日本はトルコのような先進的な装甲車は開発できない。

日本はトルコのような先進的な装甲車は開発できない。

今年のIDEXでもトルコの装甲車メーカーは出展していたようです。
率直に申し上げて、日本にはトルコのような先進的な装甲車両を開発する能力はありません。

四半世紀前ぐらいまではトルコの装甲車といえば、米国のライセンス品で、M113ベースのAIFV (Armoured Infantry Fighting Vehicle)やランドローバーベースの軽装輪装甲車程度しか生産していませんでした。
ですがハンビーベースのコブラを開発したあたりから、装甲車両の開発のテンポが早くなり、現在では先進国に遜色のない装甲車両を開発しています。

それはトルコ政府が軍事産業の振興を進めていたことが大きいのですが、国内に相応の軍や治安部隊用の市場があったことが大きいです。常にクルド人組織との戦闘という実戦に晒されていましたからなおさらです。
また、果敢に輸出市場に打って出ました。輸出で成功するためには価格や性能、品質で顧客の信頼を勝ち取らないといけません。開発したものが売れなければ、その原因を徹底的に分析します。
また顧客がどのような装甲車両を欲しているのかを、リサーチする必要がありますが、それを懸命にやってきました。

また現在の装甲車両はある意味、パソコンみたいなものです。エンジン、トランスミッション、駆動軸、消火装置、ブレーキ、装甲、火器、ナビゲーションシステム、センサーなど主要なコンポーネントは市場で手にはいります。例えばエンジンであればカミンスやキャタピラー、トランスミッションならばアリソンやレンクなど一流メーカーのコンポーネントは性能や信頼性が高いだけでなく、量産されているので値段も安い。しかも故障しにくいし、世界中でパーツが入手可能です。
またウニモグや、トヨタのランクル、フォードのSUV、タトラのトラックなどの駆動系をそのまま流用することも可能です。

ですから途上国が装甲車両を開発するハードルは20世紀に比べて格段に低くなってきています。タイ、インドネシア、マレーシアなどでも開発が容易になり、国産化を進めています。

そしてそれらのコンポーネントを次第に国産にシフトしていくこともトルコは戦略的に行なってきました。それには世界の自動車メーカーがトルコに多く工場を建設しており、国内外に販売してきたことが大きいでしょう。自動車産業の周辺産業が育ってきてそれを利用できるからです。

結果、トルコ陸軍は殆どの装甲車両を国内生産で賄うようになっており、輸出も多くの国で成功しています。

対して我が国はどうでしょうか。現在の最新の自衛隊の装甲車両でもトルコに見劣りします。それはメーカーだけではなく防衛省の責任も大きい。
海外のトレンドをしろうともせずに、内向きの小理屈で開発を指導してきました。
16式機動戦闘車にしろ、陸幕は当初道路法の制限の横幅2・5メートル以下で開発しようとしました。昨今の装甲車両のトレンドや105ミリ砲の制御を考えればできないのに前例を踏襲しようとしたけです。96式ですらその規格で苦労してあのできの悪さになりました。それでも装輪装甲車は不整地で使用しない、道路を移動するだけだからいいのだという屁理屈で開発させました。これはメーカーの設計者が証言しています。

コマツが作った新型装甲車も8輪ひどいものでした。ろくな開発予算も出さずに、目的はコマツに仕事を落とすことだけでした。結果装甲も薄く、路外装甲能力もないNBC偵察車をベースに開発しました。結果としてできのは、クズでした。

軽装甲機動車については今更書くまでもないでしょう。

しかも少量生産で30年のかかって調達するわけですから、工業ではなく工芸です。量産によるコストダウンは無理。量が揃った頃には旧式ですし、途中で殆ど近代化はされません。それはメーカーも最新式の技術に触れる機会がない、ということです。

軽装甲機動車にしても他国の同等品と同じ1千万円ぐらいでの調達を前提にすれば、コンポーネントや調達期間の見直しも行えたでしょう。ところが「国産装甲車の調達」が目的化しているので3千万円になろうが5千万円になろうが平気でした。

タダでさえ高いので、高価な複合装甲、ナビゲーションシステム、耐地雷システム、RWS、などのコンポーネントが難しい。

メーカーも生産や開発のテンポがスローで、一人の設計者が開発する機会は外国のメーカーに比べて少ない上に、輸出市場を気にせず、自衛隊という浮世離れした組織だけを相手にしていればいいわけで、ろくに海外のリサーチもしないし、コスト削減や性能、品質工場の努力もしなくいい環境にあります。

また売上が小さいから研究開発、特に基礎開発の予算、新型の工作機械などの設備投資にも不熱心です。ベンダーも同じです。
しかも防衛省は新規参入を歓迎しません。英国では当時ベンチャーだったスパキャットのATVを空挺部隊用に導入しましたがそういう英断は自衛隊にはできません。

これは装甲車両だけではなく国内防衛産業と防衛省、装備庁の宿痾です。無人機にしても圧倒的にトルコが優位に立っています。
いつまもあるのはかつての栄光にすがって先進国だという根拠のないプライトだけです。
その変なプライドがあるから改革が一向に進まない。
これが続けば防衛産業は自滅するでしょう。


■本日の市ヶ谷の噂■
財務省は陸幕にイレットペーパーの予算つけたのに、陸幕がその予算をちゃっかり別途に使用。
相変わらず隊員が自費でトイレットペーパーを調達、財務省は来年度予算で陸幕の要求に大鉈を振るうとの噂。



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この記事へのコメント

ミスターフリゲート
2021年03月08日 14:47
できないというのならどうあるべきなんでしょうか?
因みにセキュリコという会社はコマツよりもいい装甲車を発表しています。

https://ameblo.jp/kamemane/entry-12515370046.html
Goodman80
2021年03月08日 17:05
日本が出来ないと言うのは間違いと考えます。自衛隊の天下り先の企業が出来ないと言うだけと思うし、トルコだけでは無く韓国、台湾やシンガポールでも真面な装甲車両は開発出来ていますので、普通の国家よりこの手の企業のレベルが低いだけです。陸自関連の機材は”国内の事情に合わせた”と言う世迷言が通用するので全ての面で性能は低く、完成した時点で時代遅れで、それを何十年も掛けて装備すると言う他国では考えられないことが通用する訳です。
今迄はこのお飯事軍隊でも良かったのですが、周辺国の軍事力の台頭により、少しは考えなければならなくなっているのに、陸自の脳筋バカたちには理解出来ない様で、陸幕長の更迭で何とか少しくらいは改善が出来れば良いのではないかと。
バイデン政権からは抜本的な自衛隊の改編が求められるでしょう。出来なければ、唯の対中国用の防波堤としか扱われなくなります。現在でもかなり見放された感は感じられます。在日米軍基地には今後、攻撃兵器が配備され、家族は何時でも本土に引き上げられるような体制が整えられると思います。
やれやれ
2021年03月08日 17:19
「そしてそれらのコンポーネントを次第に国産にシフトしていくともトルコは戦略的に行なってきました。」
国産にシフトして行くことも、ですかね。

「その変なプライドがあるから改革が一向に進まない。」
これは軍事産業に限らず全ての産業に当てはまるかも知れません。
かつて先進だった、頂点を極めた、と言う思いから今でもそうだと根拠もなく思い込み慢心した結果が何でも遅れた日本と言う国の現状を表していると思います。一番良い例が落ちぶれた三菱と言うブランドでしょうね。重工だけで無く電機の方でも品質改竄(住銃のM2とかと同レベル)でそれを長年隠そうとしたのがバレてニュースになっていました。三菱以外も多かれ少なかれどこかに問題を抱えていると思いますが。

陸自の装甲車関係は一度国産から離れて使える外国製を輸入して
頭を切り替えない限りろくでもない国産品を高額な価格で買う愚を犯してしまうでしょう。どうしても国産にしたいならライセンス生産から地道にやり直した方が良いでしょうね。

にしても...
「■本日の市ヶ谷の噂■」
これどういうことですかね?トイレットペーパ(他にもある?)は
自腹でその分宴席でも開いているのでしょうか?それとも下らない国産兵器の穴埋め?呆れて物が言えません。
桜林女史などが知ったら何と言うでしょうね。
どっちの見方につくか見ものです(笑)。
キヨタニ
2021年03月08日 18:05
ご指摘ありがとうございます。

>やれやれさん
>
>「そしてそれらのコンポーネントを次第に国産にシフトしていくともトルコは戦略的に行なってきました。」
>国産にシフトして行くことも、ですかね。
>
>「その変なプライドがあるから改革が一向に進まない。」
>これは軍事産業に限らず全ての産業に当てはまるかも知れません。
>かつて先進だった、頂点を極めた、と言う思いから今でもそうだと根拠もなく思い込み慢心した結果が何でも遅れた日本と言う国の現状を表していると思います。一番良い例が落ちぶれた三菱と言うブランドでしょうね。重工だけで無く電機の方でも品質改竄(住銃のM2とかと同レベル)でそれを長年隠そうとしたのがバレてニュースになっていました。三菱以外も多かれ少なかれどこかに問題を抱えていると思いますが。
>
>陸自の装甲車関係は一度国産から離れて使える外国製を輸入して
>頭を切り替えない限りろくでもない国産品を高額な価格で買う愚を犯してしまうでしょう。どうしても国産にしたいならライセンス生産から地道にやり直した方が良いでしょうね。
>
>にしても...
>「■本日の市ヶ谷の噂■」
>これどういうことですかね?トイレットペーパ(他にもある?)は
>自腹でその分宴席でも開いているのでしょうか?それとも下らない国産兵器の穴埋め?呆れて物が言えません。
>桜林女史などが知ったら何と言うでしょうね。
>どっちの見方につくか見ものです(笑)。
ミスターフリゲート
2021年03月08日 20:45
トイレットペーパーの件が再発したのって、そういうことだったんですね。


また韓国は、戦争になった際、ミサイルと陸軍で終わりだとホルホルしているようで。
http://blog.livedoor.jp/sekaiminzoku/archives/55545840.html
偽陸士
2021年03月08日 22:58
この噂が本当なら、財務省の大鉈が何処に下されるか見ものですね。

出来れば国産兵器の予算を削って欲しいものです。
はて?
2021年03月09日 20:51
韓国の軍事産業については、よく国産開発部品が足りないとかでミリオタさんが批判してますが上手くやっているってことでいいんですかね。

 
19190213
2021年03月09日 21:22
質問ですがMIL規格のような物は自衛隊にあるのでしょうか?
例えば他社や海外のコンポーネントを使って価格を抑えようとしたときなんかもあらかじめ規格が決まっていればスムーズに行きそうな気もするもんですが、防衛省の調達品というのは製品ごとに水準を一々定めたりしてるんですかね?

規格さえあれば価格や実現可能な性能も見当もつけやすいですし何よりベンチャーだって他社製品持ってきて組めば自社の得意な点に集中できそうなもんですが・・。
三洞
2021年03月09日 22:28
海外派遣するとなった途端に防弾装備やら付加装備急いでつけるあたりどうせ実戦なんてせいぜい海外派遣先でしか起きねえよ(笑)とたかくくってるんだろうね自衛隊は
Suica割
2021年03月09日 22:30
大鉈を振るうとするなら、トライアルの実施は不可避。
なんで決定しているのか見えてこない開発過程が元凶の一つ。
小銃一つにせよ、アメリカ軍はきちんと発射試験をしていて、ウィキペディアに結果出しても怒らないくらい情報開示してます。
日本は何でも不透明なイメージがします。
Suica割
2021年03月09日 22:36
https://youtu.be/AqP9oqF9EfU
このレベルで必死に自衛隊も見せるべき部分を見える化しないと変わらないと思います。
それをやらせる大臣、副大臣以下の政治家がつかない限り、防衛省も二流のままだし、兵器調達も昔のままでしょう。
キヨタニ
2021年03月09日 22:43
防衛省独自の規格がありますが役に立っていないでしょう。NATO規格に準拠させるべきです。
同盟の米国がそうしているし、検査なども同じ基準なら他国の装備と国産の装備の比較も容易になります。

>19190213さん
>
>質問ですがMIL規格のような物は自衛隊にあるのでしょうか?
>例えば他社や海外のコンポーネントを使って価格を抑えようとしたときなんかもあらかじめ規格が決まっていればスムーズに行きそうな気もするもんですが、防衛省の調達品というのは製品ごとに水準を一々定めたりしてるんですかね?
>
>規格さえあれば価格や実現可能な性能も見当もつけやすいですし何よりベンチャーだって他社製品持ってきて組めば自社の得意な点に集中できそうなもんですが・・。
三洞
2021年03月09日 23:11
>財務省は陸幕にイレットペーパーの予算つけたのに、陸幕がその予算をちゃっかり別途に使用。
トイレットペーパーやコピー用紙自腹だの糧食予算が年度末までになくなって缶飯になんてアホな話三幕の中で陸くらいしか聞きませんし(一部例外あり)まあ駐屯地の調達か会計担当がちょろまかしてると思ってたらまさかの陸幕自らですか
19190213
2021年03月10日 19:41
トイレの紙ですか・・まぁ演習でも自前の紙をダンプに入れて常備していたんでそこまで会社に出して貰わんでも慣れているから抵抗はないんですよね。


ただ、業務で使う物、例えばコピー紙やインク、地図の防水処置用のなんか透明なやつとかは出して欲しいなと。
毎度足りなくなるというのは恐らく皆が皆コピー機をよく使うというのもあるのでしょうけどもね。
だったらそれはそれで安い再生紙も使うとかも一つの手ではあるんですがね・・(でも足りないんだよね。)。
昔はどうもこの手の文具用品は予算を使い切る為に期末に大量発注して帳尻を合わせたようですが今はそうい話は昔ほどには訊かないですね。
もしかして、大昔に誰かさんがちょろまかしてそれでカットされるようになったとか?
19190213
2021年03月10日 19:50
清谷様
解答ありがとうございます。
しかし疑問ですね。
なんで統一しないのか・・・それこそ世界規模でパーツを探し出せるだろうに。
その手のパーツを扱っているならば有名な規格はどのメーカーも抑えているだろうから話もきっと早いはず。
謎ですね。
偽陸士
2021年03月10日 22:33
しかしまぁ。

営外に出ると営内者の生活環境なんて、どうでも良くなるのかね。

トイレットペーパーでこんなんじゃ、水溶紙なんて支給してくれないんだろうね。

中核派は使ってるのに。(笑)

不正流用した分使って病床と給食センターを増強しましょう。
その方が福祉の向上にもなるし有事には非常に威力を発揮します。

でも、病床減らしを大絶賛な自民支持者には理解不能だろうけど。(笑)
マリンロイヤル
2021年03月11日 09:02
ICVの所で書きそびれたが、日本は自動車産業の裏付けで基礎はある。ただ、戦訓を収集分析し反映させる能力が無い。あと調達の問題として片付けられてるが、そもそも量産化研究が不足ではないか。性能を維持して、構造の簡略化、安い部品・材料を探す、そういう努力が足りてない。YouTubeに、10式戦車の部品を製作する工場の動画があり、ここでしか造れない部品を手作りしています~と言っていた。これでは発注が多くなっても価格は下がるまい。
ひゃっはー
2021年03月11日 22:12
三洞様へ
>どうせ実戦なんてせいぜい海外派遣先でしか起きねえよ(笑)とたかくくってるんだろうね自衛隊は

私も昔、同じようなことを考えました。そうでなければ、衛生救急キットに国内用と海外用の二種類が存在する理由と、ブッシュマスターが中央即応連隊だけにしかない理由が説明できん。
実戦で得られた教訓を装甲車の開発に生かしていくのがトルコで、生かさないのが日本なわけだ。この点、ノモンハン事件の戦訓から装備の改良を全くしなかった帝国陸軍と同じだ。
はて?
2021年03月13日 12:35
今更ながらだけど、日本はPC98を生産し続けて輸出しようとしていて、韓国はAT互換機を製造し輸出しているわけだわな。
ブロガー(志望)
2021年03月14日 22:56
お邪魔します。
 兵器は「道具」であり、「如何にその目的を達成するか」で評価されるものではないかと思われます。例えば戦前戦中の百式司偵なら「航空優勢奪取の尖兵」でしょう。トルコの装甲車は「如何に目の前の戦闘で使えるか」が目的ですが、今の日本の場合は「一見強そうだが、実は実戦では役に立たない」「防衛・安全保障に使える人・物・金を食い潰す」事が「真の目的」ではないかと思っています。その意味では今の日本の兵器は戦前戦中の百式司偵やトルコの装甲車よりも「作られた目的の達成」という点では上回っているのではないかと。独立を捨てた戦後の日本がアメリカ様に守っていただき、かつアメリカ様の戦争に駆り出されないためには自衛隊は徹底して軍事的に無能でなければならなかったわけです。その自衛隊に軍事的合理性を求めるのは、例えば百式司偵に「見てくるだけではなく爆弾を落っことしてこい。」と言うようなものではないかと。かつての武家政治の成立を思うと、日本に於ける軍事的合理性の追求は、日本以外にルーツを持つ日本人が日本、特に軍事面の主導権を握った後になされるのではないかとも思ったりもします(それまで日本が存在していれば)。