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zoom RSS 防衛調達 輸入装備品の適正マージンとは

<<   作成日時 : 2007/11/25 13:23   >>

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山田洋行子会社の車両見積もり 納入時3億円上乗せ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007112302066705.html


 今防衛省は山田洋行およびその子会社である日本UICの関わった輸入装備の製造元に原価=山田やUICに入れた値段を調査しております。で、こんな報道がでてくるわけです。

今回の問題は山田がメーカーが出した見積もりを改竄したという悪質なものです。これは水増しなどではなく、詐欺であり、有印私文書偽造などの詐欺行為です。
 防衛省は速やかに警察に告発すべきです。

 山田のマージンが業界の水準より高いというのは昔から噂されていました。業界では有名な話でした。いままで何故防衛省は輸入装備の価格をチェックしこなかったのか、まずそこが問題でしょう。
 人手も知恵も足りなかったのか、面倒くさかったからか、業界と癒着していたからか、商社全面的に信用していたからか、まず防衛省の側の体制を検証することが必要です。そうでないと今回の騒動が一過性のもので終わり、また同じようなことが繰り返されます。

 さて、ここで問題となるのが一般論として、何をして「水増し請求」と言うのかということです。昨今の報道ではその定義が明らかにされていないわけです。
 
 実際にはマージンが3パーセントでも過大な場合もあるし、仕入れ値の原価の3倍でも適正な場合もあります。


 昔は鉄鋼などの取引で商社がメーカーと買い手の中に立ち、一旦契約が決まった後も延々と慣習として「眠り口銭」と呼ばれるマージンを延々と取っていました。
 これはパーセンテージは1パーセント以下とか低い場合が多かったのですが、0.1パーセントでも取引が1000億円であれば1億円です。毎年そのような眠り口銭が入ってきたわけです。昨今は商社を中抜きしたりする場合も多く、このような眠り口銭は減ってきています。
 例え僅かな利率のマージンでも何もしない会社に支払うのは「高い」あるいは払うに足りる根拠がないと買い手が判断したから減ってきているわけです。


 当局の方からメーカーと製品を指定されて、それを入れといわれれば、単なる輸入代行ですから、かなり手数料は下がります。ですから当局が商社が行っているマーケティングを代行すればその分手数料は減りますが、その分、人員を増やす必要があります。
 
 画期的で面白いんだけど、採用されるかどうかわからない、そういう商品は「開発費」がかかります。例えばセグウェイのような商品です。
 画期的で既存に類似品がない。どこのマーケットにフィットするかもわからない。また、法的にどのような規制を受けるかもわからない(実際日本ではあれこれ問題になりました)。法規制も前例がないから役所のさじ加減で黒になったり白になったりします。またサンプルを実際に使ってみる必要もあるでしょう。しかもそれがまったく売れない可能性もあるわけです。
 
 同様な「個性的」あるいは「革新的」、あるいは「ニッチ」な製品の場合、顧客である防衛省や自衛隊に使い方を啓蒙する必要もあります。
 採用されなかった場合のリスクを負う、あるいは法的な問題をクリアーする(そのために弁護士費用も発生したりします)コストもかかります。ですから本国で売られている値段にかなりのマージンを載せないとペイしない場合もあります。

 常に在庫を抱える場合もコストがかかります。製品自体を抱くための費用、営業倉庫の費用、更に消耗品やスペアパーツなどの在庫の費用などが必要になります。当然価格はこれらを考慮したものになります。

 それから一回の取引が極端に小さい場合、極端な例を挙げれば1個1000円の製品を輸入する場合、商社の人間が動く手間、通関料などを考慮すれば10割のマージンでも完全に赤字です。
 実際に防衛省は1個、2個の安い製品のサンプルを頼んだりします。しかもそれら最近は競争入札です。で、商社はサービスでお付き合いするわけですが、慈善事業ではないので大量発注時、あるいは別な装備の納品に際して価格にオンします。

 また、防衛省は結論を出すのに時間がかかりすぎます。ものによっては結論を出すのに10年もかかります。その際採用されないで、10年間引っ張られるというリスクも発生します。当然マージンを厚くしないとペイしません。つまり採用決定するプロセスを透明化し、かつ迅速に行えば輸入コストは下がることになります。

 CXのエンジンなどは取引の金額が大きいこともあり、それほど高いマージンを載せなくてもやっていけるものです。しかも整備などは実際にIHIがやるわけですし。そういうことろの大幅な「水増し請求」を行うことは許されません(メーカーの見積書の偽造など論外です)が、製品の性質、商社のコミットメントの度合いによって適正利潤は変わってきます。

 このブログでも何度も書いていますが、装備の調達前に調達数、調達期間、金額決めて契約すれば輸入調達は劇的に安くなります。それはメーカーにしてみれば生産の予定と利益が確定できるからです。
 更に輸入品の場合、一回当たりの輸入量を増やして輸入の回数を減らせば、その分手間も、通関料も減ります。極端な話、100個の装備を一回で輸入するのか、100回に分けて輸入するのかでは100倍コストが違うわけです。

 防衛省はまず、装備の調達前に調達数、調達期間、金額決めて契約することを調達の基本にすべきです。

 確かに高すぎるマージンは問題ですが、慈善事業並みのマージンでは商社が商品開発やマーケティング、アフターサービスをする原資が無くなります。まして外国に支社をおき、駐在員を常駐させるような余裕はなくなるでしょう。

 それを全部当局がやって商社は輸入代行だけをすればいい、そのための組織も人員も用意するというのであれば別ですが。
 適正利潤とはなにか(これが非常に難しいのですが)、ということを真面目に考えるべきだと思います。


   
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
お疲れ様です。

とても解り易い記事でありがたいです。
物差しの目盛りをどの辺りにすればいいのか、が難しいし、だから皆めんどくさがってやってこなかったんですね、いや、「知恵が足りな」かったんでしたっけw

いい加減、関係者は潔く利権をあきらめればいいのに、と思いました。

町工場の親父にアウトソーシングすればイイ!!かも、、
unimaro
2007/11/26 21:31
↑ いい意見! 兵器部品を実際に加工しているのは、日本の場合、民軍部品を混在加工する町工場であり、生産ロットが少なく、商売には全くならないながら、お国の為にと協力しているところもある。最大の問題は、ご発注側に「地球規模の善き防衛とは何かの哲学」が無く、単に予算消化の発注としか見えないところが問題なのです。納税者負担の軽減で、防衛力の強化なんて考えている防衛族、軍事官僚を各国で見たことが無い。商社は単に口銭やマージン上乗せ稼ぎだし、なんの為に代理店をやってる使命感はんてもんはとても見えない。
guest
2007/11/27 06:54

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