令和4年度財政制度分科会の防衛関連資料を読む その2

財務省では毎年財政制度分科会が開催されています。これは国の予算、決算および会計の制度に関する事項などを調査審議するものです。
その中に防衛に分科会があり、そこで使用される資料が毎年公表されています。意外に注目されていないのですが、防衛省では出さない資料や防衛省には都合の悪い指摘も含まれており、防衛に関しては貴重な資料となっています。これは「資料」と「参考資料」があり、今回から数度に渡って、この「資料」を解説していきます。

「資料」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/03.pdf
「参考資料」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/04.pdf

我が国を取り巻く安全保障環境(P5)
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ロシアによるウクライナ侵略について(P6)
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宇宙・サイバー・電磁波領域における攻防(P7)
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このあたりは現状分析です。
P7では新領域に触れていますが、サイバー戦に関しては防衛省、自衛隊に国家を守る意志と能力はなく、自衛隊自身しか守らない。この点を予算を考える上で考慮すべきです。

安全保障関連の経費(諸外国⽐較)(P8)
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○ 我が国の安全保障に関連する経費の⽔準は、NATO定義を参考にしつつ試算すると、6.9兆円程度であり、対GDP⽐1.24%程度。(なお、対GDP⽐2%の場合に必要な経費の⽔準は11.2兆円程度である。 )
○ ⾦額ベースで⽐較すると、⽶国及び中国に対して⼤きな⾦額差がある⼀⽅、英国・ドイツ・フランスと同程度の⽔準にある。

まずは事実確認からというお話です。多くの国民が我が国の防衛費は対GDP1%程度と思っているのですが、NATO基準では6.9兆円、1.24%で、独仏並であり、NATO諸国からみてもさほど見劣りはしないよ、ということを言っています。無論ドイツは今後大幅に防衛費を不増やすことが予定されていますが。
世界展開を前提にしている米国あるいは、広大な領土を持ち、国内の抑えにも軍隊が必要な中国を同等に考えて、中国の脅威を過度に唱えるのは合理的ではないでしょう。


我が国の経済・財政⼒を踏まえた「持続可能」な戦略(P9)
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○ 我が国は他国よりも早いスピードで⽣産年齢⼈⼝の減少が進む中、厳しい安保環境が今後も継続することを念頭に、それを乗り切るためには、裏付けとなる財政運営が不可⽋。
○ 継続的な⽀出を暫定的な⼿段によって裏付けなく賄い続ければ、結果的にそれ⾃体が我が国の脆弱性になりかねない。

要は安倍晋三や自民党が主張する「借金軍拡」に警鐘を鳴らしています。軍拡ができる財政的、人的資源は厳しいよ、と示しています。

まず少子高齢化で、現在の⽣産年齢⼈⼝数(15~64歳)を1とすると、2040年には0.81に減少します。これはドイツ、中国より遥かに減少率が大きく、イタリア並です。
つまり、自衛隊を規模で増強しようとしても無理ですよ、ということです。今ですら、非正規雇用が多いなかで、「安定した公務員」である自衛官のなり手は少なく、入ってもすぐやめます。これは職業、職場としての魅力がないということですが、防衛省はブラックな組織文化を改める気はありません。ですから募集難は今後も続きます。
仮に自衛隊の人員を大幅に増やすことができても、その分民間セクターの勤労者を奪うことになるわけで、日本経済はますます停滞して税収も減るでしょう。


国の借金に歯止めがかからず、それは増加する一方です。これは将来ハイパーインフレを起こして、国民の財産を既存する可能性があります。呑気に「借金軍拡」なんて言っている場合じゃないですよ、ということです。

そして英財務相の見解を紹介しています。
(参考)英・スナク財務相が⽰した財政に関する原則
アクセプト 「平時は、借⾦は将来の成⻑と繁栄への投資に限り⾏うべきである。」
(in normal times the state should only borrow to invest in our future
growth and prosperity.)
アクセプト 「⽇々の⽀出は税収で賄わなければならない。」(everyday spendingmust be paid for through taxation.)(2021.10.27 21年度予算の⾒直しに関する演説より)


軍備を拡大するならば、それにふさわしい経済基盤が必要だと、ということです。
かつてソ連は経済感覚がなく、野放図に軍拡を行った結果国家が崩壊しました。

■本日の市ヶ谷の噂■
防衛医大で鳴り物入で紹介されている人口血小板の自主研究が実は虚偽。防衛医大に人工血小板を製造する装置も人員もおらず、発明、特許は、共同研究者の奈良県立医科大学の化学教室酒井宏水教授と早稲田大学理工学部の武岡真司氏。米軍の研究では投与されたマウスは1週間後は腎不全で死亡し、実用化は不可能と研究を放棄した案件。
防衛医大では単に他の大学で発明、開発した人工血液を借りてきて動物実験をしただけ羊頭狗肉、との噂。


Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
 ゴム製履帯の可能性 前編
https://japan-indepth.jp/?p=66289
 ゴム製履帯の可能性 後編
https://japan-indepth.jp/?p=66297
国産防弾装備を盲信する岸防衛大臣の見識 その1
https://japan-indepth.jp/?p=66121
国産防弾装備を盲信する岸防衛大臣の見識 その2
https://japan-indepth.jp/?p=66134

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この記事へのコメント

KU
2022年05月03日 09:06
>ヘルメットが簡単につぶれる...世界2位の軍事大国ロシアの屈辱

https://s.japanese.joins.com/JArticle/290603

ここに写っているロシア軍の物とされる救急キット、まんま、陸自のそれと同じぢゃないですか(((^_^;)
やれやれ
2022年05月03日 12:24
KUさん、
ワロタw
陸軍の装備は見た事無いんですが(博物館行っても現代のは展示して無いし、実動しているロシア陸軍の装甲車や戦車、武装した兵士はありません)
MACSなどの警備の兵隊さんは主に新兵で自衛隊で言う作業服と帽子だけですから。
ARMIAとか陸系の展示会に行けば違ったのでしょうけど。

これじゃ兵士の士気が下がって逃げ出したくなるのも仕方ないですね。今のロシアは明日の自衛隊ですね…どうやってボコられるのか親切にもロシアが教えてくれていますよ。
ミスターフリゲート
2022年05月03日 14:50
http://blog.livedoor.jp/itsoku/lite/archives/59277304/comments/7835641/?p=1#c243469177
韓国のgdpがどうたらこうたらの話ですが、

>たまにコメントで見るけど、もう日本は本当に韓国に統治されて政治、産業丸ごと改革してもらうしかないんじゃないか。腐敗や非効率の塊だぞこの国。

29. 名無しのプログラマー
2022年05月03日 14:27
>>24
俺もなんだかそんな気がしてきた

ホント何なのこいつら。韓国だって自国問題片付いていないのに統治する余裕もないのに、どれだけおめでたい頭してんだよ。もっとも、このサイトは中国韓国に統治されろと喚き散らす猿どもの巣窟なわけですが。頭おかしいとしか言えません
偽陸士
2022年05月03日 15:29
ミスターフリゲート様。

>もっとも、このサイトは中国韓国に統治されろと喚き散らす猿どもの巣窟なわけですが。頭おかしいとしか言えません


親米保守と同じで、単に金と軍事力を獲得した中国韓国にすり寄ってるだけですな。

日本の現状が憎いのは理解出来ますが、親米も中韓へのすり寄りも悪手です。

何故なら彼等いずれも統制経済・巨大な行政府に魅入られており、今の日本同様仲良くトイレに流れて行きます。

戦車教徒と同じで改宗は無理ですよ。

そんな処見に行くより英語が拙くとも、海外のサイトを観に行くのが有意義かと。

将来に何も役に立たぬサイトなんて見てる暇なんてありませんよ。

少なくとも次の選挙の投票先を選ぶのに、役立つとこにしなさいな。