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さて、昨日のNHKドラマ「坂の上の雲」をご覧になった方は多いのではないでしょうか。 舞台は日清戦争です。正岡子規が従軍するわけですが、戦は終わっている。ところが、正岡子規らが同行している隊の曹長が住民の物資を徴用と称して取りあげます。無論住民は「わしら飢え死にする」と抗議します。 それを曹長は子規に向かって、ありゃ、「日本の兵隊さんありがとう」と言っているのだといいます。 原作は原作、ドラマはドラマです。 ですから原作にないシーンが入るのはありでしょう。また原作にない登場人物がでてくることもあるでしょう。ですが、このようなシーンを挿入する必要があったでしょうか。 実際問題として当時の日本軍の軍規は厳しく、また「文明国」と認めれたいがために、国際法規は遵守していたはずです。義和団の乱の時も日本軍だけが略奪しなかったというのは有名な話です。 当時このようなことがなされていたのでしょうか。 しかも戦闘が終わった後に。 もしかすると、そういうことがあり得たかも知れません。無かったことは証明できません。ですが、それを口実にしてこのような原作の意図をねじ曲げる演出が許されるのでしょうか。 少なくともこのシーンを見た視聴者、特に原作の読者は強い違和感を感じたと思います。 NHKが表現したかったのは自分たちのイデオロギーに沿って「軍隊は悪、明治の軍隊も昭和の軍隊も同じ悪者」ということでしょう。 いい悪いは別として、日露戦争までの日本軍は良かったが、そのあと高慢になり昭和の軍隊はダメだったというのが故司馬遼太郎氏の作品の根底に流れています。 原作のテーマを180度ねじ曲げたことになります。そんなら、初めからオリジナルのシナリオで勝負すべきでしょう。 これは原作者に対する侮辱ではないでしょうか。 ぼくが原作者なら、そう思います。 確かに「坂の上の雲」は史実を歪めている部分もあるでしょうし、中国本土の現地を取材できないがため、あるいはロシアなどのからの情報が入手できなかったために誤った記述もあるでしょう。 またいわゆる司馬史観に関しても賛否両論はあるでしょう。 ですが、ドラマの根幹をなす流れにあがなうように改編は許さないのではないかと思います。 それがいいというならば、秋山真之は宇宙人だった、とか未来から来た人間だったと、日本海海戦の勝利は実はゴジラやガメラが連合艦隊に加勢したからというような話にしてもいいわけです。 NHKのスタッフは大河ドラマとおなじノリで「坂の上の雲」をつくったのではないでしょうか。 戦国時代の話なら文献も対して残っていないし、人間関係も勝手にでっち上げられます。武将を現代風の考えの持ち主にしてもいいでしょう。何しろ証拠はないですから。 ですが、近代においては多くの証拠が残っています。ドラマ制作者側の偏ったイデオロギーに基づくでっち上げや虚構を同じ調子でまぶすのは如何なものでしょうか。 このドラマを見て、やはりNHKだなあと納得しました。この程度はやるだろうなあと思っていましたから。 さすが期待を裏切りません。ますますこれで集金に応じる視聴者が減るでしょう。 一方同じNHKでも「日米開戦を語る・なぜ海軍は過ったか」では、スタッフが関係者の遺族を回って、礼を尽くして放送に理解をもらうべく努力したそうです。 番組では旧軍関係者の故人に対する批判が多数でてきます。ですが、遺族の中にはNHK側の真摯な態度もあり、事実は事実だからと快く了承してくれた方も少なくなかったそうです。 このあたりは現場の記者が随分と頑張ったと、某勉強会でこの番組を担当した社会部の小貫武氏に伺いました。こういう人達はNHK少数派なのでしょうか。 無論万人が納得するようなドラマは無いでしょう。ですが制作側には原作者の意図を尊重する姿勢が必要だとおもいます。 因みにこの回では森鴎外も出ていますが、戦死ではなく病死が多かった、我が軍は衛生や医療は後回しにしていると嘆きます。 お前が言うかぁ? ですよね。 当時海軍は英国史式の脚気対策を行ったので、脚気による被害はほぼ無かったのですが、陸軍では森鴎外らが理屈を優先としたドイツ方式の医療を信じて脚気対策を怠ったために多くの傷兵が無くなっています。 さて現代の自衛隊です。 陸自には医療部隊用のヘリは勿論一機もありません。装甲野戦救急車も一輛もありません。 医師法の縛りがあるので、諸外国の衛生兵にあたる「救護陸曹」は医官の指示がないと注射も打てません。無論診察や治療はもってのほかです。隊員が自分でモルヒネを打つこともできません。野戦手術用コンテナはたった10セットしかありません。 諸外国の兵士が一人死ぬような場合に自衛隊では何十人も死ぬことになります。 新らしい戦車がいっぱい必要なのだ、と息巻く人が世の中には多いのですが、おニューの戦車なんぞを買う前にほかに揃える装備があるでしょう。戦車や戦闘機などいわゆる正面装備だけで戦争ができると思いこんでいる旧軍の亡霊が未だ多いように思えます。 SAPIO最新号で、中国の空母に関する記事を寄稿しております。 |
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坂の上の雲とボーア戦争
さて、変更、捏造との評判もあったNHKドラマ「坂の上の雲」第一部放送が終了しました。 第二部以降はそのような批判も真摯に受け止めてドラマをつくって欲しいものです(多分、無視するんでしょうが)。 ...続きを見る |
清谷信一公式ブログ 清谷防衛経済研究所... 2009/12/30 10:21 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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>ですが、遺族の中にはNHK側の真摯な態度>もあり、事実は事実だからと快く了承してく>れた方も少なかったそうです。 |
トロロ 2009/12/21 22:58 |
その「独自の視点」を加えたNHK版「坂の上の雲」にさえ「日帝による朝鮮侵略を正当化するドラマ」だと言いがかりをつける基地外、もとい頭の不自由な方々がおられます。週刊金曜日という極左、もといリベラル派雑誌の編集の皆さんです。本当に手の施しようが無いというかつける薬の無い人たちですね。中国・朝鮮半島にとって都合のいい歴史だけが正しい歴史なのだという「歴史観」に骨の髄まで染まっているのでしょうね。 |
きるすてん 2009/12/21 23:54 |
ドラマのシーンですね。自分も違和感がありますね。 |
カド 2009/12/22 02:26 |
司馬遼太郎氏が生前ドラマ化を許可しなかったのは、良きにつけ悪しきにつけこういう脚色が本人の許容できるレベルで止まるはずがない、と見越してのことだったんでしょう。 |
クマのプータロー 2009/12/22 06:20 |
本当にこのあたりはあーあとしか言いようががないですね。史観やイデオロギー以前に、何というか、戦争というものをどうも勘違いしている人たちが製作に当たっているように思えてなりません。今後の回でももきちんとした戦闘シーンの合間にこうした勘違いシーンが適度に挿入されていくのでしょうか。一部の意見に追従して内容を勝手に改変なんてのは当時の明治の男達の心意気とは正反対ですね。現代の日本人がそこまでダメになったかというのをよく表していると言う意味では優秀なドラマなんでしょうけど。 |
SNK22 2009/12/22 06:33 |
大体ドラマなどは見る気もしないのだが、今回は一回目をパスしただけで必ず見るようにしています。今回の日本軍の略奪シーンなどは「NHK」らしさがよく現れていると思いました。 |
桜脳 2009/12/22 07:51 |
>>れた方も少なかったそうです。 |
キヨタニ 2009/12/22 10:06 |
やはり、「皆様のnhk」の皆様は、在日とシナと半島の皆様なんですね。 |
テクノマン 2009/12/22 16:27 |
「坂の上の雲」がドラマ化されると聞いて、見ようかなとか思ったのですが、昨今のNHKのやり方(JAPANデビューでの台湾編での偏向など)からしてロクでもない押し付け史観があるかもなぁなどとも思ったので結局見ませんでした。清谷氏の今回のブログを見て、「坂の上の雲」のドラマを見なくて良かったと思いました。 |
千葉次郎 2009/12/23 19:35 |
NHKドラマ「坂の上の雲」って推理小説家の野沢尚(2004年6月自殺)が当初の脚本だったんだっけ? 脚本クレジットでは柴田岳志と佐藤幹夫が追加されてるので、誰がどの程度関与しているか分からないけど。 |
へろ 2009/12/23 21:01 |
私は、玄武門の一番乗りもなければ、黄海海戦もない日清戦争に、はげしくズッコケますた。 |
土門見人 2009/12/24 20:18 |
小説への批判は、産経と朝日などの大新聞社と大手出版社を儲けさせているので版権引き上げで黙らせられるが、テレビドラマ化となると批判の規模が大きくなって逃げられないと思っていたんじゃないですか。 |
ころころ 2009/12/25 10:09 |
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