財政制度分科会(令和3年11月15日開催)「防衛関連資料」読む。その7 調達改革その5

財政制度分科会(令和3年11月15日開催)の防衛に関する資料、参考資料を解説評論していきます。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20211105zaiseia.html

「資料」と「参考資料」2つがあります。既に「資料」編が終わったので「参考資料」を解説していきます。

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20211115/02.pdf

今回は調達改革についてその5です。

総括調査票(令和3年度予算執行調査資料)(P14)
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【事案の概要】
○ 防衛装備品の調達の適正化を目指す「調達改革」については、これまで防衛省と元請けの受注企業(以下、「プライム企業」という。)との間における完成品等の調達(いわゆ
る「直接調達」)を中心に論じられてきた。しかし、こうしたプライム企業による完成品等の製造・納入に際し、コストの管理・抑制を適正に行うためには、プライム企業が下請
企業から行う部品等の調達(いわゆる「間接調達」)の適正化も重要となる。
○ このような間接調達の場合、防衛省と下請企業との間に直接契約関係が存在するわけではないため、防衛省によるチェック機能が働かず、プライム企業任せの管理となり、実効
的なコスト管理がなされていない可能性がある。そのため、「調達改革」を実現する観点から、間接調達に対する防衛省の関与をより深め、間接調達の対象となる部品等の価格上昇時における早期原因特定及び対応を可能とする体制の構築が必要ではないかと考えられる。
○ 上記の問題意識に基づき、間接調達の具体例として、三菱重工業及び川崎重工業において製造を行っている、空自C-2、海自P-1、陸海空自UH-60JA/J、海自SH-60Kに係る間接調達部品について調査を実施し、その調達手法や管理のあり方、防衛省の取り組むべき内容について検討を行う。
※調査対象部品は、国産部品は1点100万円以上、輸入部品は1点1万$以上のものを抽出している。

総括調査票 令和3年度予算執行調査資料(P15)
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③調査結果及びその分析
1.間接調達部品の価格可視化・比較検証について
○ 陸海空自衛隊で運用している主要な航空機(固定翼、回転翼)4機種を対象に、間接調達を行っている部品のうち、輸入・国産の別で調査開始年度※と直近契約年度を比較したところ、4機種いずれも調査開始年度に比して大幅に価格上昇している部品が多く存在しており【表1】、機種ごとの部品の平均価格上昇率は49.8%~144.2%となっていた。
※ 調査開始年度については、C-2及びP-1は量産取得開始年度、SH-60K及びUH60JA/Jは直近で連続的に調達を行っている年度を設定して調査を実施した。

○ 経年の価格変動については、特に、調達年度の間隔が開いた場合に部品の調達価格の上昇幅が大きくなっているものが多い。
○ また、防衛装備としての特殊性が認め難い機体内ドアハンドルについて、専用品としての調達を重視した結果、価格が約10倍となっていたことが確認されるなど、専用部品調達を継続したことの弊害が顕在化している。
○ なお、間接調達の対象となる個別部品の価格等については、原則として、営業秘密として公開しないこととされている。一方で、これらの原資が公金であることは直接調達と変わりなく、開示により透明性を確保することが適当な場合もあると考えられる。
2.間接調達部品の低価格調達に向けた取組について
○ プライム企業が部品等を調達するに際しては、競争を促すため汎用部品については複数社からの見積り取得や、主要構成品の共通化、競争入札等を活用し、価格の抑制に努めているとのことであった。しかし、防衛装備専用の部品等については製造企業が限られるため、競争原理が働かず、価格交渉に限界があるとのことであった。

○ また、装備品(最終製品)そのものの調達数量が少ない上に、更に減少する場合や調達時期が不定期となる場合があることから、コスト抑制に向けた十分な価格交渉を行うことが困難との回答もあった。

○ 加えて、下請企業における価格高騰や事業撤退等が発生した場合における、プライム企業としての代替調達先の検討については、汎用部品であれば十分確保は可能であるが、防衛装備専用部品については旧調達先と同等の品質・価格・納期を満たすことが困難との回答があった。

このあたりがメディアでも多数取り上げられたところです。コンポーネントの価格上昇は2倍3倍は当たり前で、甚だしいのは850パーセントとか918パーセントなどとなっております。
本来こういう調査を行い、公表するのは防衛省の責務であり、そのような情報を提供されることが文民統制の基幹なわけですが、防衛省はそのような情報を隠す文化があり、財務省がせっつかなければ今回の結果も闇に埋もれたままだったでしょう。

このような杜撰な値段高騰が許されてきたのは防衛省調達の体質が原因です。基本原価+利潤が保証されていますから、民間企業の商売ではありません。国営企業と同じです。
国営企業の方がまだましでしょう。ソ連ではスホーイとミグなど国内でも競合があり、また輸出も行っておりました。

我が国では国内競合もなく、輸出という市場経済にさらさらていません。ですから値上がりしても利益は保証されているし、その損をかぶるのは納税者ですから防衛省も、メーカーも涼しい顔をしてきました。

そして毎度毎度申し上げておりますが、最大の原因は装備調達の計画がない、ということです。
例えば16式機動戦闘車が何両調達されるのか。それが何時までに戦力化されるのか。開発や、調達コスト、更には運用コスト含めた予算は総額いくらなのか。

予算を決める国会がその情報を知りません。一般納税者も同じです。計画も知らずに、開発の予算をつけ、生産を承認するのは無責任以外の何ものでもありません。

こういう異常な調達を行っているのは我が国だけでしょう。

他所の国では計画が明らかにされて、調達理由や運用が説明されて、調達数量、調達期間と戦力までの年数、そしてプロジェクトの総予算が示されて、議会で認証されて、メーカーや商社と契約します。
そして装甲車や小銃の調達の完了が何時になるかわからない、気がついたら30年もかかっていた、という間抜けなことはありません。

例えば2万丁の小銃を5年で調達するのであれば契約総額がわかるし、メーカーも隔年の事業計画も立てられます。初年度は初期低レート生産で次年度から生産を増やして、5年目は生産数を減らす。ラインの維持費も、必要な工員の数も人件費も計画が経ちます。
生産コストが高騰すれば利益が減るのはメーカーですから、コストは強く意識されます。

ところが我が国のメーカーは事業計画がまともに立てられません。これは企業にとって異常ですが長年防衛業界にいると「常識」が麻痺するでしょう。異常が正常になっています。これですから「コスト意識?なにそれ美味しいの?」になるわけです。

それでも国内企業は防衛省をお上扱いして、忖度してくれますが、外国のベンダーには関係ない話です。調達計画はない。何時プロジェクトが終わるかわならない。毎年毎年単年度で調達数がきまるし、場合によっては調達がない年度もあり得る。であればラインも工員も遊んでしまう。計画も契約もないからコストも明言されない。

当然ながら自社の事業計画も立てられません。そして毎年の調達数は信じられないぐらい少ない。手間ばかりかかって、大した儲けにはなりません。であればリスクヘッジと利益垣穂のためにかなり高めに売ることになります。それが普通の企業です。

防衛省にも業界にこれがビジネスである、という常識が欠如しています。
ある意味「ままごと」です「軍隊ごっこ」「軍事産業ごっこ」です。
ですからまともな「産業」でないのは当然です。

 このようなことは既に防衛省でも把握しているはずですがそれを変えるつもりはないのでしょう。
 つまりは当事者意識も当事者能力もない。
 海外の国防省や軍隊が普通にやっていることをできずに、税金を無駄使いして戦えない軍隊で税金を浪費しているわけですから、無能以外の形容はありません。

であれば、自分たちで装備調達なんぞやめて、イスラエルあたりに丸投げした方がいいでしょう。装備庁は解体、調達に係る人員数千人は不要ですから解雇。

毎年2兆円ぐらい渡してイスラエル政府に調達してもらう。イスラエルならばアメリカ様に圧力掛けられて、不要で高額な兵器を買わされることもないでしょう。アメリカから買うにしてもいい条件を引き出せるでしょう。成果を出せばボーナスをだせばやる気をだしてくれるでしょう。



■本日の市ヶ谷の噂■
昨年のできるキャパもないのにワクチン接種会場支援で医官を低手当(一日3千円、民間医師は1時間1~3万円)、一泊3千円の木賃宿に押し込め外出を禁止し、冷えた弁当食わせことに立腹して多くの医官がやめるのに、また2月からワクチン接種支援を行うのでより多くの医官、看護官が「大脱走」を検討中との噂。


Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
10式戦車の調達は陸自を弱体化させるだけ(上)
https://japan-indepth.jp/?p=63876
10式戦車の調達は陸自を弱体化させるだけ(中)
https://japan-indepth.jp/?p=63884
10式戦車の調達は陸自を弱体化させるだけ(下)
https://japan-indepth.jp/?p=63896


堀口英利さんへの公開質問状まとめ~101まで
https://kiyotani.at.webry.info/202201/article_9.html


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この記事へのコメント

蛸八
2022年01月21日 16:08
私は鉄道模型を趣味としていますが、何を買って、何を買わないかの計画を立てながらレイアウトを組んでいます。
専門学校卒の私ですらできるのに、なんで、東大出の人たちができないのですか?
大石先生のブログのコメント欄でこんなニュースを見つけました。
>韓国紙「韓国軍の早期警戒管制機の開発、旧日本軍の轍を踏む」「過度な国産加熱...多くの人命を失う」
https://korea-economics.jp/posts/22012102/
これぐらいのニュースを国内メディアから出て欲しいものです。
Goodman80
2022年01月21日 18:02
>毎年2兆円ぐらい渡してイスラエル政府に調達してもらう。
毎年20兆円ぐらい渡してイスラエル政府に日本政府の代わりをやって貰う方が効果的かと思います。
>ある意味「ままごと」です「軍隊ごっこ」「軍事産業ごっこ」です。
この国全体が明治以降「ごっこ国家」なので、しょうがないかと。政治はお坊ちゃまの政治家ごっこか、政治屋さん達の銭儲け会社。医者もお医者さんごっこ。マスコミもかわら版屋崩れ。河原者が人間国宝。全部偽物のエセ国家。期待する方が虚しいので、開き直って文句を言い捲りましょう。0.1nano%位は変わるかもしれません。
やれやれ
2022年01月21日 18:19
市ヶ谷の噂…ありそうですね。
そうならないと良いけどと2回目の大規模接種があった時を危惧していましたが、やはり前回の轍を踏むようで…
上も学習能力がない様で医官も自衛隊を捨てる選択になるでしょうね。無料どころか給料付きで医者や看護師の資格が貰えるのだけが(国試は通らないと行けませんが)最大の魅力なのにこれでは
追い出し部屋送りにされたサラリーマンみたいなものですよね。
酷使様などは軟弱者はイラン、やる気のある奴だけ残ればいい、今は戦時なんだ!とか威勢の良い事言いそうですが、現実は厳しい。
辞めたくない奴まで辞めたくなる様な職場では
利権目当ての人間以外残らないかもですね…
良いのだろうかこんな事で。
後で医官が大量に逃げ出した記事を文春あたりが
すっぱ抜いてくれると面白いのですが。
そうでもしないと国民は知ることも無いでしょう。
ミスターフリゲート
2022年01月21日 19:53
goodman80さん
>毎年2兆円ぐらい渡してイスラエル政府に調達してもらう。
毎年20兆円ぐらい渡してイスラエル政府に日本政府の代わりをやって貰う方が効果的かと思います。

政府への皮肉で言ってるならともかく、本気で言ってるなら、「有権者がこんなこと平気で言うなんてもう終わりだな」と嘆きたくなります。まだ清谷氏の方がマジです。だいたい、イスラエルだって自国に精一杯なのに、よその国を統治してくれるほどお人好しでもなければ余裕もありません。できても顧問団を派遣するくらいです。バカバカしいこと言わないでください。
少しでも私達が変えていくしかないって言ったのはあなたですよね?

>ある意味「ままごと」です「軍隊ごっこ」「軍事産業ごっこ」です。
この国全体が明治以降「ごっこ国家」なので、しょうがないかと。政治はお坊ちゃまの政治家ごっこか、政治屋さん達の銭儲け会社。医者もお医者さんごっこ。マスコミもかわら版屋崩れ。河原者が人間国宝。全部偽物のエセ国家。期待する方が虚しいので、開き直って文句を言い捲りましょう。0.1nano%位は変わるかもしれません

じゃあもう今後良くなると思っているやつは全員バカ、良くなるなんてありえない、諦めて滅べとでも言うんですか。
19190213
2022年01月21日 20:45
全くもって関係がないが、堀口氏中々に贅沢を知る男らしく弁当だのホテルだのがどうも気に食わないそうです。
まず新教にぶち込んだら即死でしょう。
仮にこの間の医官のような状態でも長くは持ちますまい。
人間生活レベルを上げると戻すのは難しいと言いますが、相当な苦痛なんでしょうね。
スタッドレスタイヤ
2022年01月22日 00:02
>基本原価+利潤が保証されていますから、民間企業の商売ではありません。国営企業と同じです。

多額の税金で支えられている、国が運営に深く関与している点を鑑みれば、鉄道業界も似たようなところでしょう。ところが中身は全くもってあべこべなもので、片や世界トップクラスの安全性と性能・コストパフォーマンスを誇り各国に輸出もなされているところ、片やベンダーもユーザーも誰も彼もやる気がない、コスト意識もない、秀でた部分もないの無い無い尽くしな様相を呈しているわけです。これもまた不思議なことに、川重や三菱、日立といった鉄道産業の主要メーカーは防衛産業も担っているところが多いのですが、片手では真っ当な商売がなされているのに、もう片方の手ではおままごとが行われているという……。
防衛省はいっぺんJRから顧問を招聘して無能な連中を一掃した方がいいのでは無いでしょうか(苦笑)
ミスターフリゲート
2022年01月22日 09:14
goodman80さん
>ある意味「ままごと」です「軍隊ごっこ」「軍事産業ごっこ」です。
この国全体が明治以降「ごっこ国家」なので、しょうがないかと。政治はお坊ちゃまの政治家ごっこか、政治屋さん達の銭儲け会社。医者もお医者さんごっこ。マスコミもかわら版屋崩れ。河原者が人間国宝。全部偽物のエセ国家。期待する方が虚しいので、開き直って文句を言い捲りましょう。0.1nano%位は変わるかもしれません

じゃあもう今後良くなると思っているやつは全員バカ、良くなるなんてありえない、諦めて滅べとでも言うんですか。


ごめんなさい。これはなんでもないです。
KU
2022年01月22日 09:49
>>>大脱走

元から人がいないのに、またさらに減るのか....。まさか岸田総理も、そんな惨状になっているとは露ほども知らずに指示を出しているんでしょうね。で、また防衛省側も聞かれないから総理に実状を話さないとorz。いつになったら、この悪循環は断ち切れるのやら...

>>>イスラエル

丸投げするなら、こんなのも調達してもらいませう!( ^▽^)↓

>重量18トン、戦車並みの125mmを備えたSprut-SDM1水陸両用対戦車自走砲

https://worldtanknews.info/self-propelled-howitzer/sprut-sdm1/

水機団に配備するなり空挺団に配備するなり、何なら16式の替わりに即機連に配備するなり(^_^;)。火力だけは16式より上ですよね。10式と同様の紙装甲だけど、気にしないw。
Goodman80
2022年01月22日 11:17
極超音速ミサイル、世界の開発動向を詳解
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68529
今度のクワッド会議で総理が日本の国防にあらゆる対策を尽くすと言うようなので、この国の防衛の為に綿密な長期視野に立った装備の調達に繋がる事でしょう。
インドみたいにジムニーを装備するとか、ロシア製の対空ミサイルやヘリを購入するとか、東西の国境を超えあらゆる国家から必要な武器をかき集めるべきでしょう。
偽陸士
2022年01月22日 17:58
ミスターフリゲート様。

この国の現体制下では、破滅への疾走は止まらずソ連の様な最期を迎えます、

ですが今のロシアを見てご覧なさい。
繁栄してるではありませんか!

今、議論を進めておき、意見を求められたら献策すれば善いのです。

まあそこに現行の装備と防衛産業や役人達の活躍する余地はありませんがね。(笑)