日本製装甲車輌のだめな一因は外国製コンポーネントを嫌うから。

日本製装甲車輌のだめな一因は外国製コンポーネントを嫌うから。

ものにもよりますが、日本製兵器が信頼性や価格がだめな理由は、外国製コンポーネントを嫌って国産にこだわるという点があります。特に装甲車輌ではその傾向があります。

コマツにしても三菱重工にしてもエンジンやトランスミッションなど自社製にこだわる傾向があります。

世界には装甲車のコンポーネントでは多くの専業メーカーが有ります。エンジンならばカミンス、キャタピラー、シュタイアー、MTUなど、変速機だとアリソンやZF、レンクなどがあります。その他パワートレイン関連でも世界のシャアを握っているメーカーがあります。

途上国の装甲車メーカーがここ四半世紀、急速に力をつけてきたのは、これら有名メーカーのコンポーネントを採用してきたことが大きいわけです。例えばカミンスのエンジンとアリソンの変速機などを組み合わせたりしています。

いわば、現在の装甲車輌はパソコンみたいなもので、優秀なコンポーネントは市場で入手できます。そして装甲板などの加工も最新型の工作機械を導入すればかなりの域に達するこ
とができます。更に申せば、先進国からのお雇い外人を雇うことも可能です。
外国製コンポーネントをうまく活用できればそれなりの製品を作ることが可能です。

これらのコンポーネントは性能品質、そしてコストも折り紙付きです。ですからトルコやシンガポールなどはそうやって自国向けはもちろん、輸出市場に進出してきたわけです。
信頼性が高く、コストの低い一流コンポーネントを使えば輸出市場で有利になることは当たり前です。そして力をつけてきたら徐々にライセンス生産や国産に切り替えてくるわけです。
中国は外国企業が中国に進出する際に合弁や現地生産を義務つけてきたので、イベコやMTUなどの技術を、それを通じて習熟してきました。EUは天安門事件以来制裁をしてきたといいますが、こういう技術供与は汎用品だからと野放しでした。それに1500馬力のディーゼルエンジンなんて戦車以外には使わないでしょうに。

イスラエルは途上国ではありませんが、装甲車輌の駆動系は外国製を採用しています。これはイスラエルの人口が少なく、国内市場が小さいために自動車産業を起こせないからです。

ところが日本のメーカーは自社製あるいは系列の製品にこだわります。1年にせいぜい数十輌、大抵数輌のエンジンやらトランスミッションが、年に数千単位で生産されている製品に品質、価格でかなうわけがありません。
生産数が少ないということは、自動化が困難であり、職工が手作業で行う部分が多くなります。それは製品のばらつきにも繋がります。また年間売上が少なければ設備投資もできず、延々と古くて、効率の悪い工作機械を使い続ける必要があります。

当然ながら維持費も高くなります。

これはメーカーだけではなく、防衛省、自衛隊の方にも問題があります。装甲車輌の調達のポートフォリオを考えて、量産しても各メーカーに利益がでるだけの仕組みを作って来なかったわけです。

多くの装甲車両は調達に30年程度掛けています。ピークでも生産数が少ない上に、後半になると更に調達数が下がり、コストが高騰します。生産された装甲車がすべて戦力化されて、数が揃うことはありません。つまり長すぎる調達は調達計画の意味をなしません。
例えば100輌の調達を30年で行えば100輌目の車輌が引き渡されるころには初期の車輌は用途廃止、あるいは員数には入っていても実質稼働不能です。そして全体的に稼働率は下がります。戦力化されるのはせいぜい60~70車輌です。それも稼働率は低いわけです。その上はるか昔の設計ですから旧式化していて現代の戦闘には耐えられない。

調達が続いているから、ということもあるでしょうが、途中での近代化もされません。
74式戦車が殆ど近代化らしい近代化もされず2020年代の現在までも現役に残り、富士学校に残っているのもそのためです。すでに戦力とは言えないものを維持するために多額の経費と隊員が無駄につかわれています。

海外コンポーネント採用にしても、このような長い調達だと不効率になります。わすか数個のエンジンやらトランスミッションを輸入すればコストはとても高くなります。それは、大抵は商社経由になります。例えば300輌分のコンポーネントを5年で全量を調達するのと30年で調達するでは人件費は6倍になります。調達コストが高くなるのは自明の理です。

またメーカーのサポートの問題も出てきます。30年も掛けては最後の方のでは生産が終わったり、部品が枯渇している可能性も高いわけです。当然スペアパーツを輸入しても高くなります。 

よく自衛隊の人たちは「海外製品は駄目だ、言うほど安くない。部品の枯渇もある。国産が安くて安心だ」といいます。

それは換言すれば「自分たちは無能で、調達は素人以下です」と言っているのに等しいわけです。自衛隊、特に陸自はアラブ人並みに時間という概念がありません。製品を採用するまで5年も十年もかけることは普通です。グズで意思決定が遅い。
そして発売されて10年20年と経っている製品であれば、当然生産が終了するのが当たり前ということが理解できません。
メーカーというものは自分たちのために延々と少数生産でいつまでも製品を作り続けてくれる存在」だと思いこんでいます。それが開発実験団の偉い人レベルでそれです。

某ロボットアニメのキャラクターじゃないですけど「アンタ、馬鹿ぁ~」と言われても仕方がないレベルです。

当事者意識と能力が組織として完全に欠如しています。
ぼくは昔からいっておりましたが、軽装甲機動車にしても高機動車とコンポーネントを共用し、それはトヨタのランクルやハイラックにすれ良かった。そうすれば両方とも信頼性が高く、コストも安く調達できたはずです。防衛省や陸幕はこういう発想ができません。これはぼくが特別でもなんでもなく、諸外国では当たり前にやっている手法です。
実際にランクルやハイラックの駆動系を転用して開発されている装甲車輌は多々あります。それはコストが安いし、世界中で中古も含めてパーツの入手が容易であり、加えて安価だからです。

トータルで装甲車両(そしてソフトスキン車輌)の調達を考えて、如何にメーカーの仕事量を維持しつつ、調達、維持コストをさげるかを考えるのは本来防衛省や陸自の仕事として当然です。それができないならば調達は全部海外製品に切り替るべきです。また調達事態も外部のコンサルPMCにでも委託すべきです。
能力のないものが開発や調達に関わるべきではありません。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 21

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
かわいい かわいい

この記事へのコメント

やれやれ
2021年06月18日 13:59
「例えば300輌分のコンポーネントを5年で全量を調達するのと30年で調達するでは人件費は6倍になります。調達コストが高くなるのは自明の理です。」
これは本当にその通りでメーカも頭の痛い問題です。
産業系もある意味軍用と似てる所があって同じものを
長期間供給が求められます。価格は右下がりになっても
市販品とは異なり大量生産で大儲けできる事もない代わりに
大幅な値崩れすることも無いのですが、同時に長期間の安定供給と
保守期間が長くなり大変な割に対して儲かるわけでも
ないのが何とも。
全ての部品を自社で加工して組み立てているならまだ可能かもしれませんが、購入部品の方が先に製造中止になってしまい代替品を探してきてまた信頼性や安全性などの各種試験をやり直してパスしたら採用で、この間に何ヶ月、物によっては1年と莫大な試験時間と人件費と試験費用が生じます。お客さんが持ってくれればまだ良いのですが、持ち出しの方が多くなるので長期間になるほど保守費でもらえる金額もあがりますが代替部品の再評価で利益も削られてしまうので旨味のない商売です。30年供給と言われたら死んでいます。最悪でも10年くらいで30年分を引き取ってもらわないと。部品だって有寿命ののもの多いので賞味期限が切れたものは稼働しても使えないし、買いだめできる部品も限られる。倉庫代だって馬鹿になりません。余程単純な構造のものでも無い限りそこまで作り続けられませんよ。
もっと計画的な調達をしない限り袖の下や天下りがあってももう無理、と言う企業が続出するのは当然です。

パジェロが無くなると聞いて次はトヨタ位しか無いか?と思ったら自衛隊向けは継続して作るようで、先は長いですね。
防衛省や酷使様が国産に拘るほど国産が少なくなる喜劇...悲劇。
Goodman80
2021年06月18日 14:28
日本は国連軍の後方支援基地と言う安全な場所と言う気が、日本政府及び日本全体を覆っているからでしょう。実戦時に後方が一番最初に叩かれることが理解できない後方軽視から来たものと考えられます。
また、海が守ってくれると言う軽い考えからか、必要な物を必要な時に必要な質で必要な量をと言った考えが全く有りません。
防衛省調達と兵器メーカーの関係も主従関係が逆でメーカーに天下りの元幹部には全く逆らえません。戦車も改修出来ないように設計され、次も全数交換と成り、ぼろ儲けです。F-15Jの改修の改修もメーカーのいい様に行われ、M-SIPの改修も真面に行えません。又、プライムメーカーだけが潤い、下請けは搾取され続ける構造では真面な開発は行えません。おまけにレベルは高くありません。ライセンス生産でさえ、真面に行えないメーカーばかりでは、国内開発など全く期待できません。防衛省はとびっきりの無能集団で有る為、国内の優秀なメーカーなどには全く相手にしません。盲目的に主人たるプライムメーカーに従うのみです。期待するのは止めて温かく見守って行きましょう。いざと成れば国連軍様が守ってくれるかも知れません。


ミスターフリゲート
2021年06月18日 14:54
まあこれはC2やP1と言った航空機にも同じことが言えますね。少なくともエンジンは既に出回っているものを利用すればコストは下がっていましたし、c2は不明ですが、P1はどこかの国が欲しがるっていうチャンスもあったかと思います。

あと
>>世界には装甲車のコンポーネントでは多くの専業メーカーが有ります。エンジンならばカミンス、キャタピラー、シュタイアー、MTUなど、変速機だとアリソンやZF、レンクなどがあります。その他パワートレイン関連でも世界のシャアを握っているメーカーがあります。

赤い彗星じゃなくて、シェアですよね?
Goodman80
2021年06月18日 22:31
ssaoさん
軍用に使うのであればこの程度の物は必要と思います。
FBI・テロ対策部隊御用達!屋内戦術ドローンLoki Mk2
https://www.youtube.com/watch?v=DIyzv7sAzyA&t=224s
簡単便利頑丈さが必要です。軍人さんはやたらに力がつおい
青い彗星
2021年06月19日 04:27
某A省「我が国を取り巻く安全保障環境の変化はかつてない程に高速化云々・・・」

 だったら装備品の開発も、それに見合うようにせえよ。性能は当然のこと、開発や調達のやり方も。いつまでも純国産ありきにこだわり続けるようじゃ、どんどん遅れを取るばかり。これも、高級幹部が自己保身と出世、そして退職後の再就職先確保を優先し続けた結果。その程度のレベルの連中でしかない。
 昔は90式戦車や203mmりゅう弾砲、10式戦車、16機動戦闘車とか、目玉装備に予算をじゃぶじゃぶつぎ込んでいたのだろうが、時代は変わった。その変化に順応できない組織は内側から腐り、外的要因や内的要因にかかわらず、やがて滅ぶ。今の高級幹部世代は、過去の黄金時代の夢をいつまでも見続けたいのだろう。退職後も、後輩たちに負債を押し付けてでも。そして、本当に有事が来て戦うことになり、日本が負けた時には、責任の押し付け合いが始まるのだろう。
Goodman80
2021年06月19日 08:35
装甲車も「乗り心地重視」の時代へ なぜ世界の軍隊は歩兵の居住性を気にしだしたのか
https://trafficnews.jp/post/108169
>アメリカ陸軍には、一般的な歩兵が最適なパフォーマンスを発揮できる限界重量負荷は50ポンド(約23kg)という指針があります。
>イラク・アフガニスタンでの戦闘で歩兵は日常的に119ポンド(約54kg)の重量負荷
だそうです。陸自の装備は真面な医療パックすら無い貧相な物なので、問題無い筈が真面な装甲車が無いので同様の事態になっています。真面な装甲車と真面な歩兵装備を揃えられる程度まで陸自の隊員数を減らすべきでしょう。使わない小銃はAKMで良いでしょう。
はて?
2021年06月19日 10:10
>日本製装甲車輌のだめな一因は外国製コンポーネントを嫌うから。

 この点については、韓国製を侮るための必須事項となっているので外国製コンポーネントの導入についてはミリヲタさんたちが必死に阻止すんじゃねえかな?

 もうミリヲタさんたちだけじゃなく、役にたたないのはわかっているけど仕事がなくなるので、税金にたかるだけの企業だけが栄えているような気がする。
Suica割
2021年06月19日 11:30
ミスターフリゲート様
ネタ元がウィキペディアなのが残念なのですけど、 C2のエンジンは、GE・アビエーション CF6-80C2K1F という普及品のようです。
やれやれ
2021年06月19日 13:09
Suica割さん、
C2については旅客機でお馴染みのCF6なんですが、
P1はIHIのF7です。恐らくこちらの事を指摘されたのではないかと。
水面ギリギリを飛ぶので塩害に強いとされているようですが、特徴があるとすればそれくらいでしょうか。
ただ他のエンジンと比べてどれくらい塩害に強いのか分かりませんが。
今だったらCFMのLEAPとかMRJに使ったPWのエンジンとかもっと高性能高燃費のエンジンがありますけど。
P1開発当時でも飛び抜けた性能や低燃費というわけでもないようですし。

今JAXAで民間版?低燃費版?を試験していますが、圧倒的な経験不足と信頼性のなさで使ってくれる機体メーカが現れるかどうか。まあ国産軍用機以外には使ってもらえないでしょうね。当然民間機で必要なエンジンの型式証明も取れないでしょう。ホンダはその辺頭が良くて基本形の試作は自分たちで作って量産用は経験豊富なGEに設計製造ともどもお願いしてホンダジェットのエンジンの型式証明とりましたから。余談が過ぎましたね。
Suica割
2021年06月19日 15:50
はて?様
>日本製装甲車輌のだめな一因は外国製コンポーネントを嫌うから。

 この点については、韓国製を侮るための必須事項となっているので外国製コンポーネントの導入についてはミリヲタさんたちが必死に阻止すんじゃねえかな?

絶妙にミリオタの考えを理解しきってないようなので、説明しますが、外国製コンポーネントを導入する点で韓国製を侮るのではなく、外国製から国産品に変えて上手くいかないことや勝手に分解して組み立て直して入れたら動かないことやコピーしてみたらダメだった事を侮るネタにしているので、外国製コンポーネントを入れることは侮るネタにはしてませんね。
やれやれ
2021年06月19日 16:51
余談ついでにパリエアショーでIHIの担当に話を聞いたことを思い出しました。
F7が作れるならIHIも民間旅客機用の高バイパスエンジンを単独で開発できませんか?PWのギヤードターボファンのエンジン部品も作っているしLIPAとかにも並ぶ程度のものを一つどうですか、と。
速攻で無理です言われましたね。まあそうだろうとは思っていましたが。1台だけ試作で作るならできるかも知れません。開発費がないし売れる自信がない。仮に作れたとしても修理や整備の拠点やネットワークを作らないとそもそも買ってももらえない。IHI単独では敷居が高すぎる訳です。
国策で数千億円とか相当税金を注ぎ込まない限り民間型は無理でしょう。
JAXAのも本気で民間型とかではなく将来技術の為の技術検証の方が主なのでしょうね。
はて?
2021年06月19日 17:41
Suica割様

>絶妙にミリオタの考えを理解しきってないようなので、説明しますが、外国製コンポーネントを導入する点で韓国製を侮るのではなく、外国製から国産品に変えて上手くいかないことや勝手に分解して組み立て直して入れたら動かないことやコピーしてみたらダメだった事を侮るネタにしているので、外国製コンポーネントを入れることは侮るネタにはしてませんね。

 もともとミリヲタさんを理解する気がないんでアレなんだけど、技術の導入には時間がかかるんで遅れてやってきた工業国に日本・米国と同等の精度を期待するほうがおかしいってのがヲレのスタンスで、国内ミリヲタさんの評価よりも実際に命がかかっているにも関わらず韓国製兵器を導入することを決断した軍人さんの判断を信頼することにしている。
 兵隊をやったこともなければ兵器に触ったこともない人の意見は、そういうもんだと受け止めることにしているのですよ。

 ミリヲタさんは専門家でもなければ戦場を知っているわけでもないですからね。

 まっ、ヲレもそうなんだけど。
 
山洞
2021年06月20日 13:44
Twitterのオタクの皆さんが30年で買ってたものを一括購入したら企業の仕事がなくなってしまうだろとか喚いてるが武器輸出もとっくに解禁されてそもそも民間企業なんだから自分で仕事探してこいよとしか
それとも彼らも日本の防衛産業なんて自衛隊に癒着しなきゃ生きていけないって分かってるのかな