失われた30年の原因は高度成長期症候群

失われた30年の原因は高度成長期症候群

かつてはバブル崩壊後、日本経済は低迷し、「失われた20年」と言われましたが、安倍政権の失政もあり、いまや「失われた30年」となっています。

「失われた30年」になってしまった原因は政府の経済政策の失策と、企業の意識変革ができなったことが主たる原因だとは思いますが、その深淵には精神的な問題が有ると思います。それは高度成長期神話にあるとおもいます。
かつての高度成長期を夢見て、それが可能と信じてその再現を試みました。

政府はカネをばらまけば経済が循環して好景気になると思ってそれを長年続けました。ですが、単純に経済が循環するわけでありません。高度成長期は国内の人口が増え続けて国内需要が拡大しました。そして途上国レベルの経済からガンバリズムで輸出を拡大しましたが、90年代以降はグローバル化が進み、また東欧や中国、韓国、シンガポール、台湾がかつての日本企業の得意な分野に進出しました。
ところが政府は公共事業やばらまきをやっても、少子高齢化が進みつつあった我が国では国の借金だけが積み上がり、経済は好転しませんでした。
そして今、そのつけで多額の国の借金のツケ払いが、タダでさえ増えている社会保障費の支出と相余って予算を圧迫しています。このため消費増税や社会保障費の企業、個人の負担が増えてますます、個人の手取りが減って、GDPの6割の個人消費を冷やし続けています。これで景気がよくなるはずがありません。

そして、バブル経済崩壊で土地は必ず上がるという「土地神話」も消えました。

高度成長期はとにかくがむしゃらに働けば売上が上がりました。それは国内市場が拡大し、また現在の中国や東アジアの競合国が存在しなかったからです。
ですがバブル崩壊後はそのような、追いつけ追い越せ型のガンバリズムでは猛進する途上国に敵いません。それが通用したのはせいぜいブラザ合意から10年ぐらいです。
輸出企業は付加価値があるものを売るなど、経営のパラダイム転換をすべきでしたが、それを怠ってガンバリズムを強要してきました。端的にいえばマネジメントの無能です。

企業は思考や組織を変えず、現場にはガンバリズムを強要してきましたが、結果はご覧のとおりです。本来やるべきことは、高度成長期の「夢よ、もう一度」は無理という事実に目を向けて、
付加価値の高い仕事を作っていくこと。また早くなった世の中の変化に対応して、金太郎飴的な人員と組織を変革することでした。

ところが多くの会社、特に大企業では「島耕作」的な駄目なサラリーマン経営陣が大本営参謀よろしく観念的な作戦を立案して、現場には万歳突撃をさせてきました。その顕著な例が、NECとか富士通とか東芝あたりです。対して未上場のアイリスオーヤマのような企業は業績を伸ばしてきました。

高度成長期にしてその成長の一因となったのはいわゆる「三等重役」です。偉いのがパージされたので、本来ならば目が出なかった重役が戦前戦中の常識に囚われずに経営をしたからです。ところがバブル崩壊後はパラダイムが変わったのに、あいも変わらず銃剣突撃と、艦隊決戦至上主義で、厳しく訓練させれば勝てると思い込んで、パラダイムの変化にあった思考や経営をしてきませんでした。

政府も駄目でアベノミクスではインフレ誘導すれば景気が良くなると思い込んで、日銀もそれに乗りました。それは人口、特に若年が増えていく、そして社会保障費がさして必要なかった高度成長期には有効だったでしょう。

繰り返しますが、今は少子高齢化で人口、特に若年人口が減り、しかも社会保障費は増大しています。さらには「夢よもう一度」でつぎ込んだ赤字が膨らんで予算を圧迫しています。

例えばそれは米国のような人口増加で若年人口が増えている国ならば今でも有効でしょう。ですが、我が国は違います。アメリカの猿真似をしてインフレ誘導しても景気は良くなりません。

そしてアベノミクスは株価一点に絞りました。株価さえ上がれば景気はよくなったというものです。アメリカの強欲資本主義と同じです。
その実態は円安誘導と株価操縦による官製相場であり、それは国民の所得を、投資家に振り向ける行為でした。これで個人消費が増えるわけがありません。

とどのつまり、政府や行政、そして企業までも高度成長期の夢よ、もう一度を期待して、ことごとく失敗してきた。それが失われた30年の根本的な原因だと思います。
そのダメダメさが集約されているのが今回のオリンピックだと思います。

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