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zoom RSS 歩兵戦闘車に明日はあるか

<<   作成日時 : 2012/06/16 05:38   >>

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 さて、本日ユーロサトリの取材を終えました。今回は極めて多くの新型装甲車輛が展示されました。

 取材をしていて思ったのは、歩兵戦闘車に将来はあるのかということです。歩兵戦闘車は一般に6〜8名程度の下車歩兵が搭乗し、中口径の機関砲を装備した砲塔を搭載しています。

 ですが、近年防御力の強化が叫ばれその重量は装輪式でも30トンを超えるほどのものも登場しています。十分な防御力を有し、下車歩兵を乗せ、中口径の機関砲などの火力を維持するのは極めて困難だと思います。

 下の写真はラインメタル社製の無人砲塔を搭載したピラーニャ5ですが、近年無人砲塔を採用する歩兵戦闘車が増えています。これも重量低減のためです。ドイツ軍のプーマも無人砲塔を採用しなければ下車歩兵を後2名減らさなければなりませんでした。

画像


 
 無人砲塔は車長が直接5感を使って外部状況を把握できないのが欠点ですが、その欠点を甘受しても軽量化のために無人砲塔を使用しているわけです。
 
 歩兵を運ぶのであれば、それに特化し、重装甲を施す。火力支援を行うのであれば歩兵を乗せないと割り切り、任務を分離する必要が出てくるでは無いでしょうか。火力支援に特化するのであれば装輪装甲車であれば6輪でもいいでしょう。車内容積が必要なAPCは8輪にして、ファミリー化してもいいでしょう。
 
 また装軌式ならばゴム製の履帯採用した小ぶりの車体でいいはずです。このような車輛であれば、偵察にも使用できるでしょう。ただし運用にもよりますが、偵察用に使用する前提ならば下車してISR関連の装備を使用する歩兵2〜3名程度が搭乗することができる余裕は必要かもしれません。

 我が国では105ミリ砲を搭載した機動戦闘車が開発中であり、これを元に歩兵戦闘車や自走迫撃砲などの派生型を開発する構想もあるようです。

 陸自では機動戦闘車を偵察に使うようですが、いまだに運用が固まっていません。普通運用構想があり、装備が開発されるのですが、我が国では装備の仕様めて開発が始まってから運用構想が策定するようです。
 つまりは、装備に合わせて運用を考えるわけです。何かが間違っているとおもいますが、陸幕ではそうは思っていない偉い人達が多いようです。
 
 自衛隊の装甲車輛は一般に地雷やIED、トップアタック、RPGなどの攻撃に対してさほどの危機感を持っていないように思えます。機動戦闘車がどの程度防御力を意識していか気になるところです。

 10年後、20年後にどのような装甲車輛が主流になっているかを想定しながら我が国の装甲車輛の開発と調達を行う必要があります。

 
 
画像
 

 このカナダのメーカーは電子関連のコネクターなどの有力メーカーですが、陸自の新型無線機に使用するコネクターなどを供給しています。外からは見えませんが、我が国の装備品には多くの外国製部品、コンポーネントが使用されています。OH-1の調達中止に至った原因の一つは外国ベンダーが、あまりの無計画、低い調達ペースに嫌気がさしてラインの維持をことわってきたことです。

 有事には装備を量産するから国産が必要だという意見もあります。基本的にはそのとおりですが、国産装備にどの程度外国製のコンポーネントが使用されているの知っていて、そのような主張をなさっているのか甚だ疑問です。
 
 仮にこれらを全て国産に切り替えるならば、性能は低下し、コストは何倍にも跳ね上がるでしょう。ただでさえ高い我が国の装備の調達単価は更に上がります。
 ですから世界中でサプライチェーンの国際化が進んでいます。

 まあ、国産兵器純血主義を謳い世論を煽っているほうが楽だし商業的に儲かるので、そのような勇ましい主張をなさっている方も少なからずいらっしゃるようです。
 が、それを鵜呑みにして、ペラい愛国心を鼓舞するのは亡国への道だと思います。





 朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しております。 
 自衛隊の情報感度と特殊部隊(上)――練度の維持と中東の情報収集は大丈夫か?
 http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012061200005.html

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
歩兵戦闘車の問題点を論ずるなら、装軌と装輪を別個に考える必要があるでしょう。装輪式は重量的にも車体規模的にも制限があり、歩兵戦闘車としては限界があるというお話なら理解できます。ですがそもそも歩兵戦闘車は装軌式で始まっており、戦闘における歩兵戦闘車の必要性それ自体にも変化はないと考えます。
陸は興味無し
2012/06/16 07:47
すみません、本線とはずれますが
OH−1の調達中止の要因として、海外ベンダーがラインの維持を断ったこととありますが、どういった装備品のベンダーなのでしょうか?
また、製造が終わったとしても修理等で必要になった時どうするつもりなのでしょうか?そのベンダーが供給を断ってしまえば、製造中止どころか運用もできなくなってしまうのでは・・?
OH−1
2012/06/16 16:20
コックピットや動力伝達系のコンポーネントです。
キヨタニ
2012/06/16 16:40
メルカバを装輪式したような(生存性の高い)歩兵戦闘車は、どうでしょうか?ATM等の兵器の性能も進化してますので、歩兵の楯なら重防御を目指してほしいです。
陸奥のABE
2012/06/19 21:43

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