レールガンの実用化を目指す防衛省の夜郎自大



 防衛省、レールガン開発に本腰 SF・アニメが現実に?
https://mainichi.jp/articles/20220101/k00/00m/010/170000c

SFやアニメの産物だったこの新兵器の研究・開発に、防衛省が本腰を入れる。政府の2022年度当初予算案に65億円を計上した。

>防衛省は16年度補正予算に「電磁加速システムの研究」として10億円を盛り込み、試作品の製造を進めてきた。目標とする性能は、戦車砲の秒速約1700メートルを上回る秒速2000メートル(マッハ6程度)以上。防衛装備庁によると、試作段階では秒速2297メートルを記録した。

>防衛省がレールガン研究に力を入れるのは、周辺国が極超音速兵器を相次いで開発しているためだ。

>防衛装備庁によると、開発で先行してきた米国の研究では、レールガンの弾丸は約100~180キロの距離を飛行するとされる。


>先行していた米国は既に研究を中止した。「効果がミサイルなどと大きく変わらず、コストに見合わない」と判断したとみられる。日本政府関係者は「通常弾頭へ舵を切った米国を頼りにはできない。日本が開発の先端を行くことになる」と強調する。

>また、レールガン発射に必要な電力は、日本の家庭約7000世帯の年間使用量にあたる約25メガワットと膨大で、電源をどう確保するのかは大きな課題だ。発射の際に高熱が発生するため、連射にはレールの摩耗などの損傷も壁となる。



結論から申せば税金の無駄使いに終わるでしょう。そんなカネがあればSM6の調達数でも増やすべきです。

アメリカが諦めたけど、日本が粘り強く開発したものは多々あるのだ!と叫ぶ人も多いでしょう。例えば東レの炭素繊維やソニーのトランジスタなどでしょう。
ですが決定的に違うのは、それらは民間企業がオウンリスクで10年単位の年月を書けても実用化するという鉄の意志で行ったものです。

ですがレールガンは2年で担当が変わる官のプロジェクトです。

しかも能力が低い防衛装備庁の音頭取りです。実際に開発するのは日本製鋼所です。
ツイッターとかでやたら元気のいい、自称事情通の頭の悪い軍オタさん含めて、かつて技本、現在の装備庁は国産兵器開発の総本山で高い能力をもっていると信じているわけです。

これは単なる幻想です。
装備庁のスタッフは実際にメーカーで開発に関わったことがありません。昨年日経の「私の履歴書」でリチウムイオン二次電池を開発した旭化成の方が書いておられたように、優れた技術が開発されてもそれを商品として育て上げるためには、多くの艱難辛苦があるわけです。
開発された技術が実用化されずに野垂れ死にすることは多々あります。

良くても売れない商品もあります。例えば抗菌靴下の「通勤快足」。これは当初別な名前で売ったら売れませんでした。その後改名して宣伝したら売れまくった訳です。技術だけが製品の成否を握っているわけではありません。

その厳しさを民間の技術者はよく理解しています。対して装備庁では責任を持たずにすみます。失敗作でも「大成功」と自賛すれば成功になります。陸自の無人ヘリFFOSやFFRSがそのいい例でしょう。FFRSは防衛省サイトで大成功と自画自賛していました。

そして技術要素の研究と製品開発の境界ですらあいまいです。

壁面透過レーダーなどはその好例です。結局自衛隊では採用されませんでした。そして輸入品も採用されていない。陸自にはそのような予算がそもそもなかったわけです。
開発したのは他国の製品が電波法で使用できなから、という胡乱なものでした。

本来陸自でどのようなモデルやサイズを採用するのか、目的はなにか、どの程度の数量を調達するのか。そのようなリサーチを行った上で開発すべきでした。
それがないからただの開発で終わって税金を無駄に使っただけです。

ところがこのような技本・装備庁を崇めることしかできない無能がいるわけです。

「ガラパゴス化しているのは彼なのか?」
https://dragoner.hatenadiary.org/entry/20090109/1231519214

dragonerこと石動竜仁君の10年以上前の記事ですが、防衛庁は偉大だ、疑問を挟む清谷は屑だ、みたいな論調です。

彼はここでスポールライナーや電気駆動車輌の話も出してぼくを批判していますが、それが噴飯ものであることは今更あれこれ指摘しなくともいいでしょう。

こういう手合がプロでござい、とYahooあたりで書いて害毒を撒き散らすのは犯罪的だと思います。


>清谷氏はレポの中で、上記のように壁透過レーダーのみならず、機関砲や軽量榴弾砲などを槍玉に挙げて「諸外国の後追い研究」と批判しています。しかし、後追い研究の何が悪いのでしょうか? 後発の研究は、先行する研究の教訓を取り入れられる利点があるのは言うまでもありませんし、研究を行うことで外国製装備の導入にあたっても利点があるとは思わないのでしょうか?

後追い開発が全部悪いなんて書いておりません、無能な後追い開発は必要ないといっているだけです。事実、この壁面レーダー開発は技術的に先行メーカーより優れていたわけでもなく、自衛隊は採用しなかったわけです。そんなに世界一のすげー装備なら自衛隊も採用するじゃないでしょうか?

そして装備庁と同時代に「後追い開発」した中国のメーカーは実用化製品を出して解放軍が採用、そしてより大型など複数のモデルも開発し、民間型まで出しています。

日本の防衛装備が中国に後れを取る根本的背景
https://toyokeizai.net/articles/-/274368?page=2

ぼくは技本の壁面透過レーダーの話を書く前に、先行の英国、チェコ、イスラエルなどのメーカーに何度も取材をしています。対して石動竜仁君はそのような経験もない。そして技術を評論する素養もない。少なくとも技術開発に関してまともな読書をしていれば、このような胡乱な駄文を書くことはありません。恐らく彼はそのような書籍を読んだことがないのでしょう。軍事の記事を書くのはその焦点になる事柄だけを追うのでなく、歴史、広告、産業、マーケティングなど業際的な知識が必要です。
漫画家が漫画だけ読んでいるわけないのと同じです。

そして防衛省や国内メーカーを疑うこともせずに、神のように崇めて記事を書く。だからできてくる記事のクオリティが違うわけです。

彼らは今回も国産レールガンマンセーするんでしょう(笑


技術開発の予測は難しいものです。例えば60年代は旅客機の主流は超音速旅客機になると思われていました。ところが騒音やら石油ショックやら様々な理由で普及せず今に至っております。対して無謀だ、売れないと言われて、ボーイングが倒産寸前まで行ったジャンボジェットは時流に乗って、世界中で売れまくり、空の旅の大衆化に貢献しました。


ですが、個々の案件にはそれまでの経緯や、関連技術、市場の可能性などを調べ、また世界の関係者に取材することで比較容易に評価することもできます。


例えばぼくは90年代に軍用装甲車の主流は装輪装甲車になると「予言」しました。当時多くの頭の悪い軍オタは装輪厨とか揶揄しておりましたが、事実はぼくの言うとおりになりました。それは予言ではなく、装輪装甲車、装軌車輌の利点欠点を比較し、当時の装甲車両関連の技術、社会状況や世界の軍事予算の動向を調べ、また多くの装甲車や関連製品メーカー、ユーザーたる軍関係者に取材して結果をもとにしたものでした。

今回のレールガンにしても、恐らくどの程度の護衛艦に、レールガンを乗せるか、その場合の電力をどのように確保するのか。数を作ってコストを下げるならば既存艦に搭載するのか、その場合の調達及び運用コストは許容できる額であるのか。またこれを陸上用にもはいびするのか。そういう算盤勘定はまともにされていないでしょう。

そして米国は巨額のコストをかけて基礎的な研究も含めて長く研究と実験を行ってきたわけです。それで駄目だと結論を出した。対して我が国は一部の素養研究をしただけであり、実用化に向けた巨額の費用を賭けた実験ができるとも思えません。

米国が潤沢な研究開発予算があるので、ダメ元で始める研究も少なくないです。特にDARPAが委託するような研究はそうです。
対して我が国はそのような余裕はない。そして更に違うのが決断力です。駄目だとわかったら採用間際でもプロジェクトをスクラップする、F-22のように調達数を大幅に削減する。そのような果敢な決断力を持っているのが米国です。
対して我が国では「官は誤りを犯さず」で最後まで開発し、あまつさえ欠陥兵器を採用してしまう。それに異議を唱えるとパージされる。つまり閉鎖的な村社会の利益を守るため、組織防衛のためならば国防さえ犠牲する。

できなかったことはそれ自体も「成果」です。できなかったということがわかるわけです。
ところがそのような不都合はなかたことにするのが防衛省の体質です。小川和久氏の「戦艦ミズーリの長い影」に詳しいですが、いかに防衛庁が失敗した開発の証拠隠滅を図ってきたか。それは今も続いています。だから失敗した貴重な経験が蓄積されない。

そのような組織に画期的な兵器が開発できるわけがないでしょう。


もしかすると、将来に新たなブレイクスルーがでてきて実用化できる可能性もあるでしょうが、それは先の話になるでしょう。

率直に申し上げて少ない予算をつぎ込むならば無人車輌、無人機、あるいはそれらのソフトウェア、サイバーなどにつぎ込むべきです。あるいは輸出が可能な技術、製品であり、主契約者のメーカーにその気があるようなものにすべきです。

ぼくは可能性があるものの一つは装備庁が開発している装甲車両用ゴム製履帯だと思います。これはぼくの知る限り西側ではカナダのソーシー社とタイの会社二社、中国とロシアにもメーカーはあるはずです。ですがまだ履帯は圧倒的に金属製です。世界のシェアを取りにいける可能性があります。
それもソーシー社の製品に伍する技術レベルに達して、かつ防衛省に既存の車輌のリプレースも含めて、相応の発注量を確保し、更にメーカーが輸出や民間製品の開発なども含めて事業として成立させようという意欲があっての話です。この話は後日書く予定です。

こういってはなんでが、所詮自衛隊向けの装備の大半は外国では使い物にならない、量産試作レベルの製品ばかりです。きちんと技術基盤を維持するならば、産業として成立するスキームを作るべきですが、我が国にはそのような環境もやる気もありません。

能力がなく、やる気もなく、失敗を隠蔽するのであれば装備庁は開発自体をやめるべきです。



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