財務省、財政制度分科会(平成30年10月24日開催)の防衛予算に関する資料を読む。その4

財務省の財政制度分科会(平成30年10月24日開催)において防衛予算に関しても討議されまた。その資料を財務省がHPで公開しています。

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia301024/03.pdf

引き続きこれについて重要な指摘とその解説を行います。

>防衛装備庁設置後の取組状況(③人材の積極的な育成)(P17)
>○ 防衛装備庁が実施している研修は座学が中心となっており、実地研修を盛り込んだ研修であっても、原価の精査といった調達改革に直結するような実践的なものとはなっていない。また、こうした研修を受講しておらず、調達実務の経験も乏しい職員がプロジェクトマネージャーとなっているケースも見受けられる。
○ 国防総省契約監査局などの海外機関への長期の派遣や民間企業での実地研修に特化した専門的研修など、実践重視の研修を実施したり、調達実務経験を有する職員をプロジェクトマネージャーとするなど、「装備品調達のプロ」を育成していくべきではないか。
○ コスト管理に精通した民間出身者、公認会計士、米軍の専門家など、外部人材の活用も検討すべきではないか。


つまり、装備庁含めて防衛省、自衛隊には装備調達のプロが殆どいないとうことだ。質だけではない。量も問題だ。調達担当者は英独仏諸国に比べて一桁すくない。しかも頻繁に人事異動があるので知識や経験の蓄積ができない。

そもそも本当の意味での実務経験者が皆無です。ですから指摘があるように民間企業のプロを雇う。また諸外国の調達のプロを雇うべきです。また彼らに権限を与え、装備庁長官は外部から入れるか、政治家にすべきです。これまでの長官は技術屋ばかりで、行政も調達の実務の経験もありませんでした。

人員を増やすことが難しいならば陸自の部隊数を減らすしかないでしょう。能力のあるものは調達担当者と相応の教育を行う。そして装備庁や各幕僚監部の調達部門に移動させるべきです。まずは調達担当部署の人員を2倍に増やし、かつ人事移動期間を最低今の2倍に増やすべきです。


>民需の減少を防衛装備品の単価上昇で賄う構造の是正(予定価格訓令の見直し)(P18 )
○ 特注品である防衛装備品は、適正価格を算定するため、予定価格訓令において原価計算方式(直材費や加工費等に一般管理・販売費や利潤等を掛け合わせる方式)を採用。実務上、契約額は原価計算方式による価格(及びそれに基づく予算額)に強く影響されているが、そもそもこの価格は官側の見積もりに過ぎず、必ずしもこの額で契約しなければならないものではない。
○ また、加工費は、必ずしも防衛装備品の製造に要した費用のみで算定されるわけではなく、企業判断により防需と民需を合算した「加工費レート」によって算定されているケースがあるが、こうした扱いは適当か。
※「加工費レート」とは、防需・民需の期間費用(減価償却費など)を、防需・民需の期間工数で除したものをいう。
○ 防需にあっては、必要な設備投資は官が初度費として支払っているほか、少量生産でもあるため、期間費用は小さく、期間工数は大きくなる傾向。他方、民需にあっては、大量生産のための機械化と相まって、期間費用は大きく、期間工数は小さくなる傾向。
その結果、期間費用の負担が防需に偏りがちとなり、民需の設備投資を防需が実質的に負担する構造となっているのではないか。
※ 例えば、X社は課ごとに加工費レートを設定しており、防需と民需が切り分けられるケースが多い一方、Y社は工場単位でレートを管理しており、防需と民需を合算。工場単位でのレート算定の場合、他の工場との民需の割り振り方を調整してレートを高く設定する操作も可能となるのではないか。
○ 国内製造業の空洞化が叫ばれて久しい中、民需の減少を防衛装備品の単価の上昇で賄う構造は不健全であり、納税者への説明責任や調達改革の観点から、現行制度の功罪を検証したうえで、とりわけ量産段階の装備品については価格逓減を前提に適切に契約額を決定できるよう、予定価格訓令及びその運用を見直すべきではないか。


更に資料ではY社の例として23年度の加工費レートを100としてその後上昇が続き、29年度には125になっている例を挙げています。

実際の工数などは各工程で水増しされていることは多数の現場の社員から聞いています。また本来官の側が行うべき仕様書なども企業が書くことも多い。このような手間の分も経費に混ぜられていると見るべきです。
更に申せば防衛用として導入したジグで民生品を作ったり、防衛用に開発した技術を民生用に転用したりすることもありますが、防衛省には使用料は入っていません。
また、下請け企業の多くは利益が低いために、新規の設備投資ができず、これが技術が古いだけではなく、コストが高い原因となっています。例えば削り出しで作っている部品を3Dプリンタで生産すれば生産コストを大幅に下がるはずです。
後は民生品コンポーネントに置き換えることも必要です。防衛専用にすると高くなる。水筒は裸で7千円もします。民間で買えばカバー付きが1千円前後で買えます。であれば卸値は400円程度、つまり民生品の17倍以上するということです。
企業の多くは水増ししているのが現実です。これは内部通報者を募るべきです。大きな金額の通報をしたものには多額の報奨金を払ってもいいでしょう。それから高コストを官の側が是認しているケースも多々あります。空自のUH-Xなどその典型例です。コスト査定は外部に任せるべきで、官製談合に協力した人間は懲戒処分を行い、刑事告発をすべきです。また合わせて、ずさんな調達に関してはその当時の関係者をさかのぼって処罰するようにシステムも導入すべきです。

■本日の市ヶ谷の噂■
海自艦艇向けのジャイロは民生品と同じだが、仕様書をわざと不透明にして、護衛艦、潜水艦は東京計器、支援艦艇は横河電子機器に、性能が劣って値段が高いにもかかわらず、棲み分けで発注。他国製品は値段が半額以下で精度も一桁高いとの噂。

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この記事へのコメント

濡れネズミ
2019年10月28日 13:37
結局は前大戦でも補給部門はいわゆる「兵站学校」の卒業生(解体されてしまいましたが)が活躍していました。

ただ、前線の需要(射程の長い砲迫、新型の対戦車火器、ベルト給弾式機関銃、感度の良い長距離無線機、陸上や艦艇用レーダー、などキリが有りませんが)にちゃんと対応は出来ていなかったのは皆さんご存知の話です。

現在の防衛省も国内メーカーの技術が足りず諸外国との戦力差が広がっている事は理解している筈です。

心無いいわゆる「人殺し」と言った侮蔑をしてきた人間に頭を下げるのが嫌。

今更手に入れた利権(実戦で血を吸った兵器と自己満足で合格している兵器じゃ話が違うでしょう)やら自分たちがやってきた研究が無駄になって失職したくないと言った駄々を捏ねているのが現状ではないでしょうか。

財務省が本気でこの勧告をしているならジョージア(旧名グルジア)やらウクライナ、トルコ やヨルダンとイスラエル、南アフリカや中央アフリカに人員を送るべきです。

自衛隊装備の性能が紛争地帯に転がっている旧式セコハン兵器以下の性能しか無いなら彼らに調達を任せた責任は彼らにもあるからです。

その上で「何やってんだお前ら‼️」と防衛省と国内メーカー上層部に情報を叩きつけながら怒鳴って欲しいです。(何人かの首を切って縁故採用された親類も退職させていただけると更に嬉しいです。)
やれやれ
2019年10月28日 16:26
まだ続きがあるかも知れませんが財務省は流石に頭が良いだけじゃなく経験も豊かなようで、指摘が的確と言いますか少なくとも普通の会社員ならオカシイな?と思う様な事も当然お分かりのようで安心しました。
防衛省の方は...涙が出てきますね。これ官製談合してませんか?
防衛産業と持ちつ持たれつのいい関係で馴れ合っているようで...
こんなんじゃトイレットペーパーが高くて自腹を追求する女史も少し財務省を見直したほうが良いかと。防衛費が安いからじゃなく調達が高すぎるから配備が少ないんだと。こんな無駄遣いばかりして低性能で高価な国産に拘る意味が分からない。
自分たちで勝手に弱体化してれば世話は無い。どうせ戦争する訳でも無いしそれっぽい物があれば後は野となれ山となれ。適当に訓練と事務して(こっそり接待も受けて)定年を迎えられてうまく天下りできればハッピー位しか考えてないのでしょうね(呆)。
こんな事で貴重な血税を溝に捨てられたら自衛隊に期待するしか無い国民のやるせなさはどうすれば良いんでしょう。
正社員はともかく契約社員の方々はこれで命がけの仕事をしろと?
本気で見直さないと弱体化が加速するだけですね。
普通の会社だったら傾いていますよ。

>■本日の市ヶ谷の噂■
民生品なんですか?なのに高くて低性能なのを採用?
もう理解が追いつけないんですが...
この手のものは日本が優秀だと勘違いしていました。
にしても潜水艦もですか?ネトウヨや軍ヲタは日本の潜水艦の優秀性を心の拠り所にしているような節を感じますが、駄目っすね。
こんな談合まがいの事までしてやるから低性能で高い国産しか取り柄のない物を掴まされるんですね。
aaa
2019年10月28日 18:30
キヨさんは財務省から声かかり、なのね。

いいこと。

防衛省記者クラブじゃなく、財務省とも仕事してよ。

現場の隊員も喜ぶのでは。
KU
2019年10月28日 22:26
>河野防相、装備品調達ポリシーの明確化急ぐ

http://www.jwing.net/news/18291

財政審に尻を叩かれ、漸く腰を上げたという感じですかね。
90TK
2019年10月28日 23:51
〇工数のお話し
諸外国のAFVと比較して、陸自のAFVの面構成が多いのも、小さなフックが多数取り付けられているのは、鋼板からの切り出し、加工、溶接等の工数を少しでも多くして利益を上げるための企業努力です。
工数を増やすための昔からの工夫であり、避弾経始、内部容積の確保、軽量化、偽装の際に便利は建前だと聞きます。
〇予算のシェアのお話し
調達情報や自衛艦の搭載武器等の部品調達(製造)(水中武器の部)契約希望者募集要項(公募 )を見ると、上手に分配されている気もします。
東京計器(株)の84式慣性航法装置はSS-583から使用されています。それ以前はアメリカ製のものをFMSで購入していたそうです。84式慣性航法装置は以前のものと比較して精度が向上していますが、定期的にGPSの位置情報の基づく補正を行う必要があるそうですが・・・。SS-583の就役が1990年11月なので、その時期にアメリカ軍と同じGPS軍用コードを使用できたのか、やるな海自さん。
〇SS-583のお話し
メーカーさんの経営問題で、水冷撹拌クラッド式鉛電池の製造、納品が遅れたため、就役が年度末でなく、翌年度にズレてしまったり、オーストラリア海軍のオベロン級潜水艦には総合性能では勝るが、静粛性はオベロン級が良かったという残念な艦です。
実はイギリスが一番静粛性が優れた潜水艦建造できるという話もあり、アップホルダー級潜水艦のパキスタンへの売却をアメリカと日本で止めさせたと伝わります。
ただ、実際のオベロン級潜水艦やアップホルダー級潜水艦はいろいろと残念な艦のようですが。
やれやれ
2019年10月29日 13:03
90TKさん、
「静粛性はオベロン級が良かったという残念な艦です。」
マジですか?オベロン級は1950年代の潜水艦ですよ?
シドニーの海洋博物館にオベロン級のオンスローが展示されており中を見学した事がありますが、戦時中の潜水艦かと思うほど中身が酷似しており標準的な日本人の中肉中背の自分でも狭苦しい船でした。まるで防音の効いた2LDKの鉄筋マンションに木造モルタル六畳一間のボロアパートに防音で負けた感があります。生活はどちらが快適か言うまでもありませんが。SS-583は調べたらはるしおですね。もう20年近く前に横須賀での一般公開で、しお級の中を見学させてもらった時に狭い狭いと言われている潜水艦が現代では随分広くて快適だと思いました(比較は大戦時の潜水艦映画ですが)。
その当時でも日本の潜水艦は静寂性で優秀との話でしたが盲信はいかんと言うことでしょうかね。
90TK
2019年10月29日 21:35
やれやれ様
当時、私が住んでいる県や隣県には海自の潜水艦の寄港地として人気の高い港がありまして、就役後の慣熟公開や練習艦が良く寄港しており、寄港の際には地方連絡部のご厚意により良く見学させて頂きました。
先に書き込みました内容は見学の際に、ある方たちから聞いたお話です。オーストラリア海軍のオベロン級(すいません艦名忘れました。実家にある世界の艦船のバックナンバー見れば判るのですが。ググったけどわかりませんでした)が日本に寄港した際に、ホストシップとして潜水艦で対応した際に、親善交流(潜水艦戦)を行った結果の評価と聞いています。
はるしお級も主機等をロフト化、シュノーケル配管を内殻に収めたりとシュノーケル航走や電池で航行での静粛性の向上を図っていましたが、静粛化への対応については終わりがないとも聞きました。
あと、日本の水測は世界一という話を潜水艦、水上艦に限らず聞かされます。