日本のビジネスメディアの記事が明後日な理由その1



2021年10月25日号
沈むな防衛産業 技術革新の種 守れるか
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/mokuji/00142/

先週号の週刊日経ビジネスの防衛産業特集です。

例によってですが、記者もデスクも外国での軍隊や軍事産業の取材経験がおそらくは殆どなく、国内の防衛産業関係者や防衛省、自衛隊関係者にしか取材をしていない。
ところが取材対象が世界的にみれば、当事者意識も能力の低い、トンデモな人たちなので、当然記事もバイアスがかかるのですが、それを理解していない。だから延々と同じ「コップの中の嵐」をみて世界がわかった気になるような記事を書くわけです。


防衛タブー視のツケ 静かに消えていく企業
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00923/


>ここ数年、企業が防衛事業から撤退する事例が相次いでいる。20年にはダイセルがパイロット緊急脱出装置から、18年にはコマツが軽装甲機動車(LAV)から撤退を表明。「イラク派遣にも使われ海外でも好評だったのに」とある自衛隊OBは驚く。

まるで防衛産業は悪くない、高性能な製品をつくているのにと言いたいみたいです。外国の取材を知らないからこんな、この世間知らずの自衛隊OBの話を鵜呑みするわけです。
軽装装甲機動車は側面ドアのガラスは防弾じゃなかったし、フロントパネルの防弾ガラスも弱かったので、「実戦に備えて」慌てて改修したわけです。
それでも振動が多くて使いづらい、車内が狭い、など現場の隊員の不満は多かったわけです。それで耐地雷性能は殆どなかったし、装甲は7.62ミリカラシニコフ弾を想定なので7.62ミリのNATO弾やロシアン弾だと貫通したでしょう。
それでいて、値段は諸外国の同クラスの3倍もするわけです。調達が中止になったのは排ガス規制対応のための改修をすると価格が3千500万円から5千万円に値上がりするからです。だからそれを財務省に指摘されて予算化できなかったわけです。
こんな高いクズを買うなら、イベコのピューマやランクルベースのサウジのシビルでも買ったほうが遥かにマシでしょう。

常識的に考えればこんな小型装甲車を主力APCに据えている非常識な軍隊は陸自だけです。フランス軍がVBLを主力APCにしたりするわけがないでしょう。

こういう与太話を鵜呑みにするならばまともな記事が掛けないのは道理です。
>状況の厳しさは各社の防衛事業のスケールを見れば明白だ。同事業の世界トップ5は米企業が占め、1位のロッキード・マーチンは全事業に占める防衛事業の比率が約9割に上る。民需も多いボーイングを除けば、各社とも6~8割を防衛事業が占めている状況だ。

記者の頭の中は外国といえばアメリカだけでしょう。「状況の厳しさは各社の防衛事業のスケールを見れば明白だ」アメリカの大手だけが軍需産業じゃないですよ。その説ならばキャタピラーもメルセデスも業績が悪いはずです。軍事の世界を知らずに、目についた情報だけをひろうとこういう安直な記事になります。

> 実はこのセンサーは海自が運用する潜水艦からスピンオフした技術で、OKIにとって初のデュアルユース品だ。音は指紋のように「音紋」がある。「潜水艦特有の音紋やその他の海中音を『カタログデータ』としてどれだけ持っているかがカギを握る」(OKIの加藤洋一執行役員)。戦前から日本の潜水艦のソナーを開発・製造している同社にはその知見がある。

そのソナーを作っているOKIやNECの開発能力、特にソフトに関して欧米に比べて低いのが現実です。そして国内だけを相手にしており、競争もなから技術もコストも競争にさらされていない。のんびりと草をはんでいるガラパゴスゾウガメみたいなものです。


> 防衛装備庁は数十社程度の装備品のリストを手に見本市などにも顔を出すが、ガイドラインのようなものがあるわけではなく、「蚊帳の外」と考えている企業は多そうだ。

>米国からライセンスを供与されたエンジン部品などを生産し、逆輸出する案件もあるが、安倍政権当時に狙っていたオーストラリア向けの潜水艦や、英国が興味を示した川崎重工業のP-1なども受注には至っていない。

>新明和工業のUS-2もインド政府と10年近く交渉してきたが、装備品を売る代わりに同国での工場への出資を迫る「オフセット取引」を新明和が求められた。結局、日本政府の支援を十分得られなかったこともあって採算性が合わずに頓挫した。


大物は政治と外交絡みだからそもそも初心者である日本には無理だし、官も民も自分たちの技術を過大に評価して海外に出してなるものかとおもっているわけです。ですから頭を下げてきたら考えてやっていいと思っています。

US-2に売れる要素は全くありませんでした。値段が高い上に、技術移転も増産も無理です。5年に一度の調達が毎年2機にでも増えたら、対応できないのは目に見ています。
それにまともな知識があればP-1のようなドメスティックなコンポーネントを多用して極めて運用コストの高い機体を買う国はありません。
搭載システムの信用性も低いでしょう。そりゃ、普通に考えれば信用有る米国製のシステムを搭載して、米海軍が定期的にアップデートしてくれて、機体は運用コストの安い737ポセイドンにしますよ。

問題の原因は多々あるのですが、官民ともに当事者意識&能力を欠いていることが大きいでしょう。

海外の見本市に出展している日本企業を取材すれば、かれらがどれだけやる気が無いか、あるいは防衛省へのお付き合いでやったフリしているだけだということがわかるでしょう。


それに輸入=国内産業圧迫ではないわけです。例えばオフセットで、ヘリを買うならば世界で売られるそのモデルの一定パーセンテージの仕事を落とせ、という交渉は防衛省だけでもできるわけです。そのような分析がないのは残念です。

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この記事へのコメント

やれやれ
2021年11月01日 15:59
「機体は運用コストの易い737ポセイドンにしますよ。」
運用コストとなると安いではないですかね。
ポセイドンの方がいろいろな意味で易いかもしれませんが。

「外国の取材を知らないからこんな、この世間知らずの自衛隊OBの話を鵜呑みするわけです。」
日経も防衛産業を話題にするなら海外の展示会に行って取材くらいはするべきでしたね。コロナ禍が終わったら中国とかロシアとかフランスとか、お手軽に韓国でもいいですけどね。
外国まで取材に行けないならテレワークで取材でもいいので海外のメーカとかにでも取材するべきでしたね。
そう言えばこの前ADEXがソウルでありましたね...今回も行けなかった。コロナが恨めしい。

P1もエンジンも何も無くていいからドンガラだでも買ってと言っても相手にされませんでしたからね。機体すら信用されてない、あるいは無駄に高い、無駄に4発でエンジン変えてもコストが悪いと思われたのでしょうね。ネトウヨはじめ皆P1の性能マンセーで買わないのが悪いとか情報が漏れなくて良かったみないな内容みるとうんざりします。

日経は得意分野や日本国内で閉じている話題なら割としっかりした取材をしている記事もあるのですが、そうでなければ関係者の話だけとか結構なんだかな~みたいな記事もあるのでよく見極めないといけないですね。今回の軍用品などは全く門外漢でしょうから国内の事情はともかく海外の話はトンチンカンになりがちかも。
だから導き出される結論は日本側の事情のバイアスが強いのかと。
キヨタニ
2021年11月01日 16:16
ご指摘ありがとうございます。訂正しました。

>やれやれさん
>
>「機体は運用コストの易い737ポセイドンにしますよ。」
>運用コストとなると安いではないですかね。
>ポセイドンの方がいろいろな意味で易いかもしれませんが。
>
>「外国の取材を知らないからこんな、この世間知らずの自衛隊OBの話を鵜呑みするわけです。」
>日経も防衛産業を話題にするなら海外の展示会に行って取材くらいはするべきでしたね。コロナ禍が終わったら中国とかロシアとかフランスとか、お手軽に韓国でもいいですけどね。
>外国まで取材に行けないならテレワークで取材でもいいので海外のメーカとかにでも取材するべきでしたね。
>そう言えばこの前ADEXがソウルでありましたね...今回も行けなかった。コロナが恨めしい。
>
>P1もエンジンも何も無くていいからドンガラだでも買ってと言っても相手にされませんでしたからね。機体すら信用されてない、あるいは無駄に高い、無駄に4発でエンジン変えてもコストが悪いと思われたのでしょうね。ネトウヨはじめ皆P1の性能マンセーで買わないのが悪いとか情報が漏れなくて良かったみないな内容みるとうんざりします。
>
>日経は得意分野や日本国内で閉じている話題なら割としっかりした取材をしている記事もあるのですが、そうでなければ関係者の話だけとか結構なんだかな~みたいな記事もあるのでよく見極めないといけないですね。今回の軍用品などは全く門外漢でしょうから国内の事情はともかく海外の話はトンチンカンになりがちかも。
>だから導き出される結論は日本側の事情のバイアスが強いのかと。
Goodman80
2021年11月01日 18:45
そもそも”兵器用鋼鉄”の質が低いので、今のこの国は兵器の製造に全く適してません。それに何処の企業でも利益の出ない防衛部門など捨てたくって仕方が無いのです。
国内で開発・製造しなければ財務省も改修・改造を道めるでしょうから、自衛隊用の高性能な外国製の兵器が安く必要な量が手に入ります。
この国で世界と競争可能な物はレーダー、センサ類、ミサイル、魚雷くらいですから、既存の物を改修して搭載できるように相手と調整すれば問題無いでしょう。上手くいけば輸出も可能になるかもしれません。
そうすれば国内の事情に合ったとか誤魔化して欠陥品を法外な値段で購入しなくて済み、自衛官の命を無駄に死に曝さずに済むはず。