【インドへチヌークとP-3Cをくれてやれ】「安全保障の専門家」の畳の水練

自衛隊輸送ヘリのリースで日印米安全保障はこう変わる
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/26286

長尾賢ハドソン研究所研究員の国産の CH-47輸送ヘリを海外へリースしろ、という記事ですが事実誤認と希望的観測がすぎるのではないかと思います。

>クアッドの協力を継続していくには、インド軍のロシアへの依存度を下げていくことが望ましい。具体的には、インド軍に武器を供給することだ。
>今回は、具体策として、日本がインドにCH-47輸送ヘリをリースすることを提案したい。

>実は、日本ではCH-47輸送ヘリは、ちょうど更新期を迎えている。1984年から配備され始めたため、20年以上使った機体が出ているのだ。新しい機体を購入すれば、古い機体はいらなくなる。

更新期ですか、米軍だって旧式化したCH-47を新型モデルに作り直して使い続けていることをご存知なのでしょうか。ヘリは古くなったら全部廃棄とでも。ヘリは駆動系はともかく、ドンガラは与圧もしないし、意外に長持ちするものです。


>ただ、古い機体といっても、あまり古くないのが実態だ。日本では整備を厳しく行ってきたため、使おうと思えばもっと長く使える。このCH-47輸送ヘリを格安、または無料でリースし、他の国で使ってもらうことが可能なのである。そこで、インドへのリースが候補になる。

あまり古くないならば自国で使うべきでしょう。因みに米軍のCH-47の平均機体年齢は28.6年です。そして米軍同様に近代化行って使い続けるべきです。何しろ米国製の2~3倍のお値段するのですから。必要な数しかない自衛隊のCH-47をリースする理由はありません。

>インドは、今、米国からCH-47輸送ヘリを購入・使用しており、「ゲームチェンジャー」といわれるほど好評である。インドが、もし、より多くのCH-47輸送ヘリを手に入れれば、印中国境におけるインド軍の展開能力を上げ、防衛力全体を大幅に向上させるだろう。

であれば日本製より遥かに価格が安い米国製のCH-47をリースしてもらったほうがよろしいでしょう。むしろ我が国がせいぜい年に1~2機しか製造ぜず、バカ高い国産のCH-47の生産を打ち切り、米国製に切り替えるきでしょう。


>CH-47は、輸送ヘリだから、非殺傷武器である。ロシアの侵攻を受けたウクライナに防弾チョッキを送ることができるなら、インドにCH-47輸送ヘリをリースすることも、できるだろう。しかし、日本側には別の問題もある。そもそも、CH-47輸送ヘリをインドにリースする場合、インドの複雑な制度を理解し、交渉にあたる人材や、現地に長く滞在して使い方を教えたり整備をしたりする人材を整えなければならない。他の国との武器輸出案件もこなしながら、インドの案件をこなすには、十分な数の人材をそろえる必要がある。


ウクライナに防弾チョッキ送ったのは、「防衛装備移転三原則」の反しているのをNSCの判断で無理くり行ったものです。
そしてご指摘のインドの特殊性を理解してというのは大変困難です。話が前に進まないし、朝令暮改、二階に上がって梯子外されるのは日常茶飯事です。US-2の輸出案件のときは実は双日も関わっておりました。総合商社が裸足で逃げ出す相手ですよ。
お節の通りならばイージス艦も戦車も輸出し放題で「防衛装備移転三原則」は空文化していることになります。

>CH-47輸送ヘリのリースには、インド側の課題もある。インドは経済発展を続ける大国であり、資金的に豊かになりつつある。だから、将来を見据えて、中古よりも、新品を購入する傾向が強い。今、インドは米国からCH-47輸送ヘリの新品を購入している。なぜ日本から中古をリースする必要があるのか、インドは日本に疑問を投げかけてくるだろう。

流石に御本人も問題点は理解されているようです。

>この場合、利点は二つある。一つは、日本のリースは価格が無料、ないしは非常に低価格で提供できることだ。インドは、CH-47輸送ヘリの数を低価格で増やすことが可能だ。もう一つは、日本のCH-47輸送ヘリは、米国製のものと違って、航続距離が2倍であることだ。米国のCH-47輸送ヘリが370キロメートル飛ぶところ、日本のものは750キロメートルも飛ぶ。だから、4000キロメートルもある印中国境では、日本のCH-47輸送ヘリの方に有利な点がある。

リース代がタダか、タダ同然って、GDPの2倍の負債がある我が国、にそんな余裕あるのでしょうか?

航続距離の件ではボーイングでもMH-47Gが存在しますから、インドが望むのであればインド仕様のモデルを要求できたはずです。そして日本のCH-47は空中給油機能がありません。空中給油ができるならば積載量を増やして離陸し、後に空中で給油すれば後続距離が伸ばせます。インドにその能力があればですが。インド軍では操縦者や整備者の技量などの問題で航空事故が多いので、それが可能かどうかはわかりません。

そして国産CH-47は米国製と違って、あれこれカスタマイズされています。運用する側としては異なった訓練や整備が必要であり歓迎すべきことではないでしょう。



>米国は怒らないのか。もしインドが、日本のCH-47輸送ヘリを低価格で手に入れたら、米国がインドに売ろうとしていたCH-47輸送ヘリを、インドは買ってくれなくなるのではないかと、米国は心配するだろう。
>実際には、インドはCH-47輸送ヘリをたくさん必要としているから、そんなことにはならないと思う。

普通に怒るでしょう(笑
自分のと同じ製品をタダで顧客にくれってやって商売の機会を奪われてニコニコしていると考えるのは大変ナイーブかと思います。

>日本がインドにリースした中古のCH-47輸送ヘリは20年たっているものがあるから、そろそろ更新期だ。つまり、インドに代わり、日本が米国からCH-47輸送ヘリの新品を購入すればいい。米国が損をすることはないのである。

ご案内のように米軍ですらCH-47の平均機齢は28.6年です。インドが運用するならばもっと長くなるでしょう。米国は確実に損をします。


>日本で退役するP-3C対潜哨戒機も、インドにリースしていい装備だ。日本はかつて100機近いP-3Cを保有してきたが、だんだん退役しつつある。でも、日本の整備状況はよく、まだ使える。リースできる。
>インド軍は、本来は、潜水艦を探知するために配備した、海軍のP-8対潜哨戒機を、印中国境の山岳部に移動させて、中国軍の探知に使用している。結果、インド海軍が潜水艦探知に使用するための哨戒機は、山岳部に展開してしまっているのである。
>そこで、日本のP-3Cをインドにリースして、対潜水艦探知の任務に使ってはどうか。これも格安なら、インドにメリットがあるだろう。日本にとっても、退役して行き場を失ってしまう装備を、有用に活用できる。

これまたタダかタダ同然なのでしょう。一体どこにそんな余裕があるのでしょうか。
それに期待寿命を伸ばすために海自でも毎年のように延命措置を行っています。一番いいのは主翼の新造ですがそれには相応のカネがかかります。

実は石破さんが防衛大臣時代に米国からアフガンへのP-3C派遣の話があったそうです。同機のセンサーは陸上でも役に立つからです。別にP-8だけではありません。

そしてこれまた米国のショバ荒らしです。

>ロシア製戦闘機、戦車の部品の内、100以上の部品について、ロシアから輸入することを禁止し、国産製品に変えることにした。もしそうなら、それに協力する手もある。

>ロシア製の戦車の装置を日本製に変えて、ロシア製部品の影響力を落とすこともできるはずだ。そういった改造パーツを作るのが上手で、インド軍に多くの改造パーツを納入しているイスラエルと連携すれば、日本製部品をロシア製の武器に搭載することができる。
>CH-47輸送ヘリや、P-3C対潜哨戒機のリースの際に、国際交渉力が高まってくれば、インドにおけるロシアの影響力を下げるのに、日本とイスラエルが協力するといった応用編も可能になるだろう。

すでにイスラエルはインドに食い込んでおります。そんな美味しい話があるのであれば、何をわざわざ主契約者を経験のない日本に譲って儲けの少ないサブコントラクターに甘んじる必要があるでしょう。そもそも既存の戦車の近代化はイスラエルのお家芸です。
実戦経験のない日本のコンポーネントをインドが欲しがるでしょうか。

実際に防衛産業を取材した経験、あるいは実務経験がそこそこあればこういう記事は書かないと思います。一番近いのは総合商社と専門商社でしょう。彼らがこの記事を読んでどう思うかは想像がつきます。

むしろCH-47やP-3Cは適正な価格で中古として第三国に販売する方がいいでしょう。
必要とあれば国内で延命化や近代化を行う、あるいはP-3Cはミッションシステムを外してドンガラだけ売って、防衛費の足しにすべきです。
実際他国にはそのような部署があります。無論アメリカと下話をする必要があるでしょう。

こういう人の「政策提言」鵜呑みすると大変なことになるかと思います。



さて2022年度防衛省採用パンフレットに前回ご案内した、防衛省広報課、平尾和久報道室長が登場しております。

日本政府と防衛省、自衛隊の敵は「報道」と国民の知る権利
https://kiyotani.at.webry.info/202204/article_3.html
2022年度防衛省採用パンフレット
https://www.mod.go.jp/j/saiyou/ippan_senmon/e_pamphlet/Boueisho_Ippan.pdf
IMG_9239.jpg

>●現在の職務内容について
報道室では、 防衛省・自衛隊の各種施策活動の公表、 メディアから毎日、 数十 件以上も接到する問い合わせの受付・ 回答 また、 毎週2回実施される大臣会見及 び報道官会見のために、防衛政策に関する新聞、 通信及びネット記事を隅々まで 確認し、 想定問を作成するなど、 防衛省の発信窓口としての業務を実施しています。

>平尾 和久HIRAO KAZUHISA
●仕事のやりがいについて
防衛担当の各種メディアの記者さんと常に接することから、国民のみなさんや メディアの観点から、 改めて防衛省という組織を振り返ってみることができ、 新た な発見が見いだせること、 また、 常に最新のメディア情報や、 最前線の防衛政策に 触れることで、日々、自分自身が成長できることにやりがいを感じます。

>●仕事で普段心掛けている
「最後はやっぱり 「人」」 というのが私の持論です。 他人からの信頼がなければ、 いくら素晴らしい仕事内容であっても、 案件がスムーズに進まないことを見たり、 聞いたり、経験してきたからです。 八方美人になることはないですが、常日頃から パートナーとの信頼関係構築のため、 相手の懐に飛び込むことに努めています。

>Ⅲ種/一般事務 
>入省25年目
>特技: 風邪をひかないこと



「他人からの信頼がなければ、 いくら素晴らしい仕事内容であっても、 案件がスムーズに進まないことを見たり、 聞いたり、経験してきたからです。 八方美人になることはないですが、常日頃から パートナーとの信頼関係構築のため、 相手の懐に飛び込むことに努めています」

えっそうなんですか?
この内容通りに仕事しています、というのであれば実態と違いますよね。

自分が何者か名乗りもせずに相手に一方的にまくしたてて非難し、名刺をもって挨拶にいったら露骨に嫌な表情を浮かべて、シッシッとまるで畜生でも追い払うかのようなことをするのが「他人からの信頼」を得る方法だったり「信頼関係構築」「相手の懐に飛び込む」手法なのでしょうか。

それとも「パートナー」というのは自分たちのいうことを聞いてくれる、馴れ合い関係の記者クラブの皆さんのことであり、被記者クラブ会員の外国メディアの記者やフリーランスは「パートナー」ではなく、畜生扱いしていい卑しい奴ら、だと思っているのでしょうか。
これも防衛省幹部職員あるいは対報道の責任者以前に、社会人として問題あると思います。25年も防衛省にして何を仕事から学んできたのでしょうか。

このようなことがあるならば、防衛省を希望する学生諸君は、このパンフレットに登場している人たちのコメントを鵜呑みにすることは大変危険であるかと思います。入省して平尾和久氏の部下になった場合、自分がどのように扱われるか想像しては如何でしょうか?

まあ、風邪をひかないと自慢する理由はわかりました。

#平尾和久防衛省広報課報道室長

■本日の市ヶ谷の噂■
自衛隊病院有は事災害時は組織で動く必要があるが、チームとしての訓練は年に一度しかなく、人事異動で毎回メンバーが替わるのでチームプレイは不可能、有事災害時の対応能力は無に等しいとの噂。

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
根拠なき自民党の防衛費GDP比2パーセント公約

https://japan-indepth.jp/?p=65812

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この記事へのコメント

ミスターフリゲート
2022年04月10日 14:14
陸自をもし縮小するなら、いろいろな兵器武器が余りそうですが、チヌーク含めたヘリはどうなんでしょうね。余れば売る余裕ありそうですが。

市ヶ谷
医官や衛生、兵站の中でも一番深刻ですやん。早くメスいれないとなおのこと酷くなります
Y
2022年04月10日 15:25
パンフレット内容と実態に乖離があると言うのは恐ろしいことですね。
組織外の人にぞんざいな扱いですから、部下には普段もパワハラ三昧なんでしょうね。
ますます官僚なんかなりて居なくなりますよ。
違う人に差し替えたらどうでしょうか。
19190213
2022年04月10日 16:16
CHを売るとか馬鹿の極みだと思いますね。
本当に多目的に使えて便利なんですから売らなくていいですよ。
どうせ売ったら売ったでまた数も揃えきれないのがオチなんですからね。
それよか要らねぇAHとか大きな武器とかを売った方が良いです。
使えるかどうかは別にしてもスクラップにするよりはマシかなと。
Goodman80
2022年04月10日 17:23
フィンランドとスウェーデン、NATOに近く加盟か
https://www.cnn.co.jp/world/35186104.html
この様な動きは旧東側諸国で特に急速に広がっていくでしょうね。なんせ明日は我が身なんですから。一国の力で大国と渡り合うのは不可能ですし、弱者は群れを作って自分を守るしか有りません。
日本は海が有るから大丈夫、米軍がいるから安心。国連と米国が日本を守ってくれる。非武装中立すればどの国も攻めるはずがない。第九条があるから日本は絶対安全。等等、綺麗ごとを並べて平和を謳歌する事にしがみ付き、安全と思い込もうとする。まあ、その内現実を思い知ることになるんでしょうが、其の時は手遅れなんじゃ。
なつみ
2022年04月10日 20:36
今回のウクライナ侵攻で、清谷先生が国防の死角で書かれていたように、今のロシア軍に大規模な軍事侵攻能力が欠如していることが明らかになりましたね。

更に十分な索敵能力や通信能力が無いと、戦車や歩兵がいくらあっても戦争に勝てないということも証明されましたね。

戦車大好きミリオタくんたちはこの事実をどう受け止めるやら。
偽陸士
2022年04月10日 21:55
オスプレイの大人買いのせいで、CH-足りないのに。

現場に一度でも足を運んでもらいたいものです。

けど泥臭い汗臭い油臭いとこなんて興味無いんだろうね。

まあ精々狭い道をお逝きなさい。

けどこの財政状況ではCH-だけでなくAW-101やH-135も選択肢として考えた方がいいかも知れません。

馬鹿な買い物しなきゃ今頃はMH-47GやCH-53Kを買えたろうに。

保守って好戦的で勇ましい言動ばかりするくせに、戦争準備は杜撰の極み。

プーチンと変わりゃしない。

ああだからプーチン贔屓で、それに立ち向かうウクライナに降伏を勧めるんだな。

ホロドモールされちまえ。

Goodman80
2022年04月11日 11:44
業務スーパー創業者が掘り起こす“世界3位”の資源
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000251041.html
業務スーパーの創業者による物なんですが、現場指揮者らしい現実的なプロジェクトの進め方です。こんな人達に国家運営にも参加して欲しい。人気女優やアナウンサーばかりを国会議員の勧誘をするのは止めるべき。
畳の上の水練ですが日本の有識者とか専門家と言われる人達の殆どが該当する様な気がします。現場や現実から目を逸らし自分だけの脳内シミュレーターの中でしか専門家としての能力が生かせない連中です。外国から新しい理論や言葉だけを導入し、恰も自分がこの国の第一人者の様に振舞う。けれども中身は大学で学んだことのみ。テレビのコメンテーターとしては適任なのだろう。
ただ、この国の中枢を占めているのもこの連中。偏差値が高いだけの試験で高い点を取るテクニックを持つだけの上級国民。まあ、日本国内専用なので世界では通用しませんわな。役所(勿論、防衛省や自衛隊も)、大企業等でも同じなので彼らにとってガラパゴス諸島以上のぬるま湯な訳です。国内ではめいっぱい首を伸ばして偉そうにふるまい、海外では首を引っ込めて薄ら笑いをする。エセ専門家だらけのアマチュア国家、一人前扱いされないのも当然。
上野
2022年04月11日 20:26
>保守って好戦的で勇ましい言動ばかりするくせに、戦争準備は杜撰の極み。プーチンと変わりゃしない。ああだからプーチン贔屓で、それに立ち向かうウクライナに降伏を勧めるんだな。

プーチン贔屓の保守って誰?
政治家でプーチン贔屓の態度取ってるのは、鈴木宗男と鳩山由紀夫くらいだと思ったが。保守が好戦的かはともかくネットは好戦的を超えて「ロシア人は皆殺し」だの、物騒になってきているな。
偽陸士
2022年04月12日 12:00
上野様。


保守がプーチン贔屓と言うのは言い過ぎでした。


訂正します。
一部の方方のようです。


「ロシアと日本が今日に至るまで平和条約を締結していないのは異常な事態だと言わざるをえません」「ウラジーミル、私たちの世代が勇気をもって責任を果たしていこうではありませんか」「この70年続いた異常な事態に終止符を打ち、次の70年の日露の新たな時代を共に切り開いていこうではありませんか」

「プーチンとしては不信感のなかで、領土的野心ではなく、ロシアの防衛、安全の確保の観点から行動を起こしているのだろう」

安部晋三 内閣総理大臣



「戦う一択の高市さんは国家指導者として危険だ」

「ウクライナ人はプーチンが死ぬまで国外退去して20年後に再建せよ」

橋下 徹 元大阪府知事