狙撃への道 その2


元東部方面混成団長で現役時代、普通科の技能向上に尽くされ、著作も多い二見龍氏と、陸自の狙撃の先駆者である、松岡勝樹氏による、狙撃に関する本です。
陸自で狙撃を如何に定着させるかの苦労と問題点が多く指摘されています。
元狙撃教官が語る 狙撃の道 - 松岡勝樹, 二見龍
元狙撃教官が語る 狙撃の道 - 松岡勝樹, 二見龍

陸自では狙撃手にサプレッサーを支給しいていません。これは現代の狙撃を理解していない、ということです。

>プレッサーの必要性を認識している幹部がどの程度いるのか、また陸上幕僚監部の担当者がサプレッサーの価値を本当に理解できているのか疑問です。狙撃銃を部隊に導入するのであれば、サプレッサーも合わせて用意しなければ意味がありません。
>サプレッサーを装着すると、10口から発する炎の98%隠すことができます。サプレッサーが装着しないと夜間戦闘であれば1メートいたことがあります。(P170)松岡氏。

>狙撃銃が配備されても、サプレッサーがセットで用意されていないと言うのは大きな問題です。(P172 )二見氏


>特殊部隊や狙撃過程の教官などからよく意見を聞いて、サプレッサーも含めて、どんな装備品・装具が任務に必要か、その知識を深めてほしいものです。海外で行われている兵器展示会などにも、運用する側の人間を同行させて、見聞と意見交換の機会を増やしてほしいですね。


 本来長年その分野に携わっている曹クラスのスペシャリストこそ、海外の見本市などを視察すべきです。メーカーとは勿論、諸外国の軍人と意見を交換することで、知見が高まり、専門知識を強化することができます。それも一生に1回では意味がないです、一人の人間が、何回も行くべきです。そうすれば現地で人脈もできます。これを維持するために、複数で行くべきです。そうすれば一人が移動しても、人脈を引き継げます。


>耳栓をせずに実弾を撃ち続けたら、聴覚障害になります。隊員への指示・命令は肉声によっておこないますが、耳栓をしていたら聞こえなくなってしまいます。耳栓を外すと小銃の射撃音ですぐに難聴になってしまいます。
ここで問題なのは実弾射撃時のコミニケーションする手段ですが、陸上自衛隊にはこれを解決する手段が整っていないのです。早急にこの部分の改善を図るべきです。(P174)松岡氏

つまり陸自では耳を守り、かつ実戦で意思疎通を図れる装備をもっていない、ということです。実際にぼくの知っている自衛官に耳が遠い人はすくなくありません。諸外国では銃撃音から耳を守り、通話は聞こえる耳栓なども装備されています。

これは特科も同じで、他国では砲のクルーを射撃音から耳を守り、通話をするためのヘッドセットを採用しています。南アのような国でも普通にあるのですが、陸自ではないようです。

>主要国の2区分では5.656ミリ軽機関銃を廃止する傾向が世界的に広がっている。この代表的な軽機関銃が、陸上自衛隊も使用しているミニミである。この廃止の理由には、生軽機関銃による制圧射撃と言う考え方がロジックとして成り立たなくなったこと、イギリス軍のテストの結果、5.56ミリ軽機関銃の射程が思った以上に短かったことがある。
ミニミはメーカーが提示した有効射程は400メートルとされていたが、イギリス軍の試験においては約200メートルであるだと言われている。
短い銃身だと長射程においては運動エネルギーのロスが発生し、射距離と威力の面で問題があり、700メートルの有効射程があるM27IAR等を装備したほうが効果的であると評価されたからだ。
米軍では1次世代分隊火器システムとしてのM4カービンとミニミ後継となる中を開発している。(P185)松岡氏

これは以前からぼくも指摘していることですが、実戦を通じて得た知見を自衛隊は軽視します。ですからこのような世界のトレンドに無関心で、ひたすらいかに自分たちが正しいかという組織防衛ばかりに熱心です。
個人的には、中隊に7・62ミリ機銃を復活させ、5.56ミリ機銃は廃止。代わりに分隊に1名7.62ミリのオートマチック銃を持ったマークスマンを置くべきだと考えます。

銃を撃つと、銃身内部には弾丸の銅が付着してしまいます。これを銅着といい、通常のクリーニングでは除去できません。

>米軍では、銅着を除去する薬剤と銃とセットです。ところが、何十年も銃を扱っているのに自衛隊には、銅着を落とすと言う知識ありませんでした。5.56ミリ機銃ミニミの導入時、重心の亀裂事案が度々発生したのも同着を除去していなかったからです。(P190)松岡氏

>米軍の場合、性能要求書に「ジャムは1,000発撃って1発までに許容する」と言うような記述があります。もしジャムの許容は2000発に1発までと要求仕様書あれば2000発までは絶対に作動不良起こさない事を製造しなければなりません。
最近の事情は分かりませんが、陸上自衛隊の4生の要求書にはそのような9日は無いようです。(P192)松岡氏

つまり自衛隊には銃の整備や性能や運用に関する基礎的な知識が欠如している、ということです。すでに何度もご案内ですが、ライセンス国産の9ミリ拳銃は2500発程度でフレームにクラックが入ります。これはオリジナルより一桁少ない。普通「欠陥品」です。
それが装備されているということは、要求仕様書に耐久試験をパスすることが含まれておらず、実弾射撃回数が少ないからです。
だから住友重機の性能品質偽装問題も何十年も問題ならなかった。

原因の一つには要求仕様を作る人間にその専門知識がない、そして現場の意見を反映させない。だから業者の作ってきた資料をそのまま鵜呑みに仕様書をつくる、あるいは業者に作らせる。そういう官僚化した仕組みがあるでしょう。


東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
財務省が戦車の有益性を辛辣に指摘した真の意味
現実を直視した「真に有効な防衛力」の議論が必要だ
https://toyokeizai.net/articles/-/587274
apan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
 ゴム製履帯の可能性 前編
https://japan-indepth.jp/?p=66289
 ゴム製履帯の可能性 後編
https://japan-indepth.jp/?p=66297
国産防弾装備を盲信する岸防衛大臣の見識 その1
https://japan-indepth.jp/?p=66121
国産防弾装備を盲信する岸防衛大臣の見識 その2
https://japan-indepth.jp/?p=66134

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この記事へのコメント

ミスターフリゲート
2022年05月10日 13:23
>個人的には、中隊に7・62ミリ機銃を復活させ、5.56ミリ機銃は廃止。代わりに分隊に1名7.62ミリのオートマチック銃を持ったマークスマンを置くべきだと考えます。

HK417がおすすめでは。

>つまり自衛隊には銃の整備や性能や運用に関する基礎的な知識が欠如している、ということです。すでに何度もご案内ですが、ライセンス国産の9ミリ拳銃は2500発程度でフレームにクラックが入ります。これはオリジナルより一桁少ない。普通「欠陥品」です。

拳銃は全部グロックやH&Kのやつにして構わんかと
やれやれ
2022年05月11日 11:38
米軍が新規採用するXM5とか6.8mm弾使うアサルトライフルや機関銃にもサプレッサ付いていますね。オプションも含めて全部SIGから調達するそうで。

正確には覚えていませんが陸自も少数のサプレッサを購入していた様な。
そんなんじゃ全然足りませんけどね。
ましてや狙撃銃に付いて無いとかゴルゴ13の見過ぎでは?
ポーランドでさえ個人装備のアサルトライフルにサプレッサ付けてましたよ。
少しは米軍にでも教育してもらった方がいい。
実際問題どれだけ日本で白兵戦するのか疑問ですが、少なくとも日本の都市を占拠されたらゲリラとかパルチザンに身を落としても反撃すらできないではね。

個人的にはボルトアクションのレミントンで良いのだろうか?と言うのがあります。暗殺で使うとかならまだしも戦場で連射できないってどうなの?
個人の趣味ですいませんがSPR Mk12とか良さそうに見えますが。
あと超射程、装甲貫通も考えると12.7mmのM82とかは欲しいですね。

やはり戦略も戦術も無く取り敢えず買って揃えたらそれでいいレベルの思考ではどうしようもありません。