令和4年度財政制度分科会の防衛関連資料を読む 「資料編」その1

財務省では毎年財政制度分科会が開催されています。これは国の予算、決算および会計の制度に関する事項などを調査審議するものです。
その中に防衛に分科会があり、そこで使用される資料が毎年公表されています。意外に注目されていないのですが、防衛省では出さない資料や防衛省には都合の悪い指摘も含まれており、防衛に関しては貴重な資料となっています。今回から数度に渡って、この資料を解説していきます。

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/04.pdf

新たな国家安全保障戦略等の策定(P1)
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○ 我が国周辺の安全保障環境を巡る複数の課題に対処するため、政府として、新たな国家安全保障戦略、防衛⼤綱、中期防衛⼒整備計画の「三⽂書」を策定しているところ。
〔課題の例:北朝鮮の弾道ミサイルの発射、⼀⽅的な現状変更の試みの深刻化、宇宙・サイバー等の新領域、経済安全保障など〕
○ 新たな「三⽂書」は、防衛・外交等に関するものであるが、この中で5か年間の防衛費の総額を⽰し、これに基づき各年度の予算を精査・計上することになるため、「予算」の⾯からも極めて重要な位置付け。


つまり、来年度予算は今後5年、10年の計画反映されることになるわけで、大変重要であるといことです。


防衛関係予算について(P2)
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○ 防衛関係予算は、中期防衛⼒整備計画に基づき、⼀貫して増加。令和4年度は、初めての5.4兆円超え。
○ 防衛関係予算の⼀貫した増加は、他の経費の削減・効率化を実施することで実現。
○ 複数年度にわたる防衛関係予算の在り⽅の議論は、あらゆる経費との配分の議論に直結。

つまり第二次安倍政権以降、防衛費は聖域扱いされて、他の予算を削って防衛費に回しているということです。更に申せば、概算要求から事項要求分の金額を引いて公開したり、次年度予算を補完する形で当年度の補正予算で装備を買ったりして、額面上防衛費を過小に見せかけて世論操作を行ってきました。その共犯は記者クラブメディアです。


防衛関係予算と防衛⼒強化に関する考え⽅・論点(P3)
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防衛関係予算と防衛⼒強化に関する考え⽅・論点
○ 三⽂書の⾒直しは、我が国の安全保障・防衛⼒の在り⽅を⼤きく左右するもの。
○ 防衛⼒は、国⺠⽣活・経済・⾦融などの安定が必須であり、財政の在り⽅も重要な要素。
○ 特に、三⽂書の⾒直しは、アクセプト 複数年度にわたる防衛関係予算の編成の⽬途となること
アクセプト 他の経費の増減を抜きにして、防衛関係予算の多寡を議論できないことから、我が国財政(予算)全体への影響も⾮常に⼤きい。それゆえ、国⺠の「合意」と「納得」を得られるよう、議論を進めければならない。(安全保障の課題は「国内問題」でもある)
○ また、ロシアによるウクライナ侵略を受け、⽇本⾃⾝も経済・⾦融⾯では有事に差し掛かっており、この経験を踏まえ、防衛⼒強化と経済・⾦融・財政⾯での対応を⼀体として検討する必要。

○ このような前提に⽴った上で、
アクセプト 軍事的有事に備え、かつ、抑⽌するための経済・⾦融・財政の在り⽅(全体像の論点)
アクセプト 緊迫化する安保環境に真に応じた防衛態勢、研究開発、防衛産業の在り⽅(個別の論点)
などの根本的な論点について、正⾯から議論をしていくべきではないか。

財務省のいいたことは、安易に財政的な裏付けのない軍拡やっていいんですか?それは国民のためになるのですか?と尋ねているわけです。

防衛大綱、中期防で借金による大盤振る舞いの軍拡が、本当に我が国の防衛強化になるんですか?ということです。
一旦決まれば我が国のことですから、途中で軌道修正で大鉈振るうことは不可能でしょう。
ですから来年度予算編成が大変重要なわけです。


ところがです。こんな報道がでおります。

新防衛大綱、秘密化案が浮上 政府、中ロ有事への対処を念頭に
https://www.tokyo-np.co.jp/article/174891

>政府が年末に改定する外交・安全保障政策の長期指針に関する3文書のうち「防衛計画の大綱」に代わる新たな文書を策定し、一部秘密化する案が浮上していることが30日、分かった。自民党提言のほか、政府の有識者聴取で中国を念頭に具体的な作戦をまとめた秘密文書を作るべきだとの意見が出たのを踏まえた。複数の政府関係者が明らかにした。
 改定する3文書は他に「国家安全保障戦略」と「中期防衛力整備計画」。現行の防衛大綱は公開されている。

 そもそも防衛省自衛隊は他の民主国家が納税者に当然公開している情報を秘密扱いする組織です。このような概略に過ぎない情報を納税者から隠すのは戦前の軍部独裁と同じ発想です。自民党、特に国防部会は文民統制の何たるかをしらない、ということになります。


■本日の市ヶ谷の噂■
西日本陸自某防駐屯地で訓練のために招集された予備役たちの健康診断は医官が行われなかった。初日の健康診断はなし、二日目のレントゲン&問診もなしにも関わらず、医官が健康診断したことにされて別人が印鑑を押して報告、医師法違反の疑いもあるとの噂。


Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。

国産防弾装備を盲信する岸防衛大臣の見識 その1
https://japan-indepth.jp/?p=66121
国産防弾装備を盲信する岸防衛大臣の見識 その2
https://japan-indepth.jp/?p=66134

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この記事へのコメント

偽陸士
2022年05月02日 11:51
門外漢の筈の財務官僚が、此処まで踏み込んで報告書を書かざる得ない。

このまま防衛省自衛隊にだけでやらせとくのは、怖いものがあります。

この国が財政破綻しても、俺達の知った事じゃない。
何でも良いから予算寄越せと言いかねません。

内局も法律家より財務官僚を多く入れた方が、良いのではないかと思えて来ます。
やれやれ
2022年05月02日 12:23

ロシア軍総崩れの可能性も、兵站への無人機攻撃で
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69960
ご参考まで。まあ兵站を攻撃するのはセオリーですね。
それにしてもロシアもドローン大国だけどドローンが活躍していると言う話をあまり聞かない。使っていないのか使い果たしたのか数が少なくてあまり投入できないのか。
それとも偏向報道でウクライナ側のしか報道していないのか。


日本人が知らない、ロシア「民間軍事会社」の驚異的な「戦争代行サービス」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94911
ご参考まで。自衛隊も教えを請うほうが良いのでは?


おまけ
「円安」は国を滅ぼすどころか、国益そのものだ!池上彰氏がわかっていないこと
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94970
やれやれ...
やれやれ
2022年05月02日 12:32
「戦車よりジャベリンがコスパ高める」財務省、防衛省に指摘するも大炎上
https://sakisiru.jp/26863
はあ、やれやれ...
某掲示板もそうですが戦車大好きな方々からのバッシングが凄い。財務省は軍事の素人だから戦車の重要性云々とのたまう。
正直言ってど素人なのは軍ヲタや酷使様でしょう。
それとも大好きな90式や10式が燃え上がらないと現状を理解できないのでしょうか?
大炎上がネット上ならまだしも大好きな戦車が大炎上する姿を見て涙するだけなのでしょうかね?
ミスターフリゲート
2022年05月02日 13:25
やれやれさん
戦車についてですが、ニコニコ大百科から
https://dic.nicovideo.jp/t/a/%E6%88%A6%E8%BB%8A%E4%B8%8D%E8%A6%81%E8%AB%96

日本に戦車の剣、清谷氏も言うように戦車揚陸はとても低いでしょうが、万が一破られた上、対戦車ミサイルだけでは肩代わりは難しい、歩兵ノ盾としても戦車はあった方がいいとありますが、どうなんでしょうね。
個人的には、建物が多い日本では敵味方問わず戦車に不利で、北海道くらいしかやり合えない、それ以外は建物の影から対戦車ミサイルを打って撃破でも十分だし、ドローンもある今戦車の有用性は失われつつある、だから戦車は全廃でも思ってしまうのですが、一方で上記の反論も一理あると思ってしまいますね。やれやれさんはどう思いますか?
やれやれ
2022年05月02日 13:59
ミスターフリゲートさん、
不要だから全廃せよとは思っていませんよ。
既にあるものはそのまま活用すればいいのです。
これ以上無駄に増やす事には反対です。
どうも理解できないのは戦車必要論の人は戦車不要論の人が
全廃せよと勝手に思いこんでいる事です。
戦車がある世界と無い世界しか考えていない。
10式も機動戦闘車も特定の条件下では使えるでしょう。
その条件がかなり限られているだけで。
特定条件で使えるからと言って無駄に増やすのは予算の無駄遣いです。
だから必要以上は不要なのです。日本ではもっと少なくても良いでしょう。
ミスターフリゲート
2022年05月02日 15:38
やれやれさん
なるほど。しつこくて申し訳ないですが、自走榴弾砲やFH70も同じ考えですかね?
やれやれ
2022年05月02日 21:20
ミスターフリゲートさん、
手短に、その通りです。
偽陸士
2022年05月03日 08:35
やれやれ様。
ミスターフリゲート様。


戦車も火砲も以前の様に、陸戦の主役とは言えなくなってきています。

ただ戦車不要論はそのまま読むと、戦車は不要だと受け止められます。

全廃しろと。

そこで戦車脇役論と表記してみては如何かと。

戦車は今はまだ出番は有ります。ですが退場は時間の問題です。