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zoom RSS 防衛省事業仕分け 「外国製弾薬は高い」は本当か?

<<   作成日時 : 2009/12/12 13:17   >>

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 「人民裁判」と呼ばれた事業仕分けが終わってしばらくたちます。

 あのとき防衛省の弾薬の調達も俎上に上がりました。

 そのとき防衛省側は「海外製弾薬は、検査なども必要なので高くつくなどの」申し開きをしていました。これは嘘です。

 TVで見た限りでは「海外製は品質が悪いので、余分な検査をしなければならない」というニュアンスの説明がなされていました。仕分け人たちはこういう説明にうなずいていたように思えます。

 確かに弾薬などは有事に備えて国産する必要があります。

 ですが、多くの国が訓練用などで日常消費する分は輸入品を利用しています。まず、日本よりも一桁二桁、あるいは3桁多く製造しているような海外の大手メーカーが日本よりも高いことはありません。

 品質についても海外の大手の方がいい可能性が強いです。というのも、常に市場経済に晒されていますから、不良率が高いと競争に負けます。また商いが大きいから設備投資に投じる資金の余裕もあります。むしろ設備投資が難しい日本のメーカーの方の品質に問題があると思います。
 実際アフガンあたりで使用された弾薬で不発が多発したら、どうなるかは想像がつくでしょう。我が国のメーカーは幸か不幸かそのような心配がありません。

 本来日本のメーカーと海外のメーカーの製品で抜き取り検査で比較してみるといいと思います。面白い結果がでるでしょう。次回の仕分けの前には是非これをやって欲しいものです。

 因みに80年代後半ぐらいから、弾薬の品質が急速に向上しています。ですからこのころから米国でも警察官の拳銃がリボルバーからオートマチックに変わってきました。これは生産機械の自動化が進んだためです。

 そもそも品質の検査は国内産だろうが、外国製だろうが防衛省はやるでしょう。国産より高くなるというのであれば、外国製だと調達単価が一桁二桁あがるような特殊な検査をするのでしょう。つまり10円で買った弾が200円になるような検査をするということです。

 仮に海外製の品質が多少劣って、多少不発が多い程度であれば訓練用に使う分には支障は無いはずです。

 日本場合、官の側が過剰な検査を行うのもコスト高の一因になっています。

 ハッキリ言って一流メーカーの製品であれば特別な検査は必要ありません。パキスタン製とか、スーダン製の弾薬を使いたいというならば話は違いますが。

 実際問題として英軍ではかつては訓練用にイスラエル製の銃弾を使っていました、現在は南ア製の弾薬(PMP社)を使用しているはずです。また仏陸軍は演習用の砲弾の信管には安い米国製を使っているそうです。
 因みにデネル社傘下のPMPは世界有数の弾薬メーカーで、NATO諸国でも良く使用されているようです。取材でも個人的にも同社の弾薬をよく使いまいしたが、特にトラブルがあったことはありません。
 またぼくが取材したヨルダン軍特殊部隊の対テロ部隊は毎日実弾を使って訓練していますが、実弾をふんだんに使って訓練をするためには輸入した安い弾を使う必要があると思います。ここも確かPMPの弾を使用していました。

国産は高くないのだ、輸入すれば手続きとかで値段が跳ね上がって国産よりも高くなるのだ。
 これは自衛隊の常套句ですが、そうやって自分を騙してふんぞり返っているから、いつまでたっても国産品のコストがさがりません。未だにこのような自己正当化が止められない体質は何とかならないものでしょうか。

 仕分け人の方々はずいぶん自衛隊の答弁を高く買っていたようですが。

 そもそもこの問題は弾薬の供給を国産か、輸入かという白黒選ぶという設問にすることは間違っています。ミニマムは国産して訓練用は安い外国産をいれればいいわけです。実際問題として有事ともなれば弾薬の消費は二桁ぐらい増えるのは当たり前ですが、それを増産で賄うのはどこの国でも難しい。

 むしろ海外から弾薬を訓練と備蓄用に輸入しておく、また有事に輸入できるようなサプライヤーを確保しておくことが肝要かと思います。その面からも平時から輸入をしておくべきです。



 また89式と64式をダラダラと併用していることにも問題があります。さっさと89式に統一すればライフル用の弾薬は一種類になり、しかも生産量が増えますから安くなります。
 
 このような新旧兵器の混在が自衛隊の兵站の負担をあげ、コスト高の一因となっています。本来こういうことを指摘するのが仕分け人の仕事ではないでしょうか。


 仕分け人たちにはこういう知識が欠如しているように思われます。

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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
日本の国産兵器の輸出禁止を解除し世界市場に広く販売し生産コストを下げる努力をまず進めるべきです。その上で国産・外国産の比較が検討されるべきで、その論議抜きに現状の固定観念からの議論は不毛というべきです。
兵器輸出の道
2009/12/12 15:53
 国防に関して何らビジョンを示していないのに何をもって「仕分け」をしようとしているのか分かりません。
 防衛省の役人に対して、仕分け人たちは好感を持っているようですが、防衛省の役人にしてみれば、今まで執拗かつ不必要な追求を受け続けているわけですから、「仕分け人達」の追求はむしろ緩くなっているくらいではないでしょうか。
みけねこ
2009/12/12 17:57
 ちなみに、鳩山政権は次期主力戦闘機の機種選定に「F35]を採用する方向で動いているそうです。何ら国防ビジョンを指名していないにもかかわらずです。
 私は別にF22しろと言うつもりはありませんが、前政権から方針を変換するのであるのなら、せめて、大まかなビジョンくらい示してもバチは当たらないと思いますが・・・。
みけねこ
2009/12/12 18:01

>> また89式と64式をダラダラと併用してい
>>ることにも問題があります。さっさと89式に統
>>一すればライフル用の弾薬は一種類になり、し
>>かも生産量が増えますから安くなります。


車載機関銃で同じ7.62mmNATO弾を使っている事はスルーですかそうですか。
@
2009/12/12 22:47
@さんへ。軍事の専門家と雖も、時に全てを網羅した論理を展開する必要は無いと認識致します。現場での知識を全て網羅した思考・論理は多くの場合、一般庶民には不要でしょう。理論的なポイントが理解出来ればよいと理解しますが???。
ITUKYUU
2009/12/12 23:22
>車載機関銃で同じ7.62mmNATO弾を使っている事はスルーですかそうですか。

64式は同じ7.62ミリ弾でも、機銃用と異なり減装弾を使用していることは無視ですか。そうですか。

それともそんなことすら知らなかったんですか?





あらら
2009/12/12 23:53
>>ITUKYUU
発言するなら、考えて理解する努力を怠るべきではありませんよ。それができないなら、貴方は黙るべきです。
>>あらら
74式車載機関銃も減装薬ですよ。
@
2009/12/13 00:53
今回の事業仕分けで明らかになったことは天下りの受け皿つくりに無駄な部署が色々あると言うことです。
銃器の統一にしても減らされる方は仕事がなくなるわけで困るんでしょうな。この世は全て既得権益で動いているようなものです。
既得権益
2009/12/13 07:41
>74式車載機関銃も減装薬ですよ。
初耳。それが本当ならば米軍との共用はできませんね。また通常弾よりも射程がかなり短くなることになりますがね。
あらら
2009/12/13 10:15
問題は輸入弾薬が高くつくのか安上がりなのかであって、7.62mm弾を使う装備の問題じゃないと思うんですが・・・論点がずれてませんか?
キヨタニさんにしたところで74式車載機関銃は知らないとは思えませんし。
むしろ論旨としては欠陥銃といわれる64式小銃を89式小銃で統一すべきって意見だと思うんですが。
諸外国を見る限りで7.62mmの機関銃を全廃って言う愚を犯したのは陸自だけのようですけど、その方がよっぽど言及すべきに思えますが。
個人的には弾薬を国産のみにするのは備蓄量の確保の点で反対ですけどね。
多分輸入して検査やらにまわしても安いんじゃないんですかね?
八王子の白豚
2009/12/21 00:45
仰るとおり議論の方向がずれていると思います。
本論の方をみていただければ、ぼくの主張の趣旨はご理解いただけると思います。それにぼくは以前から30口径機銃廃止には反対してきました。
キヨタニ
2009/12/21 11:47
>ミニマムは国産して訓練用は安い外国産をいれ>ればいいわけです。
既に生産量はミニマム以下で製造メーカーは希望退職者の募集中(銃弾のせいだけじゃないけどね)
これ以上減らしたら国産全滅で輸入オンリーになるでしょうね。
T_T
2010/05/03 11:08

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