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zoom RSS NBCR危機対応に抜かりは無いか。

<<   作成日時 : 2011/03/26 13:01   >>

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防護服1万着、米が提供…21日にも日本に空輸
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110321-OYT1T00003.htm

 何とも情けない話です。
 たった一箇所の原発に対応するために、すぐさま米軍にNBCスーツを送ってもらわなければならない。
 NBCスーツのストックが少なすぎます。
 しかも今に至るまで航空機搭乗員用のNBCスーツを自衛隊は持っていません。

 因みに最近ではNBC(核・生物・化学兵器)よりもNBCR(核・生物・化学・放射線兵器)と呼称されることが増えています。


 こんなことで北朝鮮が核弾頭、あるいはダーティボムをつかった場合に対応できるでしょうか。

 自衛隊の戦闘部隊をざっくり10万人とすると一人一日2着を使用を想定し、3日間分の備蓄が必要とすると60万着必要になります。NBCスーツは陸海空の航空機搭乗員や艦艇乗組員にも必要です。

 無論全員が必要とされる状況は想定しにくいですが、汚染地域の偵察、民間人の救助、復旧、警察や他の組織に供与する分が必要なわけです。ですから3日ではなく3週間続くかも、三ヶ月続くかも知れない。
 1万人の部隊を3週間投入するならば最低でも42万着分は必要になります。

 しかもNBCスーツは有効期間がありますから、何年かごとに更新が必要です。勿論高価な戦闘用NBCスーツをこれだけで揃えるのは無理でしょうから、簡易型のNBCスーツを多くするなど工夫が必要でしょう。
 また簡易型の探知器、薬剤、洗浄用機材なども必要です。 

 無論どの程度の部隊をどの地域にどの期間展開させるかというシナリオによって必要な数は大きく変わってくるでしょう。上記の想定よりも、もっと少なくて済むという想定もあるでしょう。
 
 ですが我が国の場合、原発の問題は勿論、本来北朝鮮の脅威を考えれば相応のNBCスーツは必要なはずです (これは自治体などもそうなのですが)。例えば首都圏にダーティボムの弾頭を搭載した北朝鮮の弾道ミサイルが着弾した場合を想定すると、かなりの数のNBCR装備が必要でしょう。

 が、現状ではまったく不足しています。

 実際問題としては、どこの国でもNBCスーツの備蓄は不足しています。中々そこまで予算が回らないからです。湾岸戦争でも英軍はかなり慌ててかき集めていました。NBCスーツの備蓄はどこの国にとっても頭が痛い問題ではあります。
 
 ですが我が国の原発や北朝鮮の脅威を考えればできるだけ多くの備蓄をより低コストで行う必要があります。例えば有事に備えて、諸外国と相互にNBCスーツを融通するような仕組みも有用でしょう。
 また国産NBCスーツはかなり高価ですから、コストの安い国から輸入して調達数を増やすことも考えるべきかもしれません。
 
 過去自衛隊のNBCR専門部隊のエライ人と何度もお話する機会があったのですが、彼らはNBCRの状況は自分だけで対応するようなつもりでいるらしいです。
 原発の問題がもっと剣呑な状態になった場合、偵察、避難民の移動などヘリや普通科や施設科などの助けが必要なはずです。 また何万人、何十万人という民間人を移動させるような話は想定していないらしいです。
 NBCR状況のシナリオを見直す必要があるのではないでしょうか。

 ロシアや中国が師団単位で日本本土に対して上陸作戦を行い、本土決戦になるという「おとぎ話」よりも、原発事故や北朝鮮の核の脅威の方が遙かに現実的かつ深刻です。これらに真摯に備えるべきだと思います。 



日経ビジネスオンラインに
「災害現場で活躍する自、衛隊の課題前線で働く『士』がいない」を寄稿しております。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110324/219123/?rt=nocnt

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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
対NBCR戦ともなると、中特防は無論、各師団や旅団の特防や化防隊(小隊)が中心となるのでしょうね。ただ、いずれの部隊も基本的には汚染地域の偵察や除洗活動がメインなわけでしょう。とても今回のような避難民の誘導にまで手が回るとは思えません。何だか同じ陸自とはいえ、職種間で意思疏通がきちんと図れているのか不安に感じました。それはそうと、今週発売の週刊文春の特集記事にて、陸自が「FFOS」を投入する予定という文面がありました。正直、遅すぎるとしか思えないのですが。まさか「撮影した画像を公開すると、他国に性能がバレる」なんて考えているわけではないでしょうけど。しかし、どうせ投入するなら「FFRS」でも繰り出せばよいのに。
カッコ
2011/03/26 19:09
FFOSは故障が多く、墜落の危険性があるので今回投入しないという話を聞きました。まだ裏をとってはいませんが。
キヨタニ
2011/03/26 19:39
早速、ご返答いただき有り難うございます。いくら何でも(陸自の装備品の常とはいえ)そこまで使いづらいシロモノ(それに、アレってシステムとしても、やたら大掛かりですものね)とは・・・。それに、陸自は他にも手投げ式のUAV(昨年の北方の演習の記事にも映っていました)やら、例の「米軍が開発した機体そっくり」なV/STOL型UAVやらありましたよね。こういう時こそ役立つと思うのですがね。機械は壊れれば作り直せますが、人はそうはいきませんからね。いっそのこと、防護服だけでなくグローバルホークもリースした方がよいのかも。
カッコ
2011/03/26 20:38
清谷さんは今後自衛隊が原子力関係の事故やテロに対応するためにどんな装備体系や体制の整備が必要だとお考えですか?
部隊改編も視野に入れるべきと。
都民
2011/03/26 20:41
フランスから防護服が提供されるようで、大型輸送機で日本へ空輸中という話が出ていました。
ところで、陸自が開発中の新しいNBC偵察車は、今回の事故のような場合、現場を安全に偵察することは可能なのでしょうかね。
フロシュ
2011/03/26 21:09
キヨタニさん
>まだ裏をとってはいませんが
あの〜キヨタニさんあなた一応軍事「ジャーナリスト」なんですよね?
(FFOSの話が事実かどうかはともかくとして)
裏を取ってないような話を自分のサイトの自分のブログとはいえ書くのはいかがなものかと
あの〜
2011/03/27 00:32
リンク先記事拝見いたしました。

>しかも実際には10万6000人がすべて現場に
>入っているわけではなく、市ヶ谷の防衛省
>で連絡業務に就いている人員なども含まれ
>ている。

この辺りの内訳細部の入手は可能では有りませんでしょうか。防衛省の発表を見ても見当がつきません。
 被災地に入っている人員は当然として、たとえば被災地の外から被災地まで物資を空輸したクルーは含まれるとして、 その物資を搭載した隊員は含まれるのか?、その航空機の整備にあたった隊員は含まれるのか?、その辺りが判断できません。もしかして「災害派遣活動に従事せよ」という個命を切られた隊員の総数なのでしょうか?

 もし何かお分かりに成られましたらご教示ください。宜しくお願い致します。


 過去の経験からすると、自衛隊は現在総力戦に成っているかと存じます。一見災派とは関係ないように見えるセクションからも隊員が差出を喰らっているでしょう。残りの隊員は抜けた隊員の穴埋めで大変なことに成っているでしょう。また、上級司令部等もこういう事態になると別に命令を切られなくとも隷下部隊を円滑かつ効率的に運用するために本当に酷い目にあわされるものです。

 自衛隊の「体力(人間のみならず装備品等も含みます)」が持つ間は良いのですが、かなりの長期戦が予想される現在、清谷様のおっしゃる通り、

>10万6000人体制の看板を下ろし、戦線を縮
>小整理すべきだ。

という決心が必要だと私も考えます。現在の状態は400メートル走のつもりでトラックを1周してきたら「もう一周!」と言われたような状態でしょう…。

 過労死者を出さないための配慮ももっともではありますが(死ぬまで働けと命令されれば拒めませんけれども…)、「体力」が尽きてしまったら自衛隊という組織が「過労死」してしまいます。
exJASDF
2011/03/27 19:34
士が少ない…。本当に昔からの問題ですね。語りだすと長くなりますので省略しますが、一つだけ申し添えますと、3士は特殊なので別として1士2士は依願退職する者の数も多いので定数に満たないのも判らないでも無いかなぁ…とも思います。
 まあ1士2士は自衛隊経験1年半未満の、空自においてはまだまだ見習い程度の隊員ですし…

 士長の定員が少ない件については…………
exJASDF
2011/03/27 19:37
iロボットはリースして現場に投入するようです。商社などは予算が現状無いのでタダで提供してくれとか頼まれているようです。
何とも情けない限りです。有事に予算を確保するのも幕僚監部の仕事です。それこそ内閣機密費や外務省の予算もあるわけです。一部の部隊にはこれらの予算からカネがでています。
>陸自が開発中の新しいNBC偵察車
石破氏が長官当時これが配備されるまでのストップギャップのためのドイツ製NBC車を導入しようとしましたが、防衛省が嘘をついて妨害しました。
>この辺りの内訳細部
例によって記者クラブではある程度入手できているようですが、詳細はわからないようです。

因みに特殊作戦群は派遣されていないようです。これは賢明だと思います。

>一応軍事「ジャーナリスト」なんですよね?
非常に失礼ですね。ブログと通常の媒体の特性は違うとぼくは考えます。ブログでは速報性を重視します。無論出所が怪しげな情報ではなく、信頼できる筋からの情報です。
既に先々週の段階で原子炉から中性子が洩れているという情報も掴んでいましたが、影響も大きいとおもったので敢えて公表は控えました。
何をブログで公表するかという判断はプロとして行っております。

なお、ぼくのブログでは商業媒体に発表する以前のスクープも多数発表しています。





キヨタニ
2011/03/27 20:52
ドイツ製NBC偵察車というと、米軍も湾岸戦争時に急遽導入した(M93の制式名で運用中の)フクスですか(ちなみに陸自の生物偵察車のシステム自体は英国製でしたよね)。確か、今回もどこかで福島第1原発に投入するような記事を見た覚えがあります。それとiロボットというと「タロン(確か、神奈川県警が爆発物処理用に運用)」と同型でしたっけ?何か、そうしたロボットというと我が国の場合、何も防衛省(技本)のみならず各大学やら公的研究機関、はては民間企業でも開発されていたハズですよね。誰もそうした点に触れようとしないのも不思議であります。「大人の事情」というヤツでしょうか。
カッコ
2011/03/27 22:37
国内のロボットについては、オペレーターが原発の敷地内に入れないので、運用できないという記事を見たことがあります。
近くまで出動しているようですが。
フロシュ
2011/03/28 07:51
>フクス
その通りです。大臣は役所で孤立無援なんですよね。PX開発も石破氏は中止したかったのですが、防衛庁(当時)に押し切られました。

>国内のロボット
技本が開発しているものならば、理屈の上からはオペレーターが入れるはずです。技本が運用すればいいわけです。まして有事ですから。
開発中のUGVでもいいデモンストレーションになるはずです。性能がいいならば。
実際は開発は日立に丸投げしているので、出来ないのかも知れません。技本の研究開発といっても実際は防衛企業丸投げが多いわけです。
UGVなどは既存の防衛産業に初めから発注するのではなく、ベンチャーや大学などを含めてコンペで開発企業を募るべきです。

実際に川重傘下の日飛が請け負ったUAVはベンチャー企業が開発しています。このてのものは大企業よりも小回りが利くベンチャーの方が有利でしょう。

キヨタニ
2011/03/28 10:01
開発中のUGVというと、何年か前に「軍事研究」別冊にて技本が開発中の大柄なタイプ(キャタピラ駆動)とiロボットのような小型タイプ(必要に応じてマニュピレーター先端にカメラを搭載可)が掲載されておりました。ま、技本は生産設備を有していないわけですから、実質的に外部に発注することとなりますよね(流石に受注したメーカーさんの名前はありませんでしたが)。その時は思わず、すぐにでも小型の方を装備化してほしいなと思いましたね。あくまでも見た目だけですが、いろいろ使えそうでしたから(説明文には市街戦に使うような記述があった気も)。
カッコ
2011/03/28 13:42

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