限りなく空母に近い護衛艦22DDH 海自のDDHは食玩である 

 16DDH「ひゅうが」級、それから来年度概算要求の22DDH。
 この二つのクラスのDDHを見るに、ぼくは食玩を連想します。
 
 ご存じのように食玩とは、キャラメルやガムなど菓子に模型やフィギアなどが「おまけ」としてついてくるものです。ところが食玩ブームですっかり「おまけ」の方が主役となり、キャラメルやガムの方がむしろ「おまけ」化しています。
 
 いっそのこと「おまけ」となった菓子を付けるのをやめてしまえばいいと思うのですが、それは出来ません。
 そうなると単なる玩具やフィギアになって「食玩」ではなくなってしまいます。あくまで「菓子」に「おまけ」がついているから「食玩」として食品売り場で売れるわけです。
 
 DDHは空母=フィギア単体を持てないから、護衛艦=菓子を付けてあくまでフィギア=空母は「おまけ」であり、これは菓子=護衛艦ですと強弁しているように思えます。

 16DDHは基準排水量は13,950トンに過ぎず、護衛艦=駆逐艦としては能力不足、ヘリ空母としても能力不足です。
 単にDDHとするならば、高い建造費をかけて11機も収納するハンガーを備える必要はありませんでした。
 無論ヘリの運用に余裕があるに越したことはありませんが、通常運用するヘリの約4倍弱の余裕は軍艦としてどうでしょうか。

 ヘリ空母は飛行甲板と整備用のハンガーがあればいいというシロモノでもありません。
 航空用燃料やヘリに搭載する各種弾薬や装備、消耗品などを収容するために大きなスペースがいります。ところが、艦内のスペースは護衛艦と案分しかければならないし、燃料をバカ食いするタービンエンジンなので、艦用の燃料のスペースもこれまた多く必要です。

 16DDHのその「余裕」は人道援助や上陸作戦でも有用だ、海自もそのように説明しているとの意見もあるでしょう。

 ですが、その場合揚陸ならば尚更多くのスペースが必要です。
 揚陸作戦であれば人員や物資、医療用コンテナを収容するスペースも必要です。災害派遣や人道援助任務であれば避難民を収容したり、被災者のためのコンテナ式の医療設備を搭載したり、災害派遣の際に救難物資を収容したりするスペースが必要となりす。

 つまり「ヘリ空母」としての機能を発揮ししつつ、それのら任務に必要なスペースがいることになります。ところが、そのようなスペースを取るとヘリコプターを運用するスペースが削られるます。
 ヘタをすると一番の売りであるヘリ空母の機能を殺してスペースを確保しなければならない。ならば、輸送艦を使えばいいではないか、ということになります。

 22DDH基準排水量が19500トンと16DDHと比べて格段に大型化したのは、まさに16DDHが失敗だったことを認めているようなものでしょう。
 しかも排水量をみればこれをヘリコプター護衛艦と呼ぶのはもはや詐欺でしょう。

 その上武装など、護衛艦=菓子の部分は大幅に削減されています。更に上大型車輛・大型ヘリの輸送能力も求められています。これは近年諸外国で建造あるいは計画されている「多目的空母」の類でしょう。

 満載排水量は概ね諸外国の多目的空母に匹敵するでしょう。
 ですが、菓子=護衛艦の部分があるために、また他の艦に燃料補給を行うための燃料タンクのスペースも確保しなければならないために、このため多目的空母としては艦内スペースがこれまた足りなくなることが予想されます。無論詳細な設計が公開されたわけではないので明言はできませんが。

 はっきり言ってメディアも政治も防衛省と海幕になめられているのではないでしょうか。16」DDHでも何らオブジェクションは無かったし、あの連中は護衛艦といっておれば簡単に丸め込めるだろう、と。

 何故菓子=護衛艦を無くして堂々と模型、あるいはフィギア=空母として調達しないのでしょうか。

 政治的に困難だかから「おまけ」を付けざるを得なからだという「オトナの事情」があるのでしょうが、本来必要なものは必要であると主張すべきです。護衛艦=水上戦闘艦が必要なのか空母が必要なのかをはっきりすべきです。


 昨年の横浜航空宇宙展で海自の海上自衛隊幕僚監部防衛部の装備体系課長、内嶋修1等海佐(当時)は講演で将来
多目的空母でF-35のような固定翼機を運用するような構想も披露しました。

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 これをみると、22DDHでは固定翼機の運用も想定しているように思えます。となるとヘリ空母ではなく、「空母」になりますが。
 しかも概算要求の想像図をみると2基あるエレベーターのうち一基はアイランドの後ろ舷側エレベーターが装備さています。これは何か全長の長いもの、例えばF-35とかを運用するためのものではないでしょうか。
 また車輛などを搭載するスペースはこれまた固定翼機や予備のヘリなどを収容するスペースして利用できるような気もします。建造後な年かあとには「近代化改修」と称して艦首にスキージャンプ台が装備さえたりして。

 ますます22DDHは空母ではないか、という疑惑が沸いてきます。
 菓子の付いていない食玩という可能性もあります。 

 搭載機ですが空自が運用すれば海自の予算を使う必要はない。欲しいのは空母であって搭載機ではない。どうせ空自はF-35を採用するだろう。その一部をVTOL型にしてそれらを搭載すればいい、などと考えているのではないでしょうか。


 米国や英仏の固定翼機を運用する正規空母と多目的空母では似て非なる存在です。
 そのような説明を行わずに護衛艦と称して空母を建造するのは納税者に対する背信行為です。
 しかもその空母が「おまけ」のために中途半端なものになるわけですから、二重に納税者に対する背信であると言えます。

  
 結局、護衛艦の数は減らしたくない。でも海自悲願の空母を持ちたいという都合のいいことを具現化したのが16DDHであり、22DDHではないでしょうか。
 
 海自は空母を持つという手段が目的化しているようにしか思えません。

 もともとはるな級にしろ本来ヘリ空母にするはずが、あのような中途半端な艦になったわけです。そもそもヘリを3機運用するDDHが必要だったか、というところから議論を進めるべきだったのではないでしょうか。

 例えばヘリの運用は2機とし、司令部機能を持たせた既存の護衛艦の発展型にすれば建造コストは下げられたはずです。
 それと合わせて多目的空母を2隻程度建造するという構想もありでしょう。また護衛艦=駆逐艦という考えを捨て、より排水量の小さなフリゲイトやコルベットあるいはLCS(沿海域戦闘艦)などを駆逐艦の代わりに導入するとか、空母を導入するのであれば護衛艦の数を減らすという構想があってもいいでしょう。

 むろん多目的空母を護衛艦の旗艦にする案もありでしょうが、いずれにしろ護衛艦の数を減らすしかないでしょう。これは乗組員を確保するという面からも必要です。

 要は海自がどのようシナリオを想定し、どのような戦略をとるのかが重要です。
 漫然と小さなフネは嫌だ、空母は欲しいでは軍隊の調達ではありません。


 ぼくは多目的空母は保有すべきだと考えます。
 海自はもっと海自は島嶼防衛に力を注ぐべきだし、そのために海自の艦隊のリフォームは必要だと思います。その能力を獲得するのであればドラステックな変革が必要だと思います。

 民主党の議員さんからはDDHや空母はいらない、そんな金があれば病院船をつくるべきだとの声もあります。
ですがそれならば多目的空母に医療用のコンテナを搭載する方がスマートです。
 ヘリコプターよる高い輸送機機能を有していますから、ヘタな病院船をつくるより余程災害や人道援助に有利です。

 また医療用コンテナは航空機に搭載するタイプのものであれば、輸送機に搭載したり、ヘリで懸吊して迅速に被災地に運ぶことも出来るので運用の柔軟性もあります。ですから諸外国の海軍では昨今では病院船を建造するのではなく、むしろ多目的空母に医療用コンテナを搭載する方法を採用しているわけです。

 無論多目的空母は揚陸艦としても使用できます。防衛費の効率的な執行と島嶼防衛に重点を置くならば多目的空母は是非必要です。場合によっては固定翼機の運用も視野に入れるべきでしょう。

 繰り返しますがその場合、海自はいままでと同じ数の護衛艦を揃えるという考え方を捨てるべきです。予算も人員も無限にあるわけではありません。限られた予算を有効に使うためには頭の切替が必要です。

 もっとも前例踏襲、伝統墨守の海自にはそれが一番難しいのでしょうが。
 このまま胡乱な「おまけ付き空母」の建造が「護衛艦」として許されるならば、モラルハザードが起こり、シビリアンコントロールの面からも問題です。
 このままでいくと次のDDHは、基準排水量8万トンクラスの護衛艦=駆逐艦になるのではないでしょうか。
 ぼくはいったん建造は凍結、多目的空母とし、将来の海自の戦力を再考した上で建造のするかしないかを決定すべきだと考えます。


                


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