清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

zoom RSS 防衛装備調達大改革

<<   作成日時 : 2014/01/18 14:11   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 13 / トラックバック 0 / コメント 3

防衛装備、長期で一括契約 政府、単価抑制へ5年超も
http://www.nikkei.com/article/DGKDASFS0200P_W4A110C1MM8000/

自衛隊の装備品の調達費を抑えるため5年を超える長期契約の導入を検討する。

適正価格の算定能力も高める。

装備品の契約から取得までに価格が変動する場合もある。開発段階の見積もりから50%上昇したり、契約時に見直した見積もりからさらに25%上昇したりした場合は「危機的なコスト上昇」と認定。防衛相に報告して事実を公表し、調達継続の判断や節減策などの対応を3カ月でまとめる。


 この話は調達改革の一環です。既存組織を再編して装備調達のための組織を作ることなり、これらの改革もその一環です。形としてはフランスのDGAを手本にしており、釣果たつ改革の手法は米国をかなり手本にしているようです。
英国防省のDE&Sのようにロジまではやらない方針のようです。また技本は新組織に吸収、再編される方向で調整されているはずです。

 防衛省としてはかなり画期的な改革です。

 記事では5年を超える長期契約を10年とすると書いていますが、中間的な措置ではないでしょうか。
 以前から繰り返して申し上げておりますが、本来装備調達はどんな装備品を、いくつ、いつまでに、いくらで調達することを決めてから行います。
 ところが、我が国ではそれらが決まっていないのに開発が開始され、調達が開始されています。10式戦車や機動戦闘車にしても開発時はおろか、現在にいたっても調達数、調達期間が公表されていません。
 無論各幕や内局は承知しているでしょうが、国会や納税者は知らされておりません。
 
 装備調達は企業で言えば設備投資です。導入する設備の数や調達期間、総額を決定せずに設備投資は行いません。そんな放漫経営をやる会社は潰れます。

 本来自衛隊でも例えば新しい戦闘機を入れるのであれば、例えば中国空軍の戦力が増強され、質も向上している。だから10年後までにこのような戦闘機を何機導入し、何個飛行隊を戦力化するとことが必要だ、となるわけです。
 それが30年後に実現しても出し遅れの証文です。このような調達は仮想敵国の冒険主義を助長させます。

 ところがF-35導入でも機数こそ明らかになっていますが、総予算も調達期間も明示されておりません。極論を言えば、調達数が揃うのは100年先でもいいわけです。
 それを、例えば元防衛大臣の森本敏氏や元防衛政務官である佐藤正久氏らは問題ないと主張するわけです。国防を真剣に考えているのか疑問に思えます。それとも時間という概念が希薄なのでしょうか。

 現状、手段である装備調達が目的化しているのが現状です。

 調達が間延びすれば調達・維持コストは上がるし、最後のころには当初導入した装備が老朽化し、退役します。また近代化もやりにくい。ですから自衛隊には70〜90年代に調達した装備の多くが近代化もされずに骨董品化して、そのまま使われています。ですから稼働率も低い。

 例えば50機戦闘機を入れても実際は20機とか30機の導入と同じ価値しかありません。それに何倍ものコストを払っているのが現状です。
 極めて「投資効率」が悪いわけです。

 調達期間の5年以上という延長はいいのですが、安直な買い物をしないような歯止めが必要です。現状防衛省は「後年度負担」というリボ払い中毒の物欲OL状態です。

 これでリボ払いの限度額が二倍になると更に症状が悪化する可能性が極めて強い。
 「後年度負担」が増えるということは、毎年の予算で前年以前の支払いが増えるということであり、当年に使える予算が減ります。その場合、例えば何かを集中して調達するのようなことができなくなり、予算の柔軟性が失われます。

 適正価格の算定のための教育は暫時進んでいるようですが、人員が決定的に不足しています。米はともかく欧州主要国の数十分の一程度です。ですから要求仕様やら評価レポートを業者に書かせたりしているわけです。
 調達関連の人員の確保は今後大きな問題となるでしょう。

 それと諸外国の装備のトレンドや調達価格を調査するための情報収集、そのための予算措置が必要です。

 一定以上に価格が上昇すれば調達中止、あるいは数量を減らすことは米国などがやっております。コスト意識を持つ、これが現状防衛省、自衛隊では極めて弱いわけで、このシステムの導入は一定のコスト抑制効果があるでしょう。
 これをやるためにも総数、調達期間、予算総額の提示が必要なわけです。

 かなり大規模な改革ですが、官僚組織は得てしてこの手の改革を骨抜きにするような画策を行います。せっかく改革をしても画竜点睛を欠く、結果になりかねません。

 ですから改革に際しては外部に第三者による監視機関を置くべきです。
 
 でもまあ、政治決断で評価試験も調査もろくやっていないAAV7とかグローバルホークとかオスプレイとかの高価な玩具を買っちゃうならば、どんな調達改革も無意味ですけど。



新しいウェブニュースサイト、NEXT MADIA Japan In-Depthに寄稿しております

陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか@
http://japan-indepth.jp/?p=2220
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのかA
http://japan-indepth.jp/?p=2220
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのかB

http://japan-indepth.jp/?p=2234
安倍政権の安全保障軽視が露呈!やっつけ仕事の国防計画?〜安倍首相はまともに安全保障を考えていない
http://japan-indepth.jp/?p=1956
これではまるで中国政府の記者会見だ!」〜情報発信強化を謳いながら、安全保障報道で外国メディアを差別する安倍政権

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
オスプレイはいっそのこと、政府専用機にhttp://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014011600005.html
陸自向けのオスプレイ導入は「裏口入学」だ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014011500004.html

陸自の水陸両用装甲車、AAV7導入は裏口入学だ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013122500002.html?iref=webronza

日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(上)――トルコの狙いは何か?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013112500006.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(下)――日本がパートナーを組むべき国はどこか?

アベノミクスで食材偽装が増える?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013111100009.html
機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(中)――脆弱な防御力
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110100004.html?iref=webronza



真・大東亜戦争 1
アドレナライズ
2013-02-01
林 信吾

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 真・大東亜戦争 1 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


林信吾との共著、真・大東亜戦争キンドル版1巻が現在49円とお得になっております。全17巻です


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 13
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
これが実現されれば、かなり無駄な調達が減らされることになりそうですね。あとは大臣や国会議員のやる気次第、といったところでしょうか。とかく、我が国では防衛問題は扱いが低い傾向がありますからね。大手マスコミが朝から晩まで大騒ぎでもすれば、少しは官僚も本腰を入れるのでしょうけど。
KU
2014/01/18 17:11
今までのような冗漫な調達が改善されるのは良い事ですが、それならば必要な装備を精査できる能力がますます必要になりますね、欠陥品や無意味な装備が大量調達される恐れも増すのですから。
マリンロイヤル
2014/01/19 04:35
このような発想が具現化される第一歩になるかもしれないわけですね。今までは実質何もなかったようなものですから、ここは大きな進歩と解釈しようと思います。遅すぎではありますが、このような発想がないと建設的議論の場が成立しません。時間をかけてでも取り組むべきでしょう。軍事的合理性のための重要な要素です。仮想敵国の挑発が酷くなっても、軍事的合理性が重視されるようなテンプレートが構築されるまでは、いかなる場合であっても「戦」をしてはいけません(敗戦の教訓)。一部の勢力がいわゆる低強度紛争なら圧勝だと息巻いていますが、低強度紛争こそが仮想敵国の狙いです(敵は日米同盟の隙間を注視)。

2014/01/19 16:41

コメントする help

ニックネーム
本 文
防衛装備調達大改革 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる