【月刊サイゾー11月号連動企画②】マスメディアよ軍事用語を誤用するな!英陸軍、ウォーリア歩兵戦闘車

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 ①ではチャレンジャー2戦車を紹介しましたが、ここではマスメディアが「戦車」と呼称したウォーリア歩兵戦闘車を紹介しましょう。
 
 ウォーリアはチャレンジャー戦車の歩兵戦闘車(ICV)として開発されました。車体はアルミ製、砲塔は30mm機関砲を備え、圧延鋼板製。近代化による増加装甲が付加されています。乗員3名+兵員7名。湾岸戦争を経て、増加装甲が装着されるなど防御力などが改善されております。中東向けの輸出バージョン、デザート・ウォーリアーも存在します。

 ICVの任務は戦車に随伴して歩兵を輸送、なおかつ、戦車および歩兵を支援する機関砲などの火力を有しています。装甲車、というところでしょう。対戦車ミサイルなどを搭載している場合もあります。砲塔を有していることが多いため「戦車」と誤って報道されることが非常に多い車種です。

  ICVは必ずしも戦車と共同行動をとるわけではありません。その他の任務にも使用されます。

 また、単に兵員を輸送する装甲車は装甲兵員輸送車(APC)と呼称されます。固有の兵装は30ないし50口径程度の機銃、ないしは30~40ミリ程度のグレネードランチャーなどです。

 先のチャレンジャー2に関する記述を見れば判るように、戦車とICVは全く別物です。サイゾーのコラムで取り上げた英軍の作戦で戦車のみが投入されていたらば、英軍には人質を助けるという意志がなかった。もしくは捕虜救出に名を借りた単なる攻撃行為だった、と評されても仕方ないでしょう。
 
 軍事用語の誤用を指摘すると、大抵が「重箱の底をつつような指摘をしやがって」とか「一般の読者はそこまで気にしない」などと居直られることが多いのですが、長年にわたる誤報の多用によって
識者とよばれる人たちまでも誤用してしまう、ないし誤った前提に立って軍事が関わってくる問題にのべてしまう原因になります。

 特に新聞は引用されることの多い「報道機関」であればそのような居直するのは「報道機関」としての義務の放棄とみなされでしょう。

 例えば東京都が自衛隊と共同で行った「ビッグレスキュー」なる防災演習がありましたが、その際に陸自のAPC、や偵察用の装甲車などの装甲車両が投入されました。これは大震災などの場合、に通常の車両では瓦礫だらけで、危険部がとなった地帯に進入しすることが不可能です。
このため状況の把握、人命救助するためには、履帯やランフラット・タイア(パンク防止用のタイア)などを装備し、路外走行能力が必要です。
 また装甲車は装甲で密封されており、外部の火災や建物の倒壊といった事態に強みを発揮します。これにより二次災害を発生の可能性を減らすことができます。

 戦車も同様に行動できますが、車内にスペースがなく、例え被災者を発見しても収容することができません。
 もし、このとき陸自が「戦車」か「(これまたマスメディアでは「戦車」と呼ばれることが多い)自走榴弾砲を投入していたらいらぬ不信感を招くでしょう(もっとも戦車にドーザーを装着して道路を啓開するというなら話しは別ですが)。
 それこそ朝日新聞なんぞが小躍りしてあることないことや、見当はずれの「識者の意見」を掲載するでしょう。

 
写真:英陸軍

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