清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

help RSS 【早耳情報】陸自がフランスの簡易型自走砲カエサルの導入を検討か?

<<   作成日時 : 2006/05/16 23:01   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 9

 消息筋によると現在陸自の調査団がフランスに渡り、Giat社の簡易型自走砲カエサルシステムを検分しておるそうです。

 このカエサルというのはキャブを装甲化した6×6にGiat社の52口径155ミリ榴弾砲を搭載したものです。
 牽引砲より機動力があり、生存性に優れ、操作要員も少なくてすむ。装軌式の自走砲に比べると自走速度が早く航続距離が長く、しかもC130で空輸できるので戦略機動性が高い。また収得、維持コストが低く済むという利点があります。

 ぼくが90年代の前半から装輪自走砲の優位性を説いても全然相手にされませんでしたが。
同じカテゴリーにはイスラエルのソルタム社のAMOS(イスラエル軍で採用)、南アデネル社のT5、スウェーデンのボフォース社のアーチャー、やら色々ありますが、先進国で採用されているのはカエサルのみです(フランス陸軍及びタイ陸軍で採用)。
 因みにオーストラリア陸軍も装輪自走砲を採用する予定です。

 陸自の牽引砲のFH−70は駆動部分にガタが来ているそうで、一時期、FH−70の砲を流用した自走砲というのも検討されたそうです。

 装輪自走砲といえば南アのG6、スロバキアのズザナなどがありますが、これはかなりガタイが大き過ぎるという話になるのでしょう。
 既に99式もあることだし、いまさら旋回砲塔をもった自走砲はメンツもあって導入できないでしょう。技本ではBAEシステムズのM777のパチモンみいたな、超軽量砲の開発を進めているのですが、こちらは諦めるのでしょうか。

 現在世界では155ミリ砲に関しては40キロ以上の長射程のタイプか、M777のような、牽引型ならばヘリで懸吊が可能な軽量砲、しかしながら射程は30キロ程度の二つのグループに分かれます。射程を取るか、空輸性をとるかということになります。

 155ミリ砲といえば、先月南アのG6の52口径型(G6にT6ベースの砲塔を乗せたバージョン)でV−LAP(ベースブリード+ロケットアシスト)弾で射程75キロを実現しました。
 この実験にはドイツのPzH2000も参加しており、同じ南ア製のV−LAP弾を使用して56キロの射程を得たそうです。両者の砲身長は同じなので、仰角がかなり違ったこと、それからG6はより大きな薬室を持っており、装薬が多かったことなどが射程の違いになっていると思われます。
 先日のマレーシアのショーでアームスコーの友人に聞いたら75キロでCEP(Circular Error Probability、半数命中半径)が200メートルほどだったそうです。将来もう少し命中精度は上がるでしょうが、この程度でも十分に実用に耐えるでしょう。
 因みに75キロといえば日本橋から小田原ぐらいまでです。JRで東京から小田原まで70分かかります。これだけの射程が日本に必要がかどうかは議論のあるところでしょう。

 ともあれ自走砲、簡易型の自走砲、牽引砲の組み合わせを決定しなければならないわけです。

 いずれにしても、現在のように自衛隊の脅威の認識と防衛構想が確立されていない状態で装備を選ぶと単なる「買い物リスト」作りに終始してしまう危険性があります。


テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
昔、東千歳の駐屯地祭の展示で、203ミリ自走砲の精度を「苫小牧にある王子製紙の煙突狙えますか?」としつこく訊ねていたオタクがいたのを思い出します。
精度は炸薬量とトレードオフしながら誘導砲弾という線で纏めるんでしょうね。
それはそうと、FH−70の後継でカエサルシステムはいけると思いますね。
G6だとゴツすぎるし。
超軽量砲は「米軍が研究してるからうちも研究しよう」でやっていたらダメですね。確かにブラックホーククラスで空輸出来るのはメリットだけど、走れるなら自走した方が燃料消費も少なくて済むと思うし。そう考えるとカエサルって確かに地味だけどなかなか侮れないシステムなんだな。
北海道しか配備されないような99式より、内地(本土)及び対馬とか離島向けなシステムとしてカエサルはいけると思いますよ。
G6はそれを受け止める土台があるかどうかですね。
それこそMLRSのトラック版「HIMARS」(だったっけな?)と組み合わせるとかして、素早く動ける装輪部隊を作るべきでしょう。
D・Dダレル
2006/05/17 02:42
NATOとの関係強化の為のネタ作りなんでしょうか?
それとも単に国内開発への当て馬だったりして(苦笑
きんぎんすなご
2006/05/17 08:58
英陸軍はM777とトラックの組み合わせの半自走砲を選択しました。発射時には車体からおろして使用するわけです。英軍の場合外征型ですから中型ヘリで懸吊できるM777をメインに据えるのでしょう。展開力重視で、更に射程が必要な場合ブレーブハートやらMLRS、HIMARSなどを使うつもりでしょう。
キヨタニ
2006/05/17 12:37
「石破茂・前原誠司ほかが集中講義!日本の防衛 7つの論点」(宝島社)の中で、石破元防衛庁長官がF2調達中止についてコメントしておりました。
「F2はダメな戦闘機ではないが、作戦では限界があり、このまま120億円で調達を続けるよりF15を改良したほうがよい」との判断でした。開発者にも面子がありますが、実利を取ったそうです。
他にも様々な方が、インタビューしておりましたが諸外国との共同開発が主流になるので、その促進、日本が不得意とする分野を思い切って捨て、得意な分野に集中すべきとの意見などがあり、全体的に防衛庁=買い物庁、ハリボテ自衛隊からの脱却が示唆されており、異論反論は多々あるにせよかなり、かなり突っ込んでいるなという印象でした。
真剣に考えている人たちはいるのでしょうが、実際に政策に反映するとなると利権にしがみつく、官僚が邪魔をするかもしれません。
石破氏は、小泉総理から有事法を仕上げる際に「お前に任せるが、官僚のいいなりになるな」と釘を刺されたそうです。
シロ
2006/05/17 15:46
将来の防衛構想はどうあるべきか、という確固たる予測に基づくドクトリンの開発、構想をもたないものですから単なる予算のぶんどり合戦になりやすいわけです。
F2にしても空幕に「本来要求されている対艦ミサイル4発を積んでのミッションの試験をやっったことがあるのか」と問いただしらら黙ってしまいました。
キヨタニ
2006/05/18 00:08
政治家や軍人、防衛産業の面子なんてどうでも良いですよ

国民が安心して暮らせることが一番で
国産でもフランス製でも最適なものを導入するなら文句はありません

国産じゃなきゃいけないとかって
個人的な面子の余地が大きい気がします

素人考えですがF2の代わりに最初から素の
F−15EやF−16Cを最初から導入しておけばなあと思います

三菱の面子のために未だにF2を生産中って理解できません

F−15の改良費にしてもどの道運用耐久時間が迫ってるんだから新しく買い直した方がよい気がします
正子
2006/05/19 01:31
F−16ベースに対艦ミサイル4発も積むこと自体余り現実的ではありませんね。しかも当時は空中給油機を導入できる目処もなかった。

F−15に関しては高いのは電子装備です。機体で一番ガタが来るのは足回りです。米海軍のホーネットの耐用年数を伸ばすために足回りを取り替えます。
キヨタニ
2006/05/20 00:30
まだFSXの頃、候補に上ってたうち本命は現時点でスーパーホーネット(ライノ)になりました。純国産はエンジンが泣き所だし、何よりアメリカが邪魔をするのは分かり切ってた事ですし。
さて、いざF−16ベースで作った結果ですが、様々な問題があるとはいえある1点だけ優れている部分があったんですよ。というか何故かライノの泣き所がここなんですが。
F−2はエンジン性能に余裕があるせいでアフタバーナ焚かなくても離陸出来るから騒音が減少したと。対してライノは先代ですらやかましかったのにさらにやかましくなるわエプロンで芝が焼けるわとなかなか大変です。
面子だの既得権益だの言われますが、何より運用する現場の意見が重要ですよ。静かなライノがあれば言うこと無いんだけどなぁ。
D・Dダレル
2006/05/21 23:31
実際航空ショーでホーネットの離陸時の五月蠅いこと。
不思議なことにこの騒音を問題する識者は極めて少ないですね。
キヨタニ
2006/05/22 00:21

コメントする help

ニックネーム
本 文
【早耳情報】陸自がフランスの簡易型自走砲カエサルの導入を検討か? 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
[ ]