014/11/11 21:18
そもそも陸自は小銃小隊はどのような編成・装備・戦法で戦うのか、を考えていないでしょう。それをごまかすために、将来の普通科隊員は「ガンダム」になります、みたいなホラを吹くわけだ。また、第一線部隊に新装備が来た後で、富士学校に入校中の学生が機動戦闘車や軽装甲機動車の運用法を考えるわけだ。
これじゃあ、新しい対戦車火器はいつまでに何門必要で、費用はどのくらいかかるのかなんて、わかるはずがない。その結果、中途半端な数で調達が打ち切られて、裁判にもなるわけですね。
ひゃっはー
2014/11/12 16:16
陸幕の人達は自分達のことをむしろ頭がいい、と思っているでしょう。だって、カール・グスタフは新型のM4ができました、しかし陸自は数年前からM3の導入を開始しています、ゆえにM3のライセンス生産でないといけません、というアリバイを作ることに成功したのですから。しかし、それが陸自の対機甲戦闘能力の向上になったのかどうか、という観点で考えると、彼らは「バカ」と言わざるをえません。
まあ難しい試験に合格した人達が、市ヶ谷の縦割り組織の中で自閉していれば、こんな簡単なことも分からんようになるのでしょう。
ひゃっはー
2014/11/12 18:46
まさかと思うのですが、陸自は「AH-1SとAH-64Aはどっちが有用か」ではなく「どっちが富士重工で作れるか」という観点で旧式のAH-1Sを採用した可能性が高いんじゃないのでしょうか。
まず1977〜78年に1機ずつのAH-1Sを輸入し、「攻撃ヘリはAH-1S」という路線を作る。そして82年から「急いで」AH-1Sのライセンス生産・調達を始めたんじゃないのでしょうか。(米軍のAH-64Aの調達はその2年後) ちなみに輸入した2機のAH-1Sの内の1機が、朝霞の広報センターに展示してあるやつなのでは?
ひゃっはー
2014/11/14 18:52
皆様が御指摘のとおり、官僚主義、セクト主義に侵されていて、支離滅裂・本末転倒になっている傾向があります。しかし、陸幕のスタッフでも問題意識や改革の必要性を感じている方も少なからず存在していると思います。彼らも宮仕いのサラリーマンと同じで組織に楯突けない。生活がかかっていますから。言いたくても言えない立場もあることを御理解してください。人事、掟、上司の機嫌等の制約があり、個人の能力には限界があります。やはり、政治的介入や組織改編が解決するには合理的な方法だと思います。
元キャプテン
2014/11/14 22:10
水陸両用車も国内ではまともな物を開発することができなかったので、AAV7を輸入することになったようですが、このまま日本の防衛産業がおとなしく黙っているのか、それとも業界再編を含めた巻き返しに出るのかどうかが気になりますね。
ひゃっはー
2014/11/15 21:31
記事の内容でみるとライセンスで国内供給するさいに低コストにできるという立派な理由が有るようにも見えますが。
最もお偉方が真面目にそんなことを考えているかは疑問ですが。
何れにしろ01見たいなどうしようもないモン持たされるよりかはよっぽどマシですが。
三流陸曹
2014/11/17 20:48
またですか・・・・

陸自も好きですね、こういうの。

国民の多くが無関心で、そんなに多数派でないミリヲタの多くが自衛隊マンセーなのをいいことにまた税金を無駄遣いしているんだ・・・

ミリヲタでも自衛隊マンセーじゃない人に国会議員になってもらって、こういうことに国会で突っ込んで幕僚長を逆ギレさせてみて欲しいもんです。
八王子の白豚
2014/11/23 13:15

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