令和4年度財政制度分科会の防衛関連資料を読む 参考資料編その6

財務省では毎年財政制度分科会が開催されています。これは国の予算、決算および会計の制度に関する事項などを調査審議するものです。
その中に防衛に分科会があり、そこで使用される資料が毎年公表されています。意外に注目されていないのですが、防衛省では出さない資料や防衛省には都合の悪い指摘も含まれており、防衛に関しては貴重な資料となっています。これは「資料」と「参考資料」があり、今回から数度に渡って、この「参考資料」を解説していきます。

「資料」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/03.pdf
「参考資料」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/04.pdf


諸外国の防衛産業の現状について 〜イタリア〜(P10)
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○ イタリアの国防関係の研究開発費は、約80億円と少額。
○ 装備品の多くを国際共同開発しており、国内の代表企業は、国の25倍以上のR&D投資を⾃ら実施し、国際市場を⾒据えた装備品開発・⽣産を実施。セキュリティシステム分野等においてグローバルシェアを有する。

イタリアは同じ第二次大戦の敗戦国です。ですが防衛産業のあり方は日本とは大分異なり、自立しています。それは輸出や共同開発において企業が自ら投資することで、国の開発費は低く抑えられています。

ヘリ産業にしても欧州でレオナルドは欧州で第二位のメーカーとなっております。
同社のヘリ部門は、元はアグスタ社が英国のウエストランドを事実上吸収したアグスタウエストランドです。ヘリ産業は民需が大きな部門です。武器輸出の制限があった我が国でも世界の市場へのアクセスが比較的容易です。事実上エアバスヘリと川重の合弁のBK117が存在します。
ですが我が国は官民共、防衛省の予算に寄生する「子供部屋おじさんヘリメーカー」の道を歩みました。今後もメーカーとして自立する可能性はなく、延々と他国より数倍高い調達コストで税金を食いつぶしていきます。防衛費増額の前に、こういう寄生虫を殺していくことが必要でしょう。


国防予算等の現状
国防予算 約25,600億円(GDP⽐1.2%)
(2019) ※ ⽇本の同予算の1/2程度うち装備品調達額 約5,000億円
うち研究開発費 約80億円※ ⽇本の同予算の1/20程度国防予算等の現状
「(防衛産業)基盤に関しては特定の分野を⾃国内に維持するという考えではなく、EU 全体のなかで各国の防衛産業基盤を有効に活⽤して⾃国の防衛⼒を維持する考え⽅のようだ。」
「イタリアでは、陸軍、海軍、空軍の装備品の多くを欧⽶諸国と国際共同開発・⽣産している。」
(注)2019年平均の為替レート1€=122.1円を⽤いて試算(出所)EDA Defense Portal(2021Dec)、 SIPRI Databases(2021Dec)を⽤い、財務省作成。
防衛産業に係る考え⽅
(出所)経団連(2013)「イタリアおよびイギリスの防衛産業政策に関する調査ミッション報告 」より抜粋
【過去5年間の主な海外移転装備品】
①航空機、②艦船、③センサー ほか
【過去5年間の海外移転先国】
① トルコ、②エジプト、③パキスタン 他約50か国

代表企業︓Leonardo(レオナルド)社 1948年設⽴
割る 売上⾦額 約16,300億円(防需⽐率約75%、海外⽐率約83%)
⇒ うち約2,000億円(約12%)を企業⾃らがR&Dに投資
割る イタリア政府(経済財務省)が30.2%の株式を保有する航空宇宙・防衛セキュリティ分
野のグローバル・リーディングカンパニー。
割る 防衛関係の電⼦機器・セキュリティシステムの売上が47%を占め、その他の主要領域として、航空機、ヘリコプター、宇宙がある。
※ 約130か国で約70,000者のサイバーセキュリティシステムを担うほか、射撃システムや無⼈航空機運⽤システム、海⾃や海保が運⽤するヘリコプター、⾼分解能衛星などを設計・製造割る 英国企業による世界の防衛企業透明度(反汚職)調査2020において世界⾸位。
戦闘機の開発・調達について
割る これまで、ユーロファイター・タイフーンやF-35の国際共同開発に参画。イタリア国内にF-35A/Bの国際的な製造・整備拠点を設置。
割る イタリア空軍と連携した国際⾶⾏訓練学校(IFTS)を創設し、⾃らが開発・製造する、F-35等の搭乗のためのジェット練習機や⾶⾏シミュレーターを⽤いたプログラムを
ドイツ・オランダ等の各国に提供。 ※ 空⾃も訓練委託割る ジェット練習機(M-346)は、伊空軍の (出所:Leonardo社HP)要求前に、企業⾃ら世界市場を調査し、開発を企画。
割る 英国のテンペスト計画に基づく次期戦闘機(FCAS)の開発にあたっては、パートナー
企業として参画。

イタリア政府は防衛産業に関して明確なビジョンの元、その再編を行いました。それがレオナルドに集約されています。同社はヘリコプター(旧アグスタ・ウエストランド)や、オトーメララなどを傘下にもったコングロマリッドマリッドです。航空機の機体は勿論、レーダーなどのサブシステムや通信機も強みをもっています。
そして同社はBAEシステム同様に米国でも大手企業を買収して米国市場でも売上も増やしています。

無論日本は武器輸出に大きな制限があり、同様なことはできないでしょう。ですが、国内の同じ分野での零細規模のメーカーを統廃合したり、することはできるはずですが、やってこなかった。実際に造船では例外的にそれをやっています。それは造船メーカーの本業に深く関わっているからです。
また航空産業にしても軍用機が駄目ならば旅客機などの民間市場を狙うというのもあったはずです。そうすれば航空産業の基盤は遥かに強化され、また内外市場で揉まれた航空産業がよりまともな航空機をまともなコストで生産することができたかと思います。
それが不可能であれば防衛省は国産航空機の調達をやめるべきです。

Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。
安倍元総理の軍拡に対する反論
https://japan-indepth.jp/?p=66751

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