海自哨戒機、P-1の調達数

防衛省は16日、潜水艦や不審船を上空から監視する海上自衛隊の新型哨戒機P1を、今後5年間で約10機調達する方針を固めた。政府が12月に決める「中期防衛力整備計画」(中期防)に盛り込む。現役のP3C哨戒機は今後5年間で約20機の退役が見込まれているが、同省は退役を10機程度にとどめて耐用年数を延ばす。

防衛省は今後5年間で、約20機のP3Cの引退を見込んでいたが、国の財政難から同数のP1を購入するのは困難と判断。数年間の延命措置を施すことで、退役させるP3Cの数を購入するP1と同数にとどめる「苦肉の策」(幹部)をとることにした。

<防衛省>哨戒機P1、10機調達へ 対中警戒強化
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101117-00000006-mai-pol


 既に来年度の概算要求でも海自はP-3Cの延命を要求しています。
 海自はP-1を65機+補機7機の合計72機を調達するつもりですが、財務当局が許さないでしょう。これまで関係者を取材した感触では恐らく調達数の合計は60機を割り込むでしょう。

 仮に60機として、5年で10機のペースが続くならば調達完了に30年かかる計算になります。防衛省の発表しているLCCの試算によると、P-1の運用期間は20年とされていますから、40機が揃ったところで、初めの機体が用途廃止になるわけです。
 海自のオリジナルプランの機数であれば調達完了に40年近く掛かります。


平成22年度ライフサイクルコスト管理年次報告書
http://www.epco.mod.go.jp/about/pdf/22lifecyclecost_houkokusyo.pdf

 現在MD警戒用に赤外線探知システム、エアボスが実用化に向けて開発が進められています。これを搭載する機体は胴体下部に固定型レーダーも搭載する予定です。
 仮に海自がこれを運用するとなると、P-1はキャパがないため、搭載できないのでP-1の派生型を開発するか、別なプラットフォームを使用することになります。無人機という選択もあるでしょう。となればP-1に回せる予算は益々減ります。また三菱がプラットフォームにMRJを提案することも充分あり得るでしょう。

 P-1の運用費はかなりかかりますから、これまた予算を圧迫する要因になります。
 調達及び維持コストが割高な国産エンジンを4発搭載したことが、今後ボディブローの様に効いてくるでしょう。
 

 充分な予算がなければ既存のP-3Cに本格的な近代化を施して使用する必要も出てくるでしょう。となれば二種類の哨戒機を延々と運用せざるを得ません。つまり、訓練・整備に二系列が必要です。これもコストがかかります。


 せっかく新鋭機を調達しても整備費用が捻出できず、地上で遊ぶという状況もあり得ます。
 海自は全体の予算で何を優先するかを明確にすべきです。また燃料費の削減などに取り組んで、整備や調達予算に回すような努力も必要です。

 

WEBRONZAに以下の記事を寄稿しております。
領土保全と海保の限界―海上保安庁は国交省の外局でいいのか
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2010111500011.html

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