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zoom RSS 日本の防衛装備調達問題のキモ

<<   作成日時 : 2007/11/19 00:06   >>

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 昨今、商社のマージンが高すぎるとか政治家が利権でコミットしているなど防衛調達の問題点が話題になっていますが、一番のキモが話題になっていません。
 
 そのキモの問題を放置しいているから輸入品だけではなく、国産装備も高いわけです。
これを是非とも認識すべきです。

 諸外国では装備の調達に際しては必要な数量、調達期間、金額を決定し、サプライヤーと契約をおこないます。
 新装備の導入は近隣諸国の装備導入や周辺地域などの緊張の度合いなど勘案し、具体的な未来を想定し、それに基づいて戦略グランドデザインやドクトリンを設計します。
 で、それらに沿って調達すべき装備を調達します。

 ですが、我が国では新装備の調達数、調達期間、総額を明示しません(一応大綱や中期防などである程度の目安は示されていますが)。
 
 つまり、いつまでにどれだけの装備が、必要であり、カネはいくらかかるのかということが事前に決定されない。ですから、10年も20年もだらだらと装備の調達が続くわけです。

 これは防衛当局が防衛のプランはない、あるいは脅威自体が存在しないと明言しているに等しいわけです。ところが我が国では皆、この異常な状態を異常と思わない自体が異常なのです。これが現在調達の問題のキモであります。

 売り手(メーカー、商社)にしてみれば販売数が確定せず、販売期間も確定しておらず、販売金額も確定できなければ、売り上げが確定できません。設備投資が何年で回収できるかわかりません。

 民間企業であれば設備投資を決定するのに、その設備投資でどれだけ儲かるのか、投資プロジェクトがいつまでに終了し、投資の規模も、投資額がいくらかかるのかということを決めずに、設備投資を行うようなものです。これが異常でなくてなんでしょう。

 不確定要素があまりにも多く先行きが不透明で企業の負担、リスクは極めて大きいわけです。しかもその間人員も貼り付けなければならない。
 
 例えば5年で売り上げを回収できるのにくらべ、売り上げの20年、30年もかかると予想されれば資本の回転率は格段に悪くなる。20年かかろうとそれが初めからわかっていればまだしも、調達がいつ終了するもわからない。
つまりリスクが非常に高い上に経営効率が悪い。

 当然ながらサプライヤーサイドでは高めのマージンを設定する。つまり国産、輸入品を問わずこれが調達コストの増大の大きな要因になっているわけです。

 これを正せば装備調達のコストは劇的に削減されます。事実、多少「まとめ買い」をはじめた本年度予算、また来年度予算の要求では100億円単位で調達コストが削減されています(この事実をメディアが報道しないの怠慢であると思います)。

 細かい議論はこの問題を解決してからで宜しいと思います。


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コメント(13件)

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レアメタル衛星探査、ボツワナ大統領と合意…甘利経産相
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/
news/20071116i116.htm
> 甘利経産相はこれに先立ち、ヨハネスブルクで同日、南アフリカのソンジカ鉱物エネルギー相と、鉱物分野で共同事業を行うことなどで合意した。

関係が無いコメントで申し訳ありません。清谷さんが以前から仰られていたことだったのでお知らせまで。一歩前進したのでしょうか?
k.mokuson
2007/11/19 01:38
>本年度予算、また来年度予算の要求では100億円単位で調達コストが削減されています。
本年度予算って、安倍政権下での予算編成ですよね。下地を作ったのは前任者の小泉政権下かもしれませんが、安倍さんのこういった成果はマスコミは報道しませんね。
へろ
2007/11/19 02:49
 暴論ですが、海外派遣の陸自隊員の装備は金を渡して、分隊、個人坦懐で自弁というのはどうでしょうか。
 米英仏独あたりを指定銃器メーカーにして、そこから好きな小銃、拳銃まで選ばせる。
 もちろん、提供会社は一蓮托生でサービスの正社員を派遣する。
 駐屯地には、銃器の会社の看板を強制的に立てます。


 
2007/11/19 04:39
 暴論ですが、海外派遣の陸自隊員の装備は金を渡して、分隊、個人坦懐で自弁というのはどうでしょうか。
 米英仏独あたりを指定銃器メーカーにして、そこから好きな小銃、拳銃まで選ばせる。
 もちろん、提供会社は一蓮托生でサービスの正社員を派遣する。
 駐屯地には、銃器の会社の看板を強制的に立てます。


 
2007/11/19 04:39
The All:民需/軍事の両面を扱う民間企業側は、有人兵器至上主義を止めよ! と、強く主張す。「地球規模の善き防衛とは何か?」を理念に、対テロを防犯の範疇として捉え「低強度(非対称)紛争多国間市民連帯共同防御システム構築」と、多国間市民連帯共同防御オペレーション(防犯ボランテイア化)なる市民防衛を模索すべし! それを実現するには既に民間側で成功している「遠隔越境制御技術」の援用で、初段階実験企画を作成する時代である。極論すれば、国家(幕藩)単位の防衛策だけでは全く意味無き時代である。 国防総省を始め、各国大本営が、時代に取り残されている状況が残念である。
guest
2007/11/19 06:54
単年度予算が諸悪の根源ではなかろうか?
通りすがり
2007/11/19 21:12
↑ どうして、予算消化だけとしか思えない部品を何十年も民間企業へ発注するんだろうか? 民間企業がボーダレス化
(越境越後屋経済学)している時代に、
地球規模の善き防衛策を国防総省も、各国(幕藩)政治家も軍事官僚も企画できないのは残念なことだ。   
guest
2007/11/20 07:10
そういう調達方針でF22も欲しいって言ってるわけだ、幹部は・・・カネがかかるわけですね。トホホorz
とーりすがり
2007/11/20 07:35
何故か数、調達期間、予算を決定してから発注するという当たり前のことができないのか話題にならないのが不思議です。

それから南アはサブサハラ以南のキモですから本来外務省や経産省が人員を送り込んで然るべき体制をとるべきだと思います。まあ、皆さん行きたがらないでしょうが。
キヨタニ
2007/11/22 12:42
なぜ同じような兵器で値段が二倍も三倍も高いのか?なぜ20億、30億も差があるのか?こうした素朴な疑問を問題視しなかったのか?と問われて、即答できる政治家はいますかね?
まあ、「お口汚しの郷里の名物」として黄金色ならぬ福沢諭吉の詰まった菓子箱が飛び交っているのでしょうが。
シロ
2007/11/23 16:24
皆さんに聞きたい。 最末端の部品加工
工賃がどうして、こんなに安いんだ?
量が商売にならな小ロットなら、もっと
中小零細企業の工賃は高くてもいいわけだと思うけど、どうしてなのかよう解らん?
guest
2007/11/24 16:12
>何故か数、調達期間、予算を決定してから発注するという当たり前のことができないのか話題にならないのが不思議です。

単年度予算だからでは?
通りすがり
2007/11/24 19:48
今年も来年度と再来年度の2年分のPX4機分の契約をやり、コストを削減しています。やればできるけど、やりたくなかった理由があるのでしょう。
キヨタニ
2007/11/26 15:45

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