軍用機の飛行時間あたりのコストと自衛隊機

月間防衛技術ジャーナル、最近誌面が面白くなっています。

防衛技術協会 客員研究員の菅野秀樹氏の「軍用機維持の観点から、1飛行時間当たり経費(CPFH:Cost Per Flight Hour)を分析・検討する」を今回は取り上げます。

著者はF-35AのCPFHを公開資料の17,000USD(米ドル)ではなく、より高いとしています。これはロッキード・マーティン社の資料が昨年のCPFHを35,000USDとしており、これを2025年までに25,000USDとしていることを根拠にしています。

因みにF-16Cが9,703USD、F/A-18Eが10,156USD、タイフーンが18,000、ラファールが16,500USD、グリペンが4,700USDと紹介しています。グリペンのCPFHが際立って安いことがわかります。


さて財務省によればC-2輸送機の維持費はF-35Aより高いということです。であればCPFHもそうなるでしょう。おそらくは35,000USD以上となるでしょう。
よく輸送機と戦闘機をくらべるのは無意味だという人がいますが、違います。一般に輸送機の方が安価です。

で、C-130JのCPFHは約6,000USD、C-17が約15,000USD、C-5が約27,000USDとなっています。仮にC-2のCPFHがF-35Aと同じ35,000USDとするならば、C-130Jの5.8倍、C-17の2.3倍、C-5の1.3倍になります。
そうであればC-2は極めて運用コストが高く、調達機数を見直すべきでしょう。
調達単価だってペイ-ロードが3倍近いC-17とほぼ同じです。

またC-130Hは、2007年は6,000USDだったのが現在は約10,000USDとなっています。
これは旧式化、機体の老齢化に伴うものでしょうが、空自のC-130Hも同じことが言えるでしょう。
そうであればC-130Hの近代化あるいはC-130 Jに変更するというのも手でしょう。空自の輸送機のポートフォリオを見直すべきです。ましてC-2は不整地運用ができません。

哨戒機ではP-8が2019年に9,000USDだったのが、2020年には8,000USDまで下がっています。対してP-3Cは2018年が6,000USDだったのが2020年には9,000USD近くまで上がっています。これも老齢化、旧式化でコンポーネント調達コストの高騰でしょう。

恐らくは海自のP-1のCPFHはP-8よりもかなり高いでしょう。何しろ機体、エンジン、システム全部専用ですから。無人機の導入、P-3Cの近代化を行った方がよろしいのではないでしょうか。二種類の哨戒機の運用は本非効率ですが、そのそもP-3Cの運用のアセットはあり、更に運用コストを低減できればP-1を60機揃えるよりは安く上がるのではないでしょうか。

P-3Cは主翼を交換すればほぼ新造機と同じ機体寿命が確保できます。更にこれを炭素繊維などを使い、また部品点数を減らせばかなり製造費も運用することも下がるでしょう。
あとコックピットはグラスコックピットに変更し、エンジンも新型に換装するそうすれば燃費もかなり向上するはずです。システムはP-1のものを採用すればよろしい。

可能かどうか分かりませんがエンジンを双発に再設計するのも手ではないでしょうか。そうなればエンジンの運用コストも大幅にさがります。

未だP-3Cユーザーは世界に多くいますから、このような近代を行い、長期間、低コストでP-3Cを使い続けることができるのであれば採用したいという国は出てくるでしょう。米海軍も大量の不要機を有しているし、米国と共同でマーケティングしてもいいでしょう。
当然ながら我が国で不要になったP-3Cも付加価値をつけて売ることができます。


東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
自衛隊装甲車「エアコン装備が後れすぎ」の面妖
旧日本軍と同様「根性」依存のままでいいのか
https://toyokeizai.net/articles/-/370426


以下の記事をJapan in Depthに寄稿しました。
陸自 開発実験団評価科長の尊皇攘夷
https://japan-indepth.jp/?tag=%E6%B8%85%E8%B0%B7%E4%BF%A1%E4%B8%80

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