財政制度分科会(令和3年11月15日開催)「防衛関連資料」読む。その2.安全保障を取り巻く現状及び防衛関係費その2



財政制度分科会(令和3年11月15日開催)「防衛関連資料」読む。その2.安全保障を取り巻く現状及び防衛関係費その2

財政制度分科会(令和3年11月15日開催)の防衛に関する資料、参考資料を解説評論していきます。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20211105zaiseia.html

「資料」と「参考資料」2つがあります。既に「資料」編が終わったので「参考資料」を解説していきます。

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20211115/02.pdf


NATO基準(国防費対GDP比2%水準)について(P7)
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○ NATO加盟国については、NATOウェールズ首脳会合(2014年)において、2024年までに、国防費対GDP比を2%水準へ引き上げることを決定。
○ NATO定義の国防費には、退役軍人への年金支払い、恩給、PKOの関連経費、海上警察などの予算も含まれ、我が国の国防費は対GDP比おおむね1.1%~1.3%程度と推計される(H31.4.9 衆・安全保障委員会答弁より)。

NATO基準の定義
◆国防費 ⇒ 自国、同盟国の軍隊のニーズを満たすために各国政府が支出するもの。
◆軍隊 ⇒ 陸海空軍、管理・司令部、特殊作戦部隊、医療部隊、兵站部隊、その他の軍隊(軍事訓練を受け、軍事力としての装備を備え、展開された活動において直接軍事的権限の下で活動が可能で、軍事力を支援するために現実として国の領域外に展開することができるものに限る。)

特徴①
退役軍人年金、PKO、NATO拠出金、R&Dへの支払を含んでいる。
特徴②
沿岸警護隊など、その他の部隊についても、対象に含んでいる。

平成31年4月9日 衆・安全保障委員会(小野寺五典委員からの質疑に対して)
[岩屋防衛大臣]
これは、我が国はNATO加盟国ではもちろんございませんので、NATO定義に
基づいて所要経費を整理してはおりません。
(略)確かに、NATO定義といっても、運用は今先生御指摘のように各国で一律ではありませんので余計になかなか計算がしづらいというふうに申し上げてきたんですが、今御指摘がありましたように、恩給費、PKO関連経費、海上保安庁予算など安全確保にかかわる経費を含めて、簡便な方法で機械的に試算をしてみますと、このような安全保障に関連する経費の水準は、経済状況や経費の水準によって幅はありますものの、今般の中期防の期間中にはおおむね1.1%から1.3%程度になるのではないかと考えております。

日本政府の防衛費GDP比の計算基準だと約0.9パーセントです。対してNATO基準であれば1.1~1.3パーセント程度です。しかもそれも精緻な計算を政府ではしていないようです。

岸田政権は先の選挙の公約で防衛費GDP比2%を公約にしましたが、それは今までの基準なのか、それともNATO基準なのか。そのあたりを自民党も政府も明確にしておらず、GDPの2パーセントという数字だけが独り歩きしています。
対GDP比を独自の算定基準にしたのはNATO基準だとより高くなるからでしょう。
それは海自の艦艇の排水量を外国では普通に使用している満載排水量ではなく、基準排水量のみを公式に発表してサイズを小さく見せる姑息な手段と同じではないでしょうか。

更に申せば、補正予算のお買い物予算、今年でいえば7千億円以上の巨額な本来は補正で要求すべき予算を含めるのか、否か。それすらも明らかにしていません。

このような現状を見る限り、文明国であるとは言えない状態です。

政府は早急に何を基準に対GDP比を決めるのか。その中に補正予算の「お買い物予算」入れるのか否か。それを明らかにすべきです。
ですが、恐らくは「お買い物予算」は入れないでしょう。入れれば本来補正予算に趣旨に反する調達費などを盛り込んで、防衛費を過小に見せていることを認めることになります。

ですが、それを続けるのであれば、内外に防衛費を過小にみせる姑息な操作をしていると公言するに等しいことになります。つまり日本政府は嘘つきだ、と。中国の軍事費の不透明性を批判できないだろう、ということになります。

このような胡乱な日本政府のインチキが通用しているのは取材機会を独占している記者クラブの新聞、テレビ、通信社がこのような事実を報道せず、結果として政府の世論操作に協力しているからです。



第3次台湾海峡危機(1995年~1996年)(P8)
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○ 中国は、1995年~1996年、台湾海峡をめぐって圧倒的な軍事力を有する米国の圧力を受けて以降、経済発展にあわせて国防費を増加させるとともに、これまでの陸軍を中心とした態勢を見直し、制海権や制空権の確保のための能力を重点的に強化。

言わんとすることは、中国はこの件をきっかけに、海空優先に大きく舵を切り、陸軍を大幅に削減することによって、海空戦力を大幅に拡充し、陸軍の近代化も実現したよね?

しかもその間、GDPは二桁成長して、黙っていても国防費は増えていた環境にも関わらず、上記のような大改革をおこなったよねえ?
というお話でしょう。

換言すれば、対して我が国ではGDPは横ばいであり、中国に比べて使える防衛費は対して増えていないし、増やせない。にも関わらず、陸海空自衛隊の人員予算分配も硬直したままじゃないか、当事者能力ないんじゃね?
と、いうことになります。

それは防衛省自衛隊の問題でもあるし、また政治の問題でもあります。歴代の内閣も当事者能力が欠如していた、ということです。

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
10式戦車の調達は陸自を弱体化させるだけ(上)
https://japan-indepth.jp/?p=63876
10式戦車の調達は陸自を弱体化させるだけ(中)
https://japan-indepth.jp/?p=63884
10式戦車の調達は陸自を弱体化させるだけ(下)
https://japan-indepth.jp/?p=63896


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この記事へのコメント

Goodman80
2022年01月13日 13:23
>10式戦車の調達は陸自を弱体化させるだけ
記事の内容は賛成ですが、それを言うなら自衛隊の開発した車両は全て使い物にならないので開発自体を止めるべきでしょう。今の兵器は全て廃棄して戦後の様に米軍の物で再軍備させるべきです。この国に機甲部隊で上陸してくれるようなご奇特な国など存在しないのだから、特殊部隊やテロ対策の装輪装甲車で十分です。
16式を開発し数多のバリエーションを開発する様なので、それを配備すれば良いでしょう。個人的にはAMVとそのバリエーション車両を輸入すべきと思いはしますが。いずれにしても10式を14億と言う暴利な価格で購入することはキチガイ沙汰ですし、三菱以外の企業では有り得ません。
Goodman80
2022年01月13日 14:20
米海軍 次世代イージス艦「DDG(X)」のコンセプトを発表 2028年建造開始を予定
https://trafficnews.jp/post/114433
海自のこんごう型もそろそろ更新の時期だし、このタイプで更新されるか、レーザーに加えてレールガンも装備ならロシアのキーロフ級ミサイル巡洋艦並みに大型化するかも、将来楽しみだ~。
ミスターフリゲート
2022年01月13日 14:31
>10式戦車の記事
まあ敵ならすぐばれて撃沈されるリスクのある機甲部隊の揚陸よりも、少人数のゲリコマなどで破壊工作やサイバー攻撃を仕掛け無力化したのち揚陸するはずです。防御力が低いんでは戦車の強みを捨ててるも同然ですし、調達は中止、モスボールか廃棄かと。そもそも今の戦車はドローンの活躍もあって優位性が失われつつあるとみます故に、おっしゃるように100両でも十分、その分対ドローンや兵站に投資すべきでしょう。個人的には戦車は全廃、BMPTでも十分とみますが。

Goodman80さん
>今の兵器は全て廃棄して戦後の様に米軍の物で再軍備させるべきです。
ここでいう兵器は陸自のことでしょうが、よっぽどひどい兵器音痴の国産は廃棄しても問題はないかと。(例、軽装甲機動車、96式装輪装甲車)ただ、偽陸士さんも言ってたように米国ありきもよくはないと思います。ぼったくられる可能性もありますし。イギリスとかトルコとか多様に見るべきと思います。個人的には対空・対艦ミサイルの開発は維持すべきと。
Goodman80
2022年01月13日 17:47
ミスターフリゲートさん
国産のAAM、SAMやASM、魚雷等の物は外国製に引けを取らない物も有りますので、それら物は海外にも販売出来る様に国がバックアップして輸出をフォローしても。レーダー装置や複合材料、電波吸収塗料等の物で世界に通用する物も同様に輸出をバックアップ。
自衛隊の兵器は基本的に輸入(ライセンスも可)し、これらの物が装備できるように改修を依頼、メーカーは西側、東側等は差別せず採用。もし国産品を採用するのであれば輸出を前提に性能、価格等で勝負出来れば採用しても良い。採用の為の試験等は民間も交え具体的な数値を発表し、納税者が納得できるものにする。
別に米国製を全ての物に採用しろと言う意味では無く、国産ありきの今の体制をまっさらにして一から調達すべきと言う考えです。武器の性能に西側だの中露だのは全く関係ありません。必要な性能の物が必要な期間に適正な価格で入手出来れば良いことなのです。小銃であれば弾薬の規格だけ決めて陸海空や各部隊で違う物を採用しても問題は無いでしょう。
Goodman80
2022年01月13日 21:22
陸自第1空挺団 離島防衛想定のパラシュート降下訓練を公開
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220113/k10013428461000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_007
>この訓練はここ数年、離島防衛を想定して本格的に行われていて、13日の訓練も相手に侵攻された離島を奪還する想定で行われ、地上に降り立った隊員たちはヘリコプターの支援を受けながら他国に奪われた拠点を取り戻していました。

離島に上陸した部隊は空挺隊が降りるまでのんびり待ってくれるんだろうか。ヘリコプターが来て駆逐されるのを何もせずにぼんやり待ってくれているんだろう。離島に上陸するのに装甲車や対空ミサイルも無しに来てくれるんだろうか?実際には脳みそ筋肉君たちは草原の猿の様に駆逐されるんだろう。こいつら本当に戦争のプロなのか?特戦群や水陸機動団のレベルもこの程度なら、陸自自体いらない。
ミスターフリゲート
2022年01月13日 22:37
goodman80さん
空挺団の件ですが、個人的に離島防衛奪還の要になるのは空挺団ではなく水陸機動団もしくは特殊作戦群と見ます。水陸機動団もしくは特殊作戦群が先行潜入して敵を撹乱している間、空挺団が導入される流れが理想的です。あくまで空挺団は後に導入されるため、仮に憂慮するなら空挺団ではなく水陸機動団もしくは特殊作戦群となるはずです。
水陸機動団もしくは特殊作戦群の訓練内容もしくは実力は不明ですが、水中スクーターやネイビーシールズが使う潜水艇などを用いた上陸訓練をメインとすべきと思います。
偽陸士
2022年01月13日 23:46
Goodman80様。

>海自のこんごう型もそろそろ更新の時期だし、このタイプで更新されるか、レーザーに加えてレールガンも装備ならロシアのキーロフ級ミサイル巡洋艦並みに大型化するかも、将来楽しみだ~。

イギリス海軍がセンサーとシューターを分離させた兵器体系を完成させるまで待ちましょう。

やれやれ
2022年01月14日 00:13
Goodman80さん、
習志野の降下訓練始めはほぼ毎年友人達と一緒に見に行って見ていました。
今年は平日に行われたんですね。一般非公開の様だったので全く調べていませんでした。一番最近行ったのは2019年のですね。まだコロナ禍直前でした。

「こいつら本当に戦争のプロなのか?特戦群や水陸機動団のレベルもこの程度なら、陸自自体いらない。」
この10年くらい?もう少し前からかな?例年同様の内容です。正確には細かく状況が異なりますが言い方が悪いのを承知で言うと説明の放送の内容が多少違うだけで訓練展示の内容自体は同じ内容の物の順番違い位で代わり映えありません。
落下傘降下も夜間に降下しオレンジ色の浮き袋をベルトに付けて海上に着水し上陸するシナリオです。で一緒に投下した高機動車などをコンテナパレットから出したり既に落下し竹やぶや草等で偽装した高機動車やある程度航空制圧したからヘリで輸送した迫撃砲を使ったりLCACなど上陸用舟艇で運んだことにした装甲車両や戦車を出してきたりで敵を殲滅し離島奪還しメデタシメデタシと言う誠に新年にふさわしいオメデタイ内容です。
ハッキリ言うと訓練展示のためのシナリオであって現実的なシナリオの訓練では無いでしょう。本番はいつも友人達とツッコミ合戦ですよ。
訓練展示が始まるまで延々とどういう方法で島嶼部の防衛とか離島奪還ができるか議論という名の与太話をして寒さを堪えて待っています(笑)。
まあ総火演と同じくただのこんな訓練やってるよって言う見世物です。島嶼部防衛以前のシナリオも突然謎の敵が攻めてきたとかレベルは一緒ですから。
一時期予算の都合かどうか分かりませんがバトラーシステム使った壮絶な打ち合いとかゲリコマよろしく秘密裏に敵陣地に潜入し徒手格闘でやっつけるとかなんだかなーって事もありましたけど。
ミスターフリゲート
2022年01月14日 12:27
やれやれさん
goodman80さんにも言ったんですが、離島防衛奪還の要は水陸機動団もしくは特殊作戦群と見ます。
憂慮するなら水陸機動団もしくは特殊作戦群、あるいは離島防衛奪還の全体的なドクトリンや戦術かと
Goodman80
2022年01月14日 14:10
ミスターフリゲートさん
御高察は御尤もなのですが現状の自衛隊の能力では全く不可能です。中国の075型8隻だけの搭載戦力でも装甲車両120~160両、兵員4000~6400人なので、これに対抗できる水陸機動団では全く無く、輸送能力も全く足りていません。逐次投入すれば即殲滅されるでしょう。当然特殊部隊も大量に投入されるので特戦群など相手にもなりません。下地島でも占拠されれば空港も使用できるので、那覇基地から戦闘機を飛ばしても返り討ちです。
占領地の奪還に空挺隊を投入して失敗するのは歴史で証明されています。BMD等の装甲車両を大量に保有するロシアでもやることは無いでしょう。
第七機甲師団を最新装備にアップデートして海兵師団にし、師団全部隊を一度に上陸可能な揚陸艦隊、護衛の空母機動部隊、広大な空域を制空できる戦闘機群等があって初めて奪還可能になると思います。