日本のビジネスメディアの記事が明後日な理由その3



2021年10月25日号
沈むな防衛産業 技術革新の種 守れるか
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/mokuji/00142/

先週号の週刊日経ビジネスの防衛産業特集です。

例によってですが、記者もデスクも外国での軍隊や軍事産業の取材経験がおそらくは殆どなく、国内の防衛産業関係者や防衛省、自衛隊関係者にしか取材をしていない。
ところが取材対象が世界的にみれば、当事者意識も能力の低い、トンデモな人たちなので、当然記事もバイアスがかかるのですが、それを理解していない。だから延々と同じ「コップの中の嵐」をみて世界がわかった気になるような記事を書くわけです。


イージス・アショア配備停止の波紋 「買い物」の目利き重要に
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00925/

>そもそも防衛省の予算の見立てが甘かった。アショア導入決定時の17年時点では、1基800億円と見込まれていたが追加経費が発生し、同1300億円に増えた。施設整備や維持管理費などすべての経費を合わせると2基で6000億~6500億円になる。だが、海に転用するイージス・システム搭載艦は9000億円に達するとの見方がある。

>レイセオンのSPY-6・BL10は米海軍の艦艇への搭載がスタート。イージス艦15隻程度への採用が伝えられており、23年から順次就役する計画。米海軍は今後もレーダーにSPY-6を使うとみられる。

>同じ組み合わせのイージス・システムの利用機会が日米で増えれば増えるほど不具合やバグが見つかりやすくなり、対処法を含めたデータが蓄積されていく。使い方やメンテナンスも先行者の米海軍にならえば、運用コストも安くつく。

>カナダやスペインはSPY-7を採用するが、システム構成は日本と同じではない。そのため日本がイージス・システム搭載艦で「ガラパゴス化」する懸念をはらむ。こうした指摘は海上自衛隊出身者から多く出ている。
>一方、防衛省は「維持管理などライフサイクルコストを含めて優位性がある」と強調。ロッキード側も同様の説明をする。


>カナダやスペインはSPY-7を採用するが、システム構成は日本と同じではない。そのため日本がイージス・システム搭載艦で「ガラパゴス化」する懸念をはらむ。こうした指摘は海上自衛隊出身者から多く出ている。

>一方、防衛省は「維持管理などライフサイクルコストを含めて優位性がある」と強調。ロッキード側も同様の説明をする。

>日本のSPY-7の採用が覆ることはない。決まったからには、このレーダーを搭載した艦艇の建造を着実に進める必要がある。


何が言いたいのかよくわからない記事です。
唯一わかるのは、SPY7採用は覆らないとの断定する主張です。何が根拠でしょうか。
英国は開発に金を掛けたニムロッドMR4の調達キャンセルしました。米軍が採用をキャンセルした大型プログラムは枚挙に暇がありません。

日本政府と防衛省は無能で決断力もなくて、米国のいいなりだから決定を覆せないというのが理由でしょうか。

一旦決定したことが間違っていても変えられない、あるいは変えるべきではないというのはまるでかつての大本営参謀あたりと同じメンタリティです。


そもそも米海軍はSPY6採用を決定しているわけです。当然海自もそれに習うでしょう。
であれば、海自は2つのイージスシステムを運用するという愚を犯すことになる。あるいは全てをSPY7に統一するかです。その場合、他のユーザーはいないので、適宜のアップグレードは全部自国で持たないといけなくなります。
そして我が国は米国ほどシビアに米国企業にコストを要求できないで言いなりに払って費用が高騰する可能性があるのは過去の例を見ても明らかです。

本来アショアの配置が法的に可能か、地元がOKするのかもすっ飛ばして、お手つきで調達したのは「大人の事情」があるということでしょう。
海自は電波法の規制で沖合50海里離れないとイージスレーダーを作動できないのに、それを陸上に設置して法的、あるいは物理的な問題はないのかも検討されず、地元にはレーダーのデータは中SAMのものを提示しているわけですが詐欺同然です。地元が怒るのは当たり前の話でしょう。
その怪しげな経緯を検証しようとした努力がこの記事には見られません。

もっと前の話をすれば海自のイージス艦8隻体制で一応MDは完成したといったのに、それをひっくり返してアショアを導入する経緯の説明もありません。
他の手段も検討されていません。例えばイージス艦数隻の乗員をクルー制にすればイージス艦の稼働率は相当あがります。しかも投資額は少ない。

また海自の新型イージスシステムに何を選ぶのか、それを同じシステムをアショアに導入すべきだというのも検討されていません。

陸自がSPY7で海自がSPY6であればまるでかつての陸海軍で、それぞれ潜水艦を開発運用した愚を繰り返すことになるでしょう。

まるでナチス第三帝国よろしく総統府の思いきを国防軍に押し付けたような感じがあります。

安易に根拠もなくSPY7の採用は覆らないと断言するのは世論をミスリードするものです。


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この記事へのコメント

偽陸士
2021年11月03日 17:47
>カナダやスペインはSPY-7を採用するが、システム構成は日本と同じではない。そのため日本がイージス・システム搭載艦で「ガラパゴス化」する懸念をはらむ。こうした指摘は海上自衛隊出身者から多く出ている。


危険は指摘しましたと、アリバイ作りですね。


>一方、防衛省は「維持管理などライフサイクルコストを含めて優位性がある」と強調。ロッキード側も同様の説明をする。


部隊で10年くらい運用して安く上げた実積があるならわかります。
使っても無い物を、左様で御座いますかと記事にする。
報道機関と呼べるのだろうか?


>日本のSPY-7の採用が覆ることはない。決まったからには、このレーダーを搭載した艦艇の建造を着実に進める必要がある。


F-2の事忘れてる。
採用されても打ち切りも有るでしょうに。
7の調達を着実に進める必要性も具体的に書いて頂きたいものです。(笑)
ブロガー(志望)
2021年11月03日 20:41

お邪魔します。
 歴史作家の井沢元彦が江戸時代の軍学を「着物の着付け教室みたいなもの」といった事を言っていました。昔は多くの人が着物を着ていたので着付けを知っている人が身近にいる事が多かったが、今では着物を日常的に着る人は少なくなったので着付け教室等で習わなければならなくなったという事で。余談ですが少し前にあった成人式の晴れ着騒動は、美容室他にお金を払わないと着物が着られない人が多くなった時代の産物でしょう。同様に戦争が日常の戦国時代であれば身近に戦争のやり方を知っている人がいたのでしょうが、太平の江戸の世になればそういう人もいなくなったので「軍学」といったものが必要になったと。尤も着付けは実際に着ればその成果は確認できますが、実戦が無ければ軍学の有効性は確認できません。実際幕末には日本が太平の間も戦争に明け暮れていた欧州の軍事学を学ばざるを得ませんでした。日本以外の多くの国には軍隊があり、マスコミにしろ、実業界にしろ、実際に軍事に関わった人が身近にいる事が多いと思われますが、日本にあるのは「見た目は軍隊だが、実際は日本を戦争ができない国にするために存在している自衛隊」なので、その事が今回の記事で指摘されている状況を生んでいるのではないかと思われます。今は鎖国していないので知ろう・学ぼうと思えばそれは可能ですが、あまりに無知過ぎて自らの無知すらも自覚できないのではないかと。「高々中型旅客機、しかも最先端最高を狙っている訳でもない」で始めた三菱スペースジェットは頓挫してしまいました。後戦闘機に関しては未だに航空機が互いに機銃を撃ち合っていた頃のイメージで捉えているのでしょう。F35Bという「CTOL機に歯が立たないという事が無いVTOL機」は戦闘機がある意味「頭打ち」であるという事ではないかと思ったりもします。
19190213
2021年11月04日 00:03
昔は不採用っていうのはあった気がしますね。
それこそ昭和の話ですが、試製○○とかありましたね。
あとは作ったが調達辞めたとか。あった気はします。

こういう形がなくなったのも恐らくは経緯があっての話でしょうね。
予算を出す側からすると無駄にしているでしょうよと横やりが入るものではないのかとは思います。
こればっかりは、防衛省自身でそういう形で不採用を作るのを禁じると弊害がでますよとしっかりと釈明しないといけないのかとは思いますね。
訓練費しかり無駄に使い切りをしなくてはならないというのも出す側の話しあってのことですから、しっかりと防衛相側は問題提起をしていかないといけないのではないかとも思います。
勿論外務省などの他の省庁の絡みもあっての話でしょうが、妥協するにしても軍事的にベターな判断ぐらいには納めないといけないのかとは思うところです。