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zoom RSS 防衛省御用達、MAMOR誌ライター、水野某氏の批判に対する反論その5

<<   作成日時 : 2014/03/25 12:43   >>

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 しつこいようですが週刊東洋経済の2012年1/21号の「自衛隊のコスト」 という特集の「開発の総本山・技本その実力は本物か」という記事に対する月刊MAMORのライターの水野某氏の批判を検証します。

「東洋経済」1/21号の記事に関する考察
http://hiro2.txt-nifty.com/backyard/2012/01/121-e78d.html


 『「各メーカーが自主的に先行して開発を行い、メドが立って技本の予算が付けば、「技本の研究開発」となるのが装備開発の実態だ」というのも私の知る限りそんなことはない。(だから実例を挙げろと)むしろ最近の取材では、装備化のメドが立っていない研究が多い。幕僚からの要求(ニーズ)がある前に種(シーズ)を作っている実例は山のようにある。(ちょっと誇張した表現か)』

 「私の知る限りそんなことはない」


 それはあなたが知らないだけでしょう。 この人、恐らくMAMORの連載で技本と付き合いがある以外、自衛隊やメーカーの関係者に取材もしてないように思います。

 一般に技本自体で多くの研究開発をしていると思っている人が多いようなのですが、まず技本では基礎研究は殆どやっていません。それから製造手段を自前で持っていないので、実証開発にしても装備の試作にしても全部メーカーに委託ですし、技本の開発と言っても、メーカーから借り上げた技術者を使って行うことが多いわけです。
 水野氏はC-2にしても10式戦車にしても技本で設計して、試作を作っているとでも思っているのでしょうか。

 南アフリカの国営兵器会社、アームスコーの子会社(現在でデネル傘下)にメカムという開発専門の会社がありました。対地雷装甲車、キャスパーやマンバなどはここで開発され、メーカーで量産されましたが、メカムには試作工場がありました。対して技本にはそのような工場がありません。


 例えばよく専門誌でも記事書いたり、本も書いている元1佐の方が技本で通信関係の●●を開発したとき、メーカーに5名の技術者を出してもらった。だけどそのうち二人はアレな人達だったので、お引取りを願おうと思ったらメーカーから「あの二人にも養うべき家族がいるんです」と泣きつかれて、不承不承開発チームに加えたという話をしてくれましたが、開発の実態はこんなものです。もし水野氏がお望みならばこの方をご紹介しますけども。
  ただ、そういう話はMAMORには書けないでしょうけども。

 「各メーカーが自主的に先行して開発を行い、メドが立って技本の予算が付く」という話は、某メーカーで、●●システムの開発などに携わってきた軍事技術研究家のT氏もしておりますが、ご紹介しましょうか?
 
 水野氏はメーカーで開発の経験もない人間が、実際に装備の開発や設計ができると本気で思っているのでしょうか。

 因みに10式戦車開発に関わった中心物の一人は、「技本は知識がないのにあれを使用しろとか余計なことを言うし、必要のない試験を要求する。技本が関わっていなければ10式の開発費は半分程度に圧縮できた」と仰っておりますが、この方もご紹介しましょうか?

 他の三菱重工の幹部もF-2のレーダーの不具合も技本ではなく、自社が仕切っていればもっと早く解決していたと証言しています。

 技本は必要な開発や自分たちが要求する研究はやりたがらず、自分たちのやりやすい研究ばかりやっているとの批判が自衛隊やメーカーからちょっと取材すれば多数聞こえて来ますが、水野氏はそのような「不穏分子」とは接触がないのでしょう。

 自分が知らないことは存在しないのだ、と断言する唯我独尊的な態度は物書きとしては随分と尊大じゃありませんか。


「技本はいらない、メーカーに研究開発を任せろと言わんばかりの内容だが、ものがものだけにメーカーだけで研究開発できるはずもない。先に挙げた壁透過レーダーのようなものならいざ知らず、兵器などはどうやって実地の試験をすればいいのだろう?装甲を例に取ると、技本では東側の兵器・弾薬を入手し、実際に射撃を行って装甲の効力を検証している。メーカーが国内で検証することはほぼ不可能だから、海外で行うしかないが、それは安全保障上問題があるだろう」

「技本はいらない、メーカーに研究開発を任せろ」なんて記事のどこに書いてありましたか?
ぼくは「技本のあり方にも問題がある」と書いています。
防衛省で技術開発なんぞ止めてしまえ、などと書いたことは一回もありません。
記事中でも「技本には試作工場もなく、開発もほとんどが企業に丸投げ」であり、「研究開発を行なって、その評価も自分でやる。いわば泥棒が縄をなっている状態」が問題だと書いています。

 水野氏は(技本が無ければ)「兵器などはどうやって実地の試験をすればいいのだろう?」と書いていますが、これも技本を無くせという「捏造したぼくの主張」を元にした批判です。
 ぼくは外国の国防省などの試験設備なども過去何度も視察、取材しております。そのような主張をするはずがないでしょう。

 技本が開発した戦闘機実証機「心神」のステルス性の試験は試験する施設がなくって、フランス国防省のDGA(防衛装備庁)の施設で行ったのですが、水野氏はオブジェクションを持たないのでしょうか。それとも「心神」の情報など外国にだだ漏れしても構わない程度のものなのでしょうか。
 
 ぼくは必要性の低い開発を行うのであれば、その予算を実験施設や試作を増産してまともな試験を行うべきだと思います。何しろ実践の経験がなく、市場で揉まれた経験もないわけですから、むしろ他国よりも装備化の前に試験は入念に行うべきです。ぼくは長年に渡ってそう主張してきました。

 例えば海自の魚雷やらミサイルなどは開発のための試射は数発程度です。対して米国は場合によっては万単位の試射を行います。ミサイルの開発には多数の試射が必要なのはコンピューターによるシミュレーションが発達した現在でも変わりません。
 
 国産大好きな人達が世界の最先端と絶賛していた01式軽対戦車誘導弾もシーカーやロケットモーターの信頼性が極めて低く、これが調達中止の理由のひとつです。まともな試験をしれいればこういうことにはならなかったでしょう
 
 それともなんですねえ。
 超絶した科学技術を誇る我が技本は、試作や試験なんぞは殆どやらなくとも、世界最先端の、信頼性を極めて高い装備を開発しているのだ、と水野氏は主張するのでしょうか。


「要するに、技本とメーカーがより親密に、歩調を合わせた開発を行って行けばいい話で、技本いらないという結論は、偏見に満ちた悪意ある話だと言わざるを得ない」


現状は技本とメーカーの癒着になっていませんかねえ。
ご案内のように既に親密になりすぎて、客観的に研究開発の評価ができていないのはこの一連の水野氏に対する反論でも明らかでしょう。
また「親密」な関係からUH-Xの官製談合のようなスキャンダルが多々起きるのではないでしょうか。


 水野氏の主張とは裏腹に当の防衛省でも技本のあり方を問題視しており、新しく出来る防衛装備調達庁に技本が吸収され、大きな組織改編が行われる構想になっています(それが実現するかどうか、予断はゆるされませんけども)。

 率直に申し上げて水野氏のソースは連載のインタビューを通じてのものであり、軍事知識一般が欠如しているように思えます。
 また、ぼくに対する批判も具体的なものがなく、「だろう」という思い込みと願望に基づいたポジショントークに終始しています。

 MAMORという媒体の特性から防衛省の批判はできないでしょう。
 そのことをとやかく言うつもりはありませんが、だからといって自分が技本の身内の如く、願望や憶測で自分と異なる意見を批判するのはあまりに卑しいと言わざるを得ません。


 ご自身のお立場から技本を擁護したいキモチは分からなくもないのですが、プロの「専門」ライターにしては非常にお粗末です。
 こんなブログを書いていてはMAMORの記事の信憑性と、インタビューアーとしての資質も疑われてしまうと老婆心ながら心配してしまいます。


 もし反論がおありならば、ぼくは公開討論会に応じるつもりがあります。それをユーチューブで公開してはどうでしょうか。何ならMAMOR誌上でやってはどうでしょうか。受けて立ちますよ。

 MAMORのライターさんからこのような批判をされたわけですから、今後もぼくもMAMOR誌面や殆ど防衛省・自衛隊の広報誌という雑誌のあり方自体に対する批判を行っていくかも知れません。

防衛省のHPでは月刊MAMORの編集者やライター各氏を紹介しております。
さすが、防衛省広報誌。当然防衛省は普通の民間の雑誌にここまでしてあげません。
その防衛省は内容をオーソライズしており、一定の責任も持つ、ということでしょう。
http://www.mod.go.jp/j/publication/kohoshiryo/mamor/prof.html


月刊MAMOR HP
http://www.fusosha.co.jp/magazines/mamor/


防衛省御用達、MAMOR誌ライター、水野某氏の批判に対する反論その1 
http://kiyotani.at.webry.info/201403/article_10.html
防衛省御用達、MAMOR誌ライター、水野某氏の批判に対する反論その2
http://kiyotani.at.webry.info/201403/article_11.html
防衛省御用達、MAMOR誌ライター、水野某氏の批判に対する反論その3
http://kiyotani.at.webry.info/201403/article_12.html
防衛省御用達、MAMOR誌ライター、水野某氏の批判に対する反論その4
http://kiyotani.at.webry.info/201403/article_13.html


朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しました

知られざる日本発のクールジャパン的ヒット商品「エア・ソフト・ガン」はなぜ市場を失いつつあるのか?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014032400011.html

月刊WEGDE4月号に以下の記事を寄稿しています

先細る防衛産業 中小こそ輸出のチャンス 国はバックアップを

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
技本は1番ではなく2番を目指す組織なんですね。民主党政権が技本を仕分け、あるいは改革しなかったのは失政でしょう。
ひゃっはー
2014/03/25 16:04
お疲れ様です。
全文は興味深く、しかも迫力あるので、買い取る雑誌社あるのでは?

さて、餌に食いつき釣られてしまいます。
おいしそうな餌なので我慢できませんですた♪
>何しろ実践の経験がなく、市場で揉まれた経験もないわけですから、むしろ他国よりも装備化の前に試験は入念に行うべきです
↑、
だからこそあまり売れないモノを処分するにはぴったりの日本で。そこがしっかり物の見る目を持ってしまったらやばいので、「今がちょうど良い」んだとか?
もし国産でアメ公より良い物をつくってしまったら、それこそ大問題が裏で起こりますしねぇ。アメ公の面子を潰さない程度の自衛隊であるがために今のままがいいと思っている者もいたりして、、?
などと妄想など♪
unimaro
2014/03/25 17:36
自衛隊はドクトリンの研究をしてないので、技本も画期的研究をやる可能性はまったく無い、技本は海外の後追い研究ぐらいキチンとやるべきでしょう。
マリンロイヤル
2014/03/26 20:35
今日発売のPANZERにて、陸自がブッシュマスターを導入するとの記事がありました。27年3月31日が納期とのことですが、今後は、外国製のコンポーネントだけでなく、完成品の輸入も増えるのでしょうか?
KU
2014/03/27 19:25
BAEはRG35(6輪)を提案する予定でしたが、採算面で諦めて応札しなかったようです。
キヨタニ
2014/03/28 11:30

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