陸幕広報室長、松永康則1佐の見識 「嫌な質問にはバックレていい」それは陸幕長のお墨付き

 さて「個人携行衛生品」に関する陸幕広報室の対応が不誠実であることを問題とし、岩田陸幕長、中谷大臣に質しました。
 以下は大臣会見のやりとりです。

防衛省ホームページ 平成27年3月31日
http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2015/03/31.html

これを本ブログでも公開しました。

陸幕広報室は誠実に仕事をしているか 大臣記者会見での問答
http://kiyotani.at.webry.info/201503/article_19.html

Q:陸自の「個人携行救急品」に関してお尋ねしたいのですが、現在の陸自の「個人衛生救急品」は、国内用のものは、包帯とか止血剤とかだけなのです。大臣が現役の頃と大して変わらないと思うのですけれども、諸外国のものと著しく劣っているのですが、こういった現状を大臣はどのようにお考えでしょうか。これで十分とお考えでしょうか。

A:私が現役だった頃は、そのような真空パックのようなものではなくて、数段進歩をしておりますし、中に入っているものも数が増えてきているというふうに思います。米軍の個人携帯と比較してみましても、1点だけ、眼球の保護具が入っていないというだけで、その他の用具は、ほぼ米陸軍並になってきております。また、海兵隊と比べればまだまだ不足したものがございますが、これにつきまして今、国外に派遣される隊員につきましては、その携行具に加えて、チェストシート、止血ガーゼ、人工呼吸用シート、手袋、はさみを装備をした個人携行を予定しております。これらに比べて部隊の展開時、これには方面衛生隊及び師団、旅団内の衛生科部隊、これが「野外医療セット」を装備して活動しておりますので、この個人の応急処置をした後、衛生科の隊員が受傷者を後送の上、さらなる救護処置を施すということでございますし、医官についても、「医官用医療のう」を装備しておりまして、その必要に応える態勢はとっております。

Q:大臣、ちょっと誤解があるようなのですが、個人衛生キットの内容は、今おっしゃった中でこれが全部そうなのですが、国内用に関しては、この2つだけなのですね。つまり、ケース以外は包帯と止血剤(止血帯の誤り)だけなのです。これだと銃創とか火傷には対応できない、つまり実戦を想定していないように思えるのですが。また、この全体のPKO用の海外用のものに関しても、米軍に比して著しく内容が劣っているのですが、全く同じというのは、認識がいかがかと思うのですが、いかがでしょうか。

A:その比較は、国内用と国外用ということで、国外に派遣される場合は、その8項目が入ったものでございますが、国内用は、3種類ということですが、有事のときは、フルで装備をするというふうに聞いております。

Q:例えば、急にフルで装備をしても、全く普段訓練をしていなければ使えないかと思うのですが、いかがでしょうか。

A:そのものにおいて、現状、もう一回確認をいたしておきますが、訓練はしているということです。

Q:フル装備に関して、PKO用のやつと同じものを国内の隊員にもしているということになりますか。

A:それは確認はしてみたいと思いますが、PKOの際は、フルで装備しますが、一般の隊員が、それを平時から訓練しているかについては、もう一度確認をいたしたいと思います。

Q:長くなって恐縮なのですが、実は、この件に関して取材を申し込みまして、陸幕に申し込んだのですが、直接、担当の方に「取材をさせない」と。つまりインタビューできないというふうに言われまして、おかしいのではないかと。それで、こういうものですから特に防衛秘でもないでしょうし、そこで陸幕長の会見のときに伺ったら、陸幕長が「善処しなさい」というふうに広報室に指示をしたのですが、その後も広報室の対応は変わらず、それでしょうがなく、一問一答という形で取材をさせていただいたのですが、そのあと、「どなたの権限で取材ができないのですか、それを教えてください」と言って、メールを送り、電話をし、FAXも何度も送ったのですけれども、3か月くらい連絡ないんですよ。ということは、陸幕の広報室は、陸幕長の指示に従わなくてもよろしいというのか。もしくは、陸幕長の「善処せよ」というのが、都合の悪い質問とか取材は無視しろと。どちらかとしか考えられないのですが、大臣、どうお考えになりますでしょうか。

A:それは、広報の状況はもう一度確認をしなければならないと思いますが、できるだけ、国民の皆様方にも、こういった点においては、広報に努めるべきではあると私は思っております。

Q:では、この件に関しては、陸幕の広報から書面で回答をいただけるというふうに考えてよろしいですか。

A:訓練の中身とか、自衛隊の能力を公表することにおいて、陸自は陸自なりの判断をお持ちだと思いますが、ご指摘された点においては、一般隊員がそういった点において、対応できる能力を持つべきであるというような趣旨ではないかと思っておりますので、それは、おっしゃるとおりでございますので、ご指摘いただいた件、引き続き検討してまいりたいと思います。

Q:問題なのは、3ヶ月にわたって回答を黙殺する、質問を黙殺するという陸幕の態度なのですが、陸幕長がそういう命令、「善処しろ」と言っているのにもかかわらず3ヶ月にわたって黙殺しているという、こういう上の者の命令を下の者が聞かないという、そういうことが陸上自衛隊の中では普通に行われているのではないでしょうか、もしかすると。そうしか考えられないのですけれども、これについてどうお考えですか。

A:私なりに意見を聞いておきたいと思います。ご指摘いただいた隊員がそういうものに習熟をすべきであるということは、ご指摘いただいた点、大変ありがたいと思っております。


会見で大臣は書面による回答を約束してくださいました。
そして以下が、内局広報課経由での回答です。



Q1 広報室長が陸幕長の命令を拒否していいのか。また陸幕ではこのような上官の命令無視が普通に起こっているのか。
A1 平成26年11月6日の陸幕長定例記者会見においては、陸幕長は、「適切に対処」するように命令したとご指摘にあるが、「調整させる」と発言したものと承知している。この際、貴殿より“個人携行救急品”について質問を受けたことから、同年11月25日及び12月25日、正確を期すためもあり、陸幕広報室は文書(メール)をもって回答し、併せて参考資料も提供したものと承知している。このことから、陸幕長の命令を拒否しているというご指摘にはあたらないと考える。

Q2 何らかの都合が悪いことに関して回答をせず、黙殺するのは広報の態度としてどうか。
A2 ご質問は、“直接取材できない理由及び直接取材させないことを判断しているもの”に関する質問に広報室が回答しないことに発したものと考えるが、そもそも取材依頼があったと認識していないことから、回答すべき状況にあったとは考えていない。
取材は、各社共通で、取材依頼を文書(メール)にて送付いただいた後に、取材受けの可否を含めて判断し、対応しているところである。取材を希望されるのであれば、まずは、取材目的、取材内容、報道予定等を記載した取材依頼を陸幕広報室に送付いただきたい。

Q3 本日の会見で大臣の見解で、「陸自の個人携行衛生品はアイカップ以外米陸軍のそれとほぼ同じ」とありましたが、事実ではありません。陸幕から大臣への説明があったかと思いますが、大臣に虚偽の説明をするのはいかがなもののでしょうか。更に有事には部隊に国外用キットを配布する、普段からそのため訓練をおこなっているというのは事実ではないでしょう。そうであれば訓練用キットが各部隊に配布され、また一定数のキッ
トが備蓄されているはずです。上記の説明は正しいのか、またそれが正しいならば有事を想定してどの程度の備蓄を行っているのか教えてください。

A3 会見で大臣がお答えしたことに間違いはありません。
会見において、「(陸上自衛隊の個人携行救急品について)米軍の個人携帯と比較し、1点だけ、眼球の保護具が入っていないというだけで、その他の用具は、ほぼ米陸軍並みである。」、「国外に派遣される場合は、8項目が入ったものであるが、国内用は3種類でということだが、有事のときにはフル装備をする。」旨のお答えをしている。

「個人携行救急品」の内容は、米軍等の装備も参考に定めており、米陸軍の同装備と概ね同様の内容品であり、著しく劣っているとの指摘には当たらないと認識している。
また、改めて確認したところ、個人の救急処置に関する訓練は、陸上自衛官全隊員に対し、年間30時間から50時間程度の教育訓練を実施しており、この中で、有事の際に追加される5品目を含めた「個人携行救急品の概要教育、実技訓練等を行っているとのことである。
また、有事所要の具体的な備蓄数については、お答えを差し控える。


 つまり陸幕広報室長松永康則1佐は、都合の悪い問い合わせはバックレていいというのが、自分だけではなく陸幕長の認識であると主張されているわけです。取材拒否を誰が命じたというという質問を「取材」というのはかなり無理でしょう。
しかもこれは「お答えできません」と答えておけばとりえず、済んだ話です(こっちは納得しませんが)。

 ところが、メールを何度も送り、電話をし、ファクスを送っても「わー、見ていない、わー聞こえない」と、目と耳を塞いで3ヶ月も黙殺してきたわけです。
PR担当以前に、社会人としてどうよ?
と、いうところでしょう。
 どうも陸自の常識とは、我々娑婆の人間とは大きく異なるようです。民間のPR会社ならば、こんな社員は懲戒解雇でしょうね。


 また、衛生キットに関してもかなり無理な回答をされておいでです。自衛隊のキットには呼吸を確保するもの殆どないのですが、隊員は呼吸をしなくても生きていられる特異体質らしいです。

 因みに陸自のキットは以下のとおりです。
●国際活動等補給品(国外用)・・・救急品袋(砂漠迷彩)、救急包帯、止血帯、人工呼吸用シート、手袋、ハサミ、止血ガーゼ、チェストシール
●通常補給品(国内用)・・・救急品袋、救急包帯、止血帯

 対して米軍のキット内容は以下のとおりです。
止血帯×2、4インチ幅戦闘用包帯×1、伸縮性ガーゼ包帯×1、2インチ×6ヤード絆創膏×1、経鼻エアウェイ×1、胸腔減圧用脱気針×1、消毒用アルコールパッド×2、駆血帯×1、静脈路確保用留置針×1、留置針固定用テープ×1、感染防止用手袋×1、チェストシール×1、怪我をした目を覆うカップ)、安全カッター×1、負傷者記録カード×1


 これで米陸軍と殆ど同じだそうです。

 因みに米軍の止血帯は端が赤く塗っております。これは負傷し、狼狽しているような状態でも止血帯を素早く取るための実戦を通じてのフィードバックによるものです。
 ところが陸自モデルでは、これが目立つからと、省略されております。
 諸外国ではファーストエイドキットのポーチや止血帯のケースも同様にリップの先端が赤くなっております。実戦を知らない陸自の衛生担当者が「改悪」したわけです。

こういうことも直接取材をすれば聞けたのになぁ。



 また有事に備えてPKO用のキットで全隊員が年に30~50時間訓練をし、有事用の備蓄をおこなっているそうですが、ぼくの知っている現役の隊員の誰一人そのような経験をしておりません。不思議な話ではあります。

>有事所要の具体的な備蓄数については、お答えを差し控える。


 これ、情報公開請求をするなりなんなりで、調達数はわかるのにね。
 子供の嫌がらせレベルです。

 この件に関しては更に取材をし、長期戦で臨むつもりです。


東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

投資8000億円!新戦車は陸自弱体化への道
粛々と進む10式戦車調達の問題点<上>
http://toyokeizai.net/articles/-/66868
文民統制の放棄!なぜ「空母」が生まれたか
護衛艦「いずも」は、護衛能力のない被護衛艦
http://toyokeizai.net/articles/-/64841
自衛官の「命の値段」は、米軍用犬以下なのか
実戦の備えがないため派兵どころではない
http://toyokeizai.net/articles/-/63496

strong>Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました
【お粗末な自衛隊の「衛生」装備】~チュニジアでテロにあった女性医官は「特別」なのか?~
http://japan-indepth.jp/?p=17323
【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 1】~陸幕広報は取材拒否~
http://japan-indepth.jp/?p=17056
【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 2】~中谷防衛大臣の答弁に違和感~
http://japan-indepth.jp/?p=17059






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