防衛産業の衰退が自衛隊を強化するという悲喜劇。

防衛産業の衰退が自衛隊を強化するという悲喜劇。

先日スクープした住友重機械工業の機銃撤退もそうですが、防衛産業から足を洗う企業が増えています。

ですが、これは皮肉なことに自衛隊を強化することになるでしょう。
なまじ国内同じ分野で複数の企業が存在し、ただでさえ小さな国内市場を分け合っています。ですからこれら弱小メーカーを温存するために事実上調達計画はなく、防衛省は毎年なし崩しに少量発注を続けています。

そしてそれは価格の高騰を招き、更に調達数が減るという悪循環を招いています。
しかも海外市場で揉まれることもないので、企業側は世間知らずの自衛隊の素人の思いつきをそのまま実現しようとします。当然品質、性能、コストで劣った商品が出来上がります。

割高な装備はその他の本来必要な予算に使うべきカネを食い散らかして、自衛隊弱体の原因ともなっています。

そして民間も官の側もこれを統合あるいは再編しようという当事者意識も能力もありません。ですが分野の国内企業が全滅すれば、それらを温存して少数調達を続ける必要はなくなります。

例えば小銃や機関銃です。現在は約30年も掛けて行っております。
諸外国がだいたい7年で終わらせていることと比較すれば4.3倍も長い期間をつかっています。しかも30年という調達計画が国会に提出されることもありません。幕僚監部内にだけ計画がある、これは文民統制とは言えません。

本来、何をどの期間で調達し部隊を戦力化し、それには総額いくら掛かるのか。それを議会が承認するのが民主国家であります。社会主義国家でも党は計画を承認してから物事が進みます。つまり我が国は社会主義よりも悪いわけです。

長期調達のデメリットは極めて大きいです。

1) 装備調達の途中で陳腐化が始まる。
2) 必要な数を調達し、戦力化できる期間が少ない、あるいはない。調達の終期では先に調達したものが用途廃止となって可能性がある。つまり100を揃えるつもりが60しか揃わない、ということになる。その期間も短い。
3) 訓練、兵站が二重になる期間が長期化して負担が大きい。それは戦時に大混乱を招く。
4) 途中での陳腐化によって、旧式化した装備を延々と調達することになる。
5) 少数調達によって取得単価が高くなる。
6) 例えば7年で済ませるべきものを30年かければ、その間、3.4倍の調達担当者が拘束されることになる。
7) 企業が事業規模と利益額を維持できず、設備投資、教育、研究開発に振り向ける予算を確保できないので、企業の能力が低下してマトモな装備が作れなくなる。


こんなこところでしょうか。

国内生産でない戦時に増産ができない、メンテができないという主張がありますが、それは「マトモな国」の話です。

まず7年で済む調達を30年かけるならば、その間に揃わないうちに有事になったらどうするのか。多少増産しても間に合いません。
普段から少数しか生産しておらず、増産の余力が企業にはないし、熟練工もいない。それはコンポーネントを供給しているサプライチェーンも含めれば更に悪化する。有事の増産なんてフランス書院の官能小説みたない「男の夢」物語です。

そもそもコンポーネント以前、部材の確保が必要であり、急には無理だし、外国製も多い。エンジンなどはもとより、戦車のセンサーやら無線機のケーブルやコネクターなど実は細かな部分で外国製コンポーネントは多いわけで、それが入らない状態で何倍ものペースでの量産は無理。

整備云々もある程度は事実ですが、PBLなどの導入で何とかなる部分もある。それ商社やメーカーに稼働率を保証させる、そのための設備を作らせればいい。
有事に輸入品は役に立たないならば早期警戒機やUAV、護衛艦や潜水艦の搭載兵器やエンジンすら役に立たないことになります。


であれば国内産業がなくなり、外国製品に切り替えて普通の国並の調達をすれば自衛隊は強化されるし、防衛費の使い方もより納税者が納得できるようになるでしょう。

ただし、その前に防衛省や自衛隊の意識改革が必要です。
彼らは輸入品も高いといいますが、それは自分たちが無能でわざわざ高く買っているからです。中学生レベルの知性があれば、サビの浮いた狙撃銃のM24を10倍以上の価格で調達したりしないでしょう。わずか数丁の散弾銃を運ぶために日通のトラックをチャーターして運ばせるなどという間抜けなことをしなければ輸入品の調達コストは大きくさがります。

またAH-64Dのようにメーカーの生産が終盤に入った時点で、細々と調達するいう間抜けなことはやめるべきです。


実際に新拳銃は輸入に切り替わり5~7年ほどで調達が終わるでしょう。
5倍の値段で、耐久性が一桁低い国内ライセンス品を30年も掛けて行うより遥かにまともでしょう。


どうせ業界再編成もできないのですからマトモに輸入品を調達することぐらいして欲しいものです。

要はこれに関しても防衛省、自衛隊が「常識」を身につけるということがその前提となります。
こういうことを書くと防衛省や自衛隊内部からも反発があるのですが事実を隠して、無敵行軍と提灯記事を書いて、それで国防が強化されるならばそうします。
組織防衛と現状維持しか考えていない人たちが、もっと優しく指摘してくれ、というのは甘えです。いい大人のいうべきことではありません。

念の為に申しておきますが、ぼくほど防衛産業の行末を心配している人間はいないと思います。
基本、国内で開発生産できればそれに越したことはないわけです。
たとえ今は、性能、品質、コストで劣っていていも将来それを克服する可能性があれば、それは未来に対する投資として許容されるべきです。
ですが、昭和、平成が終わり、令和の御代になってもそれは実現しそうにありません。

官民ともに当事者意識がないために、低性能、低品質、諸外国の何倍も高い装備をかって自衛隊を弱体化させて、我々納税者の
税金を何十年も無駄遣いした挙げ句、コマツやダイセル、住友重機のように最後はバンザイして逃げ出します。

果たしてこれが国益に叶うのでしょうか。
そういう駄目な防衛産業は潰した方が国のためにです。
反面、帝人などの海外でうまくいっている企業もあります。
またSONYやYKKのように、私の手は天使の羽のように真っ白といいつつ、世界中の軍事企業に製品を売って大儲けをしている
企業もあります。「子供部屋おじさん」みたいな防衛産業の、そのような才覚がない駄目な経営者が税金を食いつぶして事業を継続することこそ利敵行為あるいは、反社会的な行為だと思います。


■本日の市ヶ谷の噂■
陸幕はメーカーの生産が終盤に入ってから発注を開始するという悪癖あって調達が止まると大騒ぎするのが好例だが、またも
某普通科装備でその悲喜劇が繰り返される公算が大、との噂。

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