大回頭。海自、汎用小型艦・日本版LCを開発か?

 現在発売されている「世界の艦船」6月号に「日の丸LCSはこうなる!?」と題した元海将、で自衛艦隊司令官だった勝山拓氏が論文が掲載されています。
 早い話が現在、DEや旧式のDDなどが配備されている地方隊のあり方を見直し、自衛艦隊を護衛艦隊とローコストの米LCSに相当する小型艦で置き換えようというものです。氏によれば全長100メートル、排水量2000トン(海自ですから基準排水量の事でしょう)、ヘリの運用が可能で、最大航行速度40ノット、不審船対策から対空、対潜水艦作戦、更に装備を変えて、掃海作戦にも使用できる小型艦で、数を揃えようと言うものです。候補としてモノハル、トリマラン、SEGなどが挙げられてています。
  基本的なコンセプトは頷けるところも多かったですね。

 ぼくはこの案に半分賛成、半分反対です。ぼくは90年代から地方隊の存在に異議を述べてきました。何しろDEという何を目的に建造されたかわからない中途半端なフネに操艦に多くの乗組員が必要な旧式艦で何が出来るのか、と。

 ぼくは満載排水量600~800トンぐらい、乗員40~60名程度のミサイル艦、それと同じ船体で対艦ミサイルを搭載しないパロール艦を量産するべきである。対艦ミサイルを搭載しなれければ建造費は大幅に安くなる(ぼくの計算によればこれで約二千名の乗組員が削減できる)。反面、護衛艦艦隊は慢性的に人手不足である。これに余った人手をまわし、更に臨検用の部隊を編成すべきだと主張してきました。

 その後不審船問題を受けてスペックが変えられたミサイル艇「はやぶさ」級が就役しました。しかしながら「はやぶさ」級は400トンに過ぎず、パトロール、臨検には向きません。むしろ、より大きな汎用船体を使用したフネが必要である、そうぼくは主張してきました。
勝山氏の考えが海自を代表する考えとは思えないが、あまりに安直に米国のLCS構想に乗ってしまっている気がします。

 次期大綱では八八艦隊×4個という固定化された護衛艦隊のあり方変えるということだが、海自にそれができるのか?まず今まで何故八八艦隊でなければいけなかったのか、という説明もない。しかもその間にはソ連が崩壊し、我が国の周辺環境が大きく変わっている。何故、七七艦隊やら六八艦隊、九九艦隊じゃなく、八八艦隊である必要があったのか、海自は納税者に説明したことはない。

 また勝山氏の論文ではミサイル艇やパトロール艇などのとの協調が全く出てこない。また、勝山氏に限らず海自関係者は「波の荒い日本海では運用上全長100メートル以上のサイズの艦が必要」というがその根拠は薄弱であると思う。
 まず周辺諸国海軍には大型艦が少なく、多くの魚雷艇、ミサイル艇を保有している国が多い。また同じように海の荒い九北海で活動するスカンジナビア諸国の海軍にも小型艦やミサイル艇は多い。勝山氏もSECの例として挙げているノルウェー海軍の「ショル」級は満載排水量260トンに過ぎない(ただし、同艇は複合材料を多用し、同じくらいの規模のフネと比べると軽めである)。

 だいたいその理屈でいえば日本海で活動する海保の巡視船、漁船、北朝鮮の工作船に至るまで全部全長一〇〇メール以上ないとおかしい、ということになる。
 
逆に海自はかつて排水量僅か二〇〇トンというミサイル艇を導入した。全く理解に苦しむ。
 以前から指摘しているが、「艦」にこだわるのは、「艦長」というポストが減り「艇長」という格下のポジションが増えるのは困る、という海自制服組の都合によるものではないか。

 そもそもかつて海原治氏が喝破したように我が国には海自が守るという「シーレーン」なるものは存在しない。
 我が国が所属する商船はほとんどなく、商船会社のフネは殆どが外国船籍であり、乗組員もこれまた殆ど外国人である。近年では船長以外は外国人というフネも珍しくない。
ないものをあるかのようにカタってきたのが海自、防衛庁である。
 
 また勝山氏は同じ艦をとクルーを分けて、複数の艦に複数のクルーが乗り込み、艦を遊ばさないようなローテーションを組むことも可能と主張しているが、これは米軍で実施され、クルーが「所詮は人のフネ」という考えを持ってしまい成功したとはきいていない。このような話も勝山氏はご存じのはずであり、その対策があるのならば伺いたい。

 近年では島嶼防衛、空陸自との協調作戦、特殊部隊や陸自部隊の投射、さらにネットワーク化、UAV、USV、UUVなど無人機の活用など作戦の前提、作戦環境が大きく変わっています。一人変わっていないが海自、という気がします。
 
  ぼくはラフェイエットやショル、更にトリマランの実験艦トライトンなどの新しいコンセプトの艦艇を見学してきが、ショル級に至っては艦艇というより、航空機に近い印象を受けた。また今後艦艇のありかたは従来の「フネ」とは大きく異なる予感も感じました。単に数字だけではなく、このような「印象」というのは将来の艦艇を想定、先魁を予想するときに非常に重要だと思います。
 
 ただ、このような早い時期に自衛艦隊司令官だった元提督が、次世代の艦艇の基本構想を、世に問うと言う姿勢は今までの海自ではなかったことであり、非常に高く評価します。
 むろん、ぼくの提案がベストだという気は毛頭ありません。より多くの人が、意見、アイディアを出して建設的な議論をしていくことが重要だと思います。



  




 

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