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川崎重工のブースではCXとPXに関して色々とお話を伺ってきました。 CXは足回りの不備で初飛行が延びています。メーカーとして早く実施したいが、官の方が破壊テストの結果を見てからにしたいというので、それを待っているとのことでした。 ただ、業界筋では不具合は着陸装置だけではなく、機体設計の方にも問題があると主張する人もいます。無論開発時の不具合はよくあることです。むしろ不都合がないという方が不自然です。なので、不具合が生じたことをとやかくいいませんが、当局はできるだけ情報を開示して欲しいものです。 またCX非規格貨物用の民間機転用ですが、同社のリサーチではこの分野で約100機ほどマーケットがあるということらしいですが、営業の現場の人達はこの数字はかなり懐疑的な雰囲気でした。実際それがあるとして、価格的に安いロシアの機体などと競合できるのか。 一般のメディアではあたかもこれがボーイングやエアバスの旅客機をベースにした輸送機と競合するかの記述も見られますが、まったく別なマーケットです。そしてそのマーケットは決して大きくはないわけです。 US−2の時にも書きましたが、実際問題として民間に売る場合、FAAの型式証明を取るだけでも金をかなりの大金がかかります。また営業やサービスの拠点も構築する必要があります。しかもヘタに数機でも売れると延々とそのサポートの義務が生じます。実績がなく高い日本製機体を買う企業があるかどうか。アントノフのように川重自体が「運送屋さん」を経営するという方法もありますが・・・・ 何度も言いますが機体の魅力だけでは売れるほど民間機ビジネスは甘くありません。商売をしたことがある人ならわかりますが、仮に商品がよくてもそれが売れるとは限りません。「いい商品」が売れるなら商人もメーカーも苦労はしませんよ。 さて、PXですが、結論からいうとぼくはPXは開発すべきでは無かったと思います。より正確に言うなら先送りすべきだった思います。 国内で大型機をつくる能力の維持だけならCXをつくればことは足ります。PX、CXを一挙に開発生産すると、そのあと大型機を開発チャンスがあるかどうかはわかりません。実際極めて難しいでしょう。PXはその後にでもすれば良かった。そうすれば将来の仕事を確保できたでしょう。 しかも、さほど多くない我が国のエンジニアをCX、PXに分散して大丈夫だったのでしょうか。 当面はP3Cの改良でも凌げるでしょう。哨戒機に求められる機能や要求もかつてとは変わってきていますから様子見をした方がいいと思います。 P−8にしろニムロッドにしろ開発は難航しております。もとめられる任務や機能、機体の規模、ジェットか、ターボプロップか、2発か4発か色々と時間をかけてリサーチすべきです。 海自のP3Cは機体は余剰機をローテーションで回しています。また予算が無いためにパーツが買えず部品を共食いで飛べない機体もあります。ですから他国のP3Cより尚更寿命はあるでしょう。海自はもう寿命がないといっていますが、本当でしょうか。何故他国より極端に我が国のP3Cの寿命が短いのでしょうか。 米国のロビーストは海自のP3Cを買い取り、それを第三国に輸出するということを画策している人がいます。そんな話も洩れ伝わってきます。まあ、かつて三菱製のF104Jを米国に「返還」し、それを台湾に譲ったという前例もあるにはありますが。ギリシャはP3Cを新造して調達することも考慮していますが、こういう国々に売りこもうという魂胆でしょう。 PXは機体、エンジン、対潜システム全部新規開発です。これは極めてリスクが高くなります。そこまでして開発を急ぐ必要があったでしょうか。 4発にしたのはより高い生存性の確保という側面もあったでしょうが、IHIがこの程度のサイズぐらいまでのエンジンしか作れなかった、それを装備したかったという事情も大きいでしょう。 事実上PX専用エンジンです。しかも4発ですから調達コスト、運用コスト共に極めて高くつきます。いくら頑張っても双発よりは4発の方がコストが高くなるのは道理です。しかも信頼性の面でどうかということも今後見守って行く必要もあるでしょう。 それでも新規開発のエンジンを外国に売っていく、あるいはこれをスプリングボードにしてIHIを国際的なエンジンメーカーとして育てていくという当局およびメーカー自身の戦略でもあれば別ですが、エンジンメーカーが国内に3社共存する異常な状態を放置しているから、そのような意図はないのでしょう。 そのような世界に打って出るには莫大な費用がかかります。エンジンの投資回収は極めて長期にわたるし、リスキーな商売です。少なくともIHIがそのような構想を持っているということをぼくは寡聞にして聞いたことがありません。 「週刊東洋経済」9月20日号の航空特集では当時石破茂防衛庁長官が4発のPXの開発に難色を示したのに対して海自幹部が「4発はパイロットの安心感です。これに命を懸けるパイロットの気持ち、わかりませんか」といったそうです(あたしもご本人から同じは話を聞きましたけど)。 確かにそういう現場の声はあるでしょう。ですが現場の声がすべてでしょうか。4発にするということは2発より運用コストがかかります。その分をどこか予算を削らなければならない。訓練の時間を減へらす、護衛艦の数を減らす、あるいは哨戒機自体の調達数が削られるでしょう。それでもいいのかと。 別にパイロット達は自分たちが金をだすわけじゃありません。だいたい現場の欲しいものをそのまま調達していたら、予算がいくらあっても足りません。 一般論ですが現場はいまの現場のことしかみていません。他の装備との兼ね合い、予算の確保、さらには10年、20年先の運用、自衛隊全体としての戦略のありかたと予算の使い方などまでを考えていません(むろんそれを考えるが彼らの仕事ではありませんから当たり前のことですが)。 先述のように現在でも哨戒機の予算がたりず、部品の共食いをしているのが現状です。既存機がまだつかえるのに、高い新型機を導入する余裕がどこにあるのでしょうか。 海自の艦艇では人員不足は深刻です。そちらの予算を使った方がいいのではないでしょうか。 大戦前、新型戦闘機の開発では現場のパイロット達は格闘性能第一でしたその要求が正しかったかどうかは歴史をみればわかるでしょう。必ずしも現場の意見が正しいとは限らないわけです。 むろん現場の声をできるだけ吸い上げ反映させることは必要です。ですが、尚かつ高所からみて装備の調達を決めるが幕僚監部の仕事でしょう。現場と同じ目線なら幕僚監部はいりません。 それほど現場の声を重視するなら「国産の対艦ミサイルよりハープーンがいいとか、ソノブイも米国製がいい」という現場の声は何故無視されるのでしょうか。 現在リムパックで海自が使用してるP3Cのソノブイは米国製です。その方が値段も安いし性能もいいからです。要は国産のソノブイでは敵役の米海軍の原潜をハントできないということでしょう。 本来演習とは普段使っている装備を使ってやるものです。陸自が米国との演習の際だけM1戦車やMー16を借りたりしないでしょう。 演習だけ借り物を使うのであれば本来、自分たちの技量や装備、戦法などを確認するという演習の目的を達するはできません。実戦では国産のソノブイを使うわけですから、国産ソノブイを使い、問題があれば問題点を洗い出すのが筋です。本来そのための演習です。 海自の存在理由は国防です。戦争ごっこで米海軍に勝つのが海自の仕事ではありません。こういう事実があり、現場にもそれを憂う声がありますが、海幕は大臣に教えたりはしません。都合のいい現場の声だけを取捨選択して伝えているのでしょう。 こんな演習で大金を使うならやらない方がマシです。税金無駄です。野党がこういう所を突っ込まないのか非常に不思議です。 ソノブイですらこのレベルです。果たして日本の防衛産業にまともな対潜システムがつくれるのか非常に疑問に思えます。ぼくはPXの開発を先延ばしに、P3Cの改良を通じて対潜システム斬新的な開発や基礎研究を地道に行うべきだったと思います。いまからでもPXの開発は中止すべきだと思います かつてF2開発時には他国にない新技術で「平成の零戦」になるという大風呂敷をメディアは検証なく煽りました。我々納税者は冷静に判断すべきです。 さらに言えば基礎研究の比率をあげ、研究開発費をせめて今の2倍程度まで引き上げるべきです。ちなみにざっくりいって英国防省の研究開発費は我が国の3倍ほどです。 我が国は実戦も輸出の経験もないわけですから、むしろ他国よりも研究開発費をかけるべきです。 |
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|---|
やーれやれ。
「国際航空宇宙展その3 PXは必要か?」 from 清谷信一公式ブログ ・・・神... ...続きを見る |
Babylon C@fe. 2008/10/11 09:11 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
>4発にするということは2発より運用コストがかかります。 |
ラプ 2008/10/10 08:15 |
結果的にC-Xは先延ばしになって、機体は別ですが希望通りになってるではありませんか。 |
K 2008/10/10 10:32 |
研究開発費の増額には賛成です。 |
K 2008/10/10 10:38 |
もしも石破さんの言を受け入れてPX開発を中止し、アメリカのP8に相乗りなんてしてたら今頃たいへんな事になっていたでしょうね(開発大炎上中)。 |
通りすがりの人 2008/10/10 15:40 |
インド向けのP-8哨戒機が1機300億円近く、エアバスが提案したA320改造案ですら200億円が提示されています。それらよりも更に安いP-Xは見事な成功例と認めましょうよ、清谷さん。 |
7743 2008/10/10 21:04 |
有事の際にアメリカが中国に配慮して、ソノブイなどが手に入らない事は十分に考えられる。(現在でもすでに、その傾向がある。) |
K 2008/10/12 19:54 |
>海自のP3Cは機体は余剰機をローテ>ーションで回しています。 |
質問です 2008/10/12 20:38 |
ローテーション内で回ってるのに「余剰機」と言うんだっけ? |
abcd 2008/10/13 08:46 |
>P3Cの余剰機ですがモスボールされて |
キヨタニ 2008/10/13 12:23 |
清谷先生始めまして。 |
下村博士の後輩 2008/10/14 10:24 |
清谷先生,あなたの悪口を言っていたJSFが間違っていたことがわかりました. |
日本スト……協会 2008/10/14 21:58 |
>日本スト……協会 |
abcd 2008/10/14 23:31 |
>日本スト……協会 |
キヨタニ 2008/10/15 09:59 |
昨日の週刊オブイェクトのエントリー |
ブログウォッチャー 2008/10/15 11:54 |
>ブログウォッチャー |
通りすがりの人 2008/10/15 21:23 |
清谷先生こんばんわ。 |
下村博士の後輩 2008/10/16 20:42 |
こんばんわ。ボノ氏の件での最後のコメレス致しました。最後にラフなコメントを下されば嬉しいです。(笑) |
下村博士の後輩 2008/10/18 23:42 |
このような、大きな、高価な構造物で、その物が持つ基本的な機能ーこの場合「飛行」が出来ないものを作ったというのは、設計技術者からみると、ありえないです。作ってみて確認!ではお金がいくらあっても足りない。試作機の予算は何機も作るほど無いはず。この位になると建築物に近いので、作り直しはありえません。橋を作ったけど強度不足で落ちた。では困る。 |
心配しているエンジニア 2009/04/19 23:07 |
>清谷さんは普段から批判対象を「キチ○イ」等と呼んでおいでですので |
軍ヲタ 2009/06/13 05:22 |
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