現実が見えない産経新聞の戦車を減らすと国が滅ぶ論のお粗末

「対中国シフト」強化で本州から「戦車」が消える…日本防衛激変、海からの侵略はどう防ぐ
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131202/waf13120207000001-n1.htm
記事を書いているのは岡田敏彦記者です。

 この記事は直接的には書いていませんが、戦車を減らすなと主張しています。
 まあ、率直に申し上げて元気の良い軍国少年・中年向けのアジテートです。

 産経新聞は現在の経営状態で、記者のサラリーを二倍にして、朝日や日経よりもいい人材を集め、人数も倍増させるとか、海外支局の数と特派員の数も2倍に増強するとかしてはどうでしょうか。報道機関としては報道力の強化がなにより大事なはずです。

 でもできないでしょう?
 それは産経新聞にお金が無いからです。

 自衛隊も同じです。予算の上限も、時代の変化も考慮せずに目立つ「火の出るオモチャ」を増やすべきだと主張するのは特定読者に対する迎合です。

 最近の本ブログを読めばそのあたりのことはよく分かるでしょう。
 
「陸自は戦車が300車輛「も」あっても使いこなせない」
http://kiyotani.at.webry.info/201312/article_2.html
【続報】陸自は戦車が300車輛「も」あっても使いこなせない。 その2現実を見よ。
http://kiyotani.at.webry.info/201312/article_3.html

 たった一個機甲師団(諸外国では実質旅団)すら現代的な装備を維持できないのに戦車の数を減らさずにどうやって近代化をするんでしょうかね。

 記事中では岡山県で行われた展示演習を紹介していますが、すべて74式ばかり。既に湾岸戦争で第二世代の戦車は第三世代の戦車に太刀打ちできないのは証明されているにもかかわらず、未だに74式は近代化もされていません。
 岡田記者はこのことをどう考えているのでしょうか。74式の数を半分に減らしても近代化すべきだとか、74式を退役させて、90式を近代化しようとか思わないのでしょうか。

 数さえあればいいののであれば、イスラエルあたりからモスボールしているセンチュリオンやらM4シャーマンを買ってくれば宜しいわけです。

 上陸作戦を成功させるには守備側の3倍の兵力が必要とされる。日本に戦車がある場合、敵侵攻部隊も相応の数の戦車を用意する必要がある。1両約50トンもの戦車を数百両も海上輸送する大輸送船団を準備し、かつ護衛の戦闘艦艇もそろえなければならないなど侵略側は多大な負担を強いられる。それが抑止力につながるのだ。

 ああ、こんな2ちゃんねるあたりの主張をそのまま持ってきて。

 どこに軍単位、何百輌の戦車をを日本に揚陸してくることが出来る国があるんしょうか。
中国の「最新鋭」の戦車は内陸向けの軽量で新素材もほとんど使っていないものです。
50トンもあるような戦車を大量に運用する能力も、インフラも欠如しているからです。ロシアも同じです。なにか、中露を日本征服自体を目的とするショッカーとか悪い宇宙人とでも思っているのでしょうか。
まるで風車を龍と思って突撃するドンキホーテのようです。

 そのような侵攻ができるのは現状米軍だけです。産経新聞は対米戦に備えよ、と言いたいのでしょうか。

新型戦車を不要としていたカナダが、アフガニスタン派兵にあたってドイツなど他国から急遽(きゅうきょ)最新鋭戦車を調達。戦車重視の姿勢はゲリラ相手の非対称戦でも変わっていない。

 これまた2ちゃんねるの見過ぎですよ。
 カナダがレオ2を導入したのはアフガン戦のためです。本土防衛のためでありません。しかも採用理由のひとつはエアコンが付いているからです。カナダのレオ1にはエアコンがありませんでした。

 さて、岡田記者は日本の戦車にエアコン(機器冷却用ではなく、人員用)が付いているでも思っているのでしょうか?ケチってエアコンがないから夏場のNBC環境では日本の戦車は戦えません。であれば、敵の化学兵器使用を誘発するのではないでしょうか。

 こういう記事を書くのであれば、軍拡を担保できるようなカネについて語る例えば防衛費を数倍に膨らますために消費税を30パーセントにしろ、ぐらい主張すべきです。カネのあてがないのに軍拡をしろといのは無責任です。

 これでは産経新聞が大嫌いな、財源も無いのに福祉を増やせと騒いでいる共産党や社民党と同じです。

 現実を見ないで、出てこいニミッツ、マッカーサー的な読者に迎合する勇ましい記事を書いていると読者の劣化につながると思います。

 何を書こうと自由ですが全国紙がこのような記事を掲載してばかりいると、見識を疑われるかと思います。すくなくとも2ちゃんあたりに巣食っている程度の悪い軍オタと同程度の見識の新聞にカネを払う読者はそう多くないかと思いますが。

 そういえばケネディ大使ですが、日本のメディアは彼女を「世襲」だとか批判しないんでしょうかね。日本の政治家は叩くのにね。

新しいウェブニュースサイト、NEXT MADIA Japan In-Depthに寄稿しております

民主主義・法治の危機〜国家安全保障会議(日本版NSC)と特定機密保護法は警察官僚に支配される(1/2)
http://japan-indepth.jp/?p=1821
民主主義・法治の危機〜国家安全保障会議(日本版NSC)と特定機密保護法は警察官僚に支配される(2/2)
http://japan-indepth.jp/?p=1824

防衛省・技術研究本部に実戦的な装備は開発できるのか①〜リモート・ウェポン・ステーションとは何か?
http://japan-indepth.jp/?p=1703
防衛省・技術研究本部に実戦的な装備は開発できるのか②〜必要な調達をする気のない自衛隊と必要ない装備を技術実証する技術研究本部の悪すぎる連携
http://japan-indepth.jp/?p=1720

防衛省・技術研究本部の海外視察費はわずか92万円〜写真やカタログだけで十分な開発ができるのか?(1/2)
http://japan-indepth.jp/?p=1750
防衛省・技術研究本部の海外視察費はわずか92万円〜写真やカタログだけで十分な開発ができるのか?(2/2)
http://japan-indepth.jp/?p=1758

[仏パリ“ミリポール”リポート]防衛産業の輸出を阻害しているのは防衛産業を擁する大企業トップの無知蒙昧と保身
http://japan-indepth.jp/?p=1508


朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(上)――トルコの狙いは何か?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013112500006.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(下)――日本がパートナーを組むべき国はどこか?


アベノミクスで食材偽装が増える?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013111100009.html


機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(中)――脆弱な防御力
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110100004.html?iref=webronza


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