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zoom RSS 沖縄 ‘07年日本平和大会

<<   作成日時 : 2007/11/26 00:35   >>

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 三連休中、沖縄にいってきました。といっても遊びではなく仕事でした。

 実は「‘07年日本平和大会」という平和団体の皆さんのイベントで講演をしてきました。
 

 具体的に言うと、重工産業労働組合という、三菱重工や川崎重工などの防衛産業の従業員が集まってつくった組織です。そこが主催する分科会で現在の世界の兵器産業と日本の兵器産業について講演してくれというお話でした。

 沖縄はいったことがないし、まして平和団体のイベントの内部に入ったこともないので好奇心もあって快諾しました。もっとも大会の主催者側はどんな講演をするか気にしていたらしいですが。
 講演に際してバリバリの原理主義的な活動家が乱入してきてつるし上げを喰らったら嫌だなあとか、も思っていたのですが、聴衆の皆さんは紳士的(淑女的)で、質疑応答で、ぼくの見解と自分たちの見解が異なっても特に感情的な発言はありませんでした。

 もっともぼくが講演したのはメインの会場から離れたホテルでの分科会でしたので、メインの会場だったら違った結果になったかも知れません。紛糾したらしたで面白かったかもしれません。
 この手の活動をやっている人の中にも空理空論ばかりを振り回すのではなく、現実を把握しようとする人達もいたことに、少し安心したところもあります。

 で、重工産業労働組合もっとも問題にしているのは海自のインド洋や空自のクウェート派遣などに際して、その現場に重工その他防衛産業の従業員が派遣されているということです。
問題は準戦地、あるいは作戦行動中の部隊艦隊への派遣に際して、会社側は箝口令をひいて秘密に送り出してはいるものの、扱い自体は通常の海外出張であることです。
 しかも何かあった場合の補償やサポート、それから法律が不備である点です。外地ですから労災は適応されるのでしょうが、通常の労災がおりればいいという話じゃありません。

 箝口令をひくこと自体は、ぼくは機密の保全上当然だと思います。

 ですが会社側はまず、派遣に際しての条件や、どのような法的根拠での出張であるのか、現場であるいはその行き帰りに例えばテロにあった、攻撃を受けた、あるいは誘拐されたなどの事態が生じた時にどのような対処をするのか従業員に説明をする義務があります。それを果たしていないように思えます。
 
 会社側の態度は世間に対して事実さえ隠せればいいや、という消極的なもので積極的な危機管理の意識が欠如しているように思えます。

 また、いままで国家の要請で民間企業の従業員が海外に展開している自衛隊のサポートで派遣されるという状況を想定していないわけですから、相応の法的な対処が必要です。
 ところが厚労省は自分の縄張りじゃないと逃げ腰、防衛省は会社側に丸投げで、自分たちの問題ではないと逃げているそうです。

 防衛省が仕事依頼しているわけですから、万が一の場合の補償であるか対策をどのようにとるかということを決定し、法的な裏付けもつくっておくべきでしょう。

 こういういい加減な態勢で実際に現地で事件や事故が起こった場合、誰が責任を負うのでしょうか。防衛省の依頼で出張しているわけですから、国に責任があるのは誰が見ても明らかかでしょう。
  何かあった場合会社は社員が了解していったから自己責任だと逃げを打つかもしれませんが、そんなことをしたら世論から袋だたきに遭うし、株価も下がるでしょう。そういう自体を会社側がシミュレーションしていないのでしょう。総務に想像力の欠陥があるとしか思えません。

 不幸にしてそのような状況が起きた場合、最悪の場合政権がひっくり返ることになるでしょう。後で高い授業料を払うことになるでしょう。防衛省の担当部署の課長クラスの首が飛んですむ話じゃありません。

 防衛省はもはや「政策官庁」であるわけですから、逃げることなくキチンと相応の体制を取り、法的な根拠も整備すべきです。
 また派遣先の脅威の度合いも戦地から安全地帯までいくつかのカテゴリーに分けて明確な定義を設けるべきです。

 重工産業労働組合も意見が統一されていないような印象を受けました。このような派遣には全面的に反対する人もいれば、現状を認識し、政府や会社側からキチンとした条件を引き出すべきという人もいます。ぼくは後者の考え方を支持します。

 日本の労働運動の場合労働運動=左翼という構図になっているわけですが、これを替える必要がある。米国やオーストラリアの組合は右翼です。

 欧州の労組は左翼ですが、日本の左翼のように「反日」ではなく、愛国者ばかりです。日本の労働運動=左翼=反日的な構図は世界的な不偏なありかたではないわけです。政権を担当するフランスの社会党や英国の労働党は核兵器容認だし、武器の輸出にも熱心です。また戦争も厭いません。

 日本の労働運動も発想の転換が必要です。本来組み合いは労働者の雇用と生活を守るのが仕事であり、イデオロギー闘争はその主たる任務ではなわけです。ところがそのイデオロギーばかりを一緒にやったり、こともあろうか某鉄道会社労組のように極左暴力集団とつるんでいる連中までいるわけです。

 これでは会社側も態度を硬化させます。

 組合は平和反戦を労働者の派遣に絶対反対する、あるいは外部のプロ市民と連携をする。会社側は主張をする労働者は全部アカだと決めつける。これは双方に取っ手非常に不幸なことであると思います。
 ただ、このような運動に手をさしのべる、あるいは共闘の対象は共産党や所謂「平和団体」ばかりという現状もあるのでしょうが。

 今回のようなエンジニアの海外派遣に関しては労組共にイデオロギーを抜きして現実的な問題として歩み寄って建設的な議論を進めるべきです。また、国も当事者であるという認識をもって早急に法整備を行うべきです。



重工産業労働組合
http://www.green.dti.ne.jp/juko-uni

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
現地派遣の話は、イラン・イラク戦争の時に政府専用機がなかったエピソードを彷彿とさせますね。当時も政府が民間航空会社に要請したが、戦地での保障をめぐって折り合いがつかなかったという話を聞きましたが、当時から現在までそういった体質は改善されていないということでしょうか?
通りすがり
2007/11/26 00:59
これはいい指摘! これは日本のエンジニアの海外出向にも通じる矛盾である。 日本で兵器を作り、翌日には飛行機に乗り、敵国で兵器部品(今は民生部品でシステム兵器を作る)を作るボーダレス経済を仮に「越境越後屋経済学」と表現すれば、国家(幕藩)防衛体制そのものが、形骸化(崩れ)しているのであり、新しい地球規模の防衛策を策定すべし! と言うのが、民間側の主張。 各国政府が策定できないなら、民間側でやるしか無い。元国防総省長官の沖縄演説はそんな示唆に聞こえた。 だから、国防総省自体も、ホワイトハウスも、この矛盾をどのように解決したらいいのか、困っている状況と観測す。
 
guest
2007/11/26 06:18
航空各社の労組は安全云々ではなく、イデオロギーの面で反対ですから。何を言っても無駄でしょう。
キヨタニ
2007/11/26 15:47
こういうことこそ、米国や仏国などの戦争先進国を手本にすればよい例がいくらでも出てきそうに愚考しますが、どうなんでしょうかねー。悪い例しか出てこなかったりしてw
unimaro
2007/11/26 21:41
 左翼だけじゃないですからね、東京裁判史観と連動して議論をふっかけてきて、平和だなんだとほざきますから。
ななし
2007/11/27 15:13

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