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zoom RSS MLRSのトラック型と弾道ミサイルの導入を急げ

<<   作成日時 : 2013/04/05 10:39   >>

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 島嶼防衛を意識するならば、トラック搭載型のMLRSの導入は焦眉の急です。

 ところが、陸幕にはそんな気は更々無い。あり得ない本土決戦に備えて10式戦車をせっせと調達し、これまた島嶼防衛では役に立たず、実用性も怪しい「火力戦闘車」を大金かけて開発しようとしてきました。

 「火力戦闘車」に関してはさすがに批判も多かったららしく、本年度の予算要求では当初の案を再検討するとしていますが、どうせ言うだけでしょう。
 そもそも車体として採用された重装輪回収車事態が、図体が大きいだけで、性能のが低い代物です。陸幕でもそれは承知していました。彼らはMAN社の同等品と比べて劣っているとしっていても重装輪回収車を採用しました。
 火力戦闘車の車体として不適切だ、重すぎるとなると、火の粉が重装輪回収車までおよぶことも懸念しているのでしょう。メンツがつぶれると。

 財務省から外国を調査して輸入という選択肢も含めて見直せ、と言われて視察をしました。その結果外国製の方が優れていているという結論が明白に出ていたのに、概算要求では「火力戦闘車」がベストの案だとしれっと予算要求を出していましたからね。

 最初に決めたことは途中でいかに間違っているとわかっても、メンツがあるので頑固に変えないという硬直した体質があります。いかに税金を無駄使いしようと、いかに実戦で使い物にならない装備を著たつしようとメンツさえ保てればいいや、仲間内の和が壊れなければいいや、という考えが自衛隊、特に陸自に強くあります。
  
 ハッキリいって、UH-Xと同じです。初めのこういうものを作るんだという結論があるわけです。それが如何に軍事的整合性が無かろうか、費用対効果が悪かろうが、調達に恐ろしく時間がかかろうか、無理やり予算をとってきわたけです。
 
 その一方、必要な装備現用のMRLSの後継のようなものは先送りされているわけです。
 

 ですが、これこそ戦車や糞重たい自走榴弾砲よりも必要な装備です。
 現用の装軌式のMLRSは島嶼防衛に不向きです。
 C-130輸送機クラスで輸送可能なトラック搭載型のMLRSを早急に導入すべきです。

 対して周辺諸外国はこの手の装備の開発、配備に熱心です。
 韓国のドーサンDST(Defense Systems & Technology)も新型の自走多連装ロケットシステム、チュン・ムーを開発しています。230ミリのロケット弾あるいはミサイル6発を装填したポッド二基を搭載できます。車体はキャブが装甲化された8輪トラックです。

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 ノリンコ社はIDEXで新型の自走MLRS、SR5を展示しました。これは122ミリ及び220ミリの両方のロケット弾を発射することが可能です。完全にネットワーク化されており、UAVなどからの情報に従って射撃も可能です。

 ランチャーのラックは二分割されており、ぞれぞれ122ミリロケット弾ならば20発、220ミリロケット弾ならば6発が搭載できます。射程はそれぞれ30〜50キロ、70キロとなっている。なお220ミリロケット弾はGPS/INS誘導弾が用意されており、精密な誘導が可能となっています。
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 アメリカや英国にはMLRSを装輪化したものが既に存在します(英軍は開発したが採用はしていない)。
 これらを輸入すれば速やかに戦力化できるでしょう。何しろロケット弾とランチャーは既存のMLRSと同じシステムです。あわせてMLRSから発射可能な弾道ミサイル、ATACMS(Army Tactical Missile System)を導入すべきです。
 通常のロケット弾に比べて射程が長く、中国にはこれを防御する手段がありません。

 将来は国産の弾道ミサイルを開発するにしても当面はこれでしのげるでしょう。
 自衛隊には時間が資源であるという概念が極めて希薄です。仮にいくら陸幕が優れた装備を導入するにしても、戦争の後に装備が揃っての何の意味もありません。

 装備を必要なときまでに揃えないと、抑止力にもならず、ある意味だらだらした調達は戦争を自ら呼び込むことになります。
 
 時間の概念が希薄である、物事に優先順位が付けられない、ということは社会人としては勿論、国防を預かる軍人として極めて職業的な適正を欠いていることになります。
 
 またこのような自衛隊・防衛省の知的怠惰に対して政治が無関心であり、予算が殆どメクラ判で国会を通っている現状、事実上防衛予算は審議されていない現状は更に大きい問題です。それは文民統制が利いていないということですから。



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コメント(6件)

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 お邪魔します。

>MLRSから発射可能な弾道ミサイルを導入すべきです。

 「他国に脅威を与える、平和を乱す」とか言われそうな気がします。かつて中曽根大勲位はファントムからわざわざ爆撃装置を取り外させたと聞いた事がありますし(爆撃装置が不要ならファントムは選ばれなかったとも)。

 それから海上自衛隊は戦前の海軍の流れをくみ(それゆえ「伝統墨守・唯我独尊」と言われる?)、航空自衛隊はアメリカのルメイ将軍によって作られたと聞いています(ルメイ将軍は日本への無差別爆撃の張本人ですが)。陸上自衛隊の「師匠」は何なのかと思ったりします。戦前の陸軍ではないだろうからやはりアメリカ陸軍なのでしょうか。
ブロガー(志望)
2013/04/05 23:42
お疲れ様です。
制服の上の方と官僚たちって、利権を増やし自分達が甘い汁を吸うこと以外、他に何か考えているのでしょうか? どれを使えば最も効果的(最も長く最も高額な)利権を得られるか?以外を考える脳みそ持っているのでしょうか。
もしタイだったら、これほど国を食い荒らしたら「行き過ぎ」として、陸軍が容赦しません。ほどほどは、許容範囲です。日本社会にはそういった機能は皆無ですからねぇ。
unmimaro
2013/04/06 13:54
どうせHIMARSを導入するならば、いっそ重装輪回収車をベースにランチャーを搭載すれば良いのに、なんて考えたことがありますが、よく考えてみれば、機動性はあるもののC-130はおろかC-2(米海軍のソレと間違えそうで改名して欲しいですが)にも搭載出来ないシロモノにしかならない事に気づきました(爆)
他に機動性のある中型トラックは・・・・国産車でありましたっけ?
カッコ
2013/04/06 18:04
火力戦闘車は当初、いすゞの6輪トラックを想定していましたが、いすゞが射撃反動制御の技術がないというので辞退、で他に選択がないので重装輪回収車が選ばれたたらしいです。
キヨタニ
2013/04/06 19:18
MLRSのトラック型と弾道ミサイルの導入に賛成します。

少なくても三分の一はトラック型に今から改修してもいいのではないでしょうかね?
ATACMSも装備すべき。

多数の弾道ミサイルを装備すべきです。
朝鮮半島や、中国対策等で必要ですね。
軍事オタク
2013/04/13 17:59
まぁ、交通インフラが整備されている日本なのでHIMARSでも良いかも知れません、やろうと思えばC-130でも運べるわけですから(積載量で言えばXC-2ならM270でもいけますが)。ただ、優先度で言えば低いでしょうね。
ななし
2013/04/18 17:24

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