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zoom RSS 陛下がお召しになる政府専用機が双発でもOKなのに、P−1は4発でないと安全を担保できない?

<<   作成日時 : 2013/07/21 13:43   >>

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政府機後継、「低燃費」ボーイング777が有力
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130718-OYT1T01544.htm?from=ylist

まあ、現実的には双発しかないのでしょうけど、恐れ多くも天皇陛下がお召しになる機体でも双発なのに、開発が概ね同じ時期のP-1が4発でないと安全が保証できないというのはどうでしょうかね。

無論哨戒機に方がよりタフな使い方をしますし、戦時には敵とあいまみえる場合もあるでしょうから同列に扱えないでしょうけどね。
ですが、政府専用機も携行型対空ミサイルやその他の火器による地上からの攻撃やテロやら、敵国の戦闘機に追尾されるような事態も想定すべきですよね。ことに今後邦人救出に備えるのであれば尚更です。

でも石破氏は海自のパイロットから「怪しげな国産エンジンの4発よりも、信頼性の高いエンジンの双発の方がいい」といわれたという話をなさっておりました。ぼくは別ルートでも同じ話を聞いております。


そもそも安全性、特に低空での安全性を云々いうならばターボプロップ・エンジンを選択するべきでした。ぶっちゃけた話、IHIに国産エンジンを開発させたい、でもそんなに推力の大きなものを作れない、だから4発だったわけでしょう。

これがまた国際的にこのエンジンを売り出し、国産エンジンを世界に向けて売り出す尖兵にするのであればまだ理解できますが、P-1専用。とんでもなく単価・維持費が高い贅沢なエンジンです。ショーモデルを愛人にするようなもんです。


毎度申し上げておりますが、P-3Cですら整備費が捻出されずに共食い整備をしている状態で馬鹿高い国産専用のジェットエンジンを使用してどうやって予算を捻出するんでしょうかね?


自衛隊の装備というのは調達単価や維持運用費を含めたライフ・サイクル・コストを考えなければならないわけです。ところがそんなものをすっ飛ばして国産のオモチャが欲しいという情念が優先して装備が開発、調達されます。

毎度申し上げますが、予算には上限があります。特定の装備に過剰にカネをかければ他の装備や、その他の予算にしわ寄せがいくのはあたりまえです。

もっといえばP-1の開発自体ありえませんでした。あの当時新世代にふさわしいジェットエンジン搭載機体を開発するのは至難の業でした。

実際ニムロッドMR4は失敗してキャンセル。P-8だって現時点では成功作だとは言えないと思います。進出速度は速くしたいが、ジェットエンジンは低速で低空飛行は向いていません。また既存のジェット旅客機は低空飛行に向きません。

ですから当時からぼくは一貫してP-3Cの近代化で乗り切るべきだと主張してきました。よその哨戒機の開発を横目でみて、自主開発が必要ならその後で宜しい、風呂は沸いてから入れ、と。

防衛当局の公式見解は当然ながらポジショントークに終始しています。ですからそれを本当かどうか評価するのが受け手のリテラシーです。が、愛国的保守論壇やら国産兵器大好きマニアの皆さんはあたまから公式見解を信じてしまいます。信じるものは救われる、とはいいますけどもね。

で、本当に安全性が必要ならば4発の政府専用機でも開発したら如何でしょうか。あるいは空自に専用の整備施設を作らせてはどうでしょうか。銭金の問題じゃないでしょう。それとも陛下はも、ちろん首相の命はそれに値しないんでしょうかね。


以下の記事を朝日深部のWEBRONZA+に寄稿しております。

空自のF−35は中国が導入するSu−35に対抗できるか(上)
――ロシアが売却する事情とは?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013070400007.html?iref=webronza
空自のF−35は中国が導入するSu−35に対抗できるか(中)――日本が不利な理由
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013071000011.html?iref=webronza
空自のF−35は中国が導入するSu−35に対抗できるか(下)――F-35導入の是非を再考すべき
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013071100005.html?iref=webronza


東日本大震災で防衛省の無人機はなぜ飛ばなかったか(1)――墜落を恐れた?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013061900007.html
東日本大震災で防衛省の無人機はなぜ飛ばなかったか(2)――省内の食い違い
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013062000004.html
東日本大震災で防衛省の無人機はなぜ飛ばなかったか(3)――難しい新規参入
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013062700005.html?iref=webronza 
東日本大震災で防衛省の無人機はなぜ飛ばなかったか(4)――「我が国固有の環境」とは何か
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013070100008.html?iref=webronza

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コメント(12件)

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キヨタニ様

現在の政府専用機(B747-400)の整備を米国のボーイング社に委託し、もう少し、長くという考え方はできないものでしょうか。

実際、米大統領専用機のVC-25は日本の政府専用機よりも前に就役しているのにもかかわらず、しばらくは現役ですよね。

さすがに中国の整備工場に委託するのはまずいと思うのですが‥何か、大人の事情があるのでしょうかね。
ブリンデン
2013/07/21 13:49
作れと言った奴を乗せて飛ばしてみればいいんですよ。
ひゃっはー
2013/07/21 14:29
知りませんでした。政府専用機の任務のなかに頻繁に低空での長時間の飛行があるのですね。
ならば専用機の開発が必要ですね。
pon
2013/07/22 00:21
まあC-2は輸入エンジンですしね

さすがに対潜重視の海自にP3Cの延命は選択肢に無いでしょう

輸入か国産かで海自はP-8の輸入は嫌だったんでは?

工作船からのMANPADSはエンジンに当たるでしょうし高空で運用する政府専用機とは比べられないと思います
第9
2013/07/22 05:49
777なんてエンジンが特殊で整備コストが高いんじゃないでしょうか。
マリンロイヤル
2013/07/23 12:37
お邪魔します。
 P1は輸送機のC1と"抱き合わせ"で開発されたと聞いていますが、C1の方はどうなのでしょうか
ブロガー(志望)
2013/07/23 22:53
 日本の政府専用機は洋上を低空で哨戒飛行したり、MANPADSを持った人間が隠れているかもしれない不審船を上空から偵察したりする事が主目的なのでしょうか?そうでは無いと思います。
 政府専用機とP−1哨戒機という目的が全く違う物を同列に論ずるのはおかしいのではないでしょうか?
 「専門家様の言う事に間違いはありません。」と盲信する事と「専門家の言う事は全て間違っている。私の言う事だけが正しい」と全否定する事はベクトルが反対なだけで本質的には同等の行為ではないでしょうか。専門家だって間違える事はあると思いますが、専門家の言い分を無視してありとあらゆる事に反対していると反対する事だけが目的ではないのかとも思えてきます。
銑鉄
2013/07/25 23:09
>日本の政府専用機は洋上を低空で哨戒飛行したり、MANPADSを持った人間が隠れているかもしれない不審船を上空から偵察したりする事が主目的なのでしょうか?

ちゃんと全部の文章を読んでいますか?
>政府専用機も携行型対空ミサイルやその他の火器による地上からの攻撃やテロやら、敵国の戦闘機に追尾されるような事態も想定すべきですよね。ことに今後邦人救出に備えるのであれば尚更です。

実際に他国の政府専用機が携行型ミサイルで撃墜された、あるいは撃墜されたであろう例があります。

批判をするのであれば相手の書いたものをきちんと呼んで行うべきで、脊髄反射的な批判をすべきではないでしょう。これは「専門家様」もアマも関係ないと思いますが。

過去他国の政府専用機が
キヨタニ
2013/07/26 09:50
政府機が地上から攻撃を受けるとすれば離着陸時です。
この場合は双発か四発はあまり関係ありません。

一方哨戒機は工作船などを低空で目視監視する必要が有るため洋上哨戒中に銃撃等を受けて1部のエンジンが停止する危険があります。この場合でも離れた基地まで帰投が求められます。

想定状況が全く違う以上は並列に論じるのは無理があるでしょう。
ねろ
2013/07/27 16:27
潜水艦や工作船相手の(対潜)哨戒機ならターボプロップでも良いかもしれませんが、今の時代ミサイル駆逐艦、空母、戦闘機が保有する艦対空、空対空ミサイルが飛び交うような海域上空を飛行する上で回避行動しながら哨戒活動をするためにはターボプロップよりジェットエンジンの方がより安全と考えますが
ノン
2013/07/31 21:08
政府専用機は天皇陛下も使用される機体なんだから多少見栄を張っても誰も文句を言う人はいないと思います。
ノン
2013/07/31 21:23
再びお邪魔します。
 全ての4発機が全ての双発機に対して安全性が勝っているわけではない。実績の無いエンジンを積んだ4発機よりも実績の有るエンジンを積んだ双発機の方が安全性は勝る。また低空を低速で長時間飛ぶにはジェットよりもターボプロップが向いているが、今叩き台になる適当な飛行機が無い。P3はターボプロップの旅客機が叩き台だが、ジェット旅客機を叩き台にしたニムロッドやP8は成功したとは言い難い。ゼロから作れば機体自体の安定性といった問題が出るのはバッテリーや通信機のトラブルを起こしたB787を見れば明らかである、という事でしょうか。
 後哨戒機は味方による航空優勢が確保された上で使われる機体だったと思います。必ずしもそうでない条件で使われるのは「偵察機」ではないでしょうか。
ブロガー(志望)
2013/08/01 22:44

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