不明瞭な防衛予算と記者クラブの責任

日本の防衛費、GDP比で1.24%と判明…「隠す必要ない」と専門家 本紙がNATO基準で試算

東京新聞が次年度防衛予算と当年度の補正予算の一体化を報じました。ですが問題もあります。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/152199

>日本の2021年度の防衛費の対国内総生産(GDP)比を、本紙が欧米諸国と比較可能な基準などを用いて試算したところ、当初予算や補正予算などの合計で1.24%になることが判明した。防衛省は独自の算出方法を使い、当初予算は1%以下で推移していると公表しているが、欧米基準の関連経費や増加傾向にある補正予算を除外しているため、実態は異なる。自民党は先の衆院選で「2%以上も念頭」と増額を公約したが、過少な比率を前提に議論が進めば、なし崩しに防衛費の膨張が進みかねない。(川田篤志)

>日本は21年度当初予算で0.95%だと説明し、低水準に見えるが、単純比較はできない。NATOが国防関連予算として盛り込んでいる退役軍人年金や日本の海上保安庁に相当する沿岸警備隊の経費、国連平和維持活動(PKO)拠出金などを、日本は除外しているからだ。

>歴代政権は1%を目安に予算編成した。だが、日本は92年からPKOに参加し、海保の予算も第2次安倍政権以降は増加している。補正予算も年々膨らむが、いずれも加味しない算出方法を使い続けている。

>2019年の国会審議で岩屋毅防衛相(当時)がNATOと同じ基準なら対GDP比が1.1~1.3%になるとの推計値を明らかにしたことがある。だが、実際の予算を反映した正確な比率は公表していない。
 岸信夫防衛相は22年度当初予算案を閣議決定した昨年末、21年度補正予算との合計で1.1%との数値に口頭で言及した。しかし、防衛省が公表する公式データに記載はない。


問題はまず、長年記者クラブメディアが独自の論考を行わず、日本政府の数字だけを鵜呑みに報道を続けてきたことが問題です。これでは政府広報です。
ぼくは2年前に東京新聞が「税を追う」特集の取材に先立って次年度予算と補正予算の問題を説明しました。ですから他のメディアよりこの問題を報じています。ですが殆どの記者クラブメディアは政府の出した数字を鵜呑みで報道してきました。

この記事では単純に次年度予算+当年補正予算という構図で報道していますが、それはそれで問題です。本来の意味での補正予算と本来は補正に組み込むべきではない「お買い物予算」を分けて報道すべきです。そうしないとまともな数字は出てきません。

第二次安倍政権以来の実質的な防衛費は以下の通りです。

次年度予算+補正予算(-本来の補正予算額)=実質的防衛費

ですからその補正予算の内容を精査をしないといけません。単純に補正予算も防衛予算だというのは乱暴です。

またこの記事では概算要求の「事項要求」については述べていません。
これまた記者クラブメディアはほとんど報道していますが、「事項要求」の金額抜きの金額を「防衛費5.3」兆円とかヘッドラインで報じるのは事実上嘘です。
政府の概算要求金額を過小に見せようという世論操作に新聞が協力しているのでしょう。新聞購読料に消費税低減税率採用してもらった借りあるからじゃあないでしょうか?

NATO基準についても解説が不十分です。例えば英仏などは人口比でいえば日本の半分にすぎません。対GDP 比率だけではなく、国やGDPの規模の違いも含めて解説すべきです。

それにぼくは会見で岸大臣に防衛費GDP2パーセントという自民党の公約は、日本のこれまでの基準なのか、NATO基準なのかどちらか尋ねましたが、岸大臣は明言を避けました。
ですがその後記者クラブメディアがこの件を報じておりません。
https://kiyotani.at.webry.info/202111/article_11.html
https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2021/1116a.html


一体何のために日がないちにち、防衛省に詰めているのでしょうか。対して忙しいようにはみえませんが。

別にキヨタニごときフリーランス風情の質問は参照しないというのであればそれはいいのですが、報道機関として防衛省、政府、自民党に確認するのが「自分たちは偉い白人様だ」と、「有色人種」であるフリーランスや非会員媒体を取材機会から排除している報道アパルトヘイト組織、記者クラブの最低やるべき仕事ではないでしょうか。

税金の使い方、政府の伝え方に誤解が生じないか、隠し事はないかを検証、報道するのが「報道機関」のしごとです。

それにくわえて、この問題を顕在化させたのは財務省の資料です。これをみてなければこういう記事を思いつかないかと思います。これについても言及すべきではないでしょうか。

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20211115/01.pdf

問題なのは次年度予算+補正予算の金額が大きくなっているだけではありません。本来編成時に想定していなかった事案が起きたときに手当するための、補正予算で本予算を補完して一体化することによって、予算が不透明になり、国会での審議も軽んじられることです。

防衛費に係る多くの政府資料や学術資料が、当年の防衛予算だけを基準に作成されていることです。やっていることは中共と変わりません。
それに御用メディアが協力していることまで中共と同じです。

安倍政権以来、本来防衛費に含まれるべき予算を、補正にまぎれませるという「ズル」をしており、過小に見せかけた予算額を議論のベースとしていることです。それを許してきたのが、記者クラブメディアの怠慢あるいは政府への忖度で「書かなった」ことです。

野党もこの問題をほとんどスルーしてきました。
国会でこの問題を質問したのはぼくの知る限り白眞勲参議院議員だけです。本来野党、メディアはこのような不透明な予算のあり方を追求すべきです。
それができないならば記者クラブを解散すべきです。


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