東日本大震災の「戦訓」を活かせない防衛省・自衛隊の当事者意識の欠落

さて、昨日で東日本大震災発生から9年目を迎えました。実に多くの方々が亡くなりました。現場に投入された自衛官は多数に上り献身的に働きました。その一方で派遣に際しては多くの問題点も明らかになりました。
ところが防衛省・自衛隊はその多くを無かっとことにして、災害派遣は大成功だったと自画自賛しております。またメディアもそれを検証せずに、現場の部隊の献身だけを取り上げて礼賛してきました。
今後同様な大災害が起これば、大きな禍根を残すでしょう。既に熊本の震災なども起こっているわけですが、防衛省はまったく反省していないようです。

まず東日本大震災で問題だったのは陸自の無線機が通じなかったことです。これは、ぼくは震災前から指摘していたことです無線機が通じない、足りないので演習場では隊員が個人の携帯を使っていました。軍隊ではありえない話です。
ところが東日本大震災では携帯の基地局も壊滅状態だったので、無線機を使うしか無かったわけです。数が定数に満たない上に、無線機の世代が違うと通じない、もっと根源的な問題は周波数帯が軍用無線に適していないことです。
これで現場は大混乱になりました。

ところが陸自が震災後に採用されたNEC製の高域多目的無線機は周波数帯の見直しを行わないまま導入されました。これは国交省の折衝が面倒くさいということと、現在の周波数帯では外国製無線機が導入できないので、一種の非関税障壁となっているからでしょう。
つまり防衛省は戦争で負けようが、国民がいくら死のうが、NECの利権と天下り先の確保を優先したということになります。

同様に壁面透過レーダーも周波数帯の問題で外国製品が導入できず、それを理由にして技本(当時)が開発しましたが、低性能高価格で殆どまともに導入されていません。同じ頃に開発した中国のメーカーは、3D型やポッケット型、大型の車載型なども開発して人民解放軍に採用されています。更に民間型も開発されています。
周波数帯の問題を解決して、国産品と外国製品を競わせればよかったのにやりませんでした。

風呂も問題です。自衛隊では風呂ばかりでシャワーはあまりありません。単位時間あたりの利用者数ではシャワーも絶対必要ですがそうは考えていないようです。
野戦調理システムも陸自では牽引型で中隊向けの野外炊具1,2号がありますが、より大きな能力があって、悪天候で使えるコンテナ式のキッチンはありません。同様にコンテナ式の食堂もありません。これらやシャワーは日本からODAを受けているトルコ軍など多くの国で製造、運用されていますがこれもありません。

よくネトウヨ、国士様の類は左翼から攻撃されるから災害派遣で自衛官は冷たい飯しかくえないのだと知ったかブリをしますが、全くの嘘です。単に兵站能力が低いからです。
そんなに左翼の言動に敏感ならば、辺野古の埋め立ても、オスプレイの導入も中止になっていたはずです。
ひたすら現状を肯定することが国益だ、自衛隊のためだと信じているようですが、こういうやからこそが自衛隊、とくに現場で働いている隊員の敵です。無能で働き者の味方は敵よりも始末が悪いといいますが、その好例です。

数少ない無人機のFFOS、FFRSは全く使用されませんでした。これは防衛省が国会答弁でも信頼性が低かったと認めました。ですがFFRSは導入から1年も経っていないからと言い訳をしておりました。ですがFFOSは既に長く運用されておりました。FFRSはその後の熊本の震災などの災害でも使用されておりません。つまりは、言い訳は嘘、ということですこれはぼくがスクープしたわけですが、その後調達は止まっています。ところがそれに関して防衛省はなんの発表もしていません。
これらが「クズ」だったことが露呈したので、代わりの無人機が導入されることになってスキャンイーグルとフジインバックのB型のサンプルが調達されましたが、スキャンイーグルが選定されて、部隊用の予算がついたのが来年度予算からで戦力化は先になるでしょう。震災から10年経ってもこの有様です。当事者意識と能力が欠如しているからです。

偵察ヘリのOH-1もリアルタイムで情報を送れず、空自のFR-4は帰投して写真を現像するといった博物館アイテムで、阪神淡路大震災でも批判されました、その後も空自は更新を怠ってきました。後継として開発されたF-15J用の偵察ポッドは全くのクズでキャンセルになりました。そして偵察はF-35に兼用させることになりました。ですが平時ならまだいいですが、42機しかない虎の子のF35を偵察に裂けば、戦闘機としてのF-35の数は大きく減ります。

世界の軍隊では航空用のNBCスーツが使用されており、ヘリや輸送機だけではなく戦闘機などようにも使用されています。ところが自衛隊ではまったくなかった。それどこか陸自の方面隊航空司令ですらその存在すら知らなかった。
福島第一へのヘリによる放水もぶっつけ本番でした。にも関わらず、未だに航空用NBCスーツは調達されていません。

陸自の装甲車輌の多くはNBCシステムを装備していますが、クーラーがないため夏場は使えません。使えば乗員が熱中症になります。NBC状況が発生し、その地域を閉鎖した場合にまったく活動できないわけです。東日本大震災では化学偵察車が使用されましたが、これにもクーラーはありませんした。後継のNBCは偵察車にはついていますが、あれだけの「戦訓」があったのに陸自の装甲車輌へのクーラー搭載改修は行われておりません。NBC状況では化学科だけが対応するとでも考えているのでしょう。

護衛艦にもNBCシステムはありますが、フィルターは装備されておりません。これは外国製なのですが、備蓄もありません。NBC状況になれば護衛艦隊は全滅です。

率直に申し上げて防衛省・自衛隊は国防や国民を守ることよりも、仕事をしないこと、組織防衛、既存の防衛産業の利益と天下り先の確保を優先しています。こういう胡乱な組織に毎年6兆円近い軍事予算を投入する必要があるのか、大変疑問に思います。

■本日の市ヶ谷噂■
陸自では12.7ミリ機銃による対空射撃の訓練時、住友重機製の12.7ミリ機銃は装弾不良が多いので米軍から供与された大戦、朝鮮戦争時代のお古を主として使っているとの噂。



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この記事へのコメント

SSAO
2020年03月12日 18:51
今日の市ヶ谷の噂
住友重機製の12.7ミリ機銃は装弾不良が多いので米軍から供与された大戦、朝鮮戦争時代のお古を主として使っているとの噂。

住友重機よりも大戦時代に作られたのが未だに使えると言う事に驚きました。

良薬口に苦し。といいますが自衛隊は苦い薬(経験)より不味い薬(経験)をしないと本当に変わることはできないんでしょうか?
国民や現場の隊員が犠牲になるのは最悪ですね。
やれやれ
2020年03月12日 20:12
無線機だけでもどうにかならないもんでしょうかね?
前にも同じ話題でNECも地に落ちたもんだと書いた気がしますが、
広多無の無は無用の無か無い方がマシも無なんでしょうね。
で、NECで無線で検索したら最近のニュースで
150GHz帯で100mのリアルタイムデジタルOAMモード多重無線伝送
https://eetimes.jp/ee/articles/2003/11/news045.html
てのが引っかかったので、なんか凄いのやってるじゃんと
思ってよく見たら100mだった...凄いんでしょうけど近場しか
使えないんだな、と。

緊急時っていうのもあるんでしょうけど陸海空のヘリで連携を取るときに航空無線を使っていました。航空無線、特にVHFなら民間含め世界共通なので非常時にはどこかのチャンネルを使うとかで一時しのぎできそうですが。あと航空無線でも軍用のUHF帯なら自衛隊の中だけでも使えるかもしれません。そのへんはむしろ才覚の場合でしょうけど背中にしょった大きな無線機がただの体を鍛えるための重しだと知ったらショックですね。

「風呂も問題です。自衛隊では風呂ばかりでシャワーはありません。」
一応野外入浴セット2型には洗い場にシャワーが付いています。
仰っしゃりたいのは湯船より簡易なシャワーを沢山作った
野外シャワーセットの様な物が必要ということでしょうか。
陸自の装備としては無いようなので。そりゃお風呂の方が
いいんでしょうけど、言われてみればそればかりですね。
さばける人数の事も考えたら湯船ばかりと言うのも非効率ですね。

偵察機ですがOH1は使えないしお手軽OH6Dは全機用廃になってしまったし、RF4も用廃。グルーバルホークもまだ無い。まともな偵察機が無いのもなあ。仰る通りF35で代用と言うのもあるんでしょうが、ドローンの開発は陸自も空自も失敗したし外国頼みですからね。

「護衛艦にもNBCシステムはありますが、フィルターは装備されておりません。」
すいません勘違いしていました。予備のフィルターでは無く元々フィルターが入ってないんですね...信じられない(呆)。
もう空気清浄機のフィルターでも突っ込めばいいんじゃないでしょうか(ヤケ)。無いよりマシな気がしてきました。

車両のエアコンは贅沢装備なんでしょうかね。酷使様は左翼の
せいにしていますが、調達時の要求仕様に元々入って無いから
ですよね。暑くても寒くても耐えろ、と。

快適装備と言ってな何ですが、表に出られない事を考えると
トイレも重要ですよね。こもり続けなければいけない時の
事を考えていませんでした。戦闘機みたいに紙おむつとか
車内トイレですかね。
戦場で漏れそうになったら…戦車兵のトイレ事情 空薬きょう使うことも 陸自の場合は?
https://trafficnews.jp/post/94297

色々考えて使えるものを調達しないと駄目って事ですね。
思考が平時のままだからお気楽なんでしょうか。
口でいくら常在戦場と言っても本当の戦場(或いは有事)でないと
想像できない事も多いのでしょう。フクイチの津波のように
想定していても金かけたくないから想定外にしたとか。
19190213
2020年03月12日 20:59
・・たしか災派でシャワー使った覚えがありますね。

無線機というか携帯電話に関しては意識の低い軍隊は結構使ってますね・・
実際にウクライナでは露軍に探知されて特科で耕されたり、眉唾ですがハッキングされた事もあるそうで自衛隊の電子戦に対する戦訓と教育が非常に遅れている事は事実です。
そもそも初期の教育でこれらは教えるべきことで前期の教育が現代の戦闘とはどのように動くかという大きな流れを教えない事にあると思います。
その中で細かい事や大切な戦訓を実例や図解を以て教えるべきなのにやたらと服務教育の要素が大きいというね。(確かに大事だけども)
色んな心得にしても”何故そうなるのか”という事が欠落していて丸暗記をするようになっていますし、大事な所は試験でも理由を記述式で答えられるようにして欲しいとは思います。
一言一句同じじゃないと駄目とか択一式の試験だけは駄目です。
あと映像や図はしっかり使うべきでイメージを持たせやすいようにやっていくべきかなと・・

折角志願制にしているのだから教育には金と手間をかけるべきで、強いて言うならばワイマール憲法下のドイツ軍を指向していくべきなのかなと。
要は陸自の一年目の任期は3年にする代わりに教育はもっと伸ばすべきで曹候にしても同様に伸ばすべきなのかなと。(任期制って部隊からすると教育やらなんやらやって使えるようになった頃に辞めていく感じが強いです。)

ワイマール憲法下のような感じにするのであれば当然部隊は削減することになりますし常備の連隊減らして即予備の大隊を増やしても良いんじゃないですかね。
任期制の子らの最後の半年~一年は即予備に入って貰えば彼らは就活しつつも自衛隊に貢献できるわけですしね。
やれやれ
2020年03月13日 15:34
濡れネズミさん、
防衛装備研究所に行ったときに防弾チョッキもあって重さ当てクイズ
とか試着とかもしていたんですが、何型かはよくわからないんですが
中身の鉄板?セラミック?複合材?要するに弾除けの硬い部分は国産か聞いてみたら輸入って言ってました...
ついでに側面(脇腹)の所の保護がどうなっているのか聞いたら諦めて下さいとの事。真正面と真後ろしか保護できていません。側面はナイフもヤバそうに見えましたが、どこのもこんなもんですよとあまり気にしてない様子。ホンマかいな?と思ったけど突っ込みませんでした。もしかしたら密かに開発中の新型があれば国内産かも知れませんが、所詮そんな所ですよ。売り物が作れるとは思えません。と言うか隊員も危険では・・・
マリンロイヤル
2020年03月13日 17:01
>>災害派遣は大成功だったと自画自賛

「最初から10万人投入した」のが成功だったと、当時の統幕長の折木良一が自慢してますね(笑)でもこれは菅直人の功績ですよ。折木が最初に出した案は、3万人程度を3~4交代させる案で、軍事知識や実際に自衛隊で勤務した経験があれば「そりゃそうだな」と思うような案です。菅直人は軍事知識が全く無く、小出しにするのは「放射能が怖くて出動を渋ってる」とカン勘違いして激怒した。それで10万人を一気に出す事になった訳で、東日本大震災の被害は3万人程度では対処出来ないレベルで、兵站能力以上に兵をだすのはおかしいという批判はありましたが、結果的に菅直人の方が正くて、平成のガダルカナルは避けられた。自民公明の、官僚に丸投げする政治家だったら「折木案」を採用して、もっと収拾不能の状態に陥ったでしょう。自衛隊は、菅直人の「無知」に感謝すべきじゃないですか。
偽陸士
2020年03月13日 18:17
濡れ鼠様。

M3もお忘れ無く。
あとcoin機のガンポッドも一括で買えば値引きして貰えるかも。
CPR
2020年03月13日 19:26
広多無の駄目さ加減は個人的に62式機関銃に匹敵すると思っています。
部隊の戦力発揮というマクロ視点では、それ以上の問題ではありますが。
折角の実戦の教訓、日本人が得意なはずの改善すら出来ない現状には失望と諦観に苛まれます。

やれやれ様
側面用プレートはあります。
諸外国が使うプレートキャリアと呼ばれる機動力重視の防弾チョッキにもサイドプレートを装着できるサイドプレートポーチがあります。
陸自は導入してないだけですね。
防護装備の防護力と機動性はトレードオフの関係なので、陸自の防弾チョッキは防護
力重視です。
本来はサイドプレートもあるべきなのですが……。
理想は防弾チョッキとプレートキャリアを現場指揮官の判断で選択出来るようにすることです。
ただし、プレートキャリアの場合は防護範囲が狭い分、外傷救護能力が必要です。
「諦めてください」「どこもこんなもん」は当事者意識の欠如であり、軍政の責任放棄ですね。
やれやれ
2020年03月13日 20:09
マリンロイヤルさん、
「菅直人の功績ですよ。折木が最初に出した案は、3万人程度を3~4交代させる案で、軍事知識や実際に自衛隊で勤務した経験があれば「そりゃそうだな」と思うような案です。」
確かに内容だけ聞くと常識的に思います。しかし素人の立場では取るものもとりあえず被災地に来て助けて欲しいとTVラジオで聞いて祈っていました(自分の所は部屋の中が滅茶苦茶になっただけでそれ以外は無事でしたから余裕ありました)。事は一刻を争うと言う状況でしたから。戦力の逐次投入とはちょっと違うかも知れませんが、被災した東北他自衛隊も含めて色々不足した中よく頑張ってくれたとは思います。無線など色々残念な事も分かりましたが。

それと先日Fukushima50なる福島原発事故をモチーフにした娯楽映画(ドキュメンタリーではありません)を見ました。首相がヘリでフクイチに乗り込んだことがかなり批判を浴びましたが、そもそも盗電が官邸や対策本部に原発の情報を小出しにしたり大丈夫と思わせようとしたのか情報不足に陥ったので現地に強行視察したんですよ。映画ではそれで作業が遅れた事にした印象操作をしていますが実際にはその間もベントに向けた作業は進んでいました。実際の吉田所長は首相がいようがいまいがベントのタイミングは準備でき次第行うと言っていましたし(一刻を争う状況なので)。それに菅首相も福島視察の後に盗電のやり方にしびれを切らし本店に乗りこんだらTV会議システムが動いていた。最初からTV会議が使えると知っていれば福島まで行くことはなかっただろうと言っています。しかし首相が事故現場に乗り込む位差し迫った重大事故なのは間違いないと思います。すくなくとも事故に取り組む姿勢は見せられたでしょう。

国のリーダーたるものそのくらいのやる気を見せて欲しい所ですが、安倍は毎日会食三昧。それにどうしても緊急事態宣言を発動したいのかインフル等特措法を使わず新しい特措法を作り無駄に時間が掛かった。本当の国難はこれからかも知れません。
濡れネズミ
2020年03月13日 21:58
やれやれさん、CPRさんが仰っている通り側面プレートが諸外国には有ります。
陸自は装備していませんし、する気もないでしょう。

偽陸士さん、M3重機関銃ですかすいません忘れていました。

在隊中、師団長と食事会みたいなことがあったことを皆さんにお話しした事があったと思うのです。
その際報告して大目玉を貰った理由に関してこの度素晴らしい参考例を発見しました。

清谷さん、是非とも国士の方、防衛省の陸自上層部に所属しているお偉い悪党の方々に見せていただきたいニュースなのです。

https://www.ukrinform.jp/rubric-defense/2895557-dong-bu-qing-shiukurainadedonbasu-de-fangnite-wei-sheng-ban-che-liangga-shouketa-gong-jino-xie-zhenwo-ti-shi.html

陸自上層部の先見性の無さがまた実証されました。
19190213
2020年03月13日 22:23
兵站能力についてですが・・・
例えば東日本や熊本のように各方面からの部隊を全部完全に最初から養う能力というのは国力的にも実現しないと私は考えています。
というのも実はインフラに依存せずとも完全な兵站能力を発揮できるのは米軍だけだからです。
陸戦において偉大なるあの赤軍でさえ鉄道という基幹輸送網がなければ後方の兵站基地を潤すことができません。
兵站というのは輸送だけではなく整備や後送も込みのもので非常に輸送手段やその能力を圧迫します。
それに苦慮して露軍は重車両は基本現地整備で直せるように簡素頑丈にしていることや大規模な後送が必要ならばそこで投棄していきます。

これは血管である道路網や赤血球に値する輸送部隊をすり減らさない為の処置です。
従って、もし・・・輸送が困難な場合は前線の物資は優先順位が高いモノから送られます。(前に書いた需給部隊からの統制もこの中に入ってます。)
弾薬、燃料、水、食料が当然優先されますし、例えば天幕や整備物品だったりは限定されてしまいます。


この点を災派で痛感しました。
というのも到着し当初にいたっては糧食は部隊からの持ち出しで師旅団からの補給は少し後になってからでした。
水は貴重でしたし、燃料も同様でした。
しかしこれは切っ先になる部隊の宿命で多くの戦史においても万全な準備よりも時間が物をいう局面はあるのです。
後に建設工兵である施設科や民間企業が交通網を復旧した後には、物資は次第に増えていきました。
増加食も次第に豪華になっていたのを覚えています。
そして入浴も出来るようになったのです。
これは72時間の制約や被災者優先になる事から切っ先となる部隊はやむを得ない現象ではあります。
勿論回復や兵站を無視するのは戦理に反しています。
しかし実際は兵站を一時的な無視してでも(のちに補給できる公算があることが前提)やらねばならない課題が目の前にあるといったことでしょうかね。
従って・・・災派において初動の72時間の補給というのは連隊、大隊自前の物資でやらざるえないのは物理的に仕方がなく、その後の対応は道路網の復旧によってこそ成されるものだと思います。
特に東日本では多くの民間企業が自衛隊に協力を惜しみませんでした。
日本通運を始めとする運送関係やフェーリー会社がその能力を惜しみなく発揮しました。
それら優れた民間企業の助力や時として主役級の活躍なくして兵站は完成しませんでした。
しかしそれは決して非難されるものではないのです。
先に述べたように、米国ぐらいしか自前で完全な兵站を賄う事しか出来ませんし、その米軍ですらアフガン以降は民間企業に多くの兵站業務(前線込みも含め)を投げています。
又、自前で軍の食料工場や各種装具の工廠すらある決して補給を軽視していない露軍ですら、自前の完全な兵站はあり得ず鉄道インフラに依存します。
このことから、自衛隊において必ず成さねばならないことは一に民間との連携の強化と二に民間が出来ない分野を確行すること(つまり経路開拓と需要を知り分配する集積管理能力です。)。

また、初期においては道路網も寸断され増援として派遣された我々は到着にもやはり先遣の偵察隊からの情報がなければ到達は遅れたことでしょう。

経路さえ開拓できれば、自衛隊よりも遥かに専門性が高く強い民間企業を導入できるのですから経路開拓の任は非常に重い物です。
経路開拓には情報と工兵能力が必要です。
それにも関わらず自衛隊は偵察ヘリを事実上の減勢し工兵も一部削減しています。

私は完全な兵站能力は国内運用前提ならば必要ないと思っています。
それは民間という強いその道のプロがいる事と我々にできて彼らに出来ない事は違うと考えているからです。

一方で第一線に立つ一部普通科連隊には災派用のコンテナがあって糧食と人命救助システム(コンテナ)があるにも関わらずこれを有効活用できていない。
コンテナ化されていても輸送できる車両が多くの場合ないか足りないのです。
つまり折角セット化していても多くの場合は積み替えして出発することになるのです。
完全な兵站はあり得なくてもせめて第一線部隊の初動を支えるコンテナ化はしっかり成すべきであろうやと。(輸送小隊を復活させて欲しい所です。即自や予備自・再任用者でも良いんじゃないかな?給与は抑えられるし・・)

米軍ではMTVRという化け物を使っていますがそこまで全部に求めないとしても折角一部コンテナしてるんだから一部においては活用するべきです。
あと・・・結局積み下ろしが物を言うのですから移動式のコンテナローダーが幾つかあれば、民間から(中央兵站基地→方面兵站基地)自衛隊側への受け渡しは迅速化できるはずです。
ひゃっはー
2020年03月14日 00:01
伊達政宗の黒漆五枚胴具足や、平安時代の大鎧にもサイドプレートのようなものは付いています。そうした鎧は右側面の胴を外して着脱するようになっているんですよね。なぜなら弓や鉄砲を右利きの人が構えた場合、左側面を敵にさらすからなのでしょう。
やれやれ
2020年03月14日 15:21
CPRさん、濡れネズミさん、
ですよね。たしかサイドも防弾板ありました。
ただこちらも門外漢なのでどこの軍隊がどのモデルなんて
事まで知らないので。米軍のにはあったと思うんですが、
後付なのか付いてないのもあった気がします。
もしかしたら職種や戦闘内容によっては軽量化のために
つけてないのもあるのかな?と。
ただ装備庁の人に今更言うのもあれなので止めました。
知ってて適当に流したのか本当に知らなかったのか、
何れにしろろくでもないですね。

「折角の実戦の教訓、日本人が得意なはずの改善すら出来ない現状には失望と諦観に苛まれます。」
裾野が広い民間用に限られている気がします。
そもそも競争して良いものを先んじて出す、って言うのは
国内の防衛産業では起こらないですよね。それが原因かと。
あと日本人には喉元すぎれば熱さ忘れるって言葉もありますからね...

「その際報告して大目玉を貰った理由に関してこの度素晴らしい参考例を発見しました。」
擲弾喰らうとあんな感じになるんですね...
車内は耐えられたのかどうか分かりませんが。
安全地帯なら分かりませんが、敵の攻撃が考えられる
所だと赤十字マークもあてになりません。
素人でもそう思いますよ。わざと狙わなくたって
誤爆は普通にありますし威力が大きすぎて巻き込まれも
あります。銃弾はどこから来るか分からなし地雷だって
踏むかもしれません。
そもそも軍隊でなくテロだと条約関係ないですからね。
装甲救急車の必要性が分かると言うもの。
自衛隊の1 1/2t救急車は防弾も何もないですからね。

19190213さん、
もしかしたら既に準備されているのかも知れませんが、
人命救助システムと一緒にコンテナ1個分位の水と食料
を隊員用(被災者用とは別)で一緒に運ぶ、個人のリュックにも
1日分を常に詰め込んで置く位はできそうに思いますが。
どうでしょう。
CPR
2020年03月14日 18:43
非装甲では榴弾が貫通して車内は衝撃波、爆風、メタルジェットで乗員は死傷します。
装甲でも貫徹された場合はメタルジェットと有毒ガスで死傷します。
このため、装甲材にもう一工夫欲しいところですが、やはり実戦データが無い我が国は弱いですね。
グレーゾーン事態や激戦下では、医療部隊が狙われやすいと思われます。
戦闘職種を直接救命するのはもちろん、精神的な支えにもなる存在です。
負傷した戦闘職種の人員ごとやってしまえ、と考えてもおかしくないでしょう。
今の自衛隊相手なら小火器で救急車を撃破出来るわけですから、手軽なものです。

東日本大震災で派遣部隊が炊き出しを被災者に提供し、隊員自身は冷えた缶詰を食べる姿を美談化したことは、脆弱な兵站の象徴的な出来事だと思います。
情緒的な国民性のため、国民の支持は得られました。
しかし、軍政に携わる上層部が国民の支持を得たことで満足し、そこで思考停止してはいかんだろうと。
今の陸幕長、昨年の記者会見で「将来においても戦える」という枕詞を用いていますが、「現状、真に戦える」状態にあるということですかね。
偽陸士
2020年03月14日 21:52
ひゃっはーさん。

平和ボケした最新装備より、命の遣り取りしていた戦国時代の鎧の方が見所がありそうですね。
常に全周囲では兵士の疲労も酷く、また数も揃えられないでしょうし。

19190213さん。
横浜線からたまに相模原の補給処を観るとコンテナローダーが動いてるのが見えます。
自前で買わなくても物流会社に委託した方が効率良く荷物が捌けそうです。

濡れ鼠さん。
ドローンの擲弾、トップのハッチを狙って居たようですね。
19190213
2020年03月15日 02:00
やれやれ様
アリだと思います。
普通科の実際の動きはまず初動対処部隊(情報小隊、衛生小隊)がでて情報(経路や被害状況)を上げてから至急計画を作り動きます。
さらに長躯機動する場合は燃料補給が必要となります。(これは全国に散在する経路上の駐屯地や旅師団が設置した簡易補給所で賄います。各駐屯地には備蓄があるので補給上有益です。)
そして先遣中隊が前進すると。

つまり、コンテナ化は良しとしても小さい物ですがボトルネックになるのは情報収集と計画(補給を含む)になってしまいます。
従って遠方から来る部隊の中には、まず初動部隊を派遣しつつ最低限度の計画を練り(経路上の補給等)、各中隊を進発させ””移動しながら計画を策定し””現地入りした部隊も居ます。

普通科連隊、大隊においては72時間分と経路において必要な一部物品コンテナ化は、指揮官の指揮の所要を減らし更には先遣中隊の前進開始時間はより短縮されるものと思います。(初動は問答無用で直ぐ出るので問題ないです。)

一方で連隊又は大隊と言うのは現場実行機関であり配れたカードでしか勝負できない。
その中で既存の部隊は苦しい人員状況の中良くやっていますし初動部隊の迅速性は高く維持されています。
(情報小隊や衛生小隊の個人時間の犠牲の元に・・・まぁこれはナンバーも持回りで本来やって欲しいものですが如何せんMOSがない・・・だからこそ第二職種を作って欲しいのですがね。)

そして、段列の部隊(旅師団の兵站)の話になれば彼らの場合は自分たちの補給品が揃っていれば他部隊に支給する物品だけ整備すればいいのでこれも短縮できるはずです。
尤も72時間を焦点に充てるだけならばの話ではありますね。(継続的かつ密接な機能発揮には上からの補給が必要。)

隊員個人の物品に関して言えば背嚢は常に入れ組品が指定されているはずですが確か水や糧食は入って居なかった””気がしますね””。(これって言っちゃ駄目?)
もしそうならば・・・・その指摘は大いに正しいかと思います。
入れ組品には保存可能な簡易な(食糧と水)は常備させるべきかと思いますね。
19190213
2020年03月15日 02:12
初動の部隊(情報や衛生)は個人の食糧なんかは小隊が持っていたり隊員個人が背嚢に入れていたりしているとも訊くので、背嚢の件は飽く迄も先遣中隊以降になります。(まぁこれはまちまちで持っている所は持っています。)
これは少し昔に聞いた話ですし今は解りません。

偽陸士様
コンテナローダー持っているんですね。
それは意外でした。
仰る所は正しく、中央兵站基地→方面兵站基地間の輸送は民間が食い込んでいますし、究極的に言うならばより彼らに委託するべきです。
大元の補給は民間が担う事で空いたトラックを方面から旅師団~連隊、大隊の充てる事が出来るはずです。
結果的に補給能力は上がるはずです。(やっているかもしれませんがね・・。)
やれることが各々違うのですからそれに特化し総合的に運用することで解決するのは良いと思います。
ブロガー(志望)
2020年03月20日 21:49
お邪魔します。
 自衛隊や防衛省の方々にとっては「目の前にいない人間及び目の前に無い有事なんかよりも、今自分の目の前にある仲間内政治」なのではないかと思われます。何せ仲間内政治で劣勢になれば、例えば「真っ当な指摘をして排除される」といった、どんな理不尽を押し付けられるか分かったものではありませんから。