令和4年度財政制度分科会の防衛関連資料を読む 「資料」編その3

財務省では毎年財政制度分科会が開催されています。これは国の予算、決算および会計の制度に関する事項などを調査審議するものです。
その中に防衛に分科会があり、そこで使用される資料が毎年公表されています。意外に注目されていないのですが、防衛省では出さない資料や防衛省には都合の悪い指摘も含まれており、防衛に関しては貴重な資料となっています。これは「資料」と「参考資料」があり、今回から数度に渡って、この「資料」を解説していきます。

「資料」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/03.pdf
「参考資料」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/04.pdf

欧州国の動向(防衛⼒強化と財政運営)(P10)
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○ 欧州国は、新型コロナ及びウクライナ侵略以前において、NATOの2%⽬標の発表(2014年)以降、国防⼒の強化を⾏いながら、財政の健全化を進め、財政余⼒を維持。
○ 今般のロシアのウクライナ侵略によって域内に戦場を抱えることになった欧州国は、国防費の増額を相次いで発表。
○ また、ドイツやスウェーデンでは、国防費の増額に当たって、財源の⽅針も⽰し、歳出・歳⼊の両⾯で議論。


つまり防衛費上げるならば諸外国のように、財政基盤とセットとすべきということです。
その意味では安倍晋三はじめ自民党のいう借金軍拡は駄目だよということです。
財政的な基盤がなければ、長期に渡る防衛支出を支えることができません。それをやると下手をすると国家が疲弊して財政破綻となります。そうなれば「無い袖は振れず」となります。こんなことは中学生でも諭せば分かる話ですが、与党の先生方には理解できないようです。

実際にお隣に野放図な軍拡と財政支出拡大を行って崩壊したソ連という国がありますよね。

いくらでも国の借金増やして軍拡しろというのは、与党議員として無責任です。それを強行すると円の信頼がなくなり、円安が進みます。例えば1ドル300円になったら防衛省の買う装備も燃料の現在の2倍になります。そういう状況では国民経済も疲弊していますから所得税の増収や法人税の増収も期待できない。無理やり取るのは消費税しかないから、消費税を20%とか30パーセントにしないといけないでしょう。となれば国民の広漠力は更に減ります。しかも食料、衣服、雑貨、燃料の高騰で先進国の生活なんて維持できないでしょう。かつて某共産国の指導者はパンツが履けなくとも、核武装に邁進すると公言しましたが、それと同じ道を進むことになります。

諸外国の国防費対GDP⽐(P11)
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○ 各国の国防費の姿を分析すると、税収の配分や国⺠負担に応じて、それぞれ異なる特徴を有している。
○ 国防費対GDP⽐を⼀層増加させるためには、他経費を削減して国防費に⼀層重点配分するか(下図のX軸⽅向に移動)、国⺠負担を増加させるか(下図のY軸⽅向に移動)という議論に直結。


つまり防衛費を増やすならば、他の支出を削るか、国民負担(多分主として消費税)を増やす必要があると、ということです。

ところが、自民党の元気のいい先生方は、借金で軍拡して何が悪いと居直っているわけです。
当然ながら世の中タダで軍拡できるほど甘くはありません。ですが、例えば社会保障費などをバッサリ切ると、自分たちの票を減らします。消費税を10%から15%に上げても同じです。
だから目先に有権者が痛みを感じないように、借金して軍拡といっているわけです。


例えるならば飯も食わずに、シャブを打ってマラソンするようなものです。当座はそれでしのげるでしょうが、後で廃人確実です。

事実上の官製脱税である「ふるさと納税」で毎年3千億円の税金が事務費用、手数料、返礼品でダダ漏れしています。これを廃止して防衛費に振り向けようという先生方を寡聞にしてきいたことがありません。



保守の議員は衆愚迎合のばらまきよろしく、防衛費もばらまいて、将来の国民の生活を破壊して子孫の希望を奪うことに何ら疑問も罪悪感も持たない人たちなのでしょう。

次期防衛大綱で大幅な借金による軍拡を行えば、次の大綱の頃には日本経済も、国家財政もガタガタで国防力はかなり下がることになるでしょう。
ぼくから見れば安倍晋三を始めとする「借金軍拡」派議員は中国よりはるかに危険な日本国の敵です。



Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
 ゴム製履帯の可能性 前編
https://japan-indepth.jp/?p=66289
 ゴム製履帯の可能性 後編
https://japan-indepth.jp/?p=66297
国産防弾装備を盲信する岸防衛大臣の見識 その1
https://japan-indepth.jp/?p=66121
国産防弾装備を盲信する岸防衛大臣の見識 その2
https://japan-indepth.jp/?p=66134

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この記事へのコメント

ミスターフリゲート
2022年05月04日 15:23
今では限られた予算で如何に国防できるかがミソですね。戦車大幅削減、榴弾砲は牽引式だけ、省力化、ドローンとサイバーなど。しかしもっとも重要なのは兵站で、海自空自メインにミサイル弾薬の調達を最優先すべきです。

参考に。SLBMの導入についてです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ef4be0c73eb5b498612e0ed31e72d296a9e382be?page=5

この記事ですが、少なくともシェルター整備や地下空間を避難場所に指定する取り組みは必須です。
SLBMは敵基地攻撃能力に含まれるので慎重な意見が必要です。ただ核弾頭は北朝鮮と同じ末路にもなり得るのでかなりハードルは高いかと
偽陸士
2022年05月04日 16:24
清谷様。

激しく同意です。

自民の議員達も列外ですが、彼等に票を投じた人々・選挙で棄権した人々の見識も酷いものです。

憲法改正と鼻息は荒いのですが、補給軽視・装備の稼働率・納期を意識した調達など何処へやら。

次の敗戦時にはどんな言い訳が飛び出すのでしょうか?(呆)
ブロガー(志望)
2022年05月04日 22:31
お邪魔します。
 かつて戦艦大和・武蔵を建造する際には議会にも大蔵省(当時)にも隠し、三万五千トン級の戦艦と他補助艦艇を建造すると言って予算を獲得したと聞いた事があります。軍縮条約の経験等から「政治屋どもに教えたら、英米に言い包められて放棄させられるに違いない。」とでも考えたのでしょうか。
 「北朝鮮の核ミサイルが」「中国の海洋進出が」「日本もウクライナのようになるかも」といった不安に取り付かれ、その不安から逃れるためにF35やオズプレイやAAV7といった高額兵器を買い込みます。そうすれば一時は不安から逃れられますが、不安は再び頭をもたげ、そうなると先に買った兵器などには目もくれずに新たに買い込んだり、十分な基盤が無いにも関わらず開発しようとしたりするのです。そういう人達にとっては「経済や財政の裏付けの無い軍備など無意味」という「正論」はあたかも「命よりも金」であるかのように聞こえるのかも知れません。元首相他は当人がその不安に取り付かれているのか、それともそういった不安に乗じて「不安に応えるカッコいい俺達」を演じているのかと思ったりもします。本来はきちんと説得して現実的な安全保障を実現するのか政治でしょうが、日本人には論理が無いので政治家は有権者を説得させられないし、有権者はそれを理解できないのではないかと。
ブロガー(志望)
2022年05月04日 22:32
続きです。
 それから「悪名は無名に勝る」と言います。「無視されたら負け、無視できなければ勝ち」という考えなのでしょう。凡庸な人間が無視されない手っ取り早い手段は「他者を挑発する、神経を逆撫でする」事です。ネットで中国の富裕層や有力者は子弟を欧米の大学に入れ、卒業後もその国に留まらせているといった事を聞いた事があります。本当に日本を「見限って」いるのであれば、黙って資産だけでも外国に移すのではないかと。
 最後に戦車の役割は時代と共に変わっています。第一次大戦で機関銃が発達し、歩兵が塹壕に引き籠るしか無くなった(それで膠着状態になった)中で、敵機関銃網に穴を開けて味方歩兵を通すために戦車は生まれました。双方共に戦車を保有するようになると敵の戦車を無力化するためにMBTが生まれました。その後対戦車携帯ロケット弾が生れると共に不正規戦の割合が増え、事前の空襲または集中砲撃といった手段で味方歩兵の脅威を排除する事が難しくなっていますので、歩兵の近接支援が求められています。それに答えるのが今の戦車の役割ではないかと。ロシアには旧式のT72戦車から主砲を降ろし、代わりに機関銃他の多様な兵器を積んだ戦闘車両があるそうですが(ウクライナ戦争に投入されたら活躍するかも)。